仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第二十一章/雷牙の世界⑲(中編)

 

 

―クラナガン・ドゥームズクロック肆号機地点―

 

 

―バシュウゥッバシュウゥッ!!ズシャアァァッ!!―

 

 

アストレイGF『フッ!……!クロノ!次、上から!』

 

 

アストレイBF『任せろ……!ハァアアアアッ!!』

 

 

ビートとディソードの道を切り開く為、次から次に現れるデザイアドーパントの分身と量産型ライダー達を相手に受け持って撃退していくクロノのアストレイブルーフレームと、ユーノのグリーンフレーム。

 

 

接近戦はアストレイGFが担当し、遠方から飛来してくる増援にはアストレイBFが全身に火器をこれでもかと装備したフル・ウェポンの武装で瞬く間に撃退していく。

 

 

最早阿吽の呼吸といっても差し支えのない二人の凄まじいコンビネーションを前に、デザイアドーパントと量産型ライダー達もロクに手も足も出せていない状態で完全に圧倒されている。

 

 

しかしそんな中でも、ガリュウは黒いドラグシールドを片手に飛来してくる弾丸やミサイルを受け止めながら二人に接近し、右手に装備するガリュークローを振りあげて二人のアストレイの間に割って入るように斬り掛かる。

 

 

アストレイGF『!ルーテシア……!』

 

 

アストレイBF『君の事も必ず救い出してみせる……!そうでなければ、あの馬鹿やフェイト達にも顔向けが出来ないんでね!』

 

 

ガリュウ『……!』

 

 

そんな軽口と共に、アストレイBFが銃口を向けたビームライフルから放たれたビームを黒いドラグシールドで受け流しつつ、ガリュウが反撃でアストレイBFに襲い掛かろうとするも、彼の前にアストレイGFが素早く割り込んでツインソードライフルで受け止める。

 

 

直後、アストレイBFがグリーンフレームの背中から真横へ飛び出しながら再度ビームライフルをガリュウに発砲すると、アストレイGFとの鍔迫り合いを中断し後方へと飛び退きながらビームを回避すると、再び地を蹴り二人のアストレイへと勢いよく飛び掛かっていく。

 

 

その近くでは……

 

 

『FREEZE!SPEAR!』

 

 

―ギィイインッ!!ガァアンッ!―

 

 

ビート『フッ……!ぇやああああッ!』

 

 

クロノの援護のおかげでグラビティメモリを手元から失い、重力操作によるクロックアップ封じを逆に封じられたロスト。

 

 

だがそれでも臆する事はなく、ただ機械的に戦術を切り替えて今度は冷気を槍先に纏うスピアグレイブを用いた近接戦闘を仕掛けてくるロストに対し、ビートもアックスモードに切り替えたクナイガンで受け流しつつ後退していく。

 

 

そして再びロストがスピアグレイブを放ったタイミングに合わせて、ビートはクナイガンの引き金部分の僅かな穴に器用にも槍先を通させ、そのまま相手の腕ごと絡め取ったグレイブスピアを大きく振り回し、スピアグレイブをクナイガンごと自分達の頭上に放り投げるように投げ捨て、お互いに無手となった。

 

 

『one!』

 

 

ビート『はぁああッ!』

 

 

―バキィイイッ!!―

 

 

ロスト『?!』

 

 

それでもロストは攻撃の手を緩めず、ビートゼクターのフルスロットルボタンを押しつつもう片方の左腕でロストの顔面に素早く左フックを叩き込む。

 

 

怯みながらも、即座に反撃して殴り返すロストの右ストレートをビートは僅かに身を眺めて避けながら相手のガラ空きの鳩尾に右拳を叩き込み、腹を抑えてロストが離れた隙に更にフルスロットルボタンを押す。

 

 

『two!』

 

 

ロスト『……ッ!』

 

 

『DARK!SHOT!』

 

 

ビートゼクターから鳴る電子音から危険を感じ取ったのか、ロストは痛みから立ち直ってすぐにバックルのメモリを両方切り替えてダークショットにメモリチェンジし、再び左手に生成されたショットマグナムでビートに黒い弾丸を連射して彼女を近付けまいとする。

 

 

しかしビートも、直前に共に宙へ放り捨てられたクナイガンとスピアグレイブが離れた場所に落下したのを視界の端に捉え、黒い弾丸を避けつつ二つの武器が落ちた場所へと素早く飛び退く。

 

 

其処へ追撃の弾丸がビートの背中に迫るも、受け身を取って身を起こしたビートはクナイガンとスピアグレイブの両方を拾い上げ、振り向き様にスピアグレイブで弾丸を防ぎながらガンモードに切り替えたクナイガンを入れ替わりに前に突き出して連射し、ロストの手からショットマグナムを弾くだけでなく、その全身に無数の銃弾を浴びせて派手に火花を撒き散らせながら吹っ飛ばしていった。

 

 

そしてクナイガンとスピアグレイブを両方手放し、ビートはビートゼクターの最後のフルスロットルボタンを押してゼクターホーンを逆位置に戻す。

 

 

『three!』

 

 

ビート『クロックアップ』

 

 

『Clock Up!』

 

 

ロスト『!!』

 

 

ビートの囁くような呟きを聞き取り、ロストは慌てて立ち上がろうとするも、文字通り時すでに遅し。

 

 

クロックアップの空間内に突入したビートは光を超える速さでロストに目前にまで一瞬で接近し、右フック、左フック、そして最後に強烈なアッパーカットを叩き込みながら背中を向けるように身を翻し、ビートゼクターのゼクターホーンを元の位置に戻した。

 

 

ビート『ライダー…キック……!』

 

 

『Rider Kick!』

 

『Clock Over!』

 

 

ビート『はァああああッッ!!』

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!―

 

 

ロスト『───!!?!?!』

 

 

ビートゼクターからビートの角へ。そして其処から右足へ伝い流れ着いたエネルギーを右足に纏った直後、クロックアップが解けて宙に浮き上がるロストが落下するよりも速く、振り向き様に放ったビートの上段回し蹴りがロストの横っ腹に鋭く叩き込まれていったのだった。

 

 

そしてロストはそのまま横殴りに勢いよく吹っ飛び、それまでの戦いを固唾を飲んで見守っていたなのは達の近くにまでゴロゴロと転がると、最後に力無く倒れ込んだ直後、変身が強制解除されて元の二人の姿……アリシア・テスタロッサと、リインフォースの姿へと戻った。

 

 

はやて「!!リインフォース!!!」

 

 

ビート『アリシアっ!!』

 

 

変身が解けて、初めて目にした二人の元の姿を前に、はやてとシグナムとザフィーラは物陰から勢いよく飛び出してリインフォースの元に。

 

 

ビートもすぐに変身を解除しながらフェイトの姿に戻り、倒れるアリシアの元にまで慌てて駆け寄ってその体を抱き起こすと、暖かな温もりが触れる手を通して確かに伝わり、思わず目に込み上がる熱にも構わずアリシアの体を揺らして必死に呼び掛ける。

 

 

フェイト「アリシア……!!アリシアっ、アリシアッ!!!!」

 

 

アリシア「…………………………………っ……………………………ぅ…………………………………」

 

 

フェイト「……!!アリ、シア……!」

 

 

シグナム「……安心しろ、テスタロッサ。意識はないが、二人ともしっかり息がある。どちらも無事だ」

 

 

フェイト「……ぇ……」

 

 

自分の呼び掛けに僅からながらも確かな反応を見せるアリシアに心の底からの安堵を浮かべるフェイトに、シグナムが穏やかな声音で言葉を掛ける。

 

 

思わず涙で視界が揺らぐ視線を彼女の方に向けると、其処には仰向けに倒れるリインフォースの体をしっかりと抱き留め、彼女の肩に顔を押し当てながら嗚咽の声を押し殺し、静かに泣いているはやての姿があった。

 

 

フェイト「はやてっ……」

 

 

はやて「……ぅっ……ッ…………ありが、と……ありがとうな……フェイトちゃん……この子を……リインフォースを…………助けてくれてっ……」

 

 

フェイト「…………ううん……ううん……私のほうこそ、だよ……まちがえた私に、もう一度チャンスをくれて……ありがとう……」

 

 

はやて「ぅん……ウンッ……!」

 

 

なのは(……フェイトちゃん……はやてちゃん……)

 

 

お互いに涙で顔はぐちゃぐちゃだった。しかし今は体裁も何もかも脇目に振らず、もう二度と会う事はないのだろうと思っていた大切な家族との再会に様々な感情が込み上げて止まないフェイトとはやてに、なのは達はただ無言で、彼女達の気が済むまで再会の喜びに浸らせようと優しく傍に寄り添っていく。其処へ……

 

 

クロノ「───そっちも、どうやら……っ……無事に終わったようだな……」

 

 

フェイト「……!クロノ……!」

 

 

なのは「よかった!二人も無事で……じゃない!?」

 

 

背後から不意に声を掛けられて思わず振り返り、変身を解いたクロノとユーノの姿を捉えて一瞬安心し掛けるも、それもすぐに動揺と驚愕に変わった。

 

 

二人の格好はどちらもボロボロで、顔中はアザだらけの流血まみれ。

 

 

しかし良く見てみると、クロノの腕の中には小さな少女……意識を失っているルーテシアが抱き抱えられていた。

 

 

スバル「ル、ルーテシア!?」

 

 

ティアナ「た、助け出せたんですか!?お二人だけで!?」

 

 

クロノ「おいおい……前線に出る機会が減ったとはいえ、これでもあの大馬鹿野郎と彼女達とは長い付き合いなんだ……誘拐された少女を一人保護するぐらい、今の僕達にだって出来るさ……」

 

 

スバル&ティアナ「「あ……す、すみません……!!」」

 

 

ユーノ「ははは……まぁ、それでも結構苦戦はしてこの有り様なんだけどね……途中でガリューを呼び出そうとしてた時は流石にちょっと焦ったけど、何故だか助けに現れなくて……その隙を突く形で、彼女を救い出したって感じだよ」

 

 

なのは「ガリューが……?」

 

 

ガリューといえば、ルーテシアに付き従う召喚獣の一体。

 

 

今はキャロのフリードと同様にミラーモンスターと化しながらもルーテシアに従ってた筈だが、二人から仔細を聞くと、どうやらルーテシアがクロノ達との戦いの中でガリューを召喚しようとアドベントを使用した所、何故かガリューはそれに応じず姿を見せなかったらしい。

 

 

思わぬ自体にルーテシア本人も混乱し、二人はその隙を突いて戦いながら彼女のバックルからカードデッキだけを抜き取り、変身を強制解除させた途端に今のアリシアとリインフォースと同様に意識を失ってしまったらしい。

 

 

ティアナ「そんな事が……」

 

 

スバル「で、でも、どうしてガリューは……?」

 

 

クロノ「さてな。それは僕らにも分からない。……ただ、あくまでも推測なんだが……」

 

 

―キィイイイインッ……キィイイイインッ……―

 

 

クロノが何かを言いかけたその時、辺りの鏡からミラーワールド特有の甲高い耳鳴り音が響き渡る。

 

 

前触れもなく聞こえてきたその音になのは達が驚いて辺りを見渡すと、近くのビルの窓ガラスの鏡面に、ジッとこちらを見つめたまま静かに佇むガリューの姿が映し出されていた。

 

 

ティアナ「ガリュー!?」

 

 

ユーノ「……きっと、彼女を救い出せる絶好の機会を伺っていたのは、向こうもずっと同じだったんじゃないかなって……」

 

 

ガリュー『…………』

 

 

鏡の向こうのガリューは何も反応を示さない。

 

 

ただクロノの腕の中に抱き抱えられているルーテシアの無事を確かめると、鏡面に陽射しが差し込んで光が反射し、再び露わになった鏡の向こうにガリューの姿はなく、音もなく何処かへいなくなっていた。

 

 

ティアナ「ちょっ!?あの子、何処に……!」

 

 

クロノ「心配せずとも、恐らく何処かで彼女を見守ってる筈だ。……それより、すまないがそろそろ誰かこの娘の事を任せてもいいかっ……?さっきの戦いのせいでか、腕が痺れてそろそろ限界が……!」

 

 

シグナム「では、私が」

 

 

若干ぷるぷる震えてるクロノの腕からシグナムがルーテシアを預かり、その顔を覗き込んでみると、眠る彼女の表情は何かから解放されたかのように心做しか穏やかそうに見える。

 

 

その様子から、ルーテシアにも酷い後遺症はなさそうだとひと目で分かり、なのは達も一先ず安堵を覚えるが、直後にドゥームズクロックが在る方角から爆発音が響き渡る。

 

 

驚いて一同が振り返ると、其処にはディソードが一人向かった先のドゥームズクロックの方で立て続けに爆発が巻き起こっており、更に付け加えて最悪なことに、ドゥームズクロックのタイマーがあと一時間を切ろうとしているのが見えた。

 

 

ザフィーラ「不味いな、向こうも向こうで既に時間が……!」

 

 

なのは「フェイトちゃん!時計、もう一回借りるね!」

 

 

フェイト「え…なのは!?」

 

 

言うや否や、なのははフェイトの返答を待たずにアリシアを抱える彼女の右腕からKウォッチを剥ぎ取ると、自分の片腕に巻き付けながらドゥームズクロックが浮かぶ方角を見据えていく。

 

 

スバル「なのはさん……?ま、まさかその身体で行く気ですか!?」

 

 

なのは「大丈夫。フェイトちゃんが頑張ってくれたおかげで体を休められたし。皆は三人を連れて写真館まで走って。ユーノ君とクロノ君には、道中まで皆の護衛をお願いしてもいいかな?」

 

 

ユーノ「なのは……」

 

 

シグナム「無茶だ!お前も相当体力を使い切っていただろうに、こんなにも早く回復する筈がないだろう!」

 

 

はやて「せや!今のなのはちゃんが行くんやったら、代わりにまだ動ける私が……!」

 

 

なのは「私のトランスは他のライダーに変身出来るから空を翔んでいける。時計を破壊するまでの残り時間を考えたら、そっちの方が速いよ」

 

 

はやて「それは……せやけど!」

 

 

なのは「……それに、はやてちゃんは今は、リインフォースさんの傍にいてあげて。やっとの思いで救い出せたその人を最後まで守り切らないと。それが出来るのは、はやてちゃん達以外に他の誰にもいないと思う」

 

 

はやて「……なのは、ちゃん……」

 

 

皆を導く責任ある部隊長としてではなく、今はただの八神はやてとして、リインフォースを最後まで助ける役目を担って欲しい。

 

 

それがなのはの願いなのだと彼女の穏やかな微笑みから察し、はやては責任と迷いが入り交じった複雑な表情を浮かべて腕の中に抱くリインフォースの眠る顔を見つめ、暫しの葛藤の末に、項垂れたまま小さく頷き返した。

 

 

はやて「ごめんっ……ごめんな、なのはちゃん……私、皆の部隊長やのに……こんな我儘っ……」

 

 

なのは「謝るのはナシ!それでも悪いって思っちゃうんなら、写真館まで皆の事をお願い。いいかな?」

 

 

はやて「ぐす……っ……んっ、任せといて……!皆の後方支援は、ロングアーチの大事な役目や……!」

 

 

スバル「シグナム副隊長、ルーテシアは私が代わりに!そっちの、えーと……リイン曹長のお姉さん?の方、お願いします!」

 

 

シグナム「すまん。任せる」

 

 

腕の中に抱くルーテシアをスバルに任せ、シグナムははやての腕からリインフォースを抱き抱えながら身を起こすと、一瞬リインフォースの顔を見つめ、何処か感慨深そうな微笑みが微かに口元に浮かび上がる。

 

 

そして皆の移動準備が整ったのを見届けると、なのはは一同に背中を向けてKウォッチを起動させ、腰にトランスドライバーを出現させながら肩越しにクロノとユーノに呼び掛ける。

 

 

なのは「それじゃあ、皆の事をお願い!写真館までのルートははやてちゃん達に聞きながらで!」

 

 

クロノ「まったく……相変わらずというか、何と言うか……」

 

 

ユーノ「仕方ない、それがなのはだからねっ。はやて達の事は任せて!君もどうか気を付けて!」

 

 

なのは「うんっ。……変身ッ!」

 

 

『KAMENRIDE:TRANS!』

 

 

力強く頷き返しながら駆け出し、ドライバーにカードを装填してトランスに変身したなのはは迷いなくドゥームズクロックが空に浮かび上がる方角へと突き進み、フェザーのカードをライドブッカーから取り出す。

 

 

そしてその後ろ姿を見送る間もなく、フェイト達も助け出したアリシアとリインフォース、そしてルーテシアを写真館にまで送り届けるべく、再びアストレイに変身するクロノとユーノを先導にその場を急ぎ離れていくのであった。

 

 

 

 

 

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