仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―???の世界―
とある世界の何処かにある廃棄ビルの地下。そこには薄暗い研究施設が広がっており、その施設にある一つの大きな部屋。そこには、生命ポットらしきものが複数立ち並び不気味な光を輝かせていた。そんな場所に一人の少女……あの魔界城の世界でなのは達から免れたクアットロの姿があった。
クアットロ「……それで、ドクターとトーレ姉様の回収は終わったのかしら?」
『ハッ、お二人の回収は無事終了いたしました!ですが、ロードの傷があまりにも深刻でしたので、今現在メディカルルームで治療を受け、ウーノ様は奴らからの追跡を振り切れたのか確認を、トーレ様はお身体に不具合が起きた為、今現在調整を受けておられます』
クアットロ「分かったわ…引き続き警戒体制を整えておきなさい。奴らが再び現れる可能性が消えたワケではありませんからね。いつでも出撃出来るようにしておきなさい」
『ハッ!』
そうして通信を終えると、クアットロは頭を抱えて脳裏にある人物達を思い浮かべる。それはあの忌まわしきライダー達となのは、そしてディケイドに変身するあの男の姿だ。
クアットロ「クッ…なんて事…ッ!この私が、一度ならず二度までも…あんな虫けら共にコケにされるなんて…ッ!」
彼等の事を思い出すだけで、クアットロの表情は怒りに染まり、悔しさのあまり下唇を噛み締め電子器具を何度も殴りつけていた。そんな時…
「……落ち着きなさいクアットロ。今はディケイド達の事よりも、奴らの追跡から逃れる事を最優先に考えないといけないわ。ドクターは何としても、私達の手で守らないと」
不意に部屋の扉が開き一人の女性が部屋の中に入って来て錯乱しているクアットロを落ち着かせた。腰まである金髪の髪に蟲惑的な顔立ちをした女性……それはJS事件の際、地上本部で騎士ゼストの槍により死んだハズの彼女だったのだ。
クアットロ「……そうでしたね。申し訳ありません、"ドゥーエ"姉様。まだ姉様も調整などが終わっていないというのに、私を助ける為に無理をなさって…」
ドゥーエ「別に気にする事はないわ。貴女は私の大事な妹ですもの…助けるのは当然でしょ?」
そう、彼女の正体はナンバーズのNo.2、JS事件の時に死んだハズの"ドゥーエ"だった。そしてあの時、トランスの放ったガイアクラッシャーからクワットロを救ったのも彼女だったのだ。クアットロはその事に対し申し訳なさそうに謝るが、ドゥーエは特に気にした様子は見せなかった。
クアットロ「そう言って頂けると助かります。ところで…姉様が生き返ってからもう一週間が経ちますが、身体の調子はどうですか?」
ドゥーエ「ええ、何の問題もないわ。レジェンドルガの力が思ったより良く働いてくれてるおかげか、身体の方も以前と同じくらいにまで回復したから」
身体の調子を尋ねてくるクアットロにドゥーエは手首などを軽く動かしながらそう告げた。
ドゥーエ「取りあえず、私も現場の指揮を取るわ。残ったレジェンドルガ達も少ないし、トーレも今はまともに戦う事が出来ないから、私が代わりに戦わないとね」
クアットロ「…わかりました。それではお願いしますね。…あぁそれと、もしもの時の為にトーレ姉様の所にいるキバットちゃんも連れて行ってください。必ず姉様のお力になると思いますので」
ドゥーエ「分かったわ。なら有り難く使わせてもらうわね……あ、そうだ。忘れる所だったわ」
ドゥーエは何かを思い出したように懐から何か…半壊したアークキバットを取り出し、それをクアットロに向けて投げ渡した。
ドゥーエ「その子の修理もお願いね。ドクターの夢を叶える為にもその子の力は必要不可欠なんだから。それじゃあ、後の事は頼んだわよ」
ドゥーエはそれだけを告げるとトーレの下にいるアースキバットを迎えにいく為に部屋を出ていった。そして、部屋に一人残されたクアットロは…
クアットロ「……ふふふっ…ええ、任せてください。今度こそ…あの虫けら達を消し去る為に……その為にキバットちゃん?貴方の力を貸してもらうわよ…」
部屋に残されたクアットロは手の中にあるアークキバットを見下ろしながら不気味な笑みを浮かべていた。もしかしたら、彼等が再び零達の前に立ち塞がる時が来るかもしれないが、それはまた別の話だ……
◆◇◆
―光写真館―
零「……何だ…これは……?」
写真館へと戻って来た零達は部屋に入った瞬間、信じられないものを見たかのように目を見開き、顔を引き攣らせていた。そこには…
ウェンディ「…あっ!零!お帰りなさいッス!」
セイン「お別れはもう終わったんだよね?だったら早く次の世界に行こうよ!」
ノーヴェ「おい!うるせぇぞ二人共!もうちっと静かに食え!」
チンク「そういうお前も少し落ち着けノーヴェ。ウェンディ、セイン、お前達ももう少し静かにしろ」
『はーい(ッス)…』
ディエチ「零達もおいでよ。栄さんの作ったケーキ、凄く美味しいよ?」
零「……何の悪夢だ…これは…」
零達が部屋の中に入ると、そこには先程までいなかった筈のナンバーズ達がテーブルに付いて呑気にケーキを食べていたのだ。しかもヴィータまで一緒にだ。何故彼女達がここに?と一瞬疑問を感じたが、すぐにその原因に気づき、その原因と思われる人物…ウェンディとセインに挟まれてテーブルに座り、栄次郎の作ったケーキを頬張るヴィヴィオに視線を向けた。
なのは「ヴィ、ヴィヴィオ…?まさかお姉ちゃん達をこの携帯から出したのって…ヴィヴィオ?」
ヴィヴィオ「うん!」
テーブルに置かれていたKナンバーを手に取って問いかけるなのはに笑顔で正直に答えるヴィヴィオ。それを聞いた零はガンッと柱に頭を付けながら深いため息を吐いた。
優矢「いや~すっごい大人数だなぁ…あの人達もお前の仲間なんだろ?」
零「……ああ……まあな……だが……最悪だぁ。よりにもよって全員が出て来るなんて…余計にうるさい奴等が増えたぞ…」
なのは「ま、まあまあ…そう言ったら可哀相だし、別にいいんじゃないかな?また賑やかになったって思えば」
零「お前はまだいいかもしれんがな……俺の場合だと……」
セイン「あ、零ー!座る前についでに飲み物のおかわり持ってきてー!」
ウェンディ「アタシもお願いするっス!氷もキンキンに入れて!」
零「……アイツら、俺に対する扱いが軽過ぎるんだよっ」
なのは「あー……うん、にゃはは……」
早速都合のいいパシリに扱われて頭を抱えてうなだれる零になのはが苦笑いを浮かべてしまう。するとそこへ、部屋の奥からエプロンを身につけたセッテがケーキを乗せたお盆を持って零達に近づいてきた。
セッテ「…あの…皆さんもどうですか?まだ皆さんの分のケーキが残っていますけど」
スバル「えっ?ホントに?!食べる食べる!ほらほら!ティアも零さん達も早く!」
ティアナ「ちょ、こらっ!引っ張るな!馬鹿スバル!」
ヴィータ「おーい!栄ちゃん!ケーキお代わり!」
チンク「栄次郎殿、私の方も頼む」
栄次郎「はいはい、もうちょっと待ってね~。オットーちゃん、ディードちゃん、悪いんだけどこのケーキをテーブルに運んでくれるかな?」
オットー「うん、分かった…」
ディード「では、栄次郎さんはコーヒーのお代わりをお願いしますね」
零「………あれだけの人数が増えても全く動じないとは…やっぱりただの者じゃないな、あの爺さん」
なのは「そ…そうだね」
何の戸惑いもせずに笑顔で対応しながらナンバーズ達にケーキを用意していく栄次郎を見て二人はそんな感心を抱く中、セッテが二人に近付いていく。
セッテ「あの…お二人もどうですか?もし良ければ今お持ちしますが…」
零「ん?あぁいや、俺は今大丈夫だ…それよりもセッテ。本当によかったのか?俺達に同行しなくても幸助達とかについていった方が色々と安全だと思ったんだが…」
零は自分の隣に立つセッテにそう問いかける。実は、零達は幸助達が写真館を出る前にセッテをどうするか話し合っていたのだ。一応は幸助達の誰かと共に別の世界に行くという案もあったのだが、本人の希望で零達と共に旅に加わる事となったのだ。
セッテ「いえ…心配はいりません。これは私が決めた事ですし、それに皆さんと旅をしていればドクター達がまた現れるかもしれない…その時には恐らくトーレ姉様も一緒だと思います。だから私は……」
零「…スカリエッティ達を追ってトーレを止める為に俺達の旅に同行したい…ってワケか」
零がそう言うと、セッテはそれに答える様にゆっくりと首を振った。その瞳は、出会った時の虚ろなものとは違い決意の込められた瞳だった。それを見た零は、一瞬仕方ないといった表情を浮かべたが、すぐにそんなセッテに手を差し延べて微かに微笑んだ。
零「……分かった。お前が決めた事なら俺もこれ以上何も言わない。これからはよろしく頼む、セッテ」
セッテ「…あっ…は、はい…」
セッテは手を差し延べて来る零を見て少し頬を赤らめながらもその手を握り返した。零もそんなセッテを見て照れているんだろうと思い自然と笑みを浮かべた。のだが……
―ドガァッ!―
零「ウごァァッ!?ぐっ…な、なのは…テメェ…ッ!何しやがるいきなりッ?!」
いきなり横からなのはに肘で脇腹をど突かれ、完全に不意打ちを食らった零は若干涙目になりながら脇腹を抱えてなのはを睨みつける。
なのは「新しい女の子が増えたからってデレデレしない。鼻の下なんて伸ばしただらしない顔なんてしてたら、スバル達に示しが付かないでしょ」
零「な、何が鼻の下だ……!そんなもの伸ばしていないし、デレデレもしていない!」
なのは「嘘ばっかり…セッテに手を握られてニヤニヤしてたのは一体誰だったかな~?」
零「ニヤニヤって、あれはそんなつもりでやったんじゃない!俺は単に―――!」
セイン「あちゃ、また始まっちゃったかぁ……」
スバル「最近は全然なかったのになぁ…」
セッテ「え?え?あ、あの…」
ウェンディ「セッテ~!こっちに来た方がいいっスよ~!今のその二人の近くにいたら巻き添い喰らうハメになるっスから!」
言い争う二人にどうしたらいいのか分からず戸惑っていたセッテをウェンディが呼び寄せる。どうやら一同はこの二人の言い争いを見慣れているらしく、二人の喧嘩を静観し放っておこうとしたのだが……
優矢「ちょ、二人共!喧嘩は止せって!取りあえず落ち着けよ!」
ヴィータ「あ!ば、馬鹿!今そいつ等に関わるなって!」
そんな二人を見兼ねた優矢が二人の間に飛び出して両成敗に入ろうとする。が…
優矢「ほらほら!二人共、離れなって!なっ!ここは喧嘩両成ば―ドゴオォッ!!―ゲフッ!?」
『邪魔っ!!』
ティアナ「ゆ、優矢さぁーんッ?!」
優矢は二人の間に入ろうとした瞬間、二人に思い切り吹っ飛ばされてしまったのだ。更に…
優矢「い、いたたたたっ…な、何なんだ―ドンッ!―え…?」
―ガチャッ!パラララララララッ…パアァァァァアッ…―
チンク「ッ?!な、なんだ?!これは…?!」
ヴィヴィオ「わあ~!綺麗~!」
突き飛ばされた衝撃で優矢はそのまま背景ロールに激突してしまい、その拍子で新しい背景ロールが降りて淡い光を放っていく。そう、つまり新しい世界に着いたという意味だ。
ヴィータ「お、やっと次の世界に着いたみてぇだな」
ウェンディ「?なんスか?この絵は…?」
スバル「…バッタ…?」
現れた絵には、近未来的な夜の街並みの中心にバッタのような姿をしたライダーが首の赤いマフラーを靡かせ、背中を見せるように凛々しく佇む姿が描かれていたのだった。
零「だから何度も言わせるな!やましい気持ちなんてないと言ってるだろ!」
なのは「絶対に嘘だね!鼻の下を伸ばしてデレデレしてた人の話なんて信じられませーん!」
──因みに、この二人は未だ言い争っていた為、スバル達から話されるまで自分達が新しい世界に着いた事に全然気付けなかったらしい。
第四章/魔界城の世界(後編)END