仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
梓「──ヒビキさんっ……!ヒビキさーんっ!!」
アリサ「みんなぁー!何処ー?!」
同時刻。先程の場所から転がり落ちた先でアリサと合流した梓は、二人で森林の中を彷徨い、はぐれてしまったヒビキ達を探し山道を進んでいた。
しかしどれだけ呼び掛けても誰からも返事が返ってこず、段々と何かがあったのではないかと不安と焦燥感を覚えつつあったその道中、辺りを見回していた梓がふと正面に視線を向けた先の道端に見覚えのあるモノを見付け、急いで駆け出し、ソレを拾い上げた。
梓「これ…ヒビキさんのディスクアニマル……?」
アリサ「え……?って事はもしかして、この近くに皆が──」
日頃からよくヒビキが身に付けているディスクアニマルを発見した梓の呟きから、はぐれた他の仲間達が近くにいるかもしれないと期待を抱き捜索を再開しようとした矢先、何処からともなく金属がぶつかり合うような甲高い炸裂音が鳴り響いた。
アリサ「?!な、何の音!?」
梓「……!アリサさん、彼処!」
不意を打って聞こえた破裂音に驚き、思わず頭を庇うように屈み掛けたアリサに、梓が何かに気付いて自分達が今いる山道の下の方を指差す。
その指先を追ってアリサが目を向けると、其処には武器を振り回して派手に暴れ回るモモタロスとアストレアを相手に、いつの間にか戦いの流れでこの場所に戦場を移したディケイド達、威吹鬼と斬鬼が混戦を繰り広げる光景があった。
モモタロス『この!こンの野郎!
雷王『べ、別にそんなつもりは!?うわぁっ!?』
ディケイド『一々コイツ相手にまともに受け答えするなエリオ!ハァアッ!』
雷王の見た目にイチャモンを付けながらモモタロスウォードで執拗に叩き付けてくるモモタロスと雷王との間にディケイドが割って入り、ライドブッカーでモモタロスと正面から刃を何度も衝突させるディケイドだが、其処へ今度はアストレアが乱入して高らかにセイントセイバーを頭上に掲げながら叫び出す。
アストレア『サイキョームテキでサイコーなのはこの私よぉ!アンタ達なんかが出しゃばる尺なんてな―ドゴォオッ!―アイタァッ!?』
斬鬼『なんでアンタが最強なん──!―バキィイッ!―ごはぁーっ!?』
モモタロス『うるせぇー!最強はこの俺だぁー!!オメーらに出番なんざねぇ―ズガガガガガァンッ!―ンがぁああッ!!?』
威吹鬼『勝手に出てきておいて横からうるさいのよさっきからぁ!!』
ヴァイサーガ『……もう嫌……』
入れ替わり入れ替わりに相手を押し退けながらの自己主張の激しい不毛な争いを前に、ヴァイサーガは最早やる気0でモモタロスとアストレアに適当に小突く程度にしか五大剣を振り回していない始末。そんなグダグダな戦いの最中……
―ドゴォォオオオンッ!!ドゴォォオオオンッ!!―
『──ゥゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!』
モモタロス『……んお?うぉおおおおぉぉおおおっっ!!?』
アストレア『え?え!?ちょ、なになになに!!?イヤァアアアアアアァァァァァァーーーーーーーッッ!!!!?』
『『『『……!!?』』』』
乱闘の最中、森林の奥から木々を派手に薙ぎ倒しながら一体の魔化魍……響鬼がその身を変貌させた牛の魔化魍が猛スピードで戦場に乱入し、そのまま反応が遅れたモモタロスとアストレアに激突して纏めて吹っ飛ばしてしまった。
モモタロスはそのまま樹木に思い切り頭を叩き付けて、痛みに悶えてる間に消滅してしまい、アストレアは木を何本もへし折りながら森の奥へと盛大に吹き飛んでその姿が見えなくなってしまうが、残されたディケイド達は突然現れた牛の魔化魍に混乱してそちらに意識を向ける余裕などなく、イブキ流とザンキ流のどよめきが耳に届く。
澪「な、何だあの魔化魍?!」
紬「あの牛みたいな角……アレは確か──」
梓「──伝説の魔化魍、牛鬼です!」
ディケイド『!梓、アリサ?お前らどうして此処に!?』
アリサ「そ、それが、ええっと……」
イブキ流とザンキ流の元に合流して山道を降りてきた梓とアリサの姿を視界の端に捉えて驚くディケイドに、アリサも事情を説明しようとするも何処から話すべきか迷ってしまう。
しかしその間にも、響鬼が姿を変えた魔化魍……牛鬼は獣のような雄叫びを荒らげながら残ったディケイド達を標的にして襲い掛かり、先ず始めに斬鬼を殴り倒した後に、足を掴んで軽々と投げ飛ばし、続いて遠距離射撃を行う威吹鬼の銃弾をその身一つで全て弾き返しながら突撃し吹っ飛ばしてしまった。
斬鬼『がはァっ!ぁ、ぐっ……!』
威吹鬼『う、ぅっ……!』
澪「律!!」
紬「皆さん早く!こちらへ!」
強烈なダメージを受けて痛みに悶える斬鬼と威吹鬼の元へと、それぞれの弟子達が幕と救急箱を手に駆け付けていく。
それを他所に、ディケイド達は牛鬼に真っ向から挑み掛かるも、牛鬼は雷王とヴァイサーガが振りかざすライガッシャーと五大剣の刃をその巨大な角で弾きながら凄まじいパワーの剛腕で二人を殴り飛ばし、更に二人を援護しようとするディケイドにも何度も頭突きを叩き付けて火花を撒き散らせながら吹っ飛ばしていく。
ディケイド『グゥッ!活きのいい暴れ牛が……!ステーキにして弟子達にでも振舞ってやる!』
『KAMENRIDE:HORUS!』
咄嗟に受け身を取りながら左腰に戻したライドブッカーからカードを一枚取り出し、バックルに装填してホルスにカメンライドしたディケイドは更にカードを抜き取り、ディケイドライバーにセットして両手でスライドさせる。
『ATTACKRIDE:STRIKE VENT!』
電子音声と共に、遙か上空から降ってきたドラグクローを右腕に装備し、龍の口に収束させた炎を右腕を突き出すと共に放出するDホルス。だが、牛鬼は炎の中に自ら飛び込んで火炎放射をものともせずそのままDホルスに頭突きを叩き込み、巨大な角でDホルスを持ち上げて投げ飛ばしてしまう。
Dホルス『ぐぉおおおおッ!!?』
雷王『っ、零さんっ!』
ヴァイサーガ『チッ!』
吹っ飛ばされるDホルスを見て、雷王が慌ててDホルスの傍へ駆け付け、ヴァイサーガも即座に助っ人に入り牛鬼へと切り込んだ。
しかし牛鬼はヴァイサーガの五大剣を正面から受け止めるだけでなく咄嗟にヴァイサーガの足を踏み付けて動きを封じ、その巨大な角で何度もヴァイサーガの頭に頭突きを叩き込み、怯んでその場に片膝を着いてしまうヴァイサーガを乱雑なフロントキックで蹴り飛ばしてしまう。
ヴァイサーガ『ぐぁううっ?!っ……なん、なの……コイツのデタラメなパワーはっ……!』
雷王『ア、アスハさんっ!』
何度も頭突きを喰らったせいで軽い脳震盪を起こしてしまい、上手く起き上がれずに頭を手で抑えるヴァイサーガ。
そんな彼女に近付こうとする牛鬼の前にすぐさま雷王が割って入り、ライガッシャーを牛鬼の胸に押し当てて力押しで遠ざけようとするも、やはりDホルスとヴァイサーガを下したパワーの前では力不足が否めずに軽々と体を持ち上げられた上に投げ飛ばされてしまい、勝ち誇るように雄叫びを上げる牛鬼の耳に騒々しい声が届く。
ザンキ「──何でちゃんと援護してくんなかったのさぁ!?」
イブキ「はああ!?私のせいで負けたって言いたいワケぇ!?」
澪「お、おい!落ち着けぇー!!」
紬「今は言い争いなんてしてる場合じゃありません!!」
やいのやいのと、遠くで変身が解けたザンキとイブキがお互いの弟子達に取り押さえられながら、こんな時にまで牛鬼にやられた原因を相手に押し付ける口喧嘩を繰り広げていた。
その声に釣られるように、牛鬼は今度はザンキ流とイブキ流に狙いを定めて歩みを進めていき、それに気付いた梓は慌てて牛鬼の前に立ち塞がった。
アリサ「ちょっ、梓ちゃん?!」
梓「皆さん逃げて下さい!!早く!!……きゃっ!」
果敢にも牛鬼と対峙しながら皆に逃げるように呼び掛けつつ後退りする梓だが、道中で背後の木の株に気付かず根っこに踵を引っ掛けて転んでしまう。そんな彼女に牛鬼が腕を振り上げながら襲い掛かろうとする危機の中、ザンキとイブキを抑え付けていた澪と紬は梓のピンチに気付くと共に二人から変身音枷と変身鬼笛を迷いなく強引に奪って前に出た。
澪「梓を助けるぞ!」
紬「私もお手伝いします!」
澪は左手首に装着した音枷を展開して弦を鳴らし、紬も同様に展開した鬼笛を吹いてそれぞれの額の前に翳していく。
そして頭上から降り注いだ雷と、身を包む烈風を払い除けた二人の姿は鬼の戦士へとその身を変えていった。
澪は斬鬼の色違いで、隈取りと腕が銀色になっている『仮面ライダー轟鬼』に。
紬は外見そのものは威吹鬼と相違無いが、威吹鬼よりも体格が少女らしく小柄となった『仮面ライダー天鬼』に変身し、梓を助けるべく真正面から牛鬼へと飛び掛かっていった。
天鬼 轟鬼
轟鬼『はぁああああッ!!』
―バキィイイイイッ!!―
『ヌウゥッ!?』
梓「?!み、澪先輩……!?」
轟鬼に変身した澪が牛鬼に突っ込んで梓から引き剥がすように全力で押し出していき、その隙に天鬼に変身した紬が梓の傍に駆け付けて身を起こさせていく。
梓「むぎ先輩……!」
天鬼『梓ちゃんは今の内に向こうへ!』
梓「は…はい……!」
変身した二人の姿に驚きつつも、天鬼が指差す音撃道の面々が集まる場所へ足をもつれさせながら歩き出す梓の元に、遅れて梓を助けに来たアリサが合流し共に避難していく。
そして二人の避難を見届けた天鬼は牛鬼を相手に一人苦戦する轟鬼に加勢して二人掛かりで挑むが、打ち込む拳、繰り出す回し蹴りも牛鬼の強靭な肉体の前にはどれも弾かれて逆に殴り飛ばされてしまい、倒れる二人の前に復帰したDホルスが庇うように立ちながらカードを一枚取り出す。
Dホルス『素直に食材になる気はないってか?なら此処からは闘牛対決だ!』
『KAMENRIDE:TOUGA!』
バックルにカードを装填して両手でサイドバックルをスライドさせると、Dホルスの姿が今度は幸助の弟子の一人であるツトムが変身する闘牙へ変わり、準備運動で軽く身を捻らせ、牛鬼とほぼ同時に地を蹴って飛び出し正面衝突で激突していく。
―ドゴォオオオオオォッッ!!―
D闘牙『ぐぅううっ!馬鹿力がっ!ならコレだ……!』
『ATTACKRIDE:TIME QUICK!』
真正面からの力勝負では僅かな拮抗にしかならずに力負けし、正面からでは分が悪いと踏んだD闘牙は一旦距離を離しながらライドブッカーから新たに取り出したカードをディケイドライバーに装填すると、目にも止まらぬ凄まじい速さで動き出し、スピードで翻弄しようとあらゆる方向から牛鬼に打撃技を絶え間なく叩き込んでいく。
だが、最初の内は闘牙の速さに翻弄されていた牛鬼は段々とその動きを見切り出し、闘牙が放つ拳や蹴りを頭の角や体の特に固い部分で受け止め、ダメージを軽減させる立ち回りをし始めた。
D闘牙『(コイツ……!タイムクイックで動いてる俺の気配を読んでいる……!?)』
『──ブォオオオオオオッッ!!!!』
―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオォォンッッ!!!!―
D闘牙『ごはぁあッ!?』
ただの魔化魍ではとても考えられない対応力の高さに驚愕するD闘牙の動きを察知し、牛鬼は突き出された拳を掻い潜るように避けながらそのままとてつもないパワーの頭突きをD闘牙の胸部に叩き込んで派手に吹っ飛ばしてしまうが、其処へ、
轟鬼『うおおおおおおおっ!!だァああああっ!!』
―ジャキィイイイインッ!!―
『グォオオオッ!?』
地面を転がるD闘牙と入れ替わるように、音撃弦・烈雷と音撃管・烈風を手にした轟鬼と天鬼が牛鬼に突撃していき、天鬼の援護射撃を受けながら烈雷による斬撃を何度も叩き付けた轟鬼は烈雷を牛鬼の腹に突き刺し、バックルから取り外した音撃震を烈雷に、天鬼も音撃鳴を烈風に装填してそれぞれの武器を音撃モードに切り替えた。
天鬼『音撃射…!疾風一閃!!』
轟鬼『音撃斬!雷電激震!!』
天鬼が鬼撃管を吹き鳴らすのを合図に、天鬼の風のように爽やかなトランペットのメロディーに激しく大気を震わせるギターの演奏が絶妙な音のバランスで絡み合い、見事なセッションとなって牛鬼に炸裂し、爆発を起こした。
『グォオオオオオオオオオオオオオオオゥッ!!!?ォ、ォォオオオオオオオオ、ぉ……っっ!!!!』
二人の鬼からの清めの音に悶え苦しみ、牛鬼は頭を抑えながら森の奥へふらふらと逃げ出していく。その背中を追撃すべきか否か一瞬悩む轟鬼と天鬼だが、今は梓の安全を確かるべく、木の影に隠れる梓とアリサの元へ急ぎ駆け寄っていく。
轟鬼『梓……!大丈夫だったか!?』
梓「は、はい……澪先輩、むぎ先輩、ありがとうございます……」
天鬼『良かった。そちらの方も、お怪我はありませんか?』
アリサ「わ、私は全然!頑張ってくれた二人や零達に比べたら……!」
ぶんぶん!と、顔の前で手を横に振って恐縮するアリサの無事も確かめ、轟鬼と天鬼は安堵を露わに互いに顔を見合せて頷き合う。その様子を、元の姿に戻ったディケイドは樹木に身を預けながら雷王とヴァイサーガと共に感慨深げに見守っていた。
ディケイド『どうやら、新たな時代の幕開けって奴もそう遠くはなさそうだな』
雷王『そうですね。さっき牛鬼を倒した時も凄かったし、このまま皆が手を取り合えれば……』
ヴァイサーガ『……どうかしらね。その前に片付けなきゃならない壁も、まだまだありそうだけど』
ポツリと、何処か皮肉の篭った口調と共にヴァイサーガが目を向けた先には、弟子達の活躍を前に一瞬呆気に取られていたものの、我に返った途端にお互いを睨み合い、ぷい!とほぼ同時に腕を組んで顔を背けてしまうイブキとザンキの姿があり、その光景からヴァイサーガが言わんとしている事を察したディケイドと雷王も疲労と呆れが入り混じった溜め息を思わず漏らしてしまったのであった。
◆◇◆
ヒビキ「───げふっ……!ごふっ、ごほっ……!!」
日が徐々に落ち始め、暗くなりつつある森の奥の木陰。其処には先程の戦いで轟鬼と天鬼から受けた清めの音により、元の姿に戻ったヒビキが座り込む姿があった。
しかし、その見た目は所々ボロボロになっており、激しく咳き込む口から血まで混じっているヒビキの元に、彼女を探し続けていたなのは達がヒビキを見つけ慌てて駆け寄っていく。
スバル「ヒビキさん……!!大丈夫ですか!?」
ヒビキ「……っ……だ、め……わたしに、ちかづいちゃ……みた、でしょ……?私の、しょうたいっ……」
映紀「だからってほっとける訳ねえだろ!?優矢、そっちの肩頼む!」
優矢「わかった……!」
ヒビキ「ぅっ……あなたたちまで、危険に……晒すわけにはっ……」
なのは「その時はその時です!魚見さん、治癒魔法はまだ使えますか!?」
魚見「えぇ。ですがまず、先に拠点に戻ってからです。治療はそれから」
『teleport!now!』
もうすぐ日も沈む。暗がりの中での治療中に魔化魍の襲撃に遭うのを避ける為、魚見は右手の指輪をテレポートウィザードリングに取り替えて腹部の手形のバックルに翳し、足元から出現した魔法陣を潜り抜けて全員でヒビキのキャンプ地へ転移していくのだった。