仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第二十二章/響鬼×けいおん!の世界⑩

 

 

―斬鬼流弦闘道場―

 

 

同時刻。ザンキ流の道場にて、ザンキとイブキが澪と紬からの連絡で集められていた。

 

 

ザンキ「んで?急に呼び付けて何なんなのさ?」

 

 

イブキ「二人揃って。しかもザンキちゃんも一緒に折り入って話があるとか……」

 

 

未だ昼間での決闘や巻物盗難の件が尾を引いているのか、ザンキとイブキは一定の距離を保ったままお互いをジト目で睨み合っている。その若干険悪なムードを前に澪と紬も少し及び腰になるも、顔を見合わせて互いに勇気付けるように頷き合うと、意を決して二人に向けて口を開いた。

 

 

紬「牛気が現れた今、流派で争っている場合ではありません。皆で力を合わせるべきです!」

 

 

イブキ「皆で、力を……?」

 

 

澪「バラバラになっている音撃道の流派を、今こそ一つにしようという意味です。私たち二人、それに梓と一緒に決めた事だ」

 

 

ザンキ「ちょ……ちょっとちょっと!急になに勝手なこと言ってるのさ!?」

 

 

イブキ「三つの流派は、これまでの音撃道の歴史の中で永らく対立してきた関係なの。それは貴方達だけの意思だけで簡単に決められる事ではないのよ?」

 

 

紬「それも分かっています。……でも、だからこそこうして、お二人をお呼び立てしたんです。対立してたお二人が手と手を取り合ってくれるのなら、音撃道の新たな未来を築く事も出来ると……!」

 

 

澪「だから改めて、二人に頼みたい。……音撃道の未来の為にも、流派を一つにする事に賛同して欲しい……!」

 

 

バッ!と、その場で即座に正座した澪は二人に向けて深々と土下座していき、それを見た紬も彼女に続くように素早くザンキとイブキに向けて同様に土下座していく。

 

 

そんな二人の圧すら感じさせる頼みを前に、ザンキとイブキも困ったように互いに顔を見合わせる中、道場の出入り口から外で話を聞いていた零とエリオ、アスハが姿を現わし、澪と紬の傍にまで歩み寄っていく。

 

 

ザンキ「あ、アンタら……!」

 

 

零「お前達の弟子が此処まで身を張って頼み込んでいるんだ。少しは耳を傾けてやってもいいんじゃないのか?」

 

 

イブキ「……協力を申し出た身でありながらこんな事を言いたくはないけど、これは私達流派間の問題よ。貴方達が口を挟む事ではないわ」

 

 

腕を組み、零から視線を逸らしたイブキは何処か気まずげにそう言うが、その頑な態度にアスハは面倒そうに溜め息を吐き出す。

 

 

アスハ「こっちだって別に貴方達の流派がどうなろうと知ったこっちゃないわ。……けどね。昼間に牛鬼と戦った時、別の流派である筈の梓はその身を呈してまで、くだらない喧嘩をしてた貴方達を守ろうとした。なのに恥ずかしいとか一切思わないの?あんな小さな体に守られて、この二人の弟子達に自分達の尻拭いまでさせて……。大輝の言葉を借りるようで癪だけど、そんな醜態をこれ以上晒すつもりなら、即刻取り潰すべきだわ。そんな流派なんて、傍から見れば見苦しいにも程があるもの」

 

 

ザンキ「う……」

 

 

エリオ「アスハさんの言う事はちょっと言葉が強いけど……でも、僕も概ね同じ意見です……。武道を競い合うと言えば聞こえはいいけれど、僕の目にはこれまでの流派間の問題が今の皆さんにとって、ただのしがらみになっているようにしか見えないんです。……本当はお二人も、薄々その事に気づいているんじゃないんですか……?」

 

 

イブキ「…………」

 

 

アスハの容赦のない鋭い指摘と、エリオの諭すような言葉にザンキとイブキも口を閉ざして何も言い返せなくなってしまう。その様子からして、恐らく二人も今の流派間の問題に何かしら想う事があるのは同じなのかもしれない。

 

 

その心の内を察し、零は一歩前に踏み出て土下座から顔を上げ呆然とした顔で見上げる澪と紬の前に立つと、ザンキとイブキの顔を交互に見て真剣な顔付きと口調で言葉を紡ぐ。

 

 

零「師匠は弟子を育て、導く者だ。それは戦い方だけでなく、志……魂を伝える役を担う責任のある立場でもある。お前達はその師匠なんだろう?弟子達の未来、音撃道の未来……お前達が決めてやれ」

 

 

同じ教え導く立場の者として、弟子達が歩まんとするこれから先の未来と改めて向き合う事を促す零。その言葉から彼の言わんとしている事を悟ったのか、ザンキとイブキはお互いの顔を暫し見つめ合った後、俯き加減に何かを考える素振りを見せる。そして……

 

 

 

 

◇◇◆

 

 

 

 

場所は移り、道場内にある和の間にて。ザンキとイブキはあれから時間を経て二人だけで話し合った末、和装に身を包み、同じく和服姿となった零達の立ち会いの下、お互いに正座で対面する澪と紬に献上台の上に乗せたそれぞれの音枷と鳴風を差し出していく。

 

 

イブキ「免許皆伝の証に、これを」

 

 

紬「イ、イブキさん、何もそこまで……」

 

 

澪「師匠の座まで、私達に……」

 

 

イブキ「これは私達が決めた事よ。貴方達の師匠として、何を残して、音撃道の未来へ繋いでいくべきなのか……貴方達の言う通り、流派間の確執なんて、次の世代にまで持っていく必要はないと思うもの」

 

 

ザンキ「まー、さっちゃんとやいやい言いたい放題言い合うのもあたし的には別に嫌いじゃなかったけどさ。逆に言うとあたし等の仲だからまだこの程度で済んでる訳だろうし。それが後の世代になって、ガチでお互い大嫌い!なんてなったらあたし達も嫌だしさ。コレがいいきっかけになるって信じて……あたし達の魂、受け取ってよ」

 

 

言いながら、ザンキとイブキはそれぞれの弟子に差し出す献上台に手を添えたまま、力強い眼差しで弟子達の目を見つめ返す。

 

 

そんな彼女達の覚悟を受け、澪と紬は差し出される音枷と鳴風を暫しジッと見つめた後、意を決したように黙って頷き、己の師匠達の手から音枷と鳴風をそっと受け取っていく。

 

 

紬「はい…頑張ります」

 

 

澪「絶対に、尽力を尽くしてみせ……みせっ……ぅ、ううぅっ……」

 

 

ザンキ「こらこら、泣くなって〜。もう師匠になったんだからぁ」

 

 

イブキ「ふふっ。……後のこと、任せたわよ」

 

 

音枷を掬うように両の掌の上に乗せて、グズグズと泣き出した澪の背中を仕方なさそうにポンポンと叩きながら呆れて溜め息を漏らすザンキと、それ以上は言葉にせず力強い顔付きで、しかしその瞳が涙で揺らいでる紬の顔を見て小さく微笑むイブキ。

 

 

そんな二つの流派の涙の皆伝式を前に、見届け人のエリオとアスハも安堵から肩を竦めながら互いに顔を見合わせ、零もその一区切りを前に目を伏せて浅い溜め息を吐くと、もうこの四人に心配は要らないだろうと思い静かにその場を後にしていくのだった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

―ヒビキのキャンプ地―

 

 

なのは「───ん……んん…………」

 

 

──深い夜が明けて、明朝。

 

 

一行はヒビキから寝袋やテントの寝場所を借りて一晩泊まり、まだ他の面々が眠りに付く中、テントの中でふとなのはが目を覚ました。

 

 

なのは「ふぁ……ん……ここ……」

 

 

気怠げに上半身を起こし、重い瞼をゴシゴシ擦って少しボーッとすると、テント内で自分の隣で眠っているスバルとアリサを見て、段々と昨晩の記憶が脳裏に蘇ってきた。

 

 

なのは(ぁ……そっか……昨日あのままヒビキさんのテントを借りたんだっけ……)

 

 

昨晩は時間的にも遅く、山道は暗く危ないからとヒビキの勧めで一晩此処に泊めさせてもらったのを思い出す。

 

 

隣で眠る二人を起こさぬように掛け布団を静かに畳み、なのははテントの外に出て朝の澄んだ空気を吸って背筋を伸ばすと、テントの近くで眠袋に身を包んでまだ眠っているヒビキと優矢と映紀を見つけた。

 

 

寝袋から片半身がはみ出ていたり、身を縮こまらせたりと若干の寝相の悪さの特色がそれぞれ出ている三人を見て少し可笑しそうに吹き出し、なのはは皆が起きる前に先に火を起こしておこうかと焚き火の跡の前まで歩み寄って膝を折り、火掻き棒を手にして火を弄った直後、猛烈な火が焚き火から噴き出してなのはの視界を遮った。

 

 

なのは「!?な、何!?」

 

 

火の勢いに驚き、咄嗟に腕で顔を庇いながら思わず目をつむるなのは。

 

 

しかし、肌を焼く熱の痛みは感じられない。

 

 

恐る恐る目を開いていくと、目の前にはヒビキのキャンプ地でなく、燃え盛る業火に包まれ、全ての建物が崩壊した瓦礫しか存在しない凄惨な世界にいつの間にか変わっていた。

 

 

なのは「こ…此処は……?」

 

 

見渡す限りの炎と瓦礫。

 

 

まさか、あの一瞬の間に世界が破滅してしまったのか。

 

 

そんなありえない錯覚さえ覚えてしまうほど、目の前の光景の現実味が酷く強く戸惑って立ち尽くしてしまうなのはの前に、鳴滝がゆらりと姿を現した。

 

 

なのは「鳴滝さん……!」

 

 

鳴滝「このままディケイドが旅を続ければ、取り返しのつかない事になる」

 

 

なのは「取り返しのつかない事って……零君の中の因子や、イレイザーの事を危惧して言ってるんですか……?それだったら、私達が傍にいればきっと──!」

 

 

鳴滝「違う……君が止めるのだ」

 

 

なのは「……え?」

 

 

自分達が傍にいる限り、彼が道を踏み外す事などない筈だと、そう言い切ろうとしたなのはの言葉を首を横に振って遮る鳴滝は、何処か沈痛な面持ちで言葉を続けていく。

 

 

鳴滝「フェイト・T・ハラオウンにも、八神はやてにも、他の誰にも叶わなかった……最早君しかいないのだ……!ディケイドを止められるのは、君だけにしか!」

 

 

なのは「私、だけ……?」

 

 

どういう意味なのかと、それを問い質すよりも前に再び激しい炎が猛って視界を遮り、意識も其処でプツンッ!と途切れてしまう。その後、

 

 

「────は……さ……な…………ん…………!なのはさん!」

 

 

なのは「…………っ…………ぁ、れ…………?」

 

 

意識が闇の中、身体を揺さぶる振動で徐々に瞼を開いていく。そうして次に視界に飛び込んできたのは、心配そうになのはの顔を覗き込むスバルとアリサの二人の顔だった。

 

 

なのは「スバ、ル……?アリサちゃん……?」

 

 

アリサ「やっと起きた……あんたねぇっ。何も言わずにテントから抜け出したと思えばこんな所で寝てて、風邪引いたりしたらどうすんのよっ」

 

 

なのは「……寝て……?え……?」

 

 

腰に両手を当ててヤレヤレと肩を竦めるアリサにそう言われ、なのはは辺りはいつの間にか日が昇って明るくなり、今の自分がテントにもたれ掛かるように座り込んでいる状態でいるのだと漸く気付く。

 

 

なのは(気を、失ってた……?一瞬に思えたけど、なんでまた鳴滝さんが……?)

 

 

スバル「──なのはさん?あの、どうかしました?」

 

 

なのは「……へ?あ…う、ううん!何でもないよ?あははっ、昨日あんまり寝付けなかったせいかな?寝ぼけていつの間にか外に出ちゃってたのかもっ」

 

 

スバル「……?」

 

 

バッパッと、先の鳴滝とのやり取りを誤魔化しながら服の汚れを手で払って苦笑いと共に起き上がるなのは。スバルはそんな彼女の様子に何処か違和感を覚えて怪訝に首を傾げるが、既に起きて焚き火に火を付け、優矢と共に魚を焼いている映紀が三人に向けて大声で呼び掛ける。

 

 

映紀「おーい!そっち終わったんならこっち手伝ってくれよ!薪が全然足りてねーんだ!」

 

 

なのは「あ…は、はーい!ほら、行こ、二人ともっ」

 

 

アリサ「??なに焦ってんのよ?寝顔見られたのそんな恥ずかしかったワケー?」

 

 

スバル「…………」

 

 

若干ぎこちない動きで映紀達の手伝いに向かうなのはの様子にアリサは呆れ気味に溜め息を吐きつつ彼女の後を追い掛けていき、スバルは何処か腑に落ちない顔でそんな二人を追って映紀達の朝食の準備に手を貸していく。

 

 

魚見「朝から元気ですね……。ヒビキさん、こちらをどうぞ」

 

 

ヒビキ「……んー。ありがとね〜。魚見ちゃん」

 

 

魚見「いいえ、今はどうか体を休める事に努めて下さい」

 

 

そんななのは達の喧騒を横目に、魚見は自身の知識と魔法の力を織り交ぜて自作した飲料薬をヒビキに飲ませていく。

 

 

ヒビキは手渡されたコップを手に魚見にお礼を言いつつ飲料薬を口に運ぶも、一口口にしただけで相当の苦さを感じたのか「うえ〜……」と舌を出してオーバー目のリアクションを取り、そんな彼女の反応に魚見も可笑しそうに僅かに微笑む。

 

 

そんな平々凡々としたつかの間の平穏の中、其処へ……

 

 

「───ヒビキさん」

 

 

ヒビキ「……!」

 

 

聞き慣れた声が不意に何処からともなく聞こえ、ヒビキはコップを持つ手を止めて思わず声がした方へと振り返る。

 

 

同様になのは達も振り返ると、其処には、森の奥から真剣な顔付きと共に歩いてくる梓の姿があった。

 

 

なのは「あ、梓ちゃん……?」

 

 

ヒビキ「……あずにゃん」

 

 

梓「あ、の……ヒビキさん……私……」

 

 

胸の前で両の手の指を絡ませ、口ごもらせながらも何かを伝えようと梓は視線をさ迷わせる。その表情と昨夜の大輝の話から彼女が何を言わんとしているのか察したヒビキは手にするコップをテーブルの上に起き、改めて彼女と向き合おうと徐に腰を上げて梓に歩み寄っていくが、

 

 

「───やっぱり。流石の貴方でも、その少女君を前にすると隙が出来るようだね」

 

 

―ドサァアッ!―

 

 

「「「「……!!?」」」」

 

 

梓とヒビキの間に流れる静寂を無粋にも水を差すように、飄々としたそんな声と共にヒビキの足元に彼女のバックパックが乱雑に投げ付けられた。

 

 

驚きで目を見張りながらヒビキやなのは達がバックパックが飛んできた方に振り向くと、其処にはいつの間にか、ヒビキ流の巻物を見せびらかすように手にして佇む大輝の姿があった。

 

 

映紀「お前!?いつの間に!?」

 

 

大輝「あれから一晩考えてねぇ。そこの二人は直接話をさせとけばいいとして、巻物の方はどうやって手に入れればいいかって考えてたんだ。で、こっちの方が手っ取り早いって結論になった訳さ」

 

 

「──何が手っ取り早い、だ。元からその算段だったんだろう?」

 

 

飄々と盗んだ巻物を手の中で弄ぶ大輝に一同の視線が注ぐ中、森の中からザンキの道場を後にした零、エリオ、アスハの三人が現れ、零は大輝を睨み付けながら溜め息混じりにそう返す。

 

 

スバル「零さん……!」

 

 

零「コイツの目的は始めから音撃道のお宝だけ。梓が此処に来たのも、大方、お前が何か吹き込んでヒビキを油断させる為に利用したんだろう?」

 

 

大輝「…………」

 

 

梓「そ、そんな……!違います!確かにヒビキさんと直接話した方がいいとは言われましたけど、この人は私に優しくしてくれて……!」

 

 

大輝「……生真面目なヤツだな、君は」

 

 

梓「……へ?」

 

 

大輝に鋭い眼差しを向ける零の視線を遮るように彼の前に庇うように立つ梓。しかし、大輝はそんな彼女の姿を見て呆れる様に溜め息を漏らし、ついこの間イブキ流とザンキ流から盗んだ二本の巻物も取り出していく。

 

 

大輝「零の言う通りさ。俺は最初から、お宝の為に君に近づいたんだ」

 

 

梓「そ、そんな……」

 

 

零「下手な期待なんて持つな。そいつはただの最悪な泥棒だ」

 

 

大輝「否定はしないさ。……でも少女君。君はもっと酷い最悪と向き合わなきゃならない」

 

 

梓「……え……?」

 

 

ショックを隠せずに狼狽える梓にそう言うや否や、大輝はいきなり懐から取り出したディエンドライバーの銃口をヒビキに目掛け、躊躇なく発砲した。

 

 

ヒビキ「くっ!?」

 

 

アリサ「ヒビキさん?!」

 

 

映紀「大輝テメェ!何を!?」

 

 

ギリギリで避けられる位置を狙い定めていたのか、銃弾は微かにヒビキの頬を掠めるだけに留まる。大輝の突然の暴挙に他の一同は彼に敵意を向けて咄嗟に身構えるが、しかし……

 

 

 

 

─────チリン。チリン。チリン。チリン。

 

 

 

 

ヒビキ「──!!?ぅ…ぁあ……ぁああああああああああああっっ…………!!」

 

 

 

 

今の銃撃で危機感を刺激されたからか、あの忌々しい、不気味な鈴の音がヒビキの頭の中で再び響き始めた。

 

 

以前よりも強く、より明確に。

 

 

体の内側のあらゆる細胞が不快に蠢動し、自分(・・)という自我が何か別のモノ(・・)に凄まじい速さで書き換えられていくような感覚に頭を抑えて悶え苦しみ、傍にいる魚見を遠ざけるように振り絞った残りの力で押し退けたのを最後に、その場に両の手を着いて崩れ落ちてしまう。

 

 

魚見「ヒビキさんっ……!」

 

 

ヒビキ「ハ…っ……ぅ…………ご、めん……みんなっ…………わた、し…………もう、鬼の力を…………抑えられそうにない、やっ…………」

 

 

梓「ヒビキ、さん……?ど、どうしたんですか!?」

 

 

心配のあまり思わず駆け寄ろうとする梓だが、そんな彼女の手を大輝が後ろから掴んで強引に引き止める。

 

 

その姿を目にしたヒビキは大輝の意図を瞬時に察し、うっすらとその口元に笑みを浮かべると、徐に顔を上げ、不安と心配が複雑に入り交じって激しく震える瞳を向ける梓を見つめ、眉を八の字に歪めながら悲しげに微笑む。

 

 

ヒビキ「あずにゃん…今まで、ごめんね……後は────」

 

 

梓「ヒビキさんっ!!」

 

 

その言葉が最後まで紡がれる事はなく、ヒビキの全身が紫炎に包まれながら醜く歪み変貌していく。

 

 

鬼の力に飲まれ、微かに残っていたヒビキとしての人間性を喰らい尽くした、真の牛鬼へと。

 

 

牛鬼

 

梓「ヒビキ……さん……?」

 

 

大輝「……これが俺からの最後の教えだ」

 

 

映紀「っ!待ちやがれ大輝っ!!」

 

 

呆然と立ち尽くす梓にそう言い残すと共に、全ての巻物を手にその場を後にする大輝を映紀が憤りを露わに追い掛ける。

 

 

しかしそれも他所に、ヒビキが変貌した牛鬼は徐に身を起こし、歓喜を露わに不気味な笑い声を漏らす。

 

 

『漸くこの時がきた……!ヒビキの体は、この牛鬼が貰った!』

 

 

梓「……う、そ……唯先輩が、牛鬼なんて……そん、な……!」

 

 

アリサ「梓ちゃん……!」

 

 

零「完全に心を奪われたか……。やるぞ、お前ら……!」

 

 

魚見「っ……」

 

 

アスハ「それしかなさそうね……」

 

 

スバル「ッ……エリオ!Kウォッチを貸して……!お願い!」

 

 

エリオ「っ!は、はい!」

 

 

ディケイドのカードを構える零からの呼び掛けに各々が苦々しい表情を浮かべる中、魚見とアスハは腰に専用ドライバーを。スバルはエリオから投げ渡されたKウォッチを腕に巻いて画面をタッチし、右手に現れた変身音叉を鳴らして額の前に翳し、それぞれ変身動作を行っていく。

 

 

「「「変身っ!」」」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

『RIDER SOUL UTURIKI!』

 

『gouka!now!』

『gou!gou!gou-gou-gou!』

 

integrate spirit(インテグレート スピリット)

Vaisaga(ヴァイサーガ)

activation(アクティベーション)

 

 

 

    聖桜        ヴァイサーガ

 

 

移鬼

 

 

 

 

重なる電子音声と共に、ディケイド、移鬼、聖桜、ヴァイサーガに変身した四人は完全に覚醒した牛鬼へ一斉に挑み、生身のなのは達が戦いに巻き込まれない場所に移動すべく全員掛かりで牛鬼を押し込み、その場をどうにか離れていくのであった。

 

 

 

 

 

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