仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第二十二章/響鬼×けいおん!の世界⑤

 

 

 

ヒビキ「───────」

 

 

梓と別れ、拠点であるキャンプ地に戻ってきたヒビキ。しかしチェアに座り込んでから暫くが経つが、彼女はまるで生気の抜けたような顔付きで携帯に撮った黄色い花の写真をずっと眺めている。

 

 

キャンプ地で留守番を担当していた魚見と映紀は、食事の準備を進めながらそんな彼女の背中をずっと心配そうに見つめて気に掛けていた。

 

 

映紀「どうしちまったんだ、アイツ……。さっきから話し掛けても「うん……」とかって空返事しか返さねぇしよ」

 

 

魚見「梓さんが戻って来ないのも気になりますね……魔化魍退治に向かった零達が戻ってくる気配も一向にしませんし……もしやしなくとも何かがあったのでは……」

 

 

映紀「梓はアレでも雑魚の魔化魍相手ならそれなりに戦えるが、流石にここまで何の連絡もねえとな……よし、俺様がちょっくら探しに行ってくるぜ。お前は零達の方に……って、お?」

 

 

二手に別れてそれぞれ梓と零達を探しに行くかと方針を決めようとしてた中、映紀が不意に目を見張って身を乗り出した。魚見がその視線の先を追うと、森の方から何やら神妙な顔つきをした梓が現れ、ヒビキの元へとまっすぐ近づいていく姿が見られた。

 

 

映紀「梓!なんだよ心配掛けさせやがって!何かあったんじゃないかって……」

 

 

魚見「待って下さい。……少し様子が変です」

 

 

映紀「……え?」

 

 

「安心したぜー」と、心底胸を撫で下ろした顔で梓に駆け寄ろうとした映紀だったが、彼女の纏う雰囲気から何かただならぬ事情を察した魚見が映紀の肩を掴んで引き留める。

 

 

その間、梓はヒビキの前にもう一度立ち、恐る恐る口を開いた。

 

 

梓「ヒビキさん、あの……」

 

 

ヒビキ「───……あぁ、あずにゃん。どしたの?」

 

 

梓「その……っ……も、もう一度、私をヒビキさんの弟子にして下さい!」

 

 

「「……!?」」

 

 

意を決して、再び彼女の弟子にさせて欲しいとヒビキに深く頭を下げて頼み込む梓。

 

 

事情を一切知らない魚見と映紀はそんな彼女の発言に驚愕して一体何事かと二人の様子を見守る中、ヒビキは肩越しに頭を下げる梓を見ると、そのままゆっくりとそよ風で髪を揺らしながら空を見上げ、徐に口を開く。

 

 

ヒビキ「あずにゃん。私ね。鬼を引退しようって思ってるんだ」

 

 

梓「……え?」

 

 

映紀「はあ!?」

 

 

ヒビキ「だから、ヒビキ流は私の代でおしまい。あずにゃんがもう私の弟子になる事はないの」

 

 

ヒビキの口から突然告げられた引退宣言。そんなあまりにも急すぎる告白に梓だけでなく、傍で聞いてた映紀も驚いて思わずヒビキを問い詰ようと踏み出すが、それを魚見が肩を掴んで半ば強引に引き止めた。

 

 

映紀「なんで止めんだよ!?」

 

 

魚見「これはあの師弟、二人だけで話すべき問題です。私達のような部外者が軽率に口挟むべきではありません」

 

 

映紀「けどよお……!」

 

 

梓「なんで……幾らヒビキさんでも勝手が過ぎますよ……!今の私は、ヒビキさんのおかげで此処にいるんです!だから真剣に鬼になろうと必死に打ち込んできて……!」

 

 

ヒビキ「鬼なんて真剣に打ち込むべきじゃないよ」

 

 

梓「何でそんな事言うんですか!?」

 

 

ヒビキと梓の口論は続く。それでもヒビキは梓の顔をまっすぐ見ようとはせず、せせらぐ水の音が響く川の流れを見つめて何処か困ったように笑う。

 

 

ヒビキ「人生、楽しい事は他にも沢山あると思う。何だったら音撃に拘らなくても、音楽の道にもう一度戻る事だって今のあずにゃんならまだ遅くはないでしょ?それも選択肢の一つだと思うなあ」

 

 

梓「そんな……」

 

 

ヒビキ「……私が今言いたいのはそれだけ。バイバイ、あずにゃん」

 

 

梓「っ、待ってください!」

 

 

映紀「〜〜〜〜!!やっぱ無理だ、我慢ならねぇ!!おいヒビキ!!お前さっきからなあ!!」

 

 

魚見「映紀さんっ!」

 

 

梓の話に一向に耳を傾けず、一方的に話を切り上げて何処かへ去ろうとチェアから立ち上がり、バックパックを手に取ろうとするヒビキを梓が食い下がって引き留める。

 

 

そのやり取りにいい加減我慢の限界が訪れた映紀が一言言ってやらないと気が済まないと魚見の手を払ってヒビキの元に向かい、此処で映紀まで感情任せに乱入すれば余計に話がややこしくなると魚見が慌てて映紀を止めようとした、その時だった。

 

 

―バッ!―

 

 

『つオラァッ!』

 

 

ヒビキ「──!あずにゃん!」

 

 

梓「え、きゃあ!?」

 

 

映紀「うお?!」

 

 

魚見「?!」

 

 

ヒビキと梓、映紀と魚見の間に割って入るように、何処からともなく一人のライダーがその手に持つ剣を振りかざしながら、いきなり切り込んできたのだ。

 

 

咄嗟に反応したヒビキは梓を抱えて素早く離れ、映紀と魚見も突然の乱入者に急ブレーキを掛けて驚きながら足を止めると、突如現れた緑・赤・金色の派手なカラーリングをしたアンシメトリーな外見の鬼……総一が変身した歌舞鬼が鳴刀音叉剣の切っ先を無言で映紀と魚見に突き付けた。

 

 

梓「お…鬼……?」

 

 

ヒビキ「…………」

 

 

見知らぬ音撃戦士を前に、梓は困惑を露わに目を丸くし、ヒビキは真顔のまま梓を庇うように構えつつ、歌舞鬼の一挙一足を注意深く観察していく。

 

 

映紀「あ、っぶねえ……!何だってんだテメェいきなり?!一体何処の流派のモンだ!?」

 

 

魚見「……待って下さい映紀さん。この感覚……まさか……」

 

 

歌舞鬼『……へえ。流石は死神様だな。俺のこの腐り切った魂の穢れまで視えるってのかい?』

 

 

魚見「……その自覚がありながら、己の命を穢れに犯されるのも厭わないと……其処までして、私達に一体何の用です?異世界のダークライダーさん」

 

 

ヒビキ「……!」

 

 

梓「い、異世界の、鬼……!?」

 

 

ひと目で自分の正体を看破した魚見の審美眼に、音叉剣を手にしたまま軽く拍手を送る歌舞鬼。そして自身の後ろで異世界の鬼を前に警戒と驚きを露わにするヒビキと梓を一瞥し、音叉剣を肩に担いでいく。

 

 

歌舞鬼『理由は色々あるっちゃあるんだが、先ずは一つにテメェらの存在が邪魔。そんで次に、そこの女に今響鬼を辞められるとこっちも都合が悪いんでな……。荒療治で無理やりにでも鬼を続けてもらうついでに、テメェらも片付けてやろうって魂胆な訳だ』

 

 

映紀「んだと……!」

 

 

魚見「本当に要点を掻い摘んだ説明ですね。ようするに、私達と戦いたいという訳ですか」

 

 

『driver on!now!』

 

 

目的の全貌が読めないが、とにかく今は目の前の歌舞鬼が敵だと判断した魚見が中指に指輪を嵌めた右手を腹部にある掌の形のバックルに翳すと電子音声が響き、掌の形のバックルが金色のベルトに変化していく。更に其処からバックル横のレバーを操作し中央部の掌形のバックルを左手側にスライドさせると、映紀もディスパランサーを取り出してカードをスロットに装填し、

 

 

魚見&映紀「「変身っ!」」

 

 

『gouka!now!』

 

『gou!gou!gou-gou-gou!』

 

『KAMENRIDE:DISPAR!』

 

 

電子音声と共に、映紀はディスパーに。

 

 

魚見は左手の中指に嵌めたローズレッドの指輪の目の部分に当たるカバーを下ろした後にバックルに左手を翳すと、鳴り響く電子音声と共に左手を真横に翳し、出現した朱い魔法陣を潜り抜けていく。

 

 

そして魔法陳を潜り抜けると、魚見は東洋の鎧に西洋の魔法使いのデザインが組み合わったような金色と朱の戦士……朱のラインが走る金色のボディに鎧武とファムを足して二で割ったような仮面。ウィザード・ドラゴンスタイルに酷似した勾玉を模した肩パーツに、鎧武の脚部とドラゴンスタイルのローブを持つ『仮面ライダー聖桜』に変身すると、二人はそれぞれの武器であるディスパランサーとウィザーソードガンを構えて歌舞鬼に正面から二人掛かりで挑んでいった。

 

 

ヒビキ「梓ちゃん。今の内に逃げるよ」

 

 

梓「え…で、でも……!」

 

 

ヒビキ「いいから!」

 

 

歌舞鬼と戦う二人を置き去りにする事に負い目を感じて渋る梓の手を強引に引っ張り、今はこの場から一刻も早く離れようとするヒビキだが、前を向いた瞬間にその足が止まってしまう。何故なら……

 

 

『グルルルルルゥッ……ウッ、ウッ、ウッ……!』

 

 

梓「ま、魔化魍……!」

 

 

タイミング悪く、二人が逃げようとした先の森から全体的に赤い天狗をベースに鴉天狗のような嘴が生えている魔化魍・テングが唸り声を上げながら現れたのだ。

 

 

徐々に迫りくるテングを前に、ヒビキは背後で繰り広げられる聖桜&ディスパーと歌舞鬼の戦いを一瞥すると、梓を庇うように前に出ながら退路を変え、少しずつ左へ移動していく。

 

 

ヒビキ「梓ちゃん先に行って。ここは私がやるから」

 

 

梓「そんなっ、私も一緒に戦います!」

 

 

腰に掛けた変身音叉に手を伸ばしながら逃げるように促すヒビキに、尚も食い下がる梓。

 

 

其処へ丁度、市街地から戻ってきたなのは、スバル、優矢、アリサの四人が山道を降りる道中からキャンプ地で繰り広げられている混戦を目撃する。

 

 

なのは「み、みんな!?」

 

 

アリサ「なによこれ…どうなってんの…!?」

 

 

優矢「くっ!」

 

 

スバル「!優矢さん!!」

 

 

自分達が少し離れていた間に、変身した聖桜とディスパーが歌舞鬼と戦い、ヒビキと梓が今にもテングに襲われそうになっているという一見して訳の分からない状況になのはとアリサも戸惑う中、優矢は一目散に山道を駆け下り、三人も我に返って慌ててその後を追う。

 

 

一方でテングと対峙するヒビキだが、何故か彼女は魔化魍を前にしても変身する素振りを見せず、変身音叉からも手を離してしまう。

 

 

梓「ヒビキさん……?なんで鬼にならないんですか……!?」

 

 

ヒビキ「…………。逃げるよ!」

 

 

梓「きゃっ?!」

 

 

『グォオオオオオオオオッ!!』

 

 

ヒビキが梓を抱き抱えて逃げ出した矢先、テングは即座に二人に飛び掛かっていく。どうにか初撃は躱して森の中へ逃げ込むが、即座に後ろから追ってきたテングに今度こそ捕まってしまう。必死に抵抗するも生身のままではテングの力には叶わず、二人まとめてテングに投げ飛ばされて山の斜面をゴロゴロと転がり落ちていってしまう。

 

 

梓「ぅああああうぅっ!!」

 

 

ヒビキ「梓ちゃん!!」

 

 

斜面を転がり落ちていく梓を、テングが狙い定めてゆっくりと歩いて追い掛けようとする。

 

 

即座に復帰したヒビキはその背中に後ろから抱き着くように飛び掛かってテングを止めようとするが、テングは振り返らぬままヒビキの左脇腹に肘打ちを叩き込んで怯ませ、そのまま背負い投げで彼女を地面に思いっきり叩き付けてしまう。

 

 

ヒビキ「ごふっ……!」

 

 

優矢「ヒビキさんっ……!」

 

 

アリサ「梓ちゃんッ!!」

 

 

テングに襲われるヒビキの元へ優矢とスバルが。斜面を転がり落ちていった梓の元にアリサが急いで向かう。

 

 

三人の後を遅れて追い掛けるなのはだが、そんな彼女の前に、横から鳴滝が前触れもなく現れ立ち塞がった。

 

 

なのは「鳴滝さん!?」

 

 

鳴滝「ディケイドは既に九つ目の世界を訪れている。ディケイドが全ての旅を終えた時、世界は破壊される……!」

 

 

なのは「そんな!私はディケイドが九つの世界を旅したら、世界が救われるって聞きました!」

 

 

鳴滝「……哀れだ……今の君は何も分かっていない……何も……」

 

 

なのは「何を……!」

 

 

まるでこの先、なのはの身に降り掛かる何か(・・)を知っているかのような意味深な口振りをする鳴滝の言葉に、なのははただ困惑を浮かべるばかり。

 

 

その間にもテングに襲われるヒビキの危機は続いており、テングに上から馬乗りにされて首を強く締め付けられてあわや窒息死し掛けてる尚も変身しようとはせず、呼吸困難で目の前の視界が点滅までし始め最早ここまでに思われた。其処へ、

 

 

優矢「変身ッ!!たぁぁっ!!」

 

 

―バキィイイイイッ!!―

 

 

『グォオオッ!?』

 

 

その声と共に、テングが横から何者かに殴り飛ばされた。何度も苦しげに咳き込みながらヒビキがどうにか身を起こし、顔を上げると、其処には彼女を守るように背中を向けるクウガに変身した優矢が両腕の拳を構え、テングと対峙していた。

 

 

空我

 

 

クウガ『だぁありゃああッ!はあッ!ぜぇああッ!』

 

 

『グオゥッ?!オオォッ!?』

 

 

真正面からテングに飛び掛かり、初撃で顔を。続け様のボディーブローを何度も叩き込んで怯ませた後、トドメに身を翻して放った足刀蹴りを相手の腹に突き刺してテングを蹴っ飛ばすクウガ。

 

 

そのまま追撃を仕掛けようとした所で、背後から激しく咳き込むヒビキの声が聞こえて振り返り、スバルが背中を摩る彼女の傍にまで慌てて駆け寄っていく。

 

 

クウガ『大丈夫ですか!?』

 

 

ヒビキ「ゲホッ!ごほっ……へ、へいき……わたしは……でも、あずさちゃっ──」

 

 

『グルゥワァァッ!!』

 

 

クウガ『ッ!危ないッ!』

 

 

スバル「えっ、わあ!?」

 

 

ヒビキがふらつく足取りで梓を追い掛けようとするも、先に起き上がったテングが三人に向かって再度飛び掛かってきた。

 

 

気付いたクウガは慌ててヒビキとスバルを押し退けて逃がすが、テングは先程の意趣返しと言わんばかりにクウガを執拗に殴って痛め付けていき、樹木に叩き付けた所へクウガの首を両手で締め上げながら、少しずつその身体を持ち上げ浮かせていく。

 

 

クウガ『かっ……ぁ……!ぁああぁぁっ……は…………!!』

 

 

スバル「ゆ、優矢さん!!」

 

 

ヒビキ「ゆうや、くん……ぐうっ!」

 

 

自分を心配したせいでその隙を突かれ、一気に劣勢に追い込まれた上にテングに首根っこを掴まれ、絶体絶命のクウガを前に葛藤するヒビキの頭の中に、不快な鈴の音が鳴り響く。

 

 

何度も何度も。あらゆる全身の神経を刺激するようなその音に苦しみ悶え、無意識に枯葉を強く握り締めながらも、目の前の誰かの生命の危機を前に徐に顔を上げたヒビキはいつもの明るい表情を消し去り、ふらふらと体を起こして枯葉を手放した手で腰に掛けた変身音叉を手に取る。

 

 

スバル「ヒビキ、さん……?」

 

 

呆然と見上げるスバルを後目に、ヒビキは音叉を展開し、突き出た鬼の二本角を模した叉の部分を近くの木に当てて特殊な音波を発生させると、静かに音叉を額に翳すヒビキの額に鬼の顔が浮かび上がる。

 

 

直後、ヒビキの全身を紫炎が包み込み、燃え盛る炎の中で姿を変えたヒビキ……襷と褌を締め、頭部に二本の角を持つ黒に近い紫の鬼、『仮面ライダー響鬼』に変身し、自身を包み込む紫炎を悠々と片腕で振り払った。

 

 

 

 

響鬼『──はああッ!』

 

 

―ドゴォオオオオンッ!!―

 

 

『ウォオッ!?』

 

 

変身してすぐに飛び出した響鬼の鋭いハイキックが、テングの背後からこめかみに突き刺って派手に吹っ飛ばした。

 

 

即座に受け身を取るテングだが、響鬼は既に目と鼻の先にまで距離を詰め、起き攻めの拳と蹴りを容赦なく次々に叩き込んでいき、テングに一切の反撃を許さない怒涛の猛攻を仕掛けていく。

 

 

クウガ『……す、すげぇ……』

 

 

なのは「優矢君っ!大丈夫っ?!」

 

 

普段のあののんびり屋なヒビキからは想像も付かない、凄まじい気迫が離れてても肌にピリついて伝わってくる響鬼の卓越とした戦闘力にクウガも思わず呆けて目を奪われる中、なのはとスバルがクウガの傍に駆け寄り、肩を貸して身を起こさせながら共に響鬼の戦いを見守っていく。

 

 

響鬼達の戦いは既に佳境に入っており、響鬼は攻撃の合間にいつの間にか腰のバックルから取り外していた音撃鼓・火炎鼓をテングに殴り付けるようにセットし、樹木に背中を叩き付けるテングを前にして後ろ腰から抜き取った音撃棒・烈火を構えた。

 

 

響鬼『音撃打、火炎連打の型!』

 

 

 

 

振りかざした烈火が、凄まじい速さでテングに埋め込まれた火炎鼓に叩き込まれていく。その勢いやとてつもなく、音撃棒を振るう響鬼の腕の速さが加速し続けて目で追いきれなくなっていき、フィニッシュに二本の烈火をかち鳴らして叩き込んだ最後の一撃が見事に決まり、テングは短い断末魔の悲鳴を上げて爆散し、無数の枯葉となって散っていったのだった。

 

 

聖桜『ハァアッ!ふっ!……!?ヒビキさん?』

 

 

ディスパー『アレがヒビキの鬼の姿、か……?』

 

 

歌舞鬼『……んだよ。その気になれば成れるんじゃねえか』

 

 

一方、一進一退の攻防戦を繰り広げていた三人も戦いの流れの中でその場に辿り着く。聖桜とディスパーは初めて目にする響鬼の姿に驚き、歌舞鬼は音叉剣を肩に担いでやれやれと首を横に振っていくが、響鬼はテングを倒した余韻に浸る間もなく、今度は歌舞鬼につま先を向けて歩き出していく。

 

 

歌舞鬼『……おい。おい待て待て待て。俺はお前が鬼になるんならそれで良いんだよ。何もこれ以上敵対しようってんじゃな……』

 

 

響鬼『────』

 

 

プラプラと手を振ってこれ以上戦うつもりはない事を伝える歌舞鬼だが、音撃棒を両手に腕を下ろしながらゆっくりと歩み寄ってくる響鬼からの気迫が収まる気配はない。

 

 

ただただ静かに歩いているだけで圧倒されるオーラを放つその姿は、正に鬼としか言いようがない程の強烈な威圧感を放っていた。

 

 

歌舞鬼『(……ちっ。藪をつついてやっと出てきたかと思えば、蛇じゃなくてマジモンの鬼だったってか……!)』

 

 

ちょっとばかし不味ったかもしれないと、歌舞鬼が内心後悔を覚えても時は既に遅く。悠々と歩いていた響鬼は一気に加速しながら音撃棒・烈火を振るって歌舞鬼に殴り掛かると、歌舞鬼も舌打ちしながら音叉剣で咄嗟に防ぎ、お互いに組み合ったままその場から駆け出して鬼同士の決闘が火蓋を切って落とされたのだった。

 

 

 

 

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