仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第二十二章/響鬼×けいおん!の世界①

 

 

『キュクルルルァアッッ!!』

 

 

目の前で零が変身してみせたディケイドを本能的にひと目で敵と判断のしたのか、新手に動揺しつつもカッパは荒々しく両手の鋭い爪を振るいディケイドに先制して仕掛ける。

 

 

しかしディケイドは最少最低限の動きでカッパの攻撃を捌き、受け流しつつも次々にカウンターの拳を叩き込んでカッパを少しずつ追い込んでいき、その僅かな攻防だけで力量を測り正面からでは勝てないと悟ったのか、カッパはディケイドの放つ拳を飛び超えるように躱しながらそのまま森の中に身を潜め、木々の間を素早く高速移動してディケイドへあらゆる方向から突撃を仕掛けていく。

 

 

ディケイド『そうくるか。ならコレだ』

 

 

カッパの高速移動からの突撃をその場から飛び退いて避けると、ディケイドは受け身を取りながらすぐ身を起こして左腰のライドブッカーを開き、カードを一枚取り出してドライバーに装填し両手でスライドさせる。

 

 

『KAMENRIDE:RAIGA!』

 

 

鳴り響く電子音声と共に徐に体を起こすディケイドのバックルから稲妻状の巨大な獅子の頭部が飛び出し、ディケイドの周囲をグルりと飛び回ってカッパを近付けまいと牽制しつつ、そのまま背後からディケイドの全身を口から飲み込んで一瞬で黄色い獅子のライダー……前回の世界で雷が変身したのと同じ、雷牙へとカメンライドしたのだった。

 

 

「ま、また変わった……?」

 

 

『キュエッキュエッ!』

 

 

雷牙にカメンライドしたディケイドを目にした異形の少女は更に困惑を深めながら目を瞬かせ、カッパも姿を変えたD雷牙に警戒を強めて更に移動速度を上げていく。だがD雷牙は悠々とその姿を目で追いながら更に新たなカードを取り出し、カードの端をトントンと余裕げに軽く叩いた後にバックルにセットしてスライドさせていった。

 

 

『ATTACKRIDE:AXELL UP!』

 

 

次の瞬間、雷牙以外の全ての者や舞い散る木の葉までもがスローモーションになり、カッパのジャンプの落下地点まで一瞬で先回りしたD雷牙は三度(みたび)左腰のライドブッカーからカードを取り出し、ドライバーに装填して両手でスライドしていく。

 

 

『FINALATTACKRIDE:RA·RA·RA·RAIGA!』

 

 

D雷牙『はぁああッ!』

 

 

―ドゴォオオオオオンッッ!!―

 

 

『クェアアアアアアッ!!?』

 

 

鳴り響く電子音声と共に雷光を纏った右脚でD雷牙が振り向き様に放った回し蹴りがスローで宙を舞い、身動きの取れないカッパに鋭く叩き込まれていった。そしてカッパは何も出来ぬまま断末魔の悲鳴を上げながら爆散し、枯葉と化して散っていく様を見届けたD雷牙もサイドバックルを開き、零の姿へと戻っていく。

 

 

「す……すごい……」

 

 

目の前で繰り広げられた既知外の戦いを前に、異形の少女も先程から開いた口が塞がらない様子。その戦いを見守っていたなのは達も状況が一先ず落ち着いたのを確認し終えると、改めて異形の姿の少女の元に集まり、彼女の見覚えのある格好を見て小首を傾げる。

 

 

なのは「スバルの移鬼と何処か似てる……もしかして、貴方が響鬼?」

 

 

「え……?い、いえ。ヒビキさんは私の師匠です。私は中野梓。ヒビキさんの弟子をしてる身分です」

 

 

そう言って異形の少女……"中野梓"は一歩下がると、「改めて、助けて頂いてありがとうございました」と零達に向けて深々とお辞儀をして感謝を口にする。するとそんな彼女に、アズサが無表情のまま静かに近づいて少し屈み、梓の前に軽く拳を突き出した。

 

 

アズサ「私もアズサ。同じ名前でちょっと親近感。イエー」

 

 

梓「え?……えと……イ、イエー……?」

 

 

アスハ『急に詰めるな詰めるな。いきなりで戸惑わせちゃってるでしょーが』

 

 

独特なノリでいきなりのアズサからのグータッチに困惑気味に拳をチョンッと合わせてくれる梓を不憫に思い、流石にアズサの内のアスハも溜め息混じりに注意する。

 

 

そんな一人の身体の内と外で行われているやり取りも露知らず、零達は先程梓が口にしてた「ヒビキの弟子」というワードから彼女が響鬼に会える手掛かりになると気付き、お互いに目線を送って頷いた零達は改めて梓と向き合う。

 

 

スバル「ね。迷惑でなければ何だけど、そのヒビキさんって人に会わせて貰えないかな?」

 

 

梓「?皆さん……もしかして、ヒビキさんに会う為にこんなところにまで?」

 

 

零「話が早くて助かるな。俺達はどうしてもヒビキに会わないといけない。案内してくれ」

 

 

梓「それは構いませんけど……うーん……」

 

 

「「「……?」」」

 

 

ヒビキに会わせること自体は構わなそうだが、何故だか梓は悩ましげに唸って暫し考え込んだ末、肩を落として溜め息を吐きながら小さく頷く。

 

 

梓「分かりました……案内は構いませんけど、その……実際にお会いになられて、もし気分を害されたりした際にはすみません……」

 

 

 

 

 

◆◇◇

 

 

 

 

 

何やら訳ありな前置きの後、梓が案内してくれたのは先程の山から降りた先にある、河辺に設置された梓とヒビキのキャンプ地だった。

 

 

黄色いテントに組み立て式のテーブルと椅子、焚き火の跡など此処での生活感が所々に見られる。

 

 

零達が物珍しげにそれらを見回す中、元の道着姿に戻り、焚き火に使う木々を背中に背負った梓は川の近くに置かれているリクライニングチェアの上にアイマスクをして横たわる、白を基礎としたアウトドアコーデに身を包む、二十代前半ほどの見た目をした少し毛先が長い茶髪のボブカットの女性を見て若干疲れ気味に溜め息を吐き、女性の元に若干怒り気味な足取りで近づいていく。

 

 

梓「唯せんぱ──!じゃなかった……ヒビキさん!お客さんが来ていますよ!」

 

 

「……んー……ゴメンあずにゃ〜ん……もう少し〜……あと五分……むにゃ……」

 

 

梓「朝からずっと何度目の「あと五分」ですか!いいから起きて下さい!はーやーくー!」

 

 

「お、おおおお……!?ちょっと待って……!起きるからー!それ以上引っ張ったら落ちちゃうからぁ〜〜!!」

 

 

タイムタイム!と、無理矢理に腕を引っ張って強引に起こそうとする梓にチェアから落とされそうになり、観念したかのように情けない悲鳴を上げる"ヒビキ"と呼ばれた女性。

 

 

そんな二人のやり取りに一行も呆気に取られる中、先に我に返った零が何処か呆れ気味にヒビキに問い掛けた。

 

 

零「お前が響鬼……この世界の仮面ライダーで間違いないか?」

 

 

ヒビキ「ふぁああっ……。……?ん……うーーん……?」

 

 

アイマスクを上にズラし、呑気に欠伸をする毛先が長めの茶色いボブカットの女性……ヒビキは零の顔を一瞥すると、彼が着ている道着をジーッと見つめて何やら暫し思考した後、ピンッ!と擬音が聞こえてきそうな何かを思い付いた顔で途端にチェアから身を起こし、ハツラツとした笑顔で手を振ってきた。

 

 

ヒビキ「その薄紅色の道着!それは間違いなく、音撃道の伝説の師匠が着ていたものだよー!」

 

 

魚見「?あの……音撃道とは……?」

 

 

梓「はあ、はあっ……へ?あ、えと……清めの音によって魔化魍を倒す、武道の事です……」

 

 

なのは「武道……じゃあ、スバルが使ってた技も其処から来てたんだね」

 

 

スバル「は…はじめて知った……変身したら勝手に使えるようになってたし、技を使う時とかも勝手に口上出ちゃってたし……」

 

 

エリオ「え、あれ無意識だったんです?」

 

 

ヒビキを起こして疲れ気味な梓から音撃についての説明を受け、ここにきて今まで特に深く考えずもせずに変身してたスバルの身がそんな事になってたと聞かされて衝撃を受けるなのは達だが、そんなやり取りを後目に、零は両腕を組んで何やら納得した素振りで感慨深そうに青い空を見上げていく。

 

 

零「大体わかった。つまりこの世界での俺は、その音撃道の大師匠……と言うわけか」

 

 

ヒビキ「そ〜そ〜!(ワ~パチパチー」

 

 

優矢「いや何か分かったつもりでいるけど、大師匠is何?」

 

 

零「師匠の……更に上の師匠って事だ!」

 

 

優矢「んな大体な説明聞いてんじゃねえんだわ!詳細聞いてんだわ!ニホンゴワッカリマスカー!?」

 

 

ドスドスドス!と、大師匠とおだてられてなんか得意げになっている零の脇腹を手刀でつつきながらツッコミを飛ばす優矢。

 

 

最早板に付いてきたそんな二人のやり取りになのは達も苦笑したり呆れたりと各々がリアクションを浮かべる中、川辺の下流の方から釣り道具一式とクーラーボックスを抱えた青年……映紀が何故か現れた。

 

 

映紀「よーヒビキー。今晩の飯、大漁に取ってきてやったぜー」

 

 

ヒビキ「おー、えいちゃーん!ありがとー!」

 

 

映紀「なあに。一宿一飯の恩を返す以上、これっくらいは朝飯前……んあ?何だ、お前らも来てたのか?」

 

 

なのは「え、映紀さん!?どうして此処に?」

 

 

映紀「どうしてって、見りゃ分かんだろ?此処で世話になってんだ。ウィ」

 

 

梓「へ……?あ、はい……」

 

 

あまりにもサラッと現れた映紀に驚く一行を他所に、映紀の方はマイペースにそう言いつつ同じように戸惑っている梓に釣り道具一式とクーラーボックスを返却していくが、零の方はそれだけで流すつもりはなく食い下がる。

 

 

零「俺達が聞きたいのはそれ以前の話だ。何でお前が此処で世話になってる?」

 

 

映紀「いやぁ、それがよぉ。いつも通り次の世界にやってきたまでは良かったんだが、食料が底を付いてたんのをすっかり忘れててな?いよいよ空腹の限界でぶっ倒れてたとこを、昨日の夜にそこの二人に拾われてな。飯と寝床を用意してくれたんで、今日は朝から感謝の釣り祭りをしてたワケよ!」

 

 

魚見「……要約すると、行き倒れに遇っていた所をこのお二人に拾われた、と。なんと言いますか……」

 

 

アズサ「ゴハンはしっかり食べないとダメだと思う」

 

 

優矢「ツッコむとこ、多分其処じゃないカナー」

 

 

映紀の此処に至るまでの呆れた経緯を聞かされて最早優矢もまともにツッコむ気すら湧かないのか、珍しく眉を八の字にして映紀に注意するアズサに投げやりなツッコミを返していると、釣り道具を仕舞い終えた梓が戻ってきて頭の上に疑問符を浮かべる。

 

 

梓「もしかして皆さん、映紀さんとはお知り合いだったんですか?」

 

 

エリオ「知り合いというか、まあ……」

 

 

なのは「ちょっと前に、私達の事を助けてくれたの。この人も変身出来るから」

 

 

梓「え、そうだったんですか!?今はじめて知りました……」

 

 

映紀「そりゃ話題に出す機会もなかったからなー。……って、ああー!!しまったー!?」

 

 

驚く梓の反応に愉快に笑ってた映紀が突然声を荒らげる。急な大声に皆も驚き、咄嗟に両耳を塞いでいた零は怪訝な目付きで映紀を睨む。

 

 

零「声がデカイ。急に何だ」

 

 

映紀「るっせー!一言余計だ!……じゃなくて、やべえ。アイツに声を掛けてくんのすっかり忘れちまってたぜ……!」

 

 

スバル「アイツ……?」

 

 

ヒビキ「私とあずにゃんと一緒に暮らしてる子だよー。ちょっと前に森で迷ってるところを見付けて、それから一緒に修行したりとかしてたんだ。さっきえいちゃんと釣りしに行った筈だけど……もしかして途中ではぐれちゃった?」

 

 

映紀「はぐれたっつーか、最初の釣り場での成果があまりに坊主だったもんで……だったら釣り場を手分けしてやった方が効率いいんじゃねえかって話の流れになって……」

 

 

梓「そ、そのまま放っておいてきちゃったんですか!?ダメじゃないですか!この辺りの魔化魍は一通り退治しましたけど、それでも絶対安全って訳じゃ……!」

 

 

余程心配なのか、酷く焦る梓の反応に流石の映紀も申し訳なさそうに頭を搔くばかり。そんなやり取りを前に、零は深々と溜め息を吐いて映紀が歩いてきた方の森へと足を進め出した。

 

 

零「しょーがない。俺が探しにいってやる」

 

 

映紀「!お、おい待て!なら俺が行く!声を掛け忘れちまったのは俺の不手際なせいで……!」

 

 

零「なあに。弟子の不手際をもフォローしてやるのが、大師匠って奴の務めだからなぁ」

 

 

お前は此処で大人しくしてろと、片手を振って悠々と森の中へと消えていく零。

 

 

その後ろ姿を暫し呆然と見送った後、映紀は変なものでも見たような顔でなのは達の方に振り向いた。

 

 

映紀「アイツ、何か今回キャラ変じゃね?あんな自信過剰な奴だったか?」

 

 

優矢「変というか……まぁ、あからさまに調子乗ってるっていうかぁ……」

 

 

スバル「雷牙の世界で階級が下がってたの不満そうにしてましたし、その反動だったりとか……」

 

 

魚見「もっと言うと、この間の桜龍玉の事件でも私や桜ノ神との契約の件で相当凹んでいましたから……今回ばかりはどうか、大目に見てあげて下さい」

 

 

映紀「何があったんだよマジで……」

 

 

クスンと、零を憐れむように涙を拭う(実際には流れてないが)素振りまでしてみせる魚見からの説明に若干引いて顔や引き攣らせる映紀だが、その時、エリオが何かを思い出したように声をあげた。

 

 

エリオ「というか、今気づいたんですけど……そのはぐれた人の特徴とかって、零さん何も聞かされてないんじゃ……」

 

 

「「「……あ」」」

 

 

そういえばそうだったと、あまりにも堂々と零が先に行ってしまったものだからすっかり失念しててしまい、なのはが慌てて携帯を取り出す。

 

 

なのは「と、とりあえず今から零君に連絡してみる!二人とも、その人の特徴とか名前とか、何でもいいので教えてくれますか!?」

 

 

ヒビキ「あ、うん。えーとね。性格はちょっと強気気味な子でー……」

 

 

梓「内面の説明をしても分かるワケありませんって……。名前はアリサ(・・・)バニングス(・・・・・)さん。茶色に近い、金色の髪が特徴の大学生の方です」

 

 

なのは「………………。エ“?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ィぃぃぃやぁあああああああああああああああああああああああああああァァあああああああああーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!?!」

 

 

「ぐォああああああああああああああああああああああああああああッッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梓の口から、思わぬ名前が出てなのはが惚けた次の瞬間。森の奥の方からとてつもなくデカイ二つの悲鳴が反響して響き、直後、その声に驚いた鳥達が森の木々から一斉に羽ばたいていってしまったのだった。

 

 

 

 

 

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