仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―光写真館―
ティアナ「…………」
その日の夜。とりあえずこの世界での一日目を終えた一行はそれぞれの部屋で寛いでいた。そんな中、ティアナは一人写真館の外に出て玄関にある柱に背中を預け、夜風に当たっていた。と、そこへ…
零「──いい加減中に戻らないと、風邪引くぞ?」
ティアナ「!…零さん?」
不意に話し掛けられティアナは一瞬驚き振り返ると、其処には写真館の扉から両手にコーヒーを持って出て来た零の姿があった。零は手に持っていたコーヒーをティアナに手渡すと、ティアナの隣に座りコーヒーを啜る。
零「こんな所で何してたんだ?……といっても、何となく予想は付いてるけどな」
ティアナ「あ、アハハ…やっぱり、分かってましたよね……」
ティアナは溜め息混じりで話す零に向けて苦笑いを浮かべ、手に持つコーヒーを一口啜り再び話し出した。
ティアナ「まぁ…別に変な方向に思い詰めたりはしてないんですけど、やっぱり色々と気になるというか…ううん…心配っていう方が、合ってるのかな…?」
零「…………」
苦笑を浮かべたまま話すティアナの言葉を零は黙って聞く。
彼女が今何を考えているのか既に気づいている。
それは恐らく……いや、十中八九、この世界の自分についての事だろう。
滝達も話していた模擬戦……自分達の世界でも以前、ティアナとスバルがなのはとの訓練の最中に問題を起こし、確執を起こした事があった。
あの模擬戦の後に自分が一体どんな事を考え、何をしたのか…それを一番良く知っているのはティアナ自身だ。
だからこそ、気にならないというのは無理な話だろう。すると、暫く黙ってティアナの話を聞いていた零はその場から立ち上がり、近くに停めておいたディケイダーに近づいていく。
ティアナ「…?零さん…?―ヒョイッ―…わっ?!」
零は突然ディケイダーに置いておいたヘルメットをティアナに投げ渡し、もう一つのヘルメットを自分の頭に被せていく。
ティアナ「あ、あの…零さん?一体何処に…?」
零「軽いドライブだ。お前もちょっと付き合え」
ティアナ「へ…?あ…は、はい…!」
突然ドライブに付き合えと言ってきた零に少々戸惑いながらも、ティアナは渡されたヘルメットを頭に被るとディケイダーの後ろに乗り、零はティアナの搭乗を確認するとディケイダーを走らせ何処かへと向かっていった。
◆◇◆
それから数十分後。ディケイダーに乗った二人はミッドにあるとある公園へと訪れた。此処は元々人通りがない為か、あるいはただ夜中というだけか、人々が行き交う姿は余り見られなかった。その公園に到着した二人は園内にあるベンチに座り、夜空に爛々と煌めく星々を見上げていた。
ティアナ「綺麗ですねぇ…」
零「そうだな…何だかあぁいうのを見ていると、俺達の世界が恋しくなってくるな…」
ティアナ「フフ…もしかして、ホームシックですか?」
零「さぁ?どうかな…」
星空を見上げながら他愛のない話で笑い合う二人。零はティアナの笑う姿を見て再び空を仰いだ。
零「どうだ?少しは気分転換になっただろう?」
ティアナ「…え?」
零の言葉にティアナは思わず首を傾げるが、零は気にせず言葉を続けた。
零「お前が気にする事はない、とまでは言えないから…せめて、気晴らしになるんじゃないかって思ったもんだからな」
ティアナ「…あの…もしかして、私は連れ出してくれたのって…その為に?」
零「…さぁ、どうだろうな…自分でも分からん」
はぐらかすような口調で目を逸らす零。そんな彼の横顔を見つめぽかんとしていたティアナも彼の意図を察すると共に「素直じゃないな~」と吹き出してしまう。
零「まぁだが、お前が心配しなくても、滝やこの世界のなのは達が何とかしてくれるさ……ま、滝の方は若干心配が残るけどな」
ティアナ「?どうしてですか?」
零「単純な話だ。何時も無茶をしているというアイツが同じように、無茶をしたお前達に気の利いた励ましが言えると思えるか…?今ごろは、自分は一体どんな言葉を掛けたらいいんだろうかと頭を悩ませているに違いない」
ティアナ「あぁ…何となく想像出来ますね…」
この世界のティアナをどうやって励まそうかと頭を抱える滝の姿が自然と思い浮かび、少々罪悪感を感じながらも苦笑を浮かべるティアナだった。
零「まぁ、この世界のお前にはなのは達が付いているから心配はないと思うが…その為に滝が無茶をし過ぎないか少し気になってな…」
ティアナ「…確かに、あれだけの怪我を負ってまで零さんと戦った人ですから、絶対無茶をするかもしれませんね…」
零「あぁ。アイツははやて達に負担を掛けないようにしているつもりかもしれないが、それが間違いだとまだ分かっていない……自分は大切な者を失わない様に戦っているつもりかもしれないが……それが逆にはやて達から大切なものを奪う事に繋がるという事を……」
ティアナ「……零さん」
星空を見上げる零の表情は何処か寂しげで思い詰めているように見える顔だと、ティアナはそう思った。
零「……なんてな。アイツなら多分昔の俺のような過ちは犯さないだろ。何せアイツは、俺ほど命知らずの馬鹿じゃないんだからな」
ティアナ「そんな…零さんだってそんな…!」
身を乗り出して零の言葉を否定しようとするティアナだが、零はただ苦笑いを浮かべて頬を掻いているだけだった。
零「…さて…そろそろ帰るとするか。あんまり遅いとなのはの説教を喰らうハメになるからな」
ティアナ「むぅ…私の話しはまだ終わっていませんよ!」
またもや話しをはぐらかそうとする零をティアナは口を尖らせジト目で睨みつけるが、零はそれをごまかそうと苦笑いを浮かべながらベンチから立ち上がった。だが、その時……
「漸く見つけたぞ…破壊者」
『……ッ?!』
不意にその場に響いた第三者の声。零とティアナは、突然聞こえてきた声に驚きその方を見ると、其処には一人の男がこちらにゆっくりと近づいてくる姿があった。
「お前か…世界の破壊者というのは…?」
零「…誰だ…お前は…?」
男に何者か問い掛ける零だがその表情は何処か険しいものとなっていた。その原因と言えるものは、あの男から放たれる異様な雰囲気…まるで飢えた獣に出くわしたかのような感覚を思わせるそれに、零は警戒心を強めティアナを自分の後ろに下がらせた。
「…なるほど…それなりの実力は持っているようだな。あの本郷と互角に渡り合ったという噂も…どうやらただのデマではなさそうだ」
零「本郷…滝の事か?何故お前が滝の事を知っている?一体誰だ、お前は…?」
再度男に何者か問い掛ける零だが、男はただ薄く笑みを浮かべながら自分が羽織っていた上着を勢いよく広げた。すると男の腰には赤いベルトが出現し、ベルトの風車が回ると男は自分の身体に滝が纏っていた強化スーツと酷似したスーツを身に纏っていった。
ティアナ「?!か、変わった…?!」
零「滝のと同じスーツ…?…まさか…?!」
二人が男の身に纏うスーツを見て驚愕していると、男は笑みを浮かべたまま何処からかマスクとクラッシャーを取り出した。
「俺の名は…"十文字隼人"…そしてまたの名を―――」
男……"十文字 隼人"はそう言って一度言葉を途切らせると、手に持っていたマスクとクラッシャーを顔と口元に装着して別の姿へと変わっていった。
黒を強調したスーツに、首元に赤いマフラーを身につけたその姿は滝のfirstと全く同じだが、firstと比べてマスク上半分はメタリックグリーンで、鼻に当たる部分から後頭部に掛けて白く塗り分けられ顎の部分がシルバーとなっていた。
second『――またの名を、本郷と同じ規格で造られた仮面ライダー…secondだ』
零「十文字…second…だと?」
突然二人の目の前で姿を変えたライダー…『second』は、名乗りを終えると共に未だ呆然としている零達に向かって駆け出して来た。
零「ティアナ!下がれッ!」
ティアナ「え?!は、はい!」
向かって来るsecondを見て零はすぐにティアナを避難させると、secondが振りかざして来た拳をかわしながら距離を離し、上着のポケットからディケイドライバーを取り出すと腰に装着しライドブッカーからディケイドのカードを取り出した。
second『フッ!ハァッ!』
零「クッ!変身ッ!」
『KAMENRIDE:DECADE!』
立て続けに繰り出されるsecondの拳をかわしつつ、零はsecondの背後に回り込んでその背中を蹴り付けながらディケイドライバーにカードをセットするとディケイドに変身し、そのまま腰にあるライドブッカーをガンモードに変えてsecondに乱射した。
―ズガガガガガガガッ!―
second『グゥッ!…フッ、中々やるじゃないか!』
ディケイド『そんなことはどうだっていい…!お前は一体何なんだ?!ショッカーの一員なのか?!』
second『質問の多い奴だ。だが悪いな、そのどの問いにも答えるつもりはない。俺はただ…お前との戦いを楽しみたいだけだからなァ!!』
ディケイド『クッ?!取り敢えず…お前がフェイト達と同じバトルマニアって事は大体分かったぜ!』
ディケイドは毒づきながら再び迫り来るsecondに向けライドブッカーガンモードを乱射するが、secondはそれを容易く避けながらあっという間にディケイドとの距離を詰めて鋭い拳を放っていき、ディケイドはそれを避けながら少しずつ後退していく。
ティアナ「零さん!」
second『どうしたァ?!お前の力はこんなものじゃないんだろう!早くお前の力を俺に見せてみろ!!』
ディケイド『チッ!これだからバトルマニアは苦手なんだ…!早めに決着を付ける方が最善だな!」
―ドンッ!ズガガガガガガガンッ!!―
second『ウグァッ!?』
ディケイドはsecondを足蹴で吹っ飛ばしつつライドブッカーで乱射して怯ませると、左腰に戻したライドブッカーから一枚のカードを取り出しディケイドライバーに装填した。
『KAMENRIDE:KUUGA!』
電子音声と共にディケイドは徐々に姿を変えてクウガに変身し、姿を変えたDクウガは更にカードを取り出しディケイドライバーにセットした。
『FOMARIDE:KUUGA!TAITAN!』
電子音声と共にDクウガは紫のラインが入った銀色の鎧姿、タイタンフォームにフォームチェンジする。更に近くに落ちていた木の棒を持ってタイタンソードに変えると、secondに向かって斬り掛かっていく。
Dクウガ『フッ!セエァッ!ハアァッ!』
second『ウグッ!…クク…そうだこれだ…これだぞ!この高揚感!俺が求めていたのはこの感覚だぁ!!』
ティアナ「あ、あの人…零さんに追い詰められてるのに…笑ってる…?」
secondはDクウガに追い詰められているにも関わらず何故か歓喜に満ちた様子でDクウガに反撃していき、Dクウガはタイタンソードでsecondの攻撃を防ぎ一度距離を離すと、元の赤い姿…マイティフォームへと戻りながらライドブッカーからクウガのファイナルアタックライドのカードを取り出した。
Dクウガ『お楽しみのところ悪いが、そろそろ決着を付けさせてもらうぞ、十文字ッ!』
second『フッ、いいだろう…受けて立つぞッ!』
互いに睨み合いながらそう告げると、Dクウガとsecondはそれぞれ最後の攻撃の準備に入ろうとする。だが、その時……
「…待ちな」
『…ッ?!』
突然Dクウガでもsecondのものでもない声が聞こえ、その場にいた全員はその声が聞こえてきた方へと振り返った。すると其処には、公園の入口で一人佇む青年…昼間の時に零とぶつかった銀髪の青年の姿があったのだ。
Dクウガ『?アンタは……昼間の…?』
second『…何だお前は?』
突然現れた青年にDクウガは唖然とし、secondはDクウガとの戦いを邪魔された事に少々不機嫌な顔をして青年を鋭い視線で睨みつけた。そして青年は、静かに左手に持っていた機械の様な物を腹部に当てると、端からベルトが現れ青年の腰に巻き付きながら装着されていった。
ティアナ「ッ!あれは…?!」
Dクウガ『機械が…ベルトに?…まさか、アイツ?!』
ティアナとDクウガは青年が装着したベルトを見て驚愕していると、青年はそのベルトを装着した後両手を広げ、一度拳を握り締めた後再び手を開き、そして…
「…変身ッ!」
『VIVID!TOUCH!TOUCH!TOUCH!』
青年がベルトのバックル部分にあるボタンを叩くと、青年の回りに次々と赤い装甲が現れ、それらは一度に青年の身体に装着されていった。クウガの肩、アギトのボディ、龍騎の腕、電王の足等、平成ライダー達の一部を摸したようなライダースーツに、ライジングイクサとクウガを足して二で割った様な感じのマスク。そして、左手に装着されたパネルとボタンが付いた手甲が特徴のライダーに変身していった。
second『な、何…?!』
ティアナ「あれは…仮面ライダー…?」
Dクウガ『アイツは…まさか、スカリエッティとの戦いの時に現れたライダー?!』
そう…Dクウガの言う通りそのライダーは、前の世界でアークとの決戦の際に突如現れた赤い戦士だったのだ。赤い戦士は変身を終えるとゆっくりとsecondとDクウガに近づいていく。
second『お前は…一体何者だ…?!』
『……俺か?俺の名は……ヴィヴィッドだ』
Dクウガ『…ヴィヴィッド…?』
ヴィヴィッド『そう、それが俺の名だ。ディケイド…お前の力がどれほどの物なのか、試させてもらうぜ?』
Dクウガ『ッ?!何…?!』
突然現れた赤い戦士……『ヴィヴィッド』はDクウガに向けて静かにそう告げると、その場で踊る様に一回転しDクウガとsecondに指を差した。
ヴィヴィッド『さぁ、ステージの開演だ。その目に焼きつけろ!』
second『クッ…?!』
Dクウガ『クソッ!次から次へと!どうなってるんだ一体?!』
迫り来るヴィヴィッドを見据えながらDクウガとsecondは身構えると、それぞれ応戦してヴィヴィッドとの戦闘を開始していったのだった。
◆◇◆
その頃、機動六課に戻った滝は、一人六課のヘリポートに訪れて星空を仰いでいた。
滝「…ハァ…これからどうすっかな…全く…」
滝は何処か思い詰めたような表情を浮かべながら疲れたかと言うように溜め息を吐いた。その原因は勿論、スバルとティアナの事についてだ。
一体あの二人にどんな言葉を掛ければいいのか。零の予想してた通り、普段から無茶をしている滝はあの二人にどんな言葉を掛ければいいのか全く思い付かず悩んでいたのだ。
滝「…零ならこんな時…一体どうすんだろうなぁ…つか、アイツ等なら何か知ってんだろうな…」
滝は写真館にいた時のなのは達の訳知り顔な様子を思い出しながらそう呟くが、今はこんな事を考えても何の役にも立たないだろうと俯いてしまい、取り敢えず部屋に戻ってからまた考えようとその場から歩き出した、その時…
―……ズガガガガガガガガンッ!!―
滝「…ッ?!」
突然何処からか複数の銃弾が滝に襲い掛かり、咄嗟にそれに気づいた滝はすぐさま横に飛んでそれをギリギリでかわしていった。
滝「あ、あっぶねぇ~…?!何なんだ一体!誰だッ?!」
滝は今の銃弾が放たれてきた方に向かって怒鳴り声を上げると、ヘリポート入口の建物の影からゆっくりと何者かが現れた。
現れたそれの正体は、シアンと黒を基礎としたライダースーツに、顔の仮面部分に収まっている複数の黒いプレート。そして、その右手に独特の形をした銃…魔界城の世界で零達に協力してくれたリンが持つのと同じ銃を持ったシアンのライダーが滝の前に現れたのだ。
『へぇ…あれを避けるとは流石だねぇ。初代仮面ライダーの名は伊達じゃないって事かな?』
滝「ッ?!お前、誰だ?!どうやって六課に入って此処まで来た?!」
何故自分がライダーなのを知られているのか驚きつつ、警戒心を強めながら目の前に立つシアンのライダーに問い掛ける滝。シアンのライダーはその問いにフッと笑みを浮かべながら話し始めた。
『落ち着きたまえよ…俺はただ、君に会いに来たってだけなんだから』
滝「?…俺に?」
『そっ。まぁ、正確には君が持っているキングストーンの力にすこし興味がある…って言えば、大体予想が付くかな?』
滝「ッ?!キングストーンだと?!何故お前が其処まで…まさかお前、ショッカーの一員か!?」
『…ショッカー?そいつは心外だな。あんな奴らと俺を一緒にしないでくれないか?俺は単に、君の力に興味があるってだけなんだからね』
シアンのライダーは若干不機嫌そうに答えると、左腰に備え付けられたカードホルダーを開き、そこから二枚のカードを取り出して右手に持つ銃型のドライバーに装填しスライドさせた。
『KAMENRIDE:KICKHOPPER! KAMENRIDE:PUNCHHOPPER!』
『さあて。君のお仲間のご登場だ』
シアンのライダーはそう言って滝に銃口を向けながら銃の引き金を引くと、辺りに複数のビジョンが駆け巡り、それぞれのビジョンが重なっていくと一瞬淡く輝く。
そして光が晴れると、なんとシアンのライダーの前に二人の戦士が現れたのだ。
一人は緑色の身体に赤い瞳をしたバッタのライダーと、もう一人は灰色に白い瞳をしたバッタのライダー。そう…そのライダー達は、クウガの世界で零と優矢を苦しめたキックホッパーとパンチホッパーだったのだ。
滝「な、何だコイツ等?!」
『バッタの相手にはバッタが丁度いいだろ?さぁ、君の持つキングストーンの力を見せてもらおうか?』
滝「…ッ…何だか知らねぇが、やるんだっていうなら相手になってやる!」
滝はシアンのライダー達を睨みながらジャケットを広げてベルトを露出させ、強化スーツを身に纏った後にマスクとクラッシャーを顔に装着するとfirstに変身していった。
『フッ、そうこなくっちゃ面白くない。さぁ、始めようか!』
『ウオォォォォォォォォオッ!!!』
first『チィ!デアァァァァァァァァァァアッ!!』
シアンのライダーがホッパー'sに指で指示すると、二人は同時にfirstに向かって走り出し、firstもシアンのライダー達に向かって突っ込み戦闘を開始したのだった。