仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編/野郎共の奮闘記(中)

 

 

零「……おい、いきなり出てきて何なんだあの女……や、まさかとは思うが……」

 

 

ユーノ「あー……うん……彼女が例の、ね……」

 

 

いきなり現れた上に、街中でどデカイ声と共に何処か時代錯誤な発言をかましてきた謎の女に零が訝しげな眼差しをユーノに目を向けると、ユーノは若干言い難そうに言葉を濁しながら首を縦に振り、一方でクロノは謎の女の姿を目にした途端ふらりと眩暈を起こしてグラりと体を揺らす。

 

 

クロノ「ば、ばかな、早すぎるっ……!追い付かれるのは時間の問題だとは思っていたが、まだ半日も経っていないぞ!?どうやって此処を突き止めて……!」

 

 

「ふふ……。もうお忘れになられたのですか?貴方が目の前にしているこの私が、一体何者なのかを!」

 

 

カツンッ!と、ヒールの音を鳴らして1歩踏み出し、腰に片手を添えてやけに自信満々に胸を張りながら金髪の女が高らかに叫ぶ。

 

 

「このオルトリンデ・ヴィスタリア!一度獲物とした相手は決して一秒たりとも見逃しはしません!有り体に言えば前回の決闘の時、貴方に付けた発信機を辿れば居場所を見つけるなど容易い事なのです!」

 

 

クロノ「なっ…い、いつの間に!?ど、何処だ!?」

 

 

大輝「……ああ……何かずっとゴミが付いてて変わった趣味しているなぁと思っていたけど、君のじゃなかったのか、ソレ」

 

 

白昼堂々と問題しかない発言を大声で叫ぶ金髪の女……オルトリンデ・ヴィスタリアに言われて慌てて自分の体を弄るクロノの首元の襟から、大輝がヒョイッと何かを摘んで取り外した。

 

 

その親指と人差し指の間には、ごくごく小さなサイズの赤い光が何度も点滅する円形状の形をした発信機が摘まれており、ソレを目にしたクロノとユーノはギョッとなり、零と優矢は「うわぁ…」とあからさまにドン引きした様子でオルトリンデの方を見るが、当のオルトリンデは何故かそんな視線に晒されても臆するどころか逆に自信満々に髪を手で靡かせて不敵に微笑んでいる。

 

 

オルトリンデ「卑怯者の誹りは受け付けません!何せこのオルトリンデ、前々回の決闘での貴方の発言を確かに覚えているのです!『勝つ為ならどんな手を使っても構わない』と!此れはソレを実行し、貴方に勝つ弱点を見付ける為の方法に過ぎないのですからね、ふふ!」

 

 

優矢「ぇ怖ぁ……」

 

 

零「スゲェなこの犯罪者…仮にも公僕相手にストーカー行為ひけらかした上で堂々としてやがる…」

 

 

大輝「それだけ君達が舐められてるっていう証拠じゃないかい?……あ、ごめんごめん。優矢君以外は今自分の世界がないから実質無職みたいなものだったね。こりゃ失敬」

 

 

零「なぁおい。今からコイツ全力でシバき倒すが暫くの間目ェ瞑っててもらう事って出来るか提督」

 

 

クロノ「寧ろ手を貸してやるからこっちを加勢してくれ!今ので分かったと思うが彼女は加減という物を知らない!一度やると決めた以上とことんまでヤるのが彼女の性分なんだ!」

 

 

ハイライトの消えた瞳で右拳を静かに握る零の問題発言に脇目も振らず、クロノは冷や汗が止まらない必死の形相でいつ動き出せてもいいように腰を落として完全に怯え切っており、その様子にオルトリンデはご満悦げに口端を吊り上げながら何処からともなくメタリックな白銀のベルトを取り出した。

 

 

優矢「!べ、ベルト…!?」

 

 

オルトリンデ「其処までこのオルトリンデを理解してくれているとは、やはり貴方以外にこの私を見初められる殿方はいないと言えるでしょう!であるならば!」

 

 

ガチャッ!と、自らの腰に勢いよく白銀のベルトを巻き付けると、オルトリンデは更に懐から青いベゼルが特徴的なスマートフォン……ミューズフォンを取り出し、画面に表示したダイヤルの6を3回入力した後、最後にENTERを押してクロノ達に画面を見せるようにミューズフォンを構えた。

 

 

『6・6・6』

 

『Standing by……』

 

 

オルトリンデ「この七度目の決闘にて!必ずや貴方の心を射止めてみせるこの私の勇姿をご覧になってください!変身します!」

 

 

『Complete!』

 

 

ミューズフォンを腰に装着した白銀のベルト、ミューズギアのバックルに装填したと同時に電子音声が鳴り響く。

 

 

直後、ミューズギアから伸びた無数の青白い閃光がオルトリンデの全身をまるで動脈を描くかのように走り、一際光が強まった瞬間、オルトリンデの姿が一瞬にして青と黒のカラーリングの戦士に変化した。

 

 

胸や両肩などの上半身に装甲が集中し、胸部と両肩の表面にはギリシア文字の『Μ』を模した白いラインが走るその姿……『仮面ライダーミューズ』に変身したオルトリンデは、髪を撫でるような仕草と共にクロノを見つめながら微笑んだ。

 

 

零「コイツ、ライダーだったのか…?!」

 

 

大輝「ほう。スマートブレインが開発した次世代型のギアじゃないか。そんなレアものを持ってるなんて、ただのトンチキなお嬢さんじゃなかったようだ」

 

 

クロノ「くっ…こうなった以上、仕方ないか…!」

 

 

『0・0・3』

 

『Standing by……』

 

 

予想外の展開を目の当たりにして動揺したり関心を示したりと零達が各々反応するのを尻目に、クロノは最早手馴れた様子で即座にアストレイギアを腰に装着し、手早く取り出したアストレイフォンにコードを素早く打ち込んで変身の構えを取る。

 

 

クロノ「変身っ!」

 

 

『Complete!』

 

 

ミューズ『ふふ…たぁああっっ!!』

 

 

ギアにアストレイフォンを装填し、すぐさま仮面ライダーアストレイ・ブルーフレームに変身したクロノにミューズが恍惚の笑い声をこぼしながら片腕を振り上げて襲い掛かる。

 

 

対するアストレイBFは振り下ろされるミューズの張り手を両手で掴んで受け止め、そのままミューズと取っ組み合いになりながら人気の少なさそうな場所に戦いの場を移すべくその場から離れるように走り出していったのだった。

 

 

優矢「……な、何だったんですか、アレっ……?」

 

 

零「……おいユーノ。どういう事だ?ヤバそうな女に絡まれてるとは聞かされたが、此処までの事態になってたなんて一言も聞いちゃいねぇぞ。一体何がどうしてこうなったんだ?」

 

 

ユーノ「………………。本当は愚痴を聞いてもらうだけで、君達を巻き込むつもりなんてなかったんだけど……見ての通り。彼女…オルトリンデは一度目のクロノとの決闘以降、何処からか手に入れてきたあのベルトを使って何度もクロノを襲ってきて、それが今もずっと続いている状況なんだ……」

 

 

零「はあ…!!?」

 

 

一瞬言うべきか否か迷った素振りを見せた後、事の一部始終を見られた以上もう隠し通すのは無理と悟ったのか。

 

 

苦虫を噛み潰したような顔で語るユーノから彼らが隠そうとしていた真相を聞かされ、零の顔が驚きと困惑、何故そんな大事な事を話してくれなかったのかと憤りが入り交じったような表情に歪むが、彼を更に問い詰めようとした矢先に遠くから金属と金属がぶつかり合う炸裂音が耳に届き、零はユーノと破裂音か聞こえてきた方角を交互に見ると、顔を逸らして舌打ちしてすぐに二人が戦っていると思われる方向に向けて一目散に走り出していくのであった。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

―ガシャアァアアアアンッ!!―

 

 

アストレイBF『ぐあぅうっ!!くっ、ううっ……!』

 

 

人気のない、寂れた廃墟ビルに四方を囲まれた裏路地。此処へ戦いの場所を移してミューズと七度目の決闘に身を投じるアストレイBFだったが、ミューズが両肩のアーマーから取り外した二振りのナイフ、ミューズエッジで怒涛の勢いでアストレイBFを切り刻んで正面から圧倒していき、フィニッシュに放った後ろ回し蹴りで蹴り飛ばしてアストレイBFを壁際のドラム缶の山に蹴り飛ばし、アストレイBFは無数の火花を撒き散らせながらズルズルとその場に座り込んでしまった。

 

 

ミューズ『何やら動きにキレがありませんね。このオルトリンデを下してきた、これまでのあの勢いの良さは何処へいったのです!』

 

 

アストレイBF『ッ……七度も同じ相手をさせられれば、流石に堪えるモノもクルものさっ……。何度も言っているように君の気持ちに応えられないんだ。いい加減、新しい相手を見付けて次の恋に努力する事をオススメするぞ…!』

 

 

ミューズ『その考えには貴方に一度敗れた時に既に至りました!しかしこのオルトリンデ、当家を正式に継がねばならない時が刻一刻と迫っており、貴方への想いを凌ぐ程の次のお相手を悠長に探している時間もありません!故に形式上にでも貴方には婿入りしてもらい、それからゆっくりと愛を育めばいいと助言を賜りましたので、実行に移らせて頂きたいと思います!お覚悟を!』

 

 

アストレイBF『ちょ、まっ……!?』

 

 

まだこちらの言い分がまだだと、一方的にまくし立てて喋り終えるや否や両手に握るナイフを構え、再び襲いかかって来るミューズを片手で制して落ち着かせようとするアストレイBFだが、ミューズは聞く耳を持たず、右手のナイフを突き出してアストレイBFに刺突を繰り出そうとした。其処へ……

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

―バキィイッ!―

 

 

ミューズ『あう!?』

 

 

アストレイBF『!?』

 

 

不意に電子音声が響き、直後にアストレイBFとミューズの間に割って入るように二人の横合いから荒々しい蹴りが飛び出し、ミューズのナイフを腕ごと蹴り飛ばしたのである。

 

 

不意のその衝撃にミューズは腕ごと身体を持っていかれて地面を転がってしまうも、咄嗟に受身を取って起き上がりながら何事かと顔を上げ、アストレイBFに視線を戻すと、其処には彼を庇うようにして立つ零が変身したディケイドの姿があった。

 

 

アストレイBF『零!?』

 

 

ディケイド『こんな時にまで呑気に説得しようとしてる場合か!今は人の良さ引っ込めて自分の身の心配してろ!』

 

 

ミューズ『ぐっ……?零…?ディケイド…?』

 

 

アストレイBFを叱咤しつつミューズを警戒して身構えるディケイドの名前を聞き、ミューズがピクッと僅かに顔を上げて反応を示す。

 

 

その間に、未だ起き上がれずにいるアストレイBFの元に優矢が変身したクウガとユーノが変身したアストレイ・グリーンフレームが急いで駆け寄り、両肩を支えていく。

 

 

クウガ『大丈夫ですかクロノさん…!』

 

 

アストレイBF『ッ…すまん、手を煩わせてしまってっ。だが大丈夫だ。ここは僕に任せて──』

 

 

ミューズ『…ディケイド…そう…貴方が例の、世界の破壊者と呼ばれる危険人物ですね!』

 

 

ディケイド『……あ?』

 

 

ユラリと身を起こし、ナイフの切っ先を突き付けながらミューズが敵意を込めた眼差しでディケイドの顔を射抜く。

 

 

いきなり自分に矛先を向けられ、心底不可解げな声を漏らしながら視線を向けるディケイドだが、ミューズは構わず両手のミューズエッジを持ち直しながら語りを続けていく。

 

 

ミューズ『このベルトと世界の壁を超える力を与えてくださった紳士の方からお話を伺っています!嘗てとある世界を破滅に追いやった挙げ句、その力を有したままあらゆる世界を滅びに誘う危険な存在であると!そのような危険人物までこの世界に居合わせていたとは、なんたる奇運なのか!』

 

 

アストレイBF『おい待てっ…!僕はともかくとして、彼への誹謗中傷まで許した覚えは──!』

 

 

アストレイGF『待ってクロノ。……オルトリンデ、その話は本当かい?君に世界を渡る力とそのベルトを与えた紳士って、もしやコートを纏った帽子の……』

 

 

ミューズ『…?何故あの方の特徴をご存知なのです?』

 

 

ディケイド『……また鳴滝の差し金か……』

 

 

不思議そうに首を傾げるミューズの反応からして間違いないと確信し、彼女を差し向けたのが鳴滝の仕業だと得心を得たディケイドは顔を逸らし、舌打ちしながら思わず毒づく。

 

 

対するミューズはそんな彼等の間に漂う雰囲気の変化に気付かず、一歩前踏み出して臨戦態勢に入った。

 

 

ミューズ『ともかく一石二鳥とはこの事です!クロノ・ハラオウンに勝つついでに、世界の敵である貴方を倒す!毎晩毎晩涙で枕を濡らす日々を送ってきたこのオルトリンデに手を差し伸べてくれたあの方への恩を返す為にも、貴方も此処で私が討伐させていただきます!』

 

 

ディケイド『チッ、まんまと利用されているとも知らずに間抜けが…!クロノ、コイツは俺がやる。お前はジッとしてろ!』

 

 

クウガ『待て零!俺も…!』

 

 

アストレイBF『ま、待つんだ二人とも!彼女は……!』

 

 

両手の刃を構えて迫るミューズを迎え撃つべく、ディケイドとクウガが同じタイミングで駆け出してミューズに同時攻撃を仕掛ける。

 

 

ディケイドは左拳を振りかざし、クウガは地を蹴って跳躍しながら右脚を突き出してキックを繰り出すが、ミューズはバックルに収まるミューズフォンの画面に触れ、表示されるアプリの一つをタップした。

 

 

ミューズ『予測AI起動』

 

 

『Predictive AI Activate』

 

 

クウガ『はぁああっっ!』

 

 

ディケイド『だぁぁっ!』

 

 

ミューズフォンから電子音声が鳴り響くも、構わずクウガの蹴りとディケイドの拳が同時に突き刺さろうと迫る。

 

 

が、ミューズはクウガの蹴りを身体の向きを変えるだけで避けつつ、クウガの攻撃が対応された後の隙を突こうとしたディケイドの拳を軽々と捌きながらその背中に視線すら向けないまま裏回し蹴りを打ち込んで怯ませた。

 

 

更に体勢を立て直して前後から攻め込もうとした二人の動きを先んじて封じるかのように電磁ワイヤーで括り付けたミューズエッジを手放し、二本のナイフをワイヤーで振り回す軌道の読めない斬撃をディケイドとクウガに叩き込んでいく。

 

 

クウガ『ぐうっ!?な、なんだ!?動きが読まれてる!?』

 

 

ディケイド『っ!AIを使った予測演算か…!』

 

 

ミューズ『おや。意外にも早く種を見破られてしまいましたか。しかしえぇ、その通り!このオルトリンデには貴方達の次の一手が正に手に取るように分かるのです!生半可な覚悟では打ち倒せないと覚悟して頂きた──』

 

 

―バシュウゥッ!―

 

 

恍恍惚惚と高らかに自身の能力をひけらかすミューズの後頭部に目掛け、緑色のビームが飛来して直撃し掛ける。

 

 

しかし、ミューズはそれも読んでいるかのような軽い身のこなしで振り返りながら右手に握るミューズエッジで容易く弾き、顔を上げて見据えた先には、ビームライフルの銃口をミューズに向けるアストレイGFの姿があった。

 

 

アストレイBF『ユーノ…!』

 

 

ミューズ『これはまた意外。貴方は以前、クロノさんから私との戦いに介入しないようにと言い付けられていた筈ですが?』

 

 

アストレイGF『僕が同意したのは君とクロノの一騎打ちにだけ、という話だ。君が零を手に掛けるつもりなら、それに従う道理はないよ!』

 

 

ハッキリと断言しながらビームライフルを再度発射するアストレイGFの射撃をミューズエッジで再び弾き、其処へ立て直したクウガが真っ先に飛び掛かって再度不意打ちを仕掛けるも、ミューズはクウガの拳をいなしながらその背中に強烈な肘打ちを叩き込んで真下に倒れたクウガの背中を踏み付けて動きを封じる。

 

 

そんなミューズの背後からディケイドがライドブッカーソードモードを横殴りに叩き込むが、ミューズは身体を大きく逸らして鼻先ギリギリでライドブッカーの刃をかわしつつ、バックルから外したミューズフォンを銃形態に切りかえ、即座に身を捻じるように体勢を立て直しながらディケイドの胸部に突きつけた銃口から容赦なく銃弾の雨を浴びせていく。

 

 

ディケイド『グッ!好き勝手してくれる…!ならコイツだ!』

 

 

『KAMENRIDE:FAIZ!』

 

 

胸を押えて後退りし、忌々しげに舌打ちしながら左腰に戻したライドブッカーから取り出したカードをバックルへと装填し、全身に赤いラインが駆け巡って仮面ライダーファイズに変身したディケイドは右手に出現したファイズエッジを振りかざしてミューズに斬り掛かる。

 

 

―ガギィイイッッ!―

 

 

ミューズ『むむ。姿を変えるとは珍妙な!』

 

 

Dファイズ『悪質なストーカーに奇怪呼ばわりされる筋合いはねえよ!』

 

 

アストレイGF『零!』

 

 

目まぐるしい体術を交えて激しい剣戟を繰り広げるDファイズとミューズの横から、アストレイGFが再度ビームライフルを連射して援護に入る。

 

 

しかしそれもAIで予測済みなのか、ミューズは片手間に右手に握るミューズエッジでビームを跳ね除けながらDファイズが繰り出す拳を絡め取り、そのままアストレイGFに投げ付けて二人をぶつけ合わせると、バックルのミューズフォンの画面上のアプリを一つタップする。

 

 

『Exceed Charge!』

 

 

ミューズ『ふっ!』

 

 

―バシュゥウウッ!―

 

 

Dファイズ『っ!!何…!?』

 

 

電子音声が鳴り終わるより先に左手のナイフをミューズが投擲する。瞬間、ナイフは身を起こそうとしたDファイズの背中に青いポイントマーカーとなって突き刺さり、身動きが取れなくなって動揺するDファイズに目掛けてミューズが地を蹴って跳躍し、残る右手のミューズエッジを振り上げながら必殺の一撃を叩き込もうと迫るが、

 

 

クウガ『させるかぁっ!』

 

 

―ガバァッ!―

 

 

ミューズ『…ぐぅ!?』

 

 

アストレイBF『はぁああッッ!』

 

 

上空のミューズに戦線復帰したクウガが飛び掛かり、そのままミューズを地上へ引きずり下ろして必殺技を無理矢理キャンセルさせたのである。更にDファイズを拘束するポイントマーカーをアストレイBFが背中から引き抜いたビームサーベルで叩き壊して拘束を解き、解放されて元の姿に戻っていくディケイドの元にアストレイGFとアストレイBF、クウガが後退し集まっていく。

 

 

アストレイGF『零…!無事かい!?』

 

 

ディケイド『っ……悪いお前等、助かったっ……』

 

 

アストレイBF『君が無事ならそれでいい。……オルトリンデっ。これ以上事を大きくするつもりなら、僕ももう容赦はしてやれない。これが最後の忠告だ。大人しく自分の世界に帰れ。それが聞けないなら……』

 

 

ミューズ『申し訳ありませんが無理な相談です!このオルトリンデ、一世一代の我儘を叶えて頂いた恩義があります!その恩を仇で返すとあっては一生の恥!貴方こそ、何故そのような危険人物を庇うのです!?彼は世界を滅びに導く世界の破壊者などと呼ばれる者なのに!』

 

 

ディケイド『…………』

 

 

理解が出来ないと、ディケイドを守ろうとするアストレイBFの意図が読めずに困惑を浮かべるミューズの言葉に、ディケイドは何も言い返せず無言のまま目を逸らして俯いてしまう。

 

 

しかし、その問いを前にアストレイBFは言い淀む素振りすら見せず、ビームサーベルの切っ先をミューズに突き付けて真剣な眼差しと共に告げる。

 

 

アストレイBF『彼がそんな事をする人間ではないと知って、今でも信じているからだ。君の方こそ、そんな得体の知れない男の甘言に乗せられてどうする!いい加減に目を覚すんだ、オルトリンデ!』

 

 

ミューズ『……幾度目かも分からない忠告、痛み入ります。ただこのオルトリンデ、一度心に誓った決意を途中で折り曲げる事は出来ません!このオルトリンデを止めたければ、どうか完膚なきまでに叩きのして頂く他ありません!』

 

 

やはりアストレイBFからの説得を聞き入れず、ミューズは猪突猛進に両手のミューズエッジを構えて疾走し、アストレイBFに向けて再び襲い掛かる。

 

 

それで最早話し合いは通じないと漸く思い知ったアストレイBFもすぐさまビームサーベルを構え迎撃態勢を取る中、ディケイドが即座に左腰のライドブッカーからカードを一枚取り出してディケイドライバーのバックルに装填し、両手でサイドハンドルをスライドさせる。

 

 

『FINALFORMRIDE:KU·KU·KU·KUUGA!』

 

 

ディケイド『優矢!俺達で奴の対策を考える!時間稼ぎを頼んだ!』

 

 

クウガ『っ、わかっ、たァッ!』

 

 

電子音声と共に、クウガがその場で超絶変形してクウガゴウラムにその姿を変え、背中の羽根を羽ばたけてローリングで宙を舞いながら猛スピードでミューズに突撃して体当たりをかまし、そのまま何度も空を舞ってミューズに突撃を繰り返していく。

 

 

ミューズ『ぐぅっ!?なんとも珍妙な!!』

 

 

『はぁああああっっ!!』

 

 

ディケイド『今の内か……。クロノ、奴のAI予測の射程範囲、最大で捕捉出来るのは何人までだ?六度も戦って勝ってるんなら何かしらの突破口はあるんだろ?』

 

 

アストレイBF『……僕の所感で言えば、予測範囲は全方位。射程距離は少なくとも半径10メートルまで届く。最大捕捉人数は君とユーノと優矢君との戦いからして、三人以上の行動パターンを捉えて予測出来ると考えられる』

 

 

アストレイGF『僕も二人の勝負を立ち会い人としてずっと観察してたけど、彼女の実力も合わさってあの予測演算にはほぼ隙がない。ただ、あくまであれは予測の範疇だ。未来予知の域に達してはいない。つまり、』

 

 

ディケイド『……なるほどな。大体分かった』

 

 

二人の短い説明から何かを掴んだのか、ディケイドは小さな頷きと共に身を起こし、左腰のライドブッカーを開いて一枚のカードを取り出して構えながらアストレイBFとアストレイGFに視線を向ける。

 

 

ディケイド『パターンΙ(イオタ)だ。ガキの頃に一度だけ使ったフォーメーションだが、体はまだ覚えてるだろ?前は俺とユーノでいく』

 

 

アストレイBF『ああ。……ああ?いやちょっと待て!その陣形だと君が──!』

 

 

ディケイド『言ってる場合か!即断即決で決めにいくぞ!』

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

アストレイBFの抗議の声を遮り、バックルにカードをセットしなからガンモードに展開したライドブッカーの銃口をミューズの周辺に向けて分身する弾を即座に乱射する。そのあまりの数にミューズの周辺にたちまち煙幕が立ち上り、あっという間にミューズの四方が視界不良の煙に覆われていった。

 

 

ミューズ『っ、煙幕?こんな小賢しい真似で何が──』

 

 

『FOMARIDE:FAIZ!AXEL!』

 

 

ミューズ『…!?』

 

 

意図が読めないディケイドの行動に困惑するミューズの耳に、電子音声が届いてソレが聞こえてきた方に振り返る。

 

 

其処には煙の向こうから、正面から突っ切って突撃してくる仮面ライダーファイズ・アクセルフォームにフォームライドしたディケイドの姿があった。

 

 

ミューズ『また姿を変えましたか。この隙に乗じたようですが、バックルからの音で居場所がバレバレですよ!』

 

 

『Predictive AI Activate』

 

 

せっかく煙幕を撒いたのに電子音声で居場所をバラした上に、馬鹿正直に正面から突っ込んでくるDファイズを見て滑稽だとほくそ笑み、バックルに収まるミューズフォンのアプリを軽くタップして再び予測AIを起動する。

 

 

瞬間、ミューズを中心に全方位に向けて青色の予測シュミレーションのフィールドが展開され、Dファイズを補足し、彼が自身の左腕に巻いたファイズアクセルを起動して超速度で真上へ跳躍する姿を予測した。

 

 

ミューズ『目眩しで姿を隠した上で、更に姿を消す算段を立てていたようですね?ですがそんな小細工!このオルトリンデに通用はしな──』

 

 

『EXCEED CHARGE!』

 

 

ミューズ『……!?』

 

 

ミューズの勝利を確信した声を遮り、電子音声が再度響く。しかしそれは目の前のDファイズの物ではなく、自分がクロノと対決した際に幾度となく耳にした聞きなれた音声。

 

 

直後、ミューズから見てDファイズの真後ろから斜め左にアストレイGFが勢いよく飛び出し、その両手にいつの間にか握られているツインソードライフルの銃口がミューズを捉えてトリガーを引く。

 

 

ミューズは一瞬動揺こそしたものの、瞬時に左手に握るミューズエッジで銃弾を弾こうとするが、銃弾はミューズエッジの刃に触れた瞬間に緑色のポイントマーカーに展開し、凄まじい拘束力で武器を持つ左腕ごとミューズをその場に釘付けにしていった。

 

 

ミューズ『ぐッ!これくらい、まだ……!!』

 

 

左腕が封じられたが、右腕は未だ健在。直撃を免れた右半身を必死に動かすが、その動きは目に見えて鈍く。それよりも速くDファイズの指が左腕のファイズアクセルのボタンに伸びる。

 

 

DファイズAX『お前の予測を超えてやる、10秒だけな…!』

 

 

『Start Up!』

 

 

音を置き去りに、電子音声が鳴り終わるより先にDファイズの影がブレて真上へ伸びて消える。ミューズはその影に向けて右手のミューズエッジを投擲しようとするが、Dファイズが消えた直ぐ真後ろに隠れる人影……全身にバズーカやミサイルポッドを装備したフルウェポンにいつの間にか姿を変えたアストレイBFが視界に飛び込んできた。

 

 

ミューズ『クロノさ──!?』

 

 

Dファイズを仕留めるこのナイフを放てば、彼に当たる恐れがある。必殺の一撃に躊躇が走り、ミューズの指が反射的に鈍る。アストレイBFはその隙を見逃さず、右手に握るビームライフルの引き金を引き、全身の銃口から一斉に放たれた閃光がミューズの体中に青いポイントマーカーと化して突き刺さり、ミューズの動きをより強く縛り封じていく。

 

 

ミューズ『しまっ、ぐぅううっ!?し、しかしっ、この程度ではまだ…!!』

 

 

無数の青と緑のポイントマーカーをこれでもかと刻み込まれ、最早一歩どころか足の爪先さえ動かせないミューズだが、アストレイBFに動きを封じられる前に思い掛けずに引いた右腕の人差し指が、辛うじてバックルのミューズフォンの画面に触れられる位置にある。

 

 

この拘束を解くべく、小刻みに指を震わせながらバックル部分のスマホに右腕を強引に持っていこうとするも、突然の銃撃音と共に、その右腕が大きく仰け反るように弾かれた。

 

 

ミューズ『あぅううっ!!?な、ナニ?!』

 

 

不意の激痛に顔を酷く歪ませながら、ミューズは視線だけを動かし、どうにか目で捉える事が出来た自分の右腕を撃った銃弾が飛来してきた方を視る。

 

 

其処には裏路地の出入り口前にて、ミューズにドライバーの銃口を突き付けながら悠々と佇む大輝が変身したディエンドの姿があった。

 

 

ディエンド『勝手に彼等を始末しないでくれるかい?ラーメンの勘定がまだなんだ。このまま食い逃げされるのは御免被る』

 

 

ミューズ『いや何処のどなたですかアナタァああ!!?』

 

 

『FINALATTACKRIDE:FA・FA・FA・FAIZ!』

 

 

心底うんざりした声音で溜め息を漏らすディエンドの登場に、脳内を疑問符で埋め尽くしたミューズの腹の底からの悲鳴が上がるのと同時に、駄目押しと言わんばかりに複数の赤いポイントマーカーがミューズの頭上に展開されていく。

 

 

其れを合図に、アストレイGFがツインソードライフルの斧を振り上げて地を蹴り、Dファイズが赤いポイントマーカーを目にも止まらぬ早さで次々に突き抜け、アストレイBFの全身の銃口から光が激しく弾けた。

 

 

『three…』

 

 

アストレイGF『これでぇぇえええっっ!!』

 

 

『two…』

 

 

DファイズAX『だぁぁああああっっ!!』

 

 

『One…』

 

 

アストレイBF『フル、バーストォッ!!』

 

 

ミューズ『こ、こんな…こんなご無体なぁぁぁぁあああああーーーーーーーーっっっ!!!!?』

 

 

『Time out!』

 

 

緑と赤と青の閃光が壮烈に入り乱れ、ミューズの己の悲運を呪うような絶叫が響き渡る。

 

 

しかしそれも耳を劈く爆発音に飲まれて消え入り、後には斧を振り下ろしたアストレイGFと元の姿に戻ったディケイドが爆炎を背に光から姿を現し、徐に武器を下ろすアストレイBFが勝者として佇んでいたのだった。

 

 

 

 

 

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