仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―光写真館―
先程の出来事から数時間後、あれからなのはの説教という名の拷問を受けていた零は公園で起きた出来事を説明して何とか無事に事を治めた。そしてなのは達がそれぞれ部屋で休んだ後に、零は一人部屋に残っていた。
零「ハァ…全く、本当に容赦ねぇなアイツは…」
部屋に残った零は部屋の窓を開いて腰を掛け、疲れたように溜め息を吐きながら夜のミッドの街並みを眺めていた。すると、部屋の奥からリンゴを持ったチンクが姿を現し、零に歩み寄ってリンゴを投げ渡して来た。
チンク「随分と疲れているようだな。あまり溜め息ばかり吐いていると、幸せが逃げていくらしいぞ?」
零「チンク…まだ起きてたのか?…心配してもらって悪いが、今はそんな事を気に掛けてる余裕はないんでな…」
チンクから投げ渡されたリンゴを一口かじりながら再び溜め息混じりで話す零。チンクはそんな零の隣に腰を下ろすと、同じように窓からミッドを眺めた。
チンク「……どうも元気がないようだな。何か考え事か?」
零「…感が鋭いな…さっきの事がどうしても頭から離れないんだよ」
チンク「さっき?…どっちの方だ?高町なのはの説教か?それともお前に襲い掛かってきたヴィヴィッドというライダーの事か?」
零「……前者の方はあまり思い出したくないから出来れば触れないでくれ……あのヴィヴィッドって奴の事だ。アイツが一体何者なのかどうしても気になってな。ついでに、奴が敵か味方なのか…そこの所も気になってる…」
チンク「…まぁ、ドクターとの戦いで私達を助けてくれたのはそのライダーだからな…正直に言えば、私の方も少し気にはなっている…」
何処か複雑そうな表情をして呟くチンクの言葉を零は黙って聞きながらリンゴをかじる。チンクの言う通り、零達は前の世界での決戦であのライダーに助けられた。それが今度は敵として現れたとなると憂鬱な気分にもなってしまうだろう。二人はそんな事を考えながら窓の景色を眺めていると…
チンク「……ん?おい黒月。あれは一体何だ?」
零「?何だ?……あれは……煙りか?」
チンクが疑問げに言いながら指を差した方を見て、零は首を傾げた。二人の目に止まった光景とは、ミッドの街の一角から黒い煙りのようなものが発生していたものだった。二人はそれに疑問を浮かべ、気になってその煙りが発生している場所を確かめようと目を細めた。その時…
―………ドゴオォォォォオンッ!!ドゴオォォォォオンッ!!ズドオォォォォオンッ!!―
チンク「ッ?!なっ?!」
零「なんだ、あれは!?」
突如、街中で巨大な爆発が発生し、それと同時に街の住民達が悲鳴を上げた声が聞こえてきたのだ。二人はそれを見て思わず身を乗り出し、その光景に驚愕して呆然としていたのだった。
◆◇◆
一方その頃、機動六課では滝とこの世界のフェイトが食堂でコーヒーを飲みながら難しそうな顔である議題について話していた。その議題とは勿論、あの模擬戦の件についてである。
滝「――それで…なのはの方も元気がないのか?」
フェイト「うん…仕事してる時にも溜め息ばっかりだし…少し落ち込んでるようにも見えるんだよね…」
滝「そうか…どうしたもんかな…」
そこで会話が途切れると、二人の間に重苦しい空気が流れ出した。滝はどうやってなのは達を元気付けるか頭を悩ませ、フェイトも自分の親友をどうやって慰めるべきかいい考えが思い付かず暗い表情を浮かべていた。そんな時…
カツラ「滝!此処にいたのか!?」
滝「…ヅラ?どうしたんだよそんなに慌てて…?」
カツラ「ヅラじゃない!カツラだ!…ってそれどころじゃなかった。急いで出るぞ!ミッドの第4エリアにショッカーが出たらしい!」
滝「ッ!…分かった、出るぞヅラ!」
フェイト「え?!ま、待って滝!まだ身体の怪我が治ってないんでしょ?!そんな身体じゃ…!」
滝「少なくとも今の六課メンバーよりもマシだ!!」
フェイト「…ッ!」
怪我をした状態のまま出撃しようとする滝を止めようとするフェイトだが、滝に強気で言われて顔を俯かせてしまう。滝はそんなフェイトに近づき、肩に手を乗せ喋り出す。
滝「フェイトはなのはやスバル達を頼む…立ち直るには時間が掛かるだろうから…それまでは、俺が戦う!」
そう言ってフェイトの肩を軽く叩くと、滝はショッカーの現れたミッド第4エリアに向かう為に走り去っていった。
フェイト「…滝…」
残されたフェイトは走って行った滝の背中が見えなくなるまで、その場で立ち尽くしていた。
◇◆◆
―光写真館―
滝が出撃してから数十分後。写真館では零とチンク、そして先程の爆音で目が覚めたなのは達は部屋に集まりテレビで中継されているニュースを見ていた。
『現在、ミッド第4エリアにてショッカーと管理局所属の魔導師部隊が戦闘を開始しました。付近の住民の皆さんは十分に気をつけ、すぐに避難を開始し――』
なのは「こんな時にまたショッカーが…!」
ディード「しかも、第4エリアと言うとこの写真館のすぐ近くですね…」
零「まったく…こんな夜中にいきなり攻め込んでくるとはな。少しは近所迷惑というのも考えてほしいぞ…」
チンク「全くだな」
スバル「いや、悪の組織の人達にそんな事言っても多分通用しないんじゃ…」
欠伸をしながら迷惑そうに愚痴る零とチンクにスバルが苦笑いをしながら真っ当な意見を口にする。その時…
―ガチャアァンッ!―
カツラ「零ッ!まだ起きているか!?」
突然撮影スタジアムの扉が勢いよく開き、カツラが焦った様子で部屋の中へと入って来た。
零「カツラ?どうしたんだ、そんなに血相を変えて?」
カツラ「はぁ…はぁ…お前に頼みがある!今すぐ俺と一緒に来てくれ!滝が一人でショッカーと戦いに行ってるんだ!」
ティアナ「えっ?!で、でも確か、まだ滝さんの怪我は完治してないハズじゃ…」
零「…なるほどな。大方、六課にいるなのは達が立ち直るまで自分が代わりに戦う…とでも言ったんだろ…あの馬鹿が…」
カツラの様子から何があったのかすぐに状況を理解し、零は頭を抱えたい衝動に駆られながらもソファーに置いておいたコートを手に取り部屋を出ようとする。
なのは「!待って零君ッ!行くんだったら私も行くよ!」
優矢「そうだ零ッ!俺達も何か手伝いを…!」
零「いや、お前達は此処に残れ。ショッカーがこの近くにいるのなら、こっち方面にも仕掛けて来る可能性が高い。その時に皆を守れるのはお前達だけだからな。写真館を頼む。……カツラ!道案内頼んだぞ!」
カツラ「分かった!こっちだ!」
零はなのは達にそう伝えると、カツラと共に光写真館を飛び出しミッド第4エリアへと向かって行った。
なのは「…零君…」
写真館に残った一同は零達が出ていった扉を心配そうに見つめると、テレビに今も流れるショッカーが街を破壊するニュース映像に不安げに視線を移した。
◆◇◆
その頃、ミッド第4エリアにあるとあるビルの屋上では、真矢が地上で暴れ回っているショッカー達を静かに見下ろしていた。
真矢「随分ぞろぞろと出てきやがったな、ショッカーの奴ら。ヴィヴィオは民間人の避難をしてくれてるし、魔導師達はショッカーを押さえてくれてるが…肝心のディケイドとfirstはまだ来ていないのか?…仕方ないな」
真矢は街を破壊して回るショッカー達を眺めながら呟くと、左手に持つヴィヴィッドライバーを腰に装着し変身ポーズを構えた。
真矢「こっちはヴィヴィオに嫌ってほど絞られたし、聖王様がまたお怒りにならないように俺もマジで行かないとな…変身ッ!」
真矢は高らかに叫びながらベルトのボタンを押すと、周りに現れた赤いアーマーが真矢に装着されていき、真矢はヴィヴィッドに変身していった。そして、変身を完了したヴィヴィッドは一度右肩を二、三度回すと鉄製の手摺りを軽々と飛び越え、ビルの屋上から遥か地上へと降下していったのだった。