仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第二十三章/『なのは』の世界⑤

 

 

シグナム「──着いたな」

 

 

ヴィータ「ああ。しっかし、まさかまた此処へコイツと一緒に来られる日が来るなんてなぁー……」

 

 

リインフォース「────」

 

 

海鳴市の街並みを一望出来る、臨海公園。

 

 

あの日──冷たくも暖かな白い雪が降り積もる雪下の元、八神はやてとリインフォースが切なき哀しく、そして、はやて達が此処から先の未来を歩む新たな決意を固める決心のきっかけとなった、ここにいる皆の記憶に深く根付いた思い入れ深い場所。

 

 

ヴァイスリッターの面々は別行動を取る事となったはやてから、「リインフォースにもう一度あの公園を見せてあげたい」という頼みで彼女の代わりを引き受け、思い出の場所であるこの公園にリインフォースを乗せた車椅子を引き、今は晴れかな青空の下に広がる海鳴市の街並みを共に眺めていた。

 

 

ザフィーラ「しかし、こうして実際に足を運んでみると中々感慨深いものだ……」

 

 

シャマル「ええ。ただ出来れば、はやてちゃんも一緒に来られたらもっと良かったのだけれど」

 

 

映紀「──悪かったなー。同行したのがあの嬢ちゃんじゃなくて、俺なんかでよー……」

 

 

明らさまに残念そうな素振りを見せるザフィーラとシャマル、彼女と同様の反応を示すシグナムとヴィータ。そんな四人の様子を少し離れた場所から気まずげに見守って愚痴を垂れるのは、後頭部に両腕を回しながら不服げに口先を尖らせる映紀であった。

 

 

その台詞を聞き、ヴァイスリッターは一斉に振り返って映紀に苦笑いを浮かべながら首を横に振った。

 

 

ヴィータ「別にンな事一ミリも思っちゃいねーよ。寧ろ感謝してるぐらいなんだぜ?お前には」

 

 

シグナム「そうだな。お前がたまたま栄次郎殿への野菜を届けに来てくれた上、私達の護衛として付いてきてくれたおかげで此処まで来る事が出来た。心より感謝してる」

 

 

映紀「む、ぅう……まあ其処までストレートに感謝されちゃあ、俺様も無下にする気はねえけどよぉ……」

 

 

シャマル「ふふ。そう意心地悪そうにしないで映紀君。私達はまだ魔法が使えないし、護衛に付いてきてくれて彼女も感謝していると思うわ。……ね?」

 

 

リインフォース「────」

 

 

不満げに口先を尖らせる映紀の反応に苦笑しつつ、シャマルは車椅子の上で瞼を閉じるリインフォースの顔を覗き込みながら彼女の肩に掛けられたカーディガンの位置を直していく。

 

 

他の面々はそんな二人の様子を暖かい眼差しで見守っていたが、ザフィーラがふと物憂げな眼差しを海鳴市の街並みの方に向けて口を開いた。

 

 

ザフィーラ「それにしても、主達の調査は順調に進んでいるのだろうか……。此処が本当に我々の世界であるという確証をあちらで何か見つけていられればいいが……」

 

 

ヴィータ「零が最初に言ってた心配事か?まああたし等も一応ここへ来るまでの道中で、軽く聞き込みとかしてみたけどよ…」

 

 

シグナム「収穫としてはこれと言って…ああ、いや、誰も滅びの現象が起きた事を記憶していない、という事実は分かったが…」

 

 

顎に手を添え、シグナムは此処に辿り着くまでの記憶を思い返しながら唸る。

 

 

映紀の同行もあって町で自由に行き来が出来、それなりの人数の町の住人からあの滅びの現象の日を記憶してるか聞き回る事が出来た。

 

 

ただ成果は乏しく、あの日に起きた出来事を覚えている人間は誰もおらず、寧ろそんな質問を掛けてきた彼女達に怪訝な反応を返す者達ばかりだった。

 

 

シグナム「軽く見て回ってみた所感だが、見たところ我々の知る海鳴市と変わりはないようだ。が、今の状況ではそのいつも通り(・・・・・)が逆に可笑しく感じてしまう…」

 

 

シャマル「ええ…ミッドで起きた異常がこの町でも発生してた事はすずかちゃんとアリサちゃんから聞かされていたし、あんな大惨事を誰一人覚えていないだなんて、そんな事が有り得るのかしら…」

 

 

何せあれだけの異変だったのだ。零が以前雷牙の世界を破壊してしまった事をリィル・アルテスタの介入によって誰も知覚していなかった時のように、何らかの作用や修正が働いているのならともかく、仮に同様の手段が用いられているのだとしても、それは何によって(・・・・・)、或いは誰の手によって(・・・・・・・)それが成されたのか。

 

 

それすら分からない不可解な部分が多い現状、これまで巡ってきた多くの世界での経験も合わさって零がこの世界に対して不信感を覚えるのは無理もなく、彼がそう考えてしまう気持ちはシグナム達も理解を示していた。

 

 

ヴィータ「はぁ……けどまあ、あたし等の方で異変らしい異変は見付からなかった訳だし、とりあえず零かなのは達にも一報いれとくべきか?」

 

 

シャマル「そうね。もしかすると向こうで何か異変を見つけている可能性もあるし、一先ず報告も兼ねて連絡を……」

 

 

映紀「んお?なんだ、他の連中と合流すんのか?だったら俺様に任せておきな!俺様の世界の壁を超える力を応用すりゃ一気にアイツ等んとこにひとっ飛びだぜ!」

 

 

ザフィーラ「ほう?それはまた便利だな」

 

 

シグナム「ではすまないが、頼んでもいいか?移動の手間が省けるのはこちらとしても助かる」

 

 

映紀「おうよ任せとけ。んじゃまあ、先にあの嬢ちゃん達んとこにでも跳んで合流するとしますかねぇ」

 

 

守護騎士達から頼みを即諾し、映紀は早速銀色のオーロラを顕現させてなのは達の元に跳ぼうと、右腕を中空に掲げていく。だが……

 

 

映紀「…………。ん?あれ……なんだ、これ?」

 

 

ザフィーラ「?どうした?」

 

 

映紀「い、いや、わかんねぇ……どういう事だ……?世界の壁を超える力が、使えねぇ……?」

 

 

シグナム「なに…?」

 

 

映紀は自分の手と、銀色のオーロラが出現しない目の前の景色を交互に見て困惑を露わに動揺を隠せずにいる。

 

 

その様子に守護騎士達も怪訝な眼差しを向ける中、映紀はもう一度、更にもう一度と目の前に手を突き出し銀色のオーロラを出現させようと試みるも、結果は先程と変わらず、映紀の前にオーロラが現れる事はやはりなかった。

 

 

映紀「な、なんだこりゃっ…?何で急に力が使えなくなって……?」

 

 

ヴィータ「お、おいどうしたんだよ?」

 

 

シャマル「力が使えなくなってって…まさか、世界の壁を超える力を無くしてしまったの…!?」

 

 

映紀「だ、だから分かんねぇって!くそっ、何なんだこりゃ……!どうなってやがる?!」

 

 

んギギギギギッ……!と、両腕を前に突き出しながら全身に力を込めて何とか銀色のオーロラを出そうとする映紀だが、一向に何かが起こる気配は見られない。

 

 

やがてこれ以上何をしても無駄だと彼自身も悟ったか、映紀は肩から脱力してグッタリとし、怪訝に眉を顰めて自身の両手を交互に見つめていく。

 

 

映紀「クッソッ…何だよこれっ?何だって急に、こんなっ…?」

 

 

ザフィーラ「……もしや、コレも滅びの現象の影響か……?」

 

 

ヴィータ「ま、待てよ、そっちは零が九つの世界を回り終えてんだからもう心配ねえ筈だろ?!……ハズ、だよな……?」

 

 

シグナム「……寧ろ高岡の身に今降り掛かっている異変を目の当たりした今、順風満帆に全てが解決したとは言い切れなくなってきたな……」

 

 

シャマル「零君の言ってた疑念がますます確信に満ちてきたって感じね……とにかく今ははやてちゃん達にも早く連絡しましょう。この世界、やっぱり何処かが可笑しいわ…!」

 

 

思わぬ形でこの世界に戻ってきてからの最初の異変を発見し、急ぎ別行動中のはやて達にこの事を伝えようとシャマルが懐から自分の携帯を取り出して連絡を取ろうとした、その時だった……

 

 

 

 

『Clock Over!』

 

 

 

 

シャマル「───っ!?えっ……?」

 

 

 

 

不意打ちに何処からともなく鳴り響いた電子音声。音声が鳴り終えた直後、シャマルの手に握られていた携帯が何故か一瞬で手元から消え去ってしまったのである。

 

 

急な事態にシャマルは一瞬呆気に取られた後、すぐさま正気に戻って慌てて自分の身体を弄り携帯を探すも、そんな彼女の慌てっぷりを見てケラケラとした笑い声が何処からともなく聞こえてきた。

 

 

『ざぁーんねん。お仲間さん達への連絡は禁止っすよ。このタイミングでオタクらに情報交換されると、こっちも流石に都合が悪いンでねぇー?』

 

 

ザフィーラ「!」

 

 

シグナム「貴様は……!」

 

 

そんな飄々とした声が聞こえてきたのは公園の出入り口の前。其処にはカブトムシをモチーフとした黒いライダー……仮面ライダーダークカブトが悠々と佇む姿があり、更に見せびらかすかのように掲げて上げる右手の中には、複数の携帯……シグナム達全員分の携帯がいつの間にか握られていた。

 

 

映紀「異世界のダークライダー…!?なんでテメェこんなとこにいやがる!?」

 

 

ダークカブト『そりゃこっちの台詞っすよ。部外者はお呼びでねぇってのに…。ったく、色んな世界を巡ってきたついでに、随分と愉快なお仲間を増やしてきたみたいっすねー?おかげさまでこっちは一息吐くヒマもないっすよ』

 

 

ヤレヤレと、ダークカブトは首を横に振りながら疲れた溜め息を吐いて奪ったシグナム達の携帯を懐に仕舞うと、入れ替わりにクナイガンを取り出して何処かやる気なさげに刀身を眺めていき、そんなダークカブトを前に映紀はシグナム達を庇うようにして立ち塞がりながらディスパランサーを抜き取って構える。

 

 

映紀「俺様が力を使えなくなったのはテメェの仕業か!?一体どうやっ──いや、それ以前に何が目的だ!?」

 

 

ダークカブト『その手の質問で律儀に答える奴とかいるんすか?……ま、でも一つだけ教えてあげるんだとしたら、其処のお嬢さん方には一切手を出す気はないって約束するっすよ?俺が用があんのは部外者のディスパー、アンタだけなんでね』

 

 

シャマル「…映紀君、だけ…?」

 

 

どういう事だと、シグナム達の目線が映紀の背中とダークカブトに交互に向けられる。しかしダークカブトはそんな彼女達の反応も他所に、両手をヒラヒラさせながら戯けるような口調で言葉を続ける。

 

 

ダークカブト『まあそんな訳なんで、ディスパーさん以外は見逃してあげるっすよ。……ああ、没収した携帯なら後でおたくらが寝床にしてる写真館に送っとくんで安心してくださいな。俺、案外そーゆーとこ優しいんで♪』

 

 

ヴィータ「っ、テメェふざけんのも大概に──!」

 

 

シグナム「ヴィータ」

 

 

何処までも人をおちょくるようなダークカブトの言い草にいい加減に苛立ちが勝って身を乗り出そうとするヴィータを、シグナムが横から腕を伸ばして制止する。

 

 

ヴィータはそんなシグナムの真剣な眼差しと暫し視線を交わした後、顔を逸らして軽く舌打ちし、それで彼女が落ち着きを取り戻したと受け取ったシグナムは映紀の背に視線を戻す。

 

 

シグナム「高岡、すまんが此処は任せていいか。我々は一刻も早くこの件を主はやて達に……」

 

 

映紀「わーってる……!俺も適当にヤツの相手してから合流すっからよ!」

 

 

シグナム「助かる。……シャマル、ザフィーラ!すまないが車椅子を!彼女は私が!」

 

 

ザフィーラ「承知した!」

 

 

シャマル「ええ!急ぎましょう!」

 

 

短いやり取りを終えてすぐに、シグナムはリインフォースを車椅子から抱き抱え、シャマルはザフィーラの力を借りながら車椅子を畳んで抱えると、急いで他の仲間達と合流すべくダークカブトが立ち塞がる公園の入り口に向かって走り出す。

 

 

するとダークカブトは特に阻む素振りすら見せず、身体を横にズラしてそのままシグナム達を通して黙って見逃し、そのまま映紀と対峙し直しながら手の中のクナイガンをクルクル回していく。

 

 

ダークカブト『さて、と。邪魔者も退散してくれたようですし、そろそろ始めましょうかねー?招かれざる客の駆除って奴を』

 

 

映紀「へっ、言ってくれるじゃねえーかよ……!そんなに俺様が此処にいるのが都合悪いってのかぁ?」

 

 

ダークカブト『そりゃー勿論。本来ならディケイド達がこの世界に戻ってきた時点で、此処は完全に閉じた世界(・・・・・)になる予定だったんすよ?なのに外界との遮断が閉じ切る前に入ってこられるとか、俺らからしたら害虫もいいとこなんすよ、アンタ』

 

 

映紀「ひとを捕まえて害虫呼ばわりしてんじゃねえよ!鏡見ろ顔面虫野郎!」

 

 

ダークカブト『うぉっと?これは一本取られましたなぁ〜。中々口が上手いお方で気が合いそうっすわ。……でもまあ』

 

 

『Clock Up!』

 

 

ハハッと、首を揺らして可笑しそうに笑いながら、ダークカブトはベルトの右腰部のスラップスイッチを弾くように叩いてクロックアップを発動し、超速度で一気に映紀に接近しながら彼の首を掴み、そのまま公園の柵に思いきり叩き付けた。

 

 

『Clock Over!』

 

 

映紀「──がふっっ!?ぐ、ぁ……て、めぇっっ……!!」

 

 

ダークカブト『……残念ながら、お近づきになる機会ももうないんですわ。あと少しでこの世界の主(・・・・・・)が決まる。そうなったらもう、おたくが何を喚こうが後の祭りなんでね』

 

 

映紀「っ…!さっきから、ワケ分かんねえ事ほざいてんじゃねぇ!」

 

 

『KAMENRIDE:DISPAR!』

 

 

ダークカブトに首を絞め上げられて苦悶の顔を浮かべながらも、映紀はディスパランサーにカードを装填してディスパーに変身しながらダークカブトの腕を力づくで振り払い、そのまま槍を突き出して攻撃を仕かけるも、ダークカブトは軽い身のこなしで槍を避けるように後ろへ後退し、クナイガンを利き手の方に持ち替えて肩を竦めた。

 

 

ダークカブト『先に断っときますけど、俺ァ目的の為なら気に入った相手でも容赦しないタチなんでね。楽な死に方したいんなら、抵抗せずに首を差し出してくれれば一刺しで終わらせてやりますよ?こう見えて刃物の扱いは得意なんでね。大丈夫、俺にやらせりゃ痛みを感じる事なく即効で逝けますから』

 

 

ディスパー『るっせぇっ…!誰がテメェなんぞにやられっかよ!!』

 

 

クナイガンの刃を撫でながら、猟奇的な発言を口にするダークカブトに嫌悪感を露わにディスパランサーを構え、一息で距離を詰めてダークカブトに突きを繰り出すディスパー。

 

 

対するダークカブトは上半身を僅かに後ろに反って刺突をかわし、下から突き上げたクナイガンでディスパランサーを上へ弾きながら、手の中で回転させたクナイガンの刃をそのままディスパーに向けて突き出す。

 

 

しかしディスパーも槍を弾かれ崩された姿勢のまま強引に左脚を振り上げてダークカブトの腕を蹴り払いつつ距離を取り、二人は互いに睨み合いながら円を描くように立ち回った末、再びお互いの得物を構えて激突していくのであった。

 

 

 

 

 

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