仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―IᗷᑌKI Lesson Studio―
一方その頃。イブキ流の施設の会議室でエリオとアズサと共に手厚い接待を受けつつ、イブキと対面でザンキ流への今後の対抗策の話し合いの場に参加していた零だったが、懐に仕舞ってる響鬼のカードから何やら妙な熱を感じ取って取り出す。
すると、シルエットのみだった響鬼の絵柄が灰色の炎に焼かれるように消滅して全くの無地になり、何も描かれていないただのブランクカードに変化してしまった。
零(響鬼の力が…消えた……?)
目を見張らせて、一体何事かと突然無地になったカードを裏面まで眺めて零が内心動揺する中、そこへ紬が何人かの弟子達を引き連れて何やら書状を手に慌てて部屋の中に駆け込んできた。
紬「イブキさん!ザンキ流からの果たし状です!」
イブキ「果たし状!?」
慌てて紬の手から書状を受け取リ、イブキはテーブルの上に広げる。其処に書かれてる内容は、「秘伝の巻物を賭け、勝負されたし」と言うものだった。
イブキ「……そう。遂に雌雄を決しようと言うのね、ザンキちゃん」
紬「イブキさん……」
眼鏡を光らせ、何処か覚悟を固めた声音で静かに呟くイブキに紬達は不安げな眼差しを向けている。しかしそんな緊張感が漂う空気の中、零達は書状の下に小さく書き加えられた見覚えのあるマークを見付けていた。
エリオ「零さん、これって……」
零「チッ……何で海道まで……」
更に厄介な事になってきたと、顔を背けた零が苛立たしげに舌打ちしながらテーブルの上に放り捨てた書状の文章の下には、小さくディエンドのマークが描かれていた。
◆◆◆
―斬鬼流弦闘道場―
同時刻。ザンキ流の側にも全く同じ内容の果たし状がザンキ達の手に渡っており、離れた場所の壁に寄り掛かりながら大輝が隣にルミナを従えそんな彼女達の姿を口端を釣り上げつつ傍観する中、書状を読み終えたザンキは果たし状を握り潰し、勢いよく椅子から立ち上がった。
ザンキ「どうやら、あたし等とどうしても決着を付けたくて仕方ないって感じなようだねぇ……ぃよっしゃー!ここでイブキ流を降して、あたし等ザンキ流が音撃道の頂点に立つ時が来たぞぉーー!!」
「「「押忍!!」」」
澪「……押忍」
気合い入れていくぞー!!と、ザンキがイブキ流との決戦を前に皆の士気を上げようと進んで気合いの篭った右腕を掲げ呼び掛ける中、澪は一人何処か不服そうに静かに構えを取っていくのだった。
◇◆◇
──そして、数十分後。二つの流派が巻物を掛けた決戦の地となる河原にてイブキ流とザンキ流が対峙していたが、それぞれの弟子達の先頭に立つ紬と澪の顔は穏やかではなく、心做しか心を痛めて無念そうに眉を下げていた。
紬「こんな事になってしまい、本当に残念に思っています……」
澪「そうだな……こんな内輪揉めを繰り返していては、音撃道に未来はないというのに……」
紬「……同感です」
弟子達の気持ちとしては、こんな決闘は不毛にしか映らないのだろう。そんな彼女達の気持ちになど気付かず、既に決闘を前に闘志を燃やしているイブキとザンキの二人は先陣に立ち、イブキが眼鏡の位置を直しながら口火を切る。
イブキ「ついにケリをつける時が来たようね」
ザンキ「そういうこと。この戦いに勝った方が、音撃道を制覇するってワケ!」
イブキ「いいでしょう。では、宜しくお願いします!」
キラリと眼鏡を光らせ、そそくさとその場から退いたイブキと他の弟子達の奥から悠々とした足取りの零、気まずげな表情のエリオ、そしていつの間にかアズサから人格が表に入れ替わってるアスハが心底めんどくさそうに腰に手を添えて先陣に出ていく。
零「早速の出番って訳か。大師匠も楽じゃないな……」
エリオ「ホントにこんな事してていいのかなぁ……というか、アレ?アスハさんいつの間に?アズサさんは?」
アスハ「……イブキ流のエステなりご馳走様なりの至れり尽くせりなおもてなしを受けたせいで、今はぐっすりよ……ったく、なんで私がっ」
チッと顔を逸らして舌打ちするアスハ。しかし、助っ人として現れた零達を前にしてもザンキは特に動揺せず、寧ろ得意げに笑いながら黒い羽織りを翻してザンキ流の弟子達に合図を送ると、弟子達がはけた奥から大輝とルミナの二人が現れた。
エリオ「大輝さん!ルミナさんまで……!」
ルミナ「お、アズサ……じゃなくて、アスハ?すっごい珍しーじゃーん!やほー!」
アスハ「うげっ……バカ
イブキ「そ、そっちも助っ人を!?」
ザンキ「ふっふっふっ。そういう事だよさわちゃん!自分ばっかり良い想いをしようだなんてそうは問屋が卸さないって事よぉ!」
イブキ「べ、別にそんな風には思ってな……!というか名前!鬼になったら本名は控えるものだって散々教えてるでしょ!?」
ザンキ「あっやべ。ゴメンつい……」
ハッと思い出したように慌てて口を塞ぐザンキと、まるで学校の先生のような調子でザンキを叱るイブキの気の抜けるやり取りを横目に溜息を吐きつつ、零は正面で対峙する大輝を睨み付けていく。
零「こうなるように画を描いたのはお前だな、海道。今度は何を企んでる?」
大輝「話す義理があるとでも?それより、いい加減俺の邪魔をするのはやめたまえ」
零「どっちがだ。どうしても立ち塞がる気なら、こっちもフルメンバーで相手してやるしかなくなるぞ」
大輝「寧ろちょうどいいハンデさ。誰かにお手々を引いてもらうのは君のお得意技だろう、零?」
ゆるゆるな雰囲気でコントをするイブキとザンキとは正反対に、こちらは一触即発。
バチバチにお互いに煽り合い、ディエンドのカードを取り出す大輝と腰にアストドライバーを出現させるルミナを見て、零達もそれぞれ変身ツールを装着しお互いに変身動作を行う。
「「「「「変身ッ!」」」」」
『KAMENRIDE:DECADE!』
『RlDER SOUL RAI-O!』
『Lightning form!』
『
『
『
『KAMENRIDE:DI-END!』
『CHANGE UP!ASTRAEA!』
複数の変身ツールから電子音声を鳴り響き、零が変身したディケイドとエリオが変身した雷王はディエンドになった大輝に。
ヴァイサーガに変身したアスハは、アストレアに変身したルミナとのマッチになり、互いの流派の代表として決闘を開始していった。
―バキィイッドガァッ!!ドゴォオオッ!!―
ディエンド『ハッ……!少しはやるようになってきたじゃないか、零?』
ディケイド『嫌というほど修羅場を潜り抜けてきたのはこっちだって同じだ……!いつまでもデカイ面をしてられると思うな!』
雷王『零さん!たぁああっ!!』
ディエンド『うおっと……!そういえば君もいるのを忘れてたよ、少年君!』
正面から拳を交え、互いに殴り合うディケイドとディエンド。一進一退の激しい攻防を繰り広げるディケイドを援護し、雷王がランスモードに組み立てたライガッシャーによる連続突きをディエンドに仕掛けるが、ディエンドはギリギリで槍先を回避しながら二人からの攻撃を巧く捌いて後退していき、その横ではヴァイサーガとアストレアが互いの剣をぶつけ合わせ鍔迫り合っていた。
アストレア『こうやってアンタ達と喧嘩するのも初めてかもしれないわね!ちょうどいいわ!妹に勝る姉なんていないんだって証明してあげるんだから!』
ヴァイサーガ『それを言うなら姉に勝る妹はいないでしょ!お願いだからこんな大勢の前で身内の恥を晒さないで……!恥ずかしいから!』
文字通り、バカみたいにデカい大声で自信満々にどっかで聞いたような台詞を堂々と言い間違えるアストレアの振る舞いが恥ずかしく、もう速く勝敗を付けてこの場から去りたいがあまり、五大剣でアストレアを無理矢理押し退けながら容赦なく斬り掛かるヴァイサーガ。
立ち位置を入り乱れさせながら目の前で激戦を繰り広げる五人のライダー達を前にイブキ流とザンキ流の面々の視線が忙しなく流れる中、ディケイドと雷王を同時に相手していたディエンドは地面に向けてドライバーから発射した弾丸をバラ撒き目眩しを行い、後退しながら左腰のホルダーから取り出した一枚のカードをディエンドライバーに装填しスライドさせた。
『ATTACKRIDE:INVISIBLE!』
トリガーを引いて電子音声を鳴らした直後、ディエンドの体が無数の残像と化して何処かへと消え去ってしまう。
イブキ「き、消えた!?」
雷王『っ……!何処に?!』
透明化を利用して不意打ちを狙うつもりなのかと、消えたディエンドを見て驚愕するイブキの声を背に雷王は辺りを警戒し、ライガッシャーを構え直す。
……が、一向に待ってもディエンドからの攻撃の予兆は何もなく、一同が訝しげな反応を浮かべる中、ザンキ流の弟子の一人が「ああ!?」と突然悲鳴を上げ、巻物が入っていた筈の空き箱を手にザンキに駆け寄った。
「ザンキさん!うちの巻物がなくなってます!」
ザンキ「はあ!?なんでぇ!?」
「イブキさん……!私達の巻物も!」
イブキ「はい!?」
決闘の最中、イブキ流とザンキ流の巻物がいつの間にか何処かへ消えてしまうという事件が発生。
混乱する音撃道の面々を他所に、その騒ぎを耳にした時点で何が起きてるのかを察したディケイドは心底呆れた溜め息と共に背後へ振り返った。
ディケイド『初めからソイツが目的だった訳か──海道』
ディエンド『──フッ』
ディケイドが睨み付けた先で、消えた筈のディエンドが悠然とした足取りで勝ち誇るように鼻を軽く鳴らしながら、姿を露わにした。
その手に二本、イブキ流とザンキ流から盗み取った古い巻物を握り締めて。
澪「い、いつの間に…!?」
ザンキ「お前ー!!さては最初っからソレが目的であたし達に近づいたなぁ!?この盗っ人ーー!!」
ディエンド『その盗っ人にこんな簡単に大事なモノを盗まれるとか、武闘家の癖に恥ずかしくないのかい?脇が甘いんだよ。こんな不様を晒すくらいなら、くだらない流派なんてさっさと取り潰す事だ』
イブキ「こんのっ……!言わせておけば、泥棒の癖に厚かましいわね!?」
ディエンド『見ての通り仮面をしてるんだ。厚くて当然だろ?』
ザンキ「うっさいわっ!いいからあたし等の巻物を返せぇ!!」
何処までも人をコケにするような口調で煽るディエンドに完全にガチ切れ、イブキとザンキはそれぞれ変身音弦と変身鬼笛で威吹鬼と斬鬼に変身し、互いに弟子達から武器を受け取りながら弟子達を引き連れディエンドへ突っ込んでいくが、余裕を崩さないディエンドは更にカードを取り出してドライバーに装填する。
ディエンド『代わりに俺からプレゼントだ』
『KAMENRIDE:DEN-O!』
向かってくるイブキ流とザンキ流の面々に目掛けてドライバーの銃口を突き付けてトリガーを引くと、電子音声と共に無数の残像がディエンドの目の前を駆け巡り、残像が全て一ヶ所に収束して鬼達に背中を向けて佇む仮面ライダー電王となり実体化していった。
「「「うおおおおっ!!?」」」
斬鬼『え、何コイツ!?』
威吹鬼『また変なのを……!』
電王『ヘヘッ……。俺!参j』
ディエンド『痛みは一瞬だ』
『FINALFORMRIDE:DE·DE·DE·DEN-O!』
電王『んがぁ!!?』
いきなり召喚された電王を前に戸惑う威吹鬼と斬鬼達を他所に、悠々と振り向いた電王が何時もの口上とポーズを取ろうとするも、それを遮るようにディエンドが放った銃弾に貫かれ、強制的にモモタロスへと超絶変形させられてしまった。
澪「こ、今度は鬼になったぁ!?」
紬「ほ、ホントに何なんですかアレェ!?」
モモタロス『痛ぅううううう〜〜〜〜〜っっっ!!!コンノヤロォォォォ……!最後まで言わせろよォおおッ!!』
ディエンド『いいから行けって!ほら!』
モモタロス『え、ナニ?……何だよ何だよ。鬼だらけじゃねーか!?ぁああ気色悪ぅっ!!』
ヴァイサーガ『……姉さん。貴方の持ってる鏡の付いたその盾、アレに貸してあげたら?』
アストレア『え、何で?やだ』
威吹鬼と斬鬼を指差して鳥肌を立てて気味悪がるモモタロスを前に、そんな気の抜ける姉妹のやり取りを交わすヴァイサーガとアストレア。モモタロス登場から更に場が混乱に包まれる中、ディエンドは一同に指鉄砲を向けて飄々と告げる。
ディエンド『鬼合戦の始まりだ。ルミナ君も後は任せたよ?じゃあね』
ディケイド『おいっ、海道!』
モモタロス『?よく分からねえけど、暴れていいなら纏めて相手してやる!行くぜ行くぜ行くぜぇえええええっっ!!』
アストレア『珍しく師匠に頼られちゃった……!こうなったら私だって負けてらんないわ!うおおおおおおおお!!流派最強は私たちディエンド流!!そしてその中でも最強なのはアズサとアスハの姉である、この私よぉぉぉぉぉぉーーーーーーっっ!!』
ヴァイサーガ『…………。ごめんなさいエリオ。私、他人のフリして帰るから後の事は任せていいかしら』
雷王『え、あ、僕ですか!?』
ディケイド『気持ちは分かるが今は手伝え!あのバカ二人を止めるぞ!』
モモタロスだけならまだ何とかなるが、純粋に素のスペックがヤバいアストレアにまで暴れられたら最早ただ事では済ませれない。
モモタロスウォードとセイントセイバーをブン回して威吹鬼と斬鬼、更にはその弟子達にまで喧嘩を吹っ掛ける問題児二人を止めるべく、ディケイドは左腰のライドブッカーをソードモードに切り替えて刃を撫でながら駆け出し、雷王も慌ててその後を追い、ヴァイサーガは現在進行形で拡大し続けてる身内の恥から現実逃避で今すぐ逃げ出したい衝動に駆られながらも、心底イヤそうな溜め息を吐き出し、渋々ながら乱闘騒ぎの中へ突っ込んでいくのであった。