仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第六章/龍騎×マクロスFRONTIERの世界①

 

 

零達が警察署に向かったその頃、裁判所では殺人容疑で連行されたフェイトが警備員に連れられ、被告席に立たされていた。

 

 

フェイトの立つ被告席の目の前には複数の仮面ライダーの写真がモニターに映し出されており、フェイトがそれを物珍しく眺めていると、裁判長が裁判の仕組みについて説明を始めた。

 

 

「君の裁判は、仮面ライダー裁判制度によって決まる」

 

 

フェイト「仮面ライダー…裁判?」

 

 

聞いた事のない裁判制度にフェイトは疑問そうに漏らし、裁判長は更に説明を続ける。

 

 

「仮面ライダーがそれぞれの意見を戦いという公判でぶつけ合うというものだ。この事件に関与する者達が仮面ライダーに選ばれ、ミラーワールドと呼ばれる鏡の世界で最後の一人になるまで戦い合う。検事と弁護士、事件の関係者が互いの意見を持ちながら戦い、最後に残った者が君に判決を下せる」

 

 

フェイト「そ、そんな…!そんな事で正しい裁判が出来るハズないじゃないですか?!」

 

 

今の段階で、フェイトの無罪を証明出来る証拠は何一つない。

 

 

無罪を証明できる物がない今、恐らく裁判長の言うミラーワールドで戦う仮面ライダーの中には無罪派より有罪派の方が圧倒的に多いハズ。これではどのライダーが勝ったとしても冤罪を着せられている自分に有罪が決まってしまう確率の方が大きい。それが我慢ならないフェイトは裁判長に反論するが、裁判長はただ淡々と説明を続ける。

 

 

「意見を持つ者が直接ぶつかり合い、勝ち残った者の意見が判決となる。仮面ライダー裁判制度はもっとも合理的で、且つ公正で公平なのだ」

 

 

フェイト「そんな…こんなの、裁判なんて呼べるものじゃない!弁護士…弁護士を呼んでください!」

 

 

こんな裁判で、自分の無実が証明出来るハズがない。そう思ったフェイトは裁判長に自分の弁護をしてくれる弁護士を要請した。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

その頃、人々が行き通る街中にある一つのビル。そのビルのガラスには、複数の仮面の戦士……仮面ライダー達がミラーワールドで入り乱れて戦う姿が映し出されていた。

 

 

『クッ!お前はどっちだ?!有罪か?!無罪か?!』

 

 

『確かにっ、立件した以上、有罪しか有り得ない!』

 

 

フェイトの判決は有罪か、無罪か。それぞれの意見を口にしながら、ライダー達は自分のベルトにあるカードケースからカードを引いて戦っていく。そんな時…

 

 

―ブオォオオオオオオオオオンッ!!―

 

 

『ッ?!あれは…』

 

 

『またライダー…君も事件の関係者か?!』

 

 

『…………』

 

 

乱闘の最中、突然バイクに乗ってライダーバトルの中に乱入してきた騎士のような姿のライダーに他のライダー達は揃って身構えながら問い掛けるが、騎士のライダーは無言のままバイクから降り、腰にある剣を引き抜くとライダーバトルを開始していった。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

──一方その頃、一度裁判所から警察署に戻ってきたフェイトは自分の要請した弁護士に会うため、接見室に来ていた。

 

 

どうか、自分を助けてくれる心強い弁護士に来て欲しい。そう強く願いながら弁護士の到着を待っていると、接見室の扉が開き、数人の男女達が中に入ってきた。

 

 

「失礼。貴方達は?」

 

 

零「あぁ、あのフェイト・T・ハラオウン容疑者の弁護に来た、弁護士の黒月零と…」

 

 

ティアナ「同じく、弁護士のティアナ・ランスターです。今回は、黒月弁護士の補佐を行う為に来ました」

 

 

優矢「あ、えっと…二人の助手の桜川 優矢です。俺の方は余り気にしないで下さい…」

 

 

「はっ!失礼しました!」

 

 

フェイト「……?零?ティアナ…?」

 

 

聞き覚えのある声と弁護士の名を聞いた途端、顔を俯かせていたフェイトは顔を上げて零達の方に振り返った。

 

 

零「よぉ、久しぶりだなフェイト。随分会わない内にとんでもない事になってるじゃないか」

 

 

フェイト「れ、零?!それにティアナも?!なんで二人がこんなところに…?!」

 

 

ティアナ「アハハっ。お久しぶりです、フェイトさん。取りあえず無事で安心しました…」

 

 

弁護士として現れた零達を見てフェイトは驚きを露わにし、ティアナは苦笑い、零はフェイトに近づいてその肩に手を回しながら語りかける。

 

 

零「それで?一体なにが起きたのか詳しく説明してくれますかな?"殺人犯"のフェイト"容疑者"さん?」

 

 

フェイト「さ、殺人犯?!」

 

 

優矢「お、おい零!」

 

 

"殺人犯"と"容疑者"の部分をわざと強調しながら事件の事を聞く零に、フェイトはギョッと目を丸くして激しく首を横に振った。

 

 

フェイト「ち、違うよ!私は人殺しなんてしてない!信じてよ、零ッ!」

 

 

零「どうだかなぁ?どうせお前の事だから、ちょっと間違ってサクッと殺っちまったんじゃないのかー?お前はそういうところがあるからなぁ…」

 

 

フェイト「だ、だから違うんだってばぁ〜~っっ!!!」

 

 

優矢「うわっ?!ば、馬鹿!何泣かせてんだよお前?!」

 

 

ティアナ(零さん…まさかこの機会を使って今までの怨みを晴らそうとか考えてるんじゃっ…)

 

 

明らかに棘のある言い方でフェイトを口撃していく零を見て微妙な顔でそう考えるティアナ。

 

 

フェイトはフェイトの方で零に殺人犯として認識されてしまったと本気で思ったのかその場で泣いてしまい、優矢に注意された零は仕方ないといった様子でフェイトを泣き止ませようとするが、その時、接見室に数人の男女が訪れてきた。

 

 

その中にいた青年と少女が警備を接見室の外に払うと、零達の元に近づいていく。

 

 

「おい、あんた。ちょっといいか?」

 

 

零「…うん?」

 

 

不意に話し掛けられ、零はその声を辿って振り返ると、其処には長い髪を一つに纏め、ポニーテールにした少女……いや、一目で少女と間違えそうなほど中性的な容姿をした一人の青年と、グラサンと帽子で顔を見えないように隠している金髪の少女と緑髪の少女の姿があった。

 

 

「あんたか?その人の弁護士っていうのは?」

 

 

零「そうだが…そういうアンタ等は誰だ?見たところ警察の人間じゃなさそうだが…」

 

 

「…俺は"早乙女アルト"。殺された桐上編集長の部下だったんだ」

 

 

零「早乙女…アルト?もしかしてあんた、期待の新星って言われてるあのカメラマンか?」

 

 

早乙女アルトという名を聞くと、零は何かを思い出したかの様に自分の荷物から先程コンビニで買った雑誌を取り出してアルトの写真が載ったページを見せるが、アルトはそれを見てうんざりとした表情をした。

 

 

アルト「そんなもん周りの連中が大袈裟に書いてるだけだっての。その記事のせいで色々と散々な目にあったし、こっちはいい迷惑してんだよ」

 

 

「迷惑ね~…本当のところはどうなのかしら?」

 

 

アルト「…どういう意味だよ、それ?」

 

 

「べっつに〜?」

 

 

「ま、まあまあ…!二人共、今は事件の事で話しをしないと…」

 

 

何だか含みのある言い方で可笑しそうに笑う金髪の少女をジト目で睨みつけるアルトを見て、小柄な方の緑髪の少女が慌ててそれを止めに入る。そんな少女達を交互に見て、零は更に疑問を感じていた。

 

 

零「というか、そっちの二人は誰だ?その二人もあんたの知り合いか?」

 

 

「へっ?あ、あの、私達は…えっと…その……」

 

 

零「?」

 

 

顔を俯かせて言いにくそうに小声で話す少女に、零は更に疑問を浮かべるが、金髪の少女は零の背後を覗き込み、

 

 

「ねぇ?どうでもいいかもしれないけど……あの人泣いちゃってるけど、放っておいていいワケ?」

 

 

零「え?……あっ、忘れてた」

 

 

優矢「忘れるな馬鹿ぁ!!」

 

 

フェイト「うわあぁぁぁぁぁぁんっ!!」

 

 

ティアナ「フェ、フェイトさん!落ち着いて!零さんのあれはただの冗談であって、決して本気で言ったワケじゃ…!」

 

 

金髪の少女に指摘されて、未だに零に殺人犯扱いされて泣いてるフェイトをまだ泣き止めさせてない事を思い出し、優矢の罵倒を軽く流しながら零はフェイトに歩み寄り両肩にポンッと両手を乗せた。

 

 

零「あ~落ち着けフェイト。俺が悪かった、さっきの事は全部嘘だから…」

 

 

フェイト「ひぐっ…グス……嘘?……本当に…?」

 

 

零「本当だ本当…お前が殺人なんてするハズがないし、大体お前がそんな事するハズないってちゃんと分かってるって」

 

 

フェイト「グス……じゃあ……嫌いになったりしてない…?」

 

 

零「してないしてない…してないからもう泣くな、頼むから…」

 

 

これ以上泣かれたらこっちが悪いことをしてる感じがする。

 

 

いや、実際は悪いことをしてるんだろうがまさか此処まで泣かれるとは思いもしなかった。反省の意を込め謝り続けると、不意にフェイトが零の胸の中に飛び込んできた。

 

 

零「お、おい…だから泣くなって言って…!」

 

 

フェイト「うう……だって…漸く会えたのに…やっと会えたのにっ…零があんなこと言うからぁ…」

 

 

零「うっ……わ、悪かった…俺が悪かったからもう泣くな…なっ?」

 

 

フェイト「っ……うんっ」

 

 

胸の中で泣き続けるフェイトに戸惑いながらも、何とか落ち着かせようと右手で背中を摩り、左手で赤子をあやすように頭を撫でる。

 

 

フェイトはそんな零の仕草に一瞬頬を赤く染めるが、すぐに零の胸に顔を深く埋める。緑髪の少女はそんな二人を何故か瞳を輝かせながら見つめ、優矢はホッと一息、ティアナは若干いいなぁ…といった顔で二人を見ていた。が…

 

 

 

 

―…ゴゴゴゴゴゴゴッ―

 

 

 

ティアナ「……え?――――ヒィッ!?」

 

 

優矢「ん?どうし――――うおぉっ!?」

 

 

突然、零の背後に立つ二人が接見室の扉の方を見て妙な声を上げる。だが、フェイトを泣き止ませる事に必死になってる零はその声に全然気づいてはいない。

 

 

 

 

―カツッ…コツッ…カツッ…コツッ…カツッ…―

 

 

 

 

零「ほら、早く涙を拭け。これからお前のことで話し合わないといけないんだから」

 

 

フェイト「う、うん…ごめんね、零…?」

 

 

零「いや、俺の方こそすまなかったな」

 

 

 

 

―カツッ…コツッ…カツッ………チョンチョン―

 

 

 

 

零「っ、なんだ優矢っ?ちゃんとフェイトを慰めたんだし、これ以上のお小言は勘……べ……?」

 

 

 

不意に肩をつつかれ、零はその正体が優矢と思い込んで背後へ振り返った瞬間、固まってしまった。何故なら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのは「は~い、早朝ぶりだね零君♪……フェイトちゃんと一体、なにしてるのかなぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──無駄に甘ったるい声音が、より恐怖を引き立たせた。

 

 

背後にいたのは優矢ではなく、ベストスマイルを浮かべ背後からドス黒いオーラを噴き出しているなのはだったのだ。

 

 

零「な…な…なの…なのっ……」

 

 

フェイト「え?……えっ?!な、なのは?!どうして此処に?!」

 

 

肩を叩いた人間の正体がなのはだと知るや否や、零は蛇に睨まれた蛙の如く固まり、フェイトはなのはの姿を見た途端驚き、慌てて零から身を離した

 

 

なのは「うん、久しぶりだねフェイトちゃん♪無事で良かったよぉ♪……さて?」

 

 

零「………………」

 

 

と、なのははフェイトから零に視線を移す。

 

 

そんな零は脱水症状を起こしてしまいそうな程の勢いで額から嫌な汗を大量に流し、なのはから視線を外して目を泳がせていると、なのはと共に写真館を出ていったスバルとヴィータが部屋の隅っこで体を抱き合わせガクガクと震えている姿を見つけた。

 

 

おそらく、なのはの一番近くにいたせいであのドス黒いオーラの被害を受けてしまったのだろう。気の毒にと思う。

 

 

優矢「え、えーと…な、なのはさん?なんでなのはさん達が此処に…?」

 

 

そんな光景を見ていた優矢はダラダラと流れる手汗を握り、勇気を振り絞ってなのはに疑問を投げ掛けた。

 

 

なのは「……私達も街を探索してた時に霊のニュースを見てね。だからフェイトちゃんから話しを聞こうと思って此処まで来てみたんだけど……これは一体どういう事かなぁ?」

 

 

零「……いや……これは…その……」

 

 

フェイト「ち、違うんだよなのは!?零はただ、泣いてた私を慰めようとしてねっ?あの、でも……えへへっ……」

 

 

などと顔を真っ赤にしながらフェイトは両手をパタパタ振って必死に言い訳をするが、その顔色や先程優しく抱き締められた嬉しさが滲み出てる綻んだ表情のせいで圧倒的に説得力を感じられない。

 

 

零も脳をフル稼動させて何とか上手い言い訳を考えようとし、優矢達やアルト達に至ってはこの緊迫感を漂わせる一触即発な空気のせいで一言も喋れない。がしかし、この空気を読めずにいる者がこの場に一人だけおり……

 

 

 

 

 

 

 

 

「そっか…お二人は本当はお知り合いで、実は恋人同士だったって事なんですね♪」

 

 

 

 

『なっ!?』

 

 

アルト「ばっ!?」

 

 

「ランカちゃんッ!?」

 

 

零「ッ!!?」

 

 

フェイト「ふぇ!?」

 

 

なのは「」

 

 

 

なのはの誤解を解こうとする前に、アルトの隣に立つ緑髪の少女が呟いた核爆弾並のKY発言がその場に響き渡り、室内は一瞬の内に氷河期を思わせるかの様な極寒地帯へと変わっていった。

 

 

 

どうやら彼女は、この場の空気に気づかないほど零とフェイトの関係について興味津々のご様子。その発言により、なのはの背後から先程よりも凄まじいオーラが噴き出し、優矢達やアルト達はそんななのはを見て絶句し、フェイトは湯気が出そうな勢いで顔を真っ赤に(しかし満更でもなさそう)、逆に零の表情はサァーと血の気が引いて真っ青になっていた。

 

 

―グワシッ!―

 

 

なのは「零君?少し…あっちでお話しようか…?」

 

 

零「ま、待てなのは……誤解だ!!誤解なんだ!!少しは俺の話しもき―――!!」

 

 

 

―バタンッ!!―

 

 

 

弁解しようとする前に、零はなのはに襟を掴まれ、無理矢理引きずられながら接見室を出てどこかに逝ってしまい、室内に残された優矢達の間には気まずい空気が流れていた。

 

 

「……あ、あれ?あの……も、もしかして私、なにか言ったらいけない事をいっちゃいましたか…?」

 

 

ティアナ「あ、い、いえ…気にしないで下さい。あれはいつもの事ですから…」

 

 

「いつもって…本当に大丈夫なの?あの弁護士…あのままあの人に殺されたりしないわよね?」

 

 

優矢「いえ、大丈夫です。ああいうのはもうウチでは日常茶飯事ですから…」

 

 

アルト「あれが日常茶飯事って……」

 

 

フェイト「こ、恋人だなんてそんな…!あっ、けどそういうのがやだってワケじゃないよ?!ただ私が言いたいのは―――!」

 

 

あんな身も凍るような恐怖を日常の一つとして受け入れているという優矢達にアルト達は顔を引き攣らせ、フェイトは先程の恋人発言で完全に自分の世界に入ってしまっていたのだった。

 

 

 

それから暫くした後、何処からか青年の悲痛な悲鳴が響き渡ったのは言うまでもない。まぁ、元を辿れば先にフェイトを泣かせた零の自業自得なのでと優矢達は気にしないでいた。

 

 

因みに、警察署の警官達がこれを事件か何かと勘違いし、悲鳴が発生した場所に向かったところ、何故か警官達全員が青い顔をしてなにもなかったかのように自分の執務に戻っていったらしい。

 

 

 

 

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