仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―ドゴォオオオオオンンッッッッ!!!!!!―
響鬼『ぐぁうぅぅ!!』
ディケイド『ぐっ!クソッ!』
鳴滝が復活させたバケガニの予想外の乱入により、戦場は混乱状態に陥っていた。
その巨体に似合わぬ俊敏な動きで襲い来るバケガニを相手に、射撃武器を使えるライダー達は遠距離射撃を用いてどうにかその足を止めさせようとするも、思いの外その甲羅は硬く、ディケイド達の攻撃をものともせずに受け止めながら両腕の巨大なハサミを振り回して襲い掛かる獰猛さに手を焼かされていた。
ディスパー『畜生っ……!無駄にデケェ癖に一撃一撃もでかいせいで下手に近付けねえぞコイツ!』
ヴァイサーガ『とにかく動きを止めるしかないわ……!魚見、手を貸して!私と貴方で奴の脚を斬り落とす!』
聖桜『分かりました……!なら──』
姿勢を低く鞘に五大剣を収め、必殺技の発動態勢に速やかに移行するヴァイサーガの呼び掛けに応えつつ、聖桜も彼女に続くべく指輪を交換しようと左腰のリングホルダーに手を伸ばす。が……
『FINALVENT!』
『──でぇええァああッッ!!』
ヴァイサーガ『──!?魚見ィ!』
『Limit Break Full Drive』
―ガギィイイイインッ!!―
聖桜『……?!な……』
不意に何処からともなく鳴り響いた電子音声と共に、聖桜の背後の空中から一人のライダーが黄色い毒液の勢いに乗って不意打ちの跳び蹴りを放ちいきなり襲い掛かってきたのだ。
いち早くその襲撃に反応したヴァイサーガは、バケガニに撃つ筈だった必殺技の標的を咄嗟に変更して飛び出すと、襲撃者のライダーの跳び蹴りを鞘から振り抜いた五大剣の渾身の抜刀で受け止めて相殺し、空中で発生した爆発の中からお互いに飛び出して地上へ着地。
突然の爆発音と襲撃にディケイド達が驚きと共に思わず目線を向けた先には、首を大きく鳴らし、何処となく愉快そうにディケイド達を蛇のような舐め回す視線で品定めする紫色の仮面ライダー……バケガニの復活に助力した王蛇の姿があった。
王蛇『ハッハハハハァ……!本当にこれだけのライダーがいたとはなァ……』
ディケイド『っ、奴は……!』
ディエンド『仮面ライダー王蛇か……恐らく鳴滝さんのもう一つの置き土産だろう。めんどくさい時に出てくるのが実に嫌らしい』
チッと、バケガニへの銃撃を続けたまま吐き捨てるような呟きと共に仮面の下で舌打ちするディエンド。しかし王蛇はそれを他所にVバックルに装填されたカードデッキからカードを一枚抜き取り、左手に出現させたコブラを模した小杖・ベノバイザーにベントインさせてゆく。
『SWORDVENT!』
王蛇『お前らが祭りを盛り上げてくれるんだろォ……?俺も仲間に入れてくれよぉ!』
響鬼『ッ!』
何処からともなくその手に飛来して握られた、自身の契約モンスターであるベノスネーカーの尻尾を模した金色の剣・ベノサーベルを大きく振りかぶり、近くに目に付いた呆然と立ち尽くす響鬼に標的を定めて疾走して襲い掛かる王蛇。
対する響鬼はいきなりの襲撃者に戸惑いながらも両手の音撃棒を構え直して王蛇を迎撃しようと臨戦態勢に入るが、響鬼に向けて振り下ろされた王蛇のベノサーベルを真横から飛び出したディスパーが長槍で受け止めて妨害に入った。
響鬼『っ、映紀さん…!?』
王蛇『お前ェ……!』
ディスパー『奇襲なんてストレートじゃねえ真似しやがって……!お前ら!この蛇野郎は俺が、』
『ikazuchi now!』
『biribiribiri!biriririri!』
『相手をする!』とディスパーが言い切るよりも先に電子音声が響き渡り、直後にディスパーと王蛇の間を一筋の蒼い雷光が駆け走り、雷鳴のような斬撃音と共に王蛇の体が横殴りに吹き飛ばされて地面に転がした。
王蛇『ぐぉおおッ!?』
聖桜I『──「私達」、でお相手します。皆さんはあの魔化魍の撃破に専念を』
ヴァイサーガ『ええ。漸く零達の旅の終点なんだもの。無粋な横槍にはご退場願うわ!』
ディスパー『お、おい?!俺様の出番横取りすんじゃねえよ!』
蒼い雷光から真雷斬刀を振りかざした姿勢で実体化した、イカヅチスタイルにスタイルチェンジした聖桜とヴァイサーガが各々の刀を構えて気怠げに起き上がる王蛇に向かってほぼ同時に駆け出し、そんな二人に遅れてディスパーも慌てて後を追うように走り出す。
そうして三人が王蛇との交戦を開始する中、残されたディケイド、響鬼、移鬼、ディエンドはこの隙にバケガニを対処しようと散開し、相手を撹乱させようと四方からの攻撃を試みる中、岩場の向こうから音撃弦・烈雷を手にした澪と音撃管・烈風を手にした紬が駆け付けた。
紬「梓ちゃんっ!」
澪「私達も手伝うぞっ!」
響鬼『!むぎ先輩、澪先輩!』
変身鬼弦と変身鬼笛を鳴らし、吹き荒れる蒼風と轟く緑雷を払って変身した紬の天鬼と澪の轟鬼がバケガニに押される響鬼の元に駆け付けて彼女の加勢に加わっていき、そんな彼女ら三人の肩を並べる姿を目にしたディエンドは意味深に微笑んで三本の巻物を懐から取り出した。
ディエンド『なるほど。これが音撃道のお宝ね』
ディケイド『ぐっ……!何ひとりで納得してる?!どういう意味だ?!』
ディエンド『難しく考える必要もない。単なる謎かけみたいなモンさ。ハッ!』
そう言うや否や、ディエンドはいきなり三本の巻物を宙に放り投げ、更にはなんとディエンドライバーを発砲して三本の巻物全てを撃ち抜き、バラバラにしてしまったのである。
突然のディエンドの奇行にディケイド達も何事かと目を見張るが、バラバラになった三本の巻物のそれぞれの破片の一部がまるで占め合わすように一箇所に集まっていき、『音』『撃』『道』の三文字を完成させた。
響鬼『これって……まさか!』
ディケイド『三つの流派が一つになる……それが真の音撃道の秘伝になるって訳か……!』
三本の巻物に隠されていた秘密の謎に辿り着き、驚愕と同時に得心を得る響鬼の横でディケイドもすぐさま左腰のライドブッカーから三枚のカードを取り出す。
直後、シルエットが消滅してたカードに紫炎が灯り、響鬼の姿が復活して再び浮かび上がる。そして他二枚のカードの絵柄も蘇ったのを確認したディケイドはその中から一枚のカードを抜き取りながら、ディエンド達が足止めするバケガニを見上げて立ち上がり、腰のディケイドライバーのバックルにカードをセットして両手でサイドハンドルをスライドさせた。
『FINALFORMRIDE:HI·HI·HI·HIBIKI!』
ディケイド『ちょっとくすぐったいぞ』
響鬼『へ?―ドンッ!―ひゃああっ!?』
戸惑う響鬼の反応を他所に、ディケイドが彼女の背中を軽く押した瞬間、響鬼は両手に握る音撃棒・烈火を地面に落としながら宙に浮いてその体が徐々に変形・巨大化していき、ディスクアニマルの一種のアカネタカを模した姿である『ヒビキアカネタカ』に超絶変形した。
そしてヒビキアカネタカはその身体から赤い炎を放出しながら飛び立ち、ディエンド達と闘うバケガニへと横から突進攻撃を繰り出していき、更に鋭い切れ味の紅翼でバケガニの脚を数本切り落としていく。
轟鬼『あ、梓ぁ!?』
天鬼『す、凄いです梓ちゃん!ヒビキ流にこんな技があっただなんて!』
移鬼(……て、訂正してあげるべきなんだろうけど、何か空気的に今それすると野暮な感じな気がする……)
流石にこんな奇天烈な技は音撃道にはないと教えてあげるべきなんだろうが、バケガニを圧倒するヒビキアカネタカの活躍に感動してキラキラした眼差しを向けてる天鬼に水を差すような発言を出来ず、顔を逸らして若干いたたまれないような気持ちになる移鬼。
そうこうしてる間にも、バケガニの腹下に潜り込んだヒビキアカネタカはそのままその巨体を持ち上げるように力強く飛翔してバケガニを派手に地上へひっくり返していき、腹を晒して無防備状態になったバケガニを見てディケイドはすかさず新たに復活したカードをライドブッカーからもう一枚取り出し、ドライバーに装填して両手でサイドハンドルをスライドさせていく。
『FINALATTACKRIDE:HI·HI·HI·HIBIKI!』
バックルから鳴り響く電子音声と共に、ヒビキアカネタカは甲高い鳴き声を上げながら空からバケガニの腹に目掛けて急降下し、その身を再び変形させて巨大な音撃鼓としてのもう一つの姿……『ヒビキオンゲキコ』となってバケガニの腹に張り付き、それを見たディケイドは響鬼が落とした音撃棒・烈火を拾い上げながら移鬼に向けて叫ぶ。
ディケイド『スバル!やるぞ!』
移鬼『え?……!なるほど!ハイ!』
短いやり取りの中でディケイドの意図を瞬時に汲み取り、移鬼は後ろ腰から音撃棒・真炎を手にしてディケイドと共に空高く跳躍すると、バケガニの腹の上に着地したと同時にディケイドの音撃棒・烈火と移鬼の音撃棒・真炎がヒビキオンゲキコに向けて振るわれ、清めの音を響かせていく。
殆ど即興ではあるが、しかし息の合った二人が繰り出す音撃打の威力にバケガニは身動きも取れない状態から口から泡を吹いて悶え苦しんでおり、その隙にディエンドがバケガニの多脚の一部を撃ち崩して大地に降りたハサミの上に轟鬼がすかさず飛び移ると共に烈雷をハサミに突き刺し、鮮烈な弦の音を掻き鳴らして二人の音撃に合わせてゆく。
其処へ続くように、天鬼もバケガニのこめかみに烈風から発射した鬼石の弾丸を撃ち込み、音撃モードに切り替えた烈風を口に当ててディケイド達の音撃を更に盛り上げるラッパの演奏を吹き鳴らし、ディエンドも目の前にシアンの音撃鼓のビジョンを展開させながらクルリと両手の平に出現させた青い音撃棒を音撃鼓に叩き込み、清めの音をバケガニに目掛けて放ち続け、ディケイド達を援護し始めるのだった。
ディケイド 移鬼
轟 天
鬼 鬼
ザンキ「──おーおー!やっぱ心配で様子見に来てみたけど、何だか思いの外盛り上がってんじゃーん!」
イブキ「ボサっとしない!私達もいくわよ、ザンキちゃん!」
流派の垣根を越え、清めの音を重ね合わせる弟子達の勇姿の元に、密かに澪と紬の後を追ってきていたザンキとイブキも音撃弦と音撃管を手にして参戦していく。
隣に並び、自分達の技量の拙い部分をフォローし共に演奏してくれる師達の参戦に轟鬼と天鬼も一瞬驚くも、お互いに視線を交わしただけでその意を汲み取り、己が師匠達の胸を借りる気概で音撃武器を奏でる手にもより一層気合いが入り、清めの音にも更に力強さが増してゆく。
王蛇『っ、ぐっ、ァ……!なんだこの耳障りな音はァっ……!俺をイラつかせるなぁッ!』
ヴァイサーガ『そう?私は素敵だと思うけど。でも確かに、貴方に聴かせるには勿体ないかもね……!』
『Limit Break Full Drive』
聖桜『フィナーレはもうすぐですが、其処に貴方の居場所はない。冥府へ還りなさい、殺人鬼!』
『チョーイイネ!』
『Finish strike!サイコー!』
ディケイド達が織り成す清めの音が煩わしいのか、頭を抑えて何かを振り払おうとするかのようにベノサーベルを苛立たしげに振り回す王蛇に向けて、ヴァイサーガと聖桜が光の速さで飛び出しすれ違いざまの斬撃を王蛇の両脇腹に叩き込む。
そのあまりの威力に王蛇も堪らず片膝を着く中、ディスパーが更なるダメ押しと言わんばかりにディスパランサーにカードを装填し、荒々しく槍を振り回す勢いでスライドさせていく。
『FINALATTACKRIDE:DI・DI・DI・DISPAR!』
ディスパー『こいつでぇ、仕舞いだァああっ!!』
王蛇『ッ!―ズシャアァアアアアッ!!―ぅォおおおおッ!!』
電子音声が鳴り終わるよりも先に空高く跳躍し、ディスパーは周囲に次々に出現するスーパー戦隊、メタルヒーロー等の戦士達の残像をその身にエネルギーと化して吸収しながらディスパランサーを振りかぶり、王蛇に渾身の袈裟斬りを叩き込んで横殴りに吹っ飛ばしていったのであった。
王蛇『ぐ、ァ…あああっ……!!まだだァ……!!もっとっ……!!もっと俺を愉しませろォおおおおおお───っっ!!』
地面を派手に転がり、倒れ込んでも尚も起き上がり、全身から火花を撒き散らしながら戦いへの渇望から戦闘を続行しようとする王蛇だが、そんな彼の背後から灰色のオーロラが前触れもなく現れ王蛇を呑み込み、そのまま何処かへと去っていった。
その様子を見届けてディスパー達が武器を下ろし一息吐く中、徐々に熱を帯びていくディケイド達のセッションも終幕が近付いていき、ディケイドと移鬼がシンクロしてそれぞれの音撃棒を高らかに掲げ、そして、
『『『はぁあああああああああっっ……破ァああああッッッッ!!!!!!!!!』』』
振り下ろされた太鼓の響きを、幕引きに。
ディケイドとヒビキオンゲキコの合体技である『ディケイドウェイブ』と音撃戦士達による重奏が見事に決まり、バケガニが爆散した無数の枯葉の中からディケイドと移鬼、そしてファイナルフォームライドから元の姿に戻った響鬼がディエンド達の元に着地すると、空から絶え間なく降り注ぐ枯葉の雨を振り返り、未だ耳に残る余韻が冷めぬまま、永らく続いた軋轢の終わりと新たな音撃道の始まりを漸く実感するのであった。