仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
ヴィヴィッドが参戦したその頃、件のミッド第4エリアでは大量に現れたショッカーの戦闘員達が手当たり次第に街を破壊し、出撃した魔導師の小隊は何とかショッカーに対抗しようとするがやはりショッカーの戦闘力に及ぶ事が出来ず、せめて民間人の避難が完了するまではと防衛戦を行っていた。
「クッ……!民間人の避難はまだ終わらないのか?!」
「今のところはまだ、半分以上の住民がこのエリアに残されているようです!避難が完了までは、もう少し時間が掛かるかと…!」
「ッ…分かった…何としても奴らを此処で抑えるんだ!民間人の避難が完了するまで何がなんでも持ち堪えろ!」
『了解ッ!』
迫り来るショッカー達の進行に圧されながらも魔導師達は市民の避難が完了するまではと、デバイスを構えて戦闘員達に攻撃を繰り返していく。その時…
first『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおーーーー!!!』
―ブオォォォォォォオンッ!!ドゴオォォッ!!―
『イィーーーーッ!!?』
『ッ?!』
突如、魔導師達の後ろから一台のバイクが飛び出し、魔導師達の迎撃を掻い潜り接近しようしていた前線のショッカーの戦闘員達を纏めて跳ね飛ばしていった。
そしてそのバイクに跨る戦士……firstに変身した滝は魔導師達に視線を向ける。
first『あんた達、全員無事か!?』
「か…仮面ライダー…?!」
first『…どうやら負傷者はいないみたいだな。まだ動けるなら、あんた達は下がって市民の避難を急いでくれ!此処は俺が受け持つ!』
「う、受け持つって…た、隊長…どうしますか…?」
firstからの申し出に隊員の一人が小隊のリーダーである魔導師に戸惑い気味に指示を仰ぐ。そして隊長と呼ばれた魔導師は何か考えるように顎に手を当て…
「……すまないライダー、此処は任せた……!我々は下がるぞ!取り残された住民の誘導、怪我人の発見及び救助を最優先だ!急げ!」
『ハッ!』
隊長の指示が響くと、隊員達は一斉にその場から動き出し、民間人の誘導と怪我人の発見の為に行動を開始した。firstはそれを確認すると、前方に視線を向けて次々と現れる戦闘員達を迎え撃とうとした。その時…
「…ほう…漸く現れたな、仮面ライダー」
first『?』
不意に戦闘員達の後ろから、亀の甲羅をモチーフにしたかのような強化スーツを身に纏った中年程の歳の男が現れfirstの前に立ちはだかった。
first『…お前か?コイツ等を従えてミッドを攻撃している怪人ってのは?』
「フフフ…そう、お前が来るのを待っていたぞ、仮面ライダー…今日こそお前のその命、我々ショッカーが頂かせてもらう!!」
first『はぁ……その台詞はもう聞き飽きてんだよ。ついでに今はお前達に構っている暇もない……悪いが、さっさと決着を付けさせてもらうぜ!!』
firstはそう言ってバイクのスロットルを回して男に向かって突っ込んでいく。だが、男は特に焦った様子を見せずに何処からか亀のような形をした重厚のマスクを取り出し頭に被ると、男は亀を模した改造人間、タートルとなるが、firstは構わず猛スピードのバイクでタートルに突撃しようとした。だが…
―ドゴオォッ!!―
first『ッ!?な、何…!?』
『クックック…残念だったなぁ!!』
なんと、タートルはfirstのバイクによる突撃を正面から軽々と受け止めてしまったのだ。更にそれだけで終わらず、タートルは動揺するfirstを裏拳で殴り付けてバイクごと殴り飛ばしてしまった。
first『ガハッ!ク…クソッ!』
『クックックッ…無駄だ!その程度の衝撃では儂の甲羅は砕けんわ!』
first『ッ…ならコイツでどうだ!雷パァァァァンチッ!!』
firstは高笑いを上げるタートルに向かって飛び掛かり、雷の纏った拳でタートルに殴り掛かった。が…
―ガゴオォンッ!!―
first『グッ!?反された?!』
『だから無駄だと言っているだろう!!』
―ドゴオォォォォッ!!―
first『ウグァッ!?』
タートルは意図も容易くfirstの拳を跳ね退け、firstが怯んだ隙を突いてカウンターを打ち込みfirstを再び吹っ飛ばしていった。
first『グゥッ!ま、まだだ…こんな事で…!』
『フフフ…無駄な悪あがきをするな。お前がどれだけ足掻こうとも儂を倒せんし、例え儂を倒せたとしても、ミッドはどの道壊滅するのだからな』
first『…なに?どういう意味だそれは?!』
不気味な笑みと共に意味深な発言をするタートルに向かってfirstが問い詰めると、タートルは笑みを浮かべたまま答える。
『今回の作戦は今までとは一味違う。今ごろは、違うルートから儂等の仲間がミッドに攻撃を仕掛けているハズだ。お前が儂を倒そうとも、その頃には既にミッドは我々の手に落ちているであろう!』
first『なん…だと?!』
つまり今回のショッカーの作戦とは、物量による多方面からのミッド同時襲撃。タートルから告げられた作戦内容に、firstは愕然とした顔を浮かべ仮面越しに一筋の汗を流した。
『さぁ、此処からが本当のお楽しみだ!ミッドも、そしてお前の命も今日ここで終わるのだぁ!』
『イィーーーーッ!』
first『ッ!勝手に終わらせてんじゃねぇよっ、クソッたれがぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』
タートルから聞かされた作戦に呆然としていたfirstだが、向かって来る戦闘員達の姿を視界に捉えて我に返り、とにかく早く決着を付けなければと焦りを感じながらもタートル達に向かって突っ込んで行ったのだった。
◆◇◆
一方その頃……
零「はぁ…はぁ…おいヅラッ!本当に滝はこっちの方にいるのか?!」
カツラ「ヅラじゃないカツラだ!確かにさっきこの辺りで滝と別れた…こっちの方で間違いないハズだ!」
同時刻、第4エリアに到着した零とカツラは紅蓮の炎に包まれる街の中を駆け抜けていあ。辺りの建物は崩れ落ち、立ち込める煙りで目が染みるが、そんな事はお構い無しにと二人は全力疾走で滝の所に向かっていた。だが…
『イィーーーーッ!』
カツラ「ッ?!戦闘員?!」
突然二人の目の前に複数の戦闘員達が立ちはだかり、更に後ろの方にも戦闘員達が現れ四方八方を完全に防がれてしまい、戦闘員達はジリジリと二人に近づいて来る。
零「チィ!この急いでいる時に…邪魔をするな全身黒タイツの変態共が!」
カツラ「そう言ったところですんなり道を開ける連中ではないさ…来るぞ!」
『イィーーーーッ!』
カツラが自身のデバイス、スピリットを起動させたと同時に戦闘員達が一斉に襲い掛かって来た。カツラはスピリットで戦闘員を薙ぎ倒し、零は戦闘員達を殴り倒しながら懐からディケイドライバーを取り出し腰に装着しようとする。だが…
零「フッ!ハァッ!……?!おい、待てカツラ!あそこに人がいるぞ?!」
カツラ「ッ?!なに?!」
零がディケイドライバーを装着しようとした時に、偶然民間人と思われる十代ぐらいの女性が半壊した建物の壁にもたれ掛かっている姿を見つけた。零とカツラは慌てて戦闘員達を払い退けて、その女性の下に駆け寄った。
零「おい!しっかりしろ!無事か?!」
「!…あ、あなた達は…?」
カツラ「時空管理局の者です!何処かお怪我は?!」
「だ…大丈夫です…あの、私、シェルターに向かう途中にショッカーを見付けて隠れてて、それで…」
零「話しは後だ!取り敢えず、動けるなら早く走って逃げ『イーッ!』…ッ?!」
酷く怯えきった様子の女性に早く逃げるように促す零だが、それを許さんと言わんばかりに戦闘員達が零達を取り囲み、逃げ道を封じられてしまう。
カツラ「くっ!こっちは先を急いでいるんだ!邪魔をするんじゃない!」
零「…仕方ない…カツラ!俺がコイツ等を引き付ける!その間にお前はこの人を連れて写真館に……ん?」
零はカツラを横目に女性を連れて逃げるように指示しようとするが、目の前に視線を戻した時にあるものを発見した。
戦闘員達の一番後ろ……ボサホザの髪にボロボロの服を着た猫背の青年が顔を俯かせて、いつの間にかそこに立っていたのだ。
零「あれは……?」
カツラ「ッ?!まだ民間人が…!?そこの君!此処は今危険だ!早く逃げろッ!」
カツラは焦った様子で青年に早く逃げるように叫ぶが、青年はその場から一歩も動こうとせず、ただゆっくりと顔を上げ、虚ろな瞳で零達に喋り掛けた。
「…なァ…オれは一体…誰ナんだヨ…?」
零「……なに?」
カツラ「何を言っているんだ?いいから早く逃げろと―――!」
「ダから…教えテくレヨ…俺ハ…一体誰ナンだよォォォぉぉォォぉォォォォォぉおッ!!!?」
『ッ?!』
突如、青年は天を仰ぎながら叫び出し、それと共に青年から全身を突き刺すような禍禍しいオーラが放たれ、同時に発生した衝撃波に圧倒され零とカツラは思わず数歩後ずさった。
そして、獣のような雄叫びを上げ続ける青年の姿が徐々に変化し始め、まるでサーベルタイガーを思わせるかのような異形の姿へと変化していった。
『グオォォォォォォォォォオッ!!』
「ヒッ…?!」
カツラ「な、なんだアイツは?!」
零「姿を変えた…?あれは…改造人間じゃない?!」
二人が姿を変えた怪人を見て驚いていると、怪人は獣のような雄叫びを上げならショッカーの戦闘員達の頭上を飛び越えて零達に襲い掛かり、鋭い爪を振りかざしてきた。
零「ッ!危ないッ!」
「キャアッ?!」
―ドゴオォォォッ!!―
零とカツラは女性を連れて怪人の爪を何とかかわし、目標から外れた爪はそのまま零達の後ろに建っていた建物の壁を突き破った。
『グゥゥゥッ!グオォォォォォォォォォオッ!!』
―ズバアァンッ!ズバアァンッ!ズバアァアンッ!―
『イーーーーッ?!!』
カツラ「?!アイツ、戦闘員達を…!?」
零「チッ、どうなってるんだ!アイツはショッカーの仲間じゃないのか?!…とにかく、このまま奴を放っておく訳には行かねぇな…」
まるで八つ当たりのように、今度は戦闘員達を標的に獣のように飛び掛り次々斬り裂いていく怪人を睨みながら零はディケイドライバーを腰に装着し、ディケイドのカードを取り出して変身しようとする。だがその時…
―ブオォォォォォォオンッ!!―
『……ッ?!―ドゴオォッ!!―グオアァッ!?』
『!?』
突如何処から一台のバイクがその場に駆け付け、そのまま怪人に飛び掛かり跳ね飛ばしていったのだ。怪人はその衝撃で建物の壁際まで吹っ飛ばされ、零とカツラは突然の出来事に驚きながらも現れたバイクに乗っている人物に目を向けると、零はその人物を見て目を見開き再び驚いた。何故なら…
零「お、お前は…」
ヴィヴィッド『──よぉ、さっきぶりだなディケイド。また会うことになるなんて…奇遇だな?』
そう、零達の目の前に現れたのは零が戦ったあの赤い戦士…ヴィヴィッドだったのだ。ヴィヴィッドは零に向けて片手を上げなら軽く挨拶し、ゆっくりとバイクから降りると吹っ飛ばされた怪人に視線を移した。
『グウゥゥゥゥゥゥッ!』
ヴィヴィッド『なるほど…"リヴァーサス"か。まさかこの世界にまで来てたとはな。全く、この世界に来てからというもの予想外の事ばかり起きる…』
カツラ「…リヴァーサス?どういう事だ…あの怪人の事を知ってるのか?」
ヴィヴィッド『知ってるというか、まぁ、アイツは俺達の世界で好き勝手やってる人類の敵だ。ま、アンタんとこのショッカーみたいなもんって言えば、分かるか?』
目の前に立つ怪人……リヴァースについてのカツラの疑問に軽く説明するヴィヴィッドだが、零はリヴァースではなくヴィヴィッドを警戒し睨みつけていた。
零「お前…一体どういう風の吹き回しだ?」
ヴィヴィッド『別にどうもしない…俺はただある女に言われて街を襲うショッカー共を片付けてるだけだ。それ以外に目的なんてねぇよ』
零「その話しを信じろと?随分と虫がいいな…悪いが俺は、いきなり有無も言わさず襲ってくるような奴の話しを鵜呑みにする程お人好しじゃないぞ」
ヴィヴィッド『信じる信じないはお前が勝手に決めればいいさ。だが、コイツは俺が片付けさせてもらう…お前もさっさと自分の役目を果たしに行ったらどうだ?』
零「………」
背中を見せながら話すヴィヴィッドの言葉に零は口を閉ざし、一度何かを考え込むような仕種を見せると女性の方に振り返り……
零「……あんた、ここから一人で歩いて行けるか?」
カツラ「零…?」
「え?あの…はい、何とか…」
零「そうか……ならこの先に光写真館って名前の写真館がある。そこにいる奴らに、黒月零っていう奴に言われて此処に来たって言えば匿ってくれるハズだ。早く行け」
「あ、は、はい…!あの…ありがとうございました!」
女性は一度零達に向けて深々と頭を下げると零が指さした方角の光写真館に向かって走り出し、零はそれを確認するとその場からゆっくりと歩き出し…
零「……お前にはまだ言いたい事や聞きたい事が山ほどある。だから、礼は全部終わってからだ……行くぞカツラ!」
カツラ「あ、あぁ…!」
零はヴィヴィッドに向けてそう言うと、カツラと共に滝が戦っている場所へと向かっていき、ヴィヴィッドはそれを横目で確認すると「フッ…」と含み笑い、目の前のサーベルタイガーを思わせるリヴァース……サーベルリヴァーサスを鋭い視線で睨みつけた。
『グルルルルッ…!』
ヴィヴィッド『それじゃあ、こっちもヴィヴィオが戻って来る前に早く終わらせないとな!』
ヴィヴィッドはそう言ってその場で一回転し、サーベルリヴァーサスに向けて指を差した。
ヴィヴィッド『さぁ、ステージの開演だ。その目に焼きつけろ!』
『グウゥゥゥゥッ!グオォォォォォォォオッ!!!』
ヴィヴィッドがそう言うと共にサーベルリヴァーサスが先手必勝と言わんばかりにヴィヴィッドに向かって飛び掛かり、ヴィヴィッドはサーベルリヴァーサスの爪を足蹴で払い除けながら反撃を開始していったのだった。