仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第一章/ライダー大戦⑥

 

 

それから十数分後。未だ混乱に包まれる街中を駆け抜けて漸く目的地である『光写真館』の近くにまで辿り着く事が出来た三人だが、写真館に向かうなのはとスバルの後ろでは零が先程の戦いでカードの絵柄が消えた事が気になり、念の為にカードを取り出して確認しようとするも、ライドブッカーから取り出した全てのカードを目にして驚愕してしまう。

 

 

零「何故だ……カードの力が全て消えてる?!」

 

 

そう、先程戦闘の後に消えてしまったカブト、ファイズ、響鬼のカードは勿論のこと、何故かまだ未使用の筈のディケイド以外の全てのカードの絵柄までいつの間にか消滅し、シルエット化してしまっていたのである。

 

 

零(どうなってるっ……力が永く続かないのか……?いやだとしても何故っ──)

 

 

 

 

―……それは、君が"嘗ての君"を捨ててしまったからだ―

 

 

 

 

零「──ッ?!」

 

 

力が消えた原因が分からず疑問を拭えない零の脳内に突然謎の声が響き、思わず足を止めて振り返り声の主を探してしまう。そんな零に気付き、なのはとスバルも足を止めて怪訝な表情を浮かべた。

 

 

スバル「零さん……?どうかしたんですか?」

 

 

零「……いや、何でもない。気にす──ッ?!二人共ッ!」

 

 

なのは「え、きゃあッ?!」

 

 

何かの聞き間違いか、そう思い踵を返そうとした零が何かに気付いて慌てて二人の頭を下げさせると、何処からか飛来した巨大な魔化魍が三人の頭上を飛び越えた。

 

 

そして紙一重で避けた三人が巨大な魔化魍の姿を目で追うと、其処には今まで零達を襲ってきたワームやオルフェノク、魔化魍を含めた魑魅魍魎の怪物達が巨大なビルの上で共食いしている光景があった。

 

 

なのは「な……なにあれ……」

 

 

零「共食いしてやがるっ……」

 

 

その異常な光景を目にし零達も言葉を失い絶句してしまう中、怪物達は突然次々と爆発を起こしてビルを倒壊させただけでなく、周囲一帯の街や人々の全てを無慈悲に飲み込む程の巨大な火の海と化してミッド中に広がっていってしまう。

 

 

スバル「ミ、ミッドがっ……?!」

 

 

なのは「だめ……駄目っ、こんなのっ!!」

 

 

零「ッ?!待てっ、なのはぁッ!」

 

 

嘗てのJS事件で自分達が守り切った筈の人々や街が炎に飲まれ、焼かれ、呆気なく消えていく。そんな理不尽でしかない光景を前に零もスバルもただただ呆然と立ち尽くすしかない中、目の前で業火に飲み込まれようとしている親子を見てなのはが堪らず助けようと飛び出し、零がそれを止めようと慌てて彼女の手を掴んだ瞬間、

 

 

 

 

──炎も人も、辺りの光景が全て突然固まり、まるで時が止まったかのように完全に動かなくなってしまったのである。

 

 

スバル「ッ?!と……とまっ、てる……?」

 

 

なのは「……も、もう訳が分からない……どうなってるの一体っ……」

 

 

最早世界の終わりかと思いきや時間までもが唐突に止まり、信じられない異常事態の連続に三人も訳が分からず唖然としてしまう中、目の前の親子が飲み込まれようとしていた炎の海の中から一人の人物……あの謎の青年がゆっくりと姿を現した。

 

 

零「ッ!お前、さっきの……」

 

 

「──どうやら、力の全てを失ってしまったようですね……ですが、時間はまだ少し残っています」

 

 

謎の青年は淡々とした口調でそう言いながら零達の前まで歩いて立ち止まるが、一方の零はこんな異常事態を前にしても表情の一つも崩さない訳知り顔の青年の反応に苛立ちを抑えられず、青年へと詰め寄りその胸ぐらを掴んだ。

 

 

零「一体何がどうなってるッ……!お前が言っていた世界の終わりってのは何だッ?!何故こんな事になったんだッ?!」

 

 

なのは「え……れ、零君……?」

 

 

スバル「い、いきなりどうしたんですか……?」

 

 

零「っ……!何っ?」

 

 

青年に憤りをぶつける零の姿を見て、何故か不思議そうに首を傾げるなのはとスバルの反応に零は戸惑い、思わず青年と二人の顔を交互に見比べる。

 

 

零「お前ら……まさか、コイツが見えていないのかっ……?」

 

 

まさかとは思い青年を指して二人にそう問い掛ける零だが、なのはもスバルも零が何を言っているのか理解出来ていない様子で頭上に疑問符を浮かべており、そんな二人の反応からやはり青年が見えていない事を理解した零は怪訝な眼差しを青年に向けて後退りしていく。

 

 

零「お前……一体何なんだ……?」

 

 

そもそも彼は敵なのか味方なのか、警戒心を露わにする零の質問に対し青年は何も答えようとせず、代わりに無言のまま僅かに掲げた右手の指を鳴らした瞬間、零と青年の周りが急に暗闇に包まれた。

 

 

突然光が消えた世界に招かれた零は動揺を浮かべて思わず辺りを見回してしまう中、暗闇の中で僅かながらも星のような煌めきを見付け、その光を頼りに次第に闇に慣れてきた目を擦ると、暗闇の向こう側に幾つもの星々……地球に酷似した十個の星を瞳に捉えた。

 

 

零「何だ……アレ……地球、に似てはいるが……?」

 

 

「ええ、全て地球ですよ」

 

 

零「なっ……馬鹿を言うな……!俺達が知る地球は一つしかない!あんな数、ある訳が──!」

 

 

「勿論、貴方達の知る地球はあの中に一つだけ。ですが他の地球は、貴方達の知るソレとは全く別の歴史と可能性を歩んだ並行世界……所謂パラレルワールドであり、それにより、貴方達の世界は"滅び"へと向かい始めています」

 

 

零「っ……どういう事だ……?」

 

 

いきなり明かされた並行世界という概念に辛うじて着いていくのがやっとの零だが、彼の説明の中に出てきた"滅び"というワードが気になりそう聞き返すと、青年は幾つもの地球を見つめながら話を続けていく。

 

 

「9つの世界に9人の仮面ライダーが生まれました。それは独立した別々の物語となり、決して交わる事はありませんでした……」

 

 

ですが、と一拍置いた青年が見つめるのは、幾つもの地球が空間内を漂う中で突然ぶつかり合い、互いに崩壊していく二つの地球同士。その信じられない光景を前に零も目を見張る中、青年は零に視線を向けて説明の続きを語る。

 

 

「……今、物語は歪み合って融合し、その為に世界が一つになろうとしています……やがて、全ての世界は消滅します」

 

 

零「消滅、だと……?」

 

 

世界同士が融合し、その果てに待つのは全ての世界の消滅。突然突き付けられた衝撃的な結論に零も言葉を失う中、同時に此処に至るまでに自分達の身に起こった異変の数々が脳を過ぎり、ハッとなる。

 

 

零「まさか……俺達の世界で起こったアレも、全部……」

 

 

「ええ……消滅していく街や人々、本来いる筈のない怪人、機能しなくなった魔法……それらも全て、交わる筈のなかった物語同士が融合し、世界のルールがぶつかり合い崩壊した影響によるものでしょう」

 

 

零「……そういう、ことか……嗚呼、大体分かってきたぜ……」

 

 

今までの不可解な異変やなのは達が突然魔法やデバイスを使えなくなり、管理局が機能している様子がなかったのも、全てはその"滅び"とやらに起因していた。

 

 

全く嬉しくもない疑問の解消に零も頭を抱え乾いた笑みを浮かべるしかない中、青年はそんな零をまっすぐ見据えて言い放った。

 

 

「ディケイド……貴方は9つの世界を旅しなければいけません。それが世界を救う、たった一つの方法です」

 

 

零「……旅……?」

 

 

訝しげな零の問いに、青年は無言で頷いて数多の地球を見上げていく。

 

 

「貴方は全ての仮面ライダーを破壊する者です。残念な事ですが、創造は破壊からしか生まれませんからね……最も、過去の記憶を失う前の貴方なら、その事を良くご存知だった筈ですが……」

 

 

零「ッ?!過去の、俺……?待てっ、俺が無くした記憶と今回の異変、何か関係があるのかっ……?!」

 

 

この十数年間、蘇る予兆もなく最早取り戻すのは不可能かと半ば諦めていた過去の自分の記憶を仄めかされ、驚愕を露わにする零に対し、青年は瞼を伏せて歩き回る。

 

 

「僕の口から全てを語る事は出来ません。ですが、その記憶を取り戻せるかは貴方次第……そして滅びの現象に巻き込まれ、ライダーの世界に跳ばされてしまった貴方の仲間達を救えるかも、貴方に掛かっています」

 

 

零「仲間……?まさか、フェイト達の事かっ?!」

 

 

自分の仲間であるフェイト達が滅びに巻き込まれ、ライダーの世界に跳ばされてしまっている。青年の口から告げられた仲間達の行方に零が動揺する中、二人の背後で十個の地球同士が激突し、其処から発生した閃光が眩い光となって空間内に広がっていき、二人の姿までも白く染め上げていってしまう。

 

 

―……全ての命運はディケイド、貴方次第です……世界を破壊し、世界を繋ぐ……それこそが、貴方の……―

 

 

零「グッ……!お、おい待てっ……!まだ聞きたい事が山ほどあるんだッ!おいッ!!」

 

 

光の眩しさを両腕で目を庇いながら青年を呼び止めようとする零だが、それも虚しく光は青年の姿を掻き消しながら辺り一帯を包み込んでいってしまう。

 

 

そして光が止んで目の前に視線を戻すと、いつの間にか元の場所に戻り、傍らには怪訝な眼差しを向けて心配そうにこちらを伺うなのはとスバルの姿だけが残されていたのであった。

 

 

 

 

 


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