仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
ディケイドがミラーワールドでライダーバトルを行っているその頃、ティアナ達は事件の第一発見者であるブレラに会う為、彼がいる他会社のブレンのオフィスに来ていた。
部屋の壁にはスクープや事件の事などが書かれたあらゆる記事が貼付けられており、ブレラは部屋の一角にあるテーブルに着いてパソコンと向き合いキーボードを打ち続けている。因みに部屋に居るのはティアナと優矢だけであり、アルト達はとある理由で此処にはいない。
ブレラ「…弁護士と弁護士助手?」
ティアナ「はい…ブレラ・リーさん。貴方が事件現場に居た理由についてお話しを聞かせて欲しいのですが…」
ブレラ「……桐上編集長に会いに行っただけだ。それ以外に理由はない」
優矢「だけど、桐上さんとはもう何年も会ってないんだよな?それなのに何故…?」
ブレラ「………」
桐上になんの用件があって会社に来ていたのか。それについて掘り下げようとするとブレラは急に黙り、淡々と無言でパソコンのキーボードを打ち続けていく。
ティアナと優矢はブレラのデスクに視線を下ろすと、其処には様々な記事が印刷されたプリントが広がっており、その中には満面の笑みを浮かべるアルトと小さく笑みを浮かべるブレラが互いに肩を組み合う写真が置かれていた。
優矢「…アルトとは…良いチームだったみたいだな」
ブレラ「…確かに、俺達は良いチームだった…アイツがカメラ、俺が記事。俺達の書いた記事は世間でも認められたもので、何度も賞も取った……俺達は最高のチームだった…」
ブレラはキーボードを打つ手を止めてデスクから立ち上がり、デスクの上に置かれた写真を手に取った。
ブレラ「…だが、俺がそれを壊した…壊してしまったんだ」
ティアナ「…それは…」
何処か悲しげな瞳で写真を見つめるブレラに、ティアナと優矢は口を閉じてしまう。だが、今はそんなことを気に掛けている場合ではない。そう思い、二人は再び自分達の疑問をブレラに追求しようとする。だがその時…
―キイィィィィィインッ……―
ブレラ「ッ!」
優矢「!この音…!」
ティアナ「…ッ?!あれは…零さん?!」
耳に届いた金属音を聞いて三人が近くに置いてある姿見の鏡に目を向けると、其処にはディケイドとインペラー達が戦う様子が映し出されていたのだ。インペラー達に翻弄されていくディケイドを見てティアナと優矢は焦り、ブレラは目付きを鋭くさせポケットからコウモリのエンブレムが刻まれたカードケースを取り出し自分も戦おうとする。だが其処へ…
―…ガチャッ―
アルト「…本当にライダーになってたんだな…ブレラ」
『ッ?!アルト(さん)?!』
ブレラ「…アルト…」
不意に部屋の扉が開き、其処から外で待っていたハズのアルトが険しい表情をして部屋に入ってきた。
アルト「…忘れたワケじゃねぇよな?三年前、大手の出版社に誘われたお前はチームの俺や、ランカになにも言わず姿を消した…お前は、俺達を裏切ったんだよ!」
ブレラ「ッ……」
怒りに満ちた表情で怒号を響かせるアルト。ティアナと優矢はそれを気まずそうに見つめるしか出来ないでいた。
此処に来る前に、二人はアルトからブレラの事を聞いている。
かつて、ブレラがチームメイトであるアルトや桐上、そして妹であるランカや、両親を亡くして身寄りを無くしたランカとブレラを引き取り今まで育ててくれたオズマ・リーに何の相談もせずに姿を消したこと。そのことに対し裏切られたと感じているアルトの怒りも大きく、今でもそれを忘れられないでいることを。
ティアナ達もそれを知ってしまい、出来ればアルトとブレラを会わせたくはないと思い外で待ってもらっていたのだが、アルトはそんな二人の心境に気づかず、ブレラの胸倉を乱暴に掴んだ。
アルト「答えろブレラッ!お前が編集長を殺したんだろ?!そしてその罪をあのフェイトっていう人に着せて、あの人を有罪にする為にバトルに参加してんだろ?!」
ブレラ「ッ…違う…俺は…」
ブレラはアルトの言葉を否定するように首を振るが、アルトは聞く耳を持たずブレラを突き放し、ポケットからカードケースを取り出してブレラの目の前に突き出す。
ブレラ「…アルト…」
アルト「…俺が此処に来たのはお前とのケリを付ける為だ。お前との因縁…いい加減終わらせてもらう…」
そう言ってアルトは鏡の前に立ってカードケースを翳し、ブレラもそれを見て一瞬躊躇した後にカードケースを鏡に翳す。すると二人の腰にVバックルが出現し、二人は同時に変身の構えを取る。
アルト「変身ッ!」
ブレラ「…変身!」
二人がカードケースをVバックルにセットすると、アルトは龍型の騎士のような姿をした『仮面ライダー龍騎』となり、ブレラはナイトへと変身していった。
―ガチャッ!!―
シェリル「アルト!!此処に居るの!?」
ティアナ「?!シェリルさん、ランカさん?!」
二人が変身を完了したと同時に部屋の扉が勢いよく開き、其処からアルトと共に外で待ってもらっていた筈のシェリルとランカが入り込んできた。どうやら二人の様子からしてアルトを止めようと追い掛けてきたらしい。だが、龍騎はそんな二人を気に止めず鏡に飛び込んでミラーワールドに入り、ナイトも龍騎を追ってミラーワールドに入ろうとする。
ランカ「待って!待ってよお兄ちゃん!!」
ナイト『っ……フッ!』
ランカに呼び止められ一瞬躊躇するナイトだがすぐにそれを振り切り、ナイトも鏡に飛び込んでミラーワールドに入っていった。それを見送るしかなかったランカは膝から崩れるように力無く床に座り込み、シェリルとティアナ達は慌ててランカに駆け寄った。
シェリル「ランカちゃん?!しっかりして!ランカちゃん!」
ランカ「…何で…どうしてっ……どうして二人がっ…こんな事っ…!」
ティアナ「ランカさん……ッ」
涙を流して嘆くランカを見て、優矢とシェリルはどんな言葉を掛けたらいいか分からず、ティアナはそんなランカになにもしてやれない自分をもどかしく感じ、ただ二人が消えた鏡をジッと見つめているしか出来ないでいた。
◆◇◆
ミラーワールドにやって来た龍騎とナイトは既に戦闘を開始し、龍騎はナイトに向けて拳を何度も放っていく。だがナイトはその攻撃を避けることも防ぐこともせず顔を俯かせたままただ黙ってそれを受けていき、手に持つダークバイザーも構えず立ち尽くしていた。
龍騎『クッ…!なんでだ…なんでやり返さないんだよ!?』
先程から反撃を返して来ないナイトに流石の龍騎も攻撃の手を止めてしまい、ナイトはそんな龍騎に目を向けて喋り出す。
ナイト『俺は…お前とは戦いたくない…それに…こんな戦い、ランカもきっと望んでいないだろう…』
龍騎『ッ!ふざけんな!!そのランカを放って勝手に消えたのは誰だッ?!お前なんかに、アイツのことを口にする権利なんてない!!』
龍騎はナイトの言葉に怒りその顔面を再び殴りつけていく。だがそれでもナイトは反撃せず、龍騎の放つ拳を全て受け続けていた。
ナイト『…否定はしない…お前やランカに辛い思いをさせたのは事実だ……すまなかった……』
龍騎『ッ……!!ふざけるなあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
謝罪の言葉を口にするナイトに完全に怒りを爆発させた龍騎は先程よりも強く拳を握り、ナイトに向けて勢いよく放った。だが、その時…
―ドガアァァァァァァァァァアンッ!!―
龍騎『なっ?!』
ナイト『ッ?!』
突如二人の間を遮るように、何かが吹き飛んで来て龍騎の攻撃が止められてしまった。二人は突然の事態に驚きながらその何かが吹き飛んでいった方を見ると、其処にはディケイドと戦っていたハズのインペラーが身体から煙りを立たせてふらつきながら立ち上がる姿があった。更に…
ディケイドS『其処の二人!退けぇッ!!』
『ッ?!』
そのインペラーを吹き飛ばした本人であるディケイドが猛スピードで二人の間を駆け抜け、ディケイドライバーからソルメモリを抜いてインペラーに突っ込んでいく。
ディケイドS『動くなよ!?動いたら承知しねぇぞ!』
『SOL!MAXIMUM DRIVE!』
ディケイドはライドブッカーSモードにあるスロットにソルメモリをインサートすると、ライドブッカーSモードの先端が業火に包まれ、インペラーに向かって炎刃を振り下ろした。
ディケイドS『ソルスラッシャーッ!!セヤアァァァァァァァァァアッ!!』
―ズバアァァァァァァァァァァァァアッ!!!―
インペラー『グッ?!グオォォォォォォォォォォォオッ!!?』
ディケイドの振り下ろした火炎の刃がインペラーを斬り裂き、インペラーは防御も出来ず悲痛な悲鳴を上げながら爆散していったのだった。
ディケイドS『っ…無駄に手間取らせやがって…しかしこれがガイアメモリの力か…強力ではあるがやっぱり強すぎるものだな…使い道には気をつけるか…』
ディケイドはライドブッカーからソルメモリを抜いて元の姿に戻り、メモリを仕舞ってライドブッカーを腰に戻すと、背後にいる龍騎とナイトの方に振り返る。
ナイト『お前は…あの時の…』
ディケイド『漸く会えたな。今度はちゃんと相手してもらうぞ?』
ディケイドはライドブッカーを開き、其処から一枚のカードを取り出して龍騎達へ見せるように目の前に翳す。
ディケイド『コイツの力も試してやる。変身ッ!』
『KAMENRIDE:FIRST!』
ディケイドライバーにカードをセットすると電子音声が響き、それと同時にディケイドライバーから眩い光が放たれてディケイドの身体を包み込んだ。
そしてその光が徐々に晴れていくと、ディケイドは全身にダークグーリンの強化スーツを纏い、更に何処からか取り出したバッタを模した仮面とクラッシャーを顔と口元に装着し、異形のライダー……前の世界で滝が変身したのと同じ仮面ライダーfirstへと変わったのである。
ナイト『何…?!』
龍騎『姿が…変わったっ?』
Dfirst『原点にして頂点ってな。お前らの祖先の力…じっくりと見せてやるよ。ハアァッ!』
Dfirstはナイトに向かって走り出し、鋭い右ストレートの打撃を打ち込んでいく。ナイトはDfirstの放つ打撃をダークバイザーを使って何とか防ぐが、一撃一撃がとてつもなく重く次第に耐え切れなくなって近くの地下駐車場へと吹き飛び、Dfirstもナイトの後は追って地下駐車場へと向かっていく。
ナイト『グゥッ…!』
Dfirst『どうした?さっさとやり返してこいよ』
挑発するように人差し指を動かすと、ナイトは態勢を立て直してダークバイザーをDfirstに向けて振り下ろし、Dfirstはそれをかわして後退しながらディケイドライバーを開く。
ナイト『クッ!お前は本当に弁護士か?!お前みたいなライダー、取材でも聞いたことがない…!』
Dfirst『そうか?俺はお前達のことを知ってるぞ?仮面ライダーナイト、仮面ライダー龍騎!』
―ドゴオォッ!―
ナイト『ウグッ?!』
Dfirstはナイトの攻撃を弾きながらその腹を殴って後退させると、ライドブッカーを開いてカードを出し、ディケイドライバーにセットする。
『ATTACKRIDE:BURST HAMMER!』
電子音声が響くとDfirstの右手が炎に包まれて激しく燃え盛り、Dfirstはそれをナイトに向けて放っていく。
―ドゴオォッ!ドゴオォッ!ドゴオォォォオンッ!―
ナイト『ガハァッ?!』
Dfirst『まだ倒れるには早いぞ?』
吹き飛んだナイトを見据えながら、Dfirstはもう一枚のカードを取り出し、それをディケイドライバーに投げ入れスライドさせる。
『ATTACKRIDE:ELECTRO FIRE!』
ナイト『ウッ…グッ、ハアァァァァアッ!』
鳴り響く電子音声を聞いてナイトはすぐさま立ち上がりDfirstの行動を阻止しようとダークバイザーで斬り掛かった。が、Dfirstはそれを避けながらナイトの腹部へと自身の右手を押し当てる。
ナイト『ッ!しまっ…!』
Dfirst『エレクトロファイヤー…シュート』
―ズドオォォォォォオンッ!!―
ナイト『ウグアァァァァァァアッ!!』
Dfirstの右手から放たれた電流がナイトに襲い掛かり、ナイトはそのまま遠方へと吹き飛んで壁に激突しアスファルトの上に倒れ込む。
ナイト『ッ…クッ!』
ふらつきながらもなんとか態勢を立て直したナイトはバックルのカードケースからカードを抜き取り、ダークバイザーへと装填していく。
『TRICK VENT!』
電子音声が響くとナイトから三体の分身が現れ、分身達と共にナイトはDfirstに反撃を開始する。
Dfirst『クッ?!グッ!』
分身達に驚きながらも何とか応戦しようとするDfirstだが、ナイトと分身達による連携攻撃には手も足も出ず吹っ飛ばされ、地面を転がって叩き付けられたその衝撃でディケイドの姿に戻ってしまった。
ディケイド『クッ…なるほどな…だがそういうの、こっちにもあるんだよ!』
ディケイドはそう言って立ち上がり、ライドブッカーから新たに取り出したカードをディケイドライバーにセットする。
『ATTACKRIDE:ILLUSION!』
電子音声が鳴り響くと共にディケイドから二体の分身が出現し、それぞれのライドブッカーを構えてナイト達に向かって走り出した。ナイト達もディケイド達に反撃するが、ディケイド達の方が明らかに優勢であり、ナイト達は一人、また一人と吹っ飛ばされていく。そして最後の一人が吹き飛んだと同時にナイトは一人に戻り、ディケイドもそれを確認すると分身達を消してライドブッカーを腰に戻した。
ナイト『グッ…ゴフッ…!ハァ…ハァ……!』
龍騎『…いい様だな、ブレラ』
すこし離れた所で二人のその戦いを見ていた龍騎は、膝を付けて苦しむナイトを見て鼻で笑いながら呟いていた。
龍騎『お前は俺と桐上さんを…そしてランカを裏切った…当然の報いだ…』
顔を俯かせながら龍騎は独り言の様に呟き、ディケイドはナイトにとどめを刺そうとライドブッカーからファイナルアタックライドのカードを取り出していた。漸くあの男が倒される。漸くこの怒り憎しみから解放される。それは自分にとって喜ばしいことだ。なのに……
龍騎『ッ……俺は……』
あの男が倒される…そう考えると何かが引っ掛かり、何故かそれに納得出来ないでいる自分に龍騎は戸惑っていたのだった――――