仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第二十一章/雷牙の世界⑲(前編)

 

―クラナガン・ドゥームズクロック伍号機地点―

 

 

『ATTACKSPELL:RAIGA CLAW!』

 

 

雷牙『ハァアアッ!!』

 

 

ディケイド(紫苑)『タアァッ!!』

 

 

『ヌゥウウウッ!!ガァアアアッ!!』

 

 

本体であるドゥームズクロックが上空に漂う高層ビルの屋上。

 

 

ディケイドとデザイアドーパントのマッチの横では、デザイアメモリの力で極限にまで戦闘力を高められて洗脳されたケルベロスインフェルニティを相手に雷牙とディケイド(紫苑)も決死の奮闘を繰り広げていく。

 

 

両腕に装備された雷牙のライガクローとディケイド(紫苑)のライドブッカーソードモードがケルベロスインフェルニティの両腕の爪と打ち合い、文字通りの激しい火花を撒き散らして激突する三人だが、やはり戦闘力が増しているからなのか、戦況はややケルベロスインフェルニティに傾きつつあり徐々に二人が圧され始めていた。

 

 

『グルァアアアアッ!!』

 

 

―ドグォオオオオオオオオオンッッ!!―

 

 

ディケイド(紫苑)『ングゥッ?!このっ、引くぐらい強過ぎでしょっ……!?』

 

 

雷牙『っ、理性を失くす代わりに限界以上の力を引き出されているのか……哀れな奴だ……』

 

 

イッター!と、切り付けられた胸を払うディケイド(紫苑)の隣で、雷牙は今のケルベロスインフェルニティの有り様に何処か同情心の込められた眼差しを向けるも、そんな彼からの感情にさえ感じる物も無いケルベロスインフェルニティはただただ雄叫びを荒らげながら再び二人に獣の如く飛び掛かるばかりだ。

 

 

その荒々しく振るわれる両腕の爪をディケイド(紫苑)と雷牙もそれぞれの得物で何とか受け止めつつ、雷牙は新たにカードを取り出す。

 

 

雷牙『不本意だが、何度も刃を交えた仲だ。すぐにその様から解放してやる!』

 

 

『FORMSPELL:RAIGA!BOOSTER!』

 

 

―ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーオオオォンッッ!!!―

 

 

『!?―ドゴォオオッ!!―グォアアッ!?』

 

 

雷牙がバックルにカードを装填した直後、耳を劈くような激しいエンジン音と共に雷牙の専用マシンであるライガブースターが自動操作で起動して遥か地上からビルの屋上までの高い壁を伝って駆け抜けていき、屋上へ飛び出してすぐにケルベロスインフェルニティに突撃して跳ね飛ばした。

 

 

そしてぐるりとその場で一回転したライガブースターは宙に浮き上がりながら独りでに変形して雷牙の全身に身に纏われていき、重装甲の外装姿のブースターフォームにフォームチェンジした雷牙は巨大な拳を振りかざしてケルベロスインフェルニティに何度も何度も殴り掛かる。

 

 

―ドゴォオオンッ!!バキィッ、ドォオオオオオンッ!!―

 

 

『グガッ?!アウゥッ?!ヌゥアアアアッ!!』

 

 

―シュンッ!―

 

 

ディケイド(紫苑)『?!また速くなった……!!』

 

 

雷牙B『ならば!』

 

 

『BOOՏT UP!』

 

 

ブースターフォームの強固なパワーを前に正面から挑むのは得策でないと本能で察したのか、ケルベロスインフェルニティは瞳を一瞬赤く輝かせて再び高速移動を開始するも、雷牙もすぐさま左腕のライガアクセルを起動し、両者同時に風を切る音さえ置き去りにした凄まじい速さで何度も交錯してぶつかり合い、音速の世界の中、ブースターフォームの強固な装甲に拳を弾かれたケルベロスインフェルニティの顔面に今度は雷牙の渾身のパンチがめり込むほどの勢いで叩き込まれ、そのまま思い切ってぶっ飛ばしたと同時にライガアクセルの効果が切れた。

 

 

『BOOST DOWN!』

 

 

『グォオオゥッ!?ォ、オオオオオオッ……!!』

 

 

雷牙B『悪いな。これ以上、お前の相手をしてる暇はない!』

 

 

頭を殴られた事で脳震盪でも起こしているのか、上半身を揺らしながらそれでも起き上がろうとするケルベロスインフェルニティに叫ぶと共に、雷牙はブースターフォームの合体を解除して通常フォームに戻りながらもう一枚カードを取り出し、ディケイド(紫苑)も続くように左腰のライドブッカーからカードを抜き取ってそれぞのドライバーにセットした。

 

 

『FINALSPELL:RA·RA·RA·RAIGA!』

 

『FINALATTACKRIDE:DE·DE·DE·DECADE!』

 

 

重なり合う二つの電子音声と共に、雷牙とディケイド(紫苑)は同時に跳び上がってそれぞれエネルギーを纏う右脚を突き出しながらケルベロスインフェルニティへ急降下していく。

 

 

対してケルベロスインフェルニティは咄嗟に両腕で防御姿勢を取り、真正面から二人のダブルライダーキックを受け止め切ろうと試みるも、それすら叶わずガードを打ち破って二人の必殺技が炸裂し、そのまま屋上から放り出されて遥か地上へと悲鳴を上げながら落下していってしまった。

 

 

ディケイド(紫苑)『っと!……今ので倒せたかな?』

 

 

雷牙『分からない。ただ奴のしぶとさは折り紙付きだからな。どうせこれからも何事もなかったかのように現れるさ』

 

 

ディケイド(紫苑)『扱い雑ぅ〜……』

 

 

いや、寧ろある意味では信頼していると言っていいのだろうか。ケルベロスインフェルニティが今ので倒し切れたとさえ思っていなさそうにそう言うと、雷牙はすぐに切り替えてディケイドの援護に向かうべく走り出し、その背中を見つめて肩を竦めつつもディケイド(紫苑)も後を追い掛けていった。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

―バキィイイッ!ドガァアッ!ドゴォオオッ!!―

 

 

ディケイド『ハッ!ぜぇえああッ!』

 

 

『くっ?!はァああッ!!』

 

 

時間はケルベロスインフェルニティが撃退される少し前にまで遡る。

 

 

一対一の勝負に持ち込み、互いに拳の押収を繰り返すディケイドとデザイアドーパントの戦いは徐々に徐々にその激しさを増しつつあった。

 

 

デザイアドーパントが横薙ぎに振るう打撃をディケイドは片腕で受け止めて払い除けながら、もう片方の腕の拳でその顔面を殴り付け、怯む彼女に更に立て続けに高速のラッシュを素早く叩き込んでいき、フィニッシュのサイドキックを瞬時に両腕を組んでガードするデザイアドーパントの腕の上から打ち込んで後方へと後退りさせていった。

 

 

『うっ、ぐぅううっ……?!(な、何なのこの力……!?力を増した因子の力?それともイレイザーの?いいえ、だからといってこんな短期間の間に今の私が此処まで押される程のパワーを彼が制御出来るハズが……!!』

 

 

ディケイド『…………(海斗から受け取った輝石の力がドライバーを通して全身に染み渡る……成る程。イレイザーの力を制御する感覚ってのはこんな感じか。大体掴めてきた』

 

 

幾らメモリの力が弱体化しているとはいえ、正面からほぼ圧倒されて困惑するデザイアドーパントを他所に、今の自分の状態の調子を確かめるようにディケイドは掌を何度か開閉させながら眺めていく。

 

 

その余裕に満ちた態度がデザイアドーパントの目には挑発にしか映らず、苛立ちを露わにして荒々しく腕を振るうと、自身の目の前にクラナガン中に放ったのと同様の己の分身を複数実体化させた。

 

 

ディケイド『またそれか。いい加減他の芸当でも覚えたらどうだ?』

 

 

『そうやって軽口を叩けるのも今の内だけです……!行きなさい!』

 

 

左腕を掲げた号令と共に、分身のデザイアドーパント達が一斉に迫る。

 

 

ディケイドは最初の一体の拳を身を翻すように捌いて背中へと回り込みながら、続いて殴り掛かってきたデザイアドーパントの分身の腹に荒々しく前蹴りを叩き込んで蹴り飛ばすと、その攻防の隙に自分の周りを取り囲んだ分身達を見回し、左腰のライドブッカーを開いて取り出したカードをディケイドライバーにセットしスライドさせた。

 

 

『KAMENRIDE:AGITO!』

 

 

電子音声と共に、バックルから放出される眩い光に全身が包まれながら跳躍して目の前のデザイアドーパントの頭上を軽やかに飛び越え、Dアギトにカメンライドしたディケイドは振り向き様の流麗な後ろ回し蹴りで分身の一体の顔を蹴り付けて地面に転がしていく。

 

 

其処へ二体の分身が加勢に加わろうとDアギトに襲い掛かるが、Dアギトは赤い複眼を発光させながら頭部のクロスホーンを展開し、静かに腰を落として横薙ぎに振り抜いた手刀から金色の斬撃を放つと、二体の分身の胴体が上半身と下半身に分たられて爆散し、直後に新たなカードをバックルに装填しながら爆発の中から空へと飛び上がった。

 

 

『KAMENRIDE:KIVA!』

 

 

上空でDキバに変身しながら分身達の中に降り立ち、身を起こすと同時にまるで蝙蝠が翼を羽ばたかせるかのように両腕を振り回しながらその場で身を翻すと、赤いオーラに覆われた無数の銀色の鎖が具現化してDキバの周りを鞭が振るわれるように舞い、周囲に残った分身達を纏めて一掃して爆散させていったのだった。

 

 

『……ばか、な……そんなハズ……!?』

 

 

Dキバ『……来い。これで終わりじゃないんだろう?』

 

 

『ッ!図に乗ってぇ!!』

 

 

クイッと、掛かってこいと言わんばかりに軽く右手でジェスチャーするDキバの挑発を受けて頭に一気に血が昇り、メモリの能力で瞬発力と筋力を底上げしながら飛び出したデザイアドーパントはDキバに右手の爪先を突き出し刺突を喰らわせようとするも、Dキバはその動きを読んでいたかのように左半身を僅かに後ろに下げるだけで躱しつつ、ドライバーに新たなカードをセットする。

 

 

『KAMENRIDE:FIRST!』

 

 

『?!なっ―バキャアァッ!―ごふぅッ?!』

 

 

刺突を躱されて慌てて振り返るデザイアドーパントの顔を、何かが横殴りに殴り付けた。

 

 

そしてあの一瞬でDキバの姿から首から下の全身にfirstのスーツを身に纏った姿に変身したディケイドは、今し方デザイアドーパントの顔に叩き付けた右手に握るfirstの仮面を頭から被りながら更にデザイアドーパントを殴り飛ばすと、最後に取り出したクラッシャーを顎に装着して、漸く完全なDfirstの姿にカメンライドした。

 

 

『ぐうぅぅっ!こんな、ハズがぁ……!この私がァああああああッッ!!』

 

 

『ATTACKRIDE:BURST HAMMER!』

 

 

―バキィイイイイイイイィッッ!!―

 

 

『───ッ!?!!ご……っは……!!?』

 

 

最早怒りに身を任せてなりふり構わず殴り掛かってくるデザイアドーパントの拳を頭を傾けながら避けつつ、カードを新たにドライバーに装填。

 

 

炎を纏ったDfirstの左拳がクロスカウンターでデザイアドーパントの顔面に思いきし突き刺さり、顔を抑えて後退る彼女を見据えるDfirstの姿がディケイドへと静かに戻っていく。

 

 

ディケイド『何人数を増やそうとも同じ事だ。例え独りであろうと、俺は常に仲間(・・)と共に在る』

 

 

『くっ……ァッ……よ、くも……!この私に何度も傷をォおおッ!!』

 

 

白煙が立ち上る顔から離した掌の上に赤いエネルギー球を形成し、激昂の雄叫びと共にディケイド目掛けて投げ放つデザイアドーパント。

 

 

即座に左腰のライドブッカーを展開してエネルギー球を防ごうとするディケイドだが、横から突如桜色の無数の粒子が疾風の如く飛来した直後、ピーチアームズを纏う天神となっていきなり実態化し、ディケイドの目前にまで迫った赤いエネルギー球を桜雪と無双セイバーの両刀で斬り伏せていった。

 

 

『なっ……!?』

 

 

天神『──生憎だが。君の相手は彼だけではないのだと、失念し過ぎてはいないか?』

 

 

ディケイド『!その声……お前、木ノ花か……?その姿は一体……』

 

 

天神『ふふん。これが私の新しい力さ。それにドゥームズクロックの破壊には、完全復活した優矢とアズサも付いているからな。……今回はもう、君独りで戦わせたりなんてさせないぞ?』

 

 

ディケイド『………………。過保護なヤツめ』

 

 

得意げに胸を張る天神から顔を背けながら憎まれ口を叩くも、その声音には心做しか、微かな嬉しさが滲み出ているようにも聞こえた。

 

 

それを察した天神も仮面の下で微笑む中、其処へ丁度ケルベロスインフェルニティを撃退した雷牙とディケイド(紫苑)が二人の元に駆け付けた。

 

 

ディケイド(紫苑)『零さん!……と、誰っ?』

 

 

天神『紫苑に雷か!君達も息災のようで何よりだ』

 

 

雷牙『……?まさか、木ノ花なのか?一体どうして……』

 

 

ディケイド『詳しい話は全部後回しだ。それより、あの犬っころは?』

 

 

ディケイド(紫苑)『あ、ええと、一先ず僕らで倒しましたよ。アレで死んだのかどうかまでは分からないけど……』

 

 

ディケイド『一匹減らせただけでも十分だ。……後は奴をどうにかして、あの時計を破壊するだけだ』

 

 

そう言いながら両手を叩くように払い、ディケイドが振り向いた視線の先には空に浮かぶドゥームズクロックと、その眼下で狼狽えるデザイアドーパントの姿があった。

 

 

『あの役立たずの駄犬……!限界まで力を引き出されておきながら、足止めすら果たせないなんてっ……!』

 

 

雷牙『ケルベロスもいなくなった今、残るはお前一人だ。覚悟してもらうぞ』

 

 

『ッ……ふふ、あは、ははははははは……!覚悟っ?私が?冗談も休み休みに言って欲しいモノですねえ!!』

 

 

バチィイイイイッ!!と、何処かヤケクソ染みた狂った笑い声を荒らげるデザイアドーパントの全身から朱色のエネルギーが凄まじい勢いで噴き出し、その熱のあまり背中のマントが燃焼し、全身がより刺々しく禍々しい、凶悪な姿へと変貌しながらとてつもないプレッシャーだけで周囲の空気を酷く震え上がらせていく。

 

 

ディケイド(紫苑)『アイツ、まだこんな力を……!』

 

 

『私のメモリはデザイア!文字通りの欲望!であるなら、私が望む限り、際限なく力を増してゆくのですよ!そう、それこそ正に、神にだって届く力にさえ!』

 

 

天神『……それはただ、我が身を顧みれていないただの自惚れでしかないんだ……此処までくると、最早哀れみすら覚えるな……』

 

 

ディケイド『だからこそ止めてやるんだ。俺達の手でな……やるぞ!』

 

 

『AMATERAS!DECADE!』

 

 

天を仰いで限界以上の力を引き出し続けるデザイアドーパントを止めるべく、ディケイドライバーにカードを装填したディケイドは天神とお互いに引かれ合うように一つに重なり合い、背中から三対の美しく白い羽根を生やしながら仮面ライダーディケイド・アマテラスフォームへと姿を変えていった。

 

 

そして静かに桜神剣を手にするディケイドに続くように雷牙とディケイド(紫苑)もそれぞれ得物を構え、元の原型も全身の金の色合いしか残らない程の変貌を遂げたデザイアドーパントへ立ち向かっていくのだった。

 

 

 

 

 

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