仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第一章/ライダー大戦⑦

 

―光写真館―

 

 

―ピッ!ピッ、ピッ!―

 

 

「──あれ?んん?テレビ、全然映らないね?」

 

 

その頃、零の行き付けと言われている此処光写真館では、この写真館の老主人である"光 栄次郎"が外の状況にも気付かないまま右手にリモコン、左手に新聞を手にノイズしか映らないテレビと格闘している最中にあった。其処へ……

 

 

―ガチャッ―

 

 

零「──爺さん、邪魔するぞ……」

 

 

栄次郎「ん……?おお!零君じゃないか!いらっしゃい!」

 

 

零「ああ、急に来てすまないな……って、爺さん?アンタ何やってんだ……?」

 

 

栄次郎「ん?うん……実はさっきから全然テレビが映らなくてねぇ。見たい番組がもうすぐ始まるのに困ってるんだよぉ……」

 

 

零(……外があんな状態になのにテレビの心配とは……やっぱり只者じゃないなこの爺さんっ……)

 

 

つい先程まで世界が終わりを迎えようとしていた中、そうとも知らず今の今まで映る筈もないテレビに食い付きリモコンを操作していた栄次郎を見て零も呆れを通り越して顔を引き攣る中、二人が今いる生活スペースのすぐ隣の撮影スタジオの入り口からなのはとスバルが中へと入ってきた。

 

 

なのは「お、お邪魔しまーす……」

 

 

スバル「失礼しまーす……?」

 

 

栄次郎「ん?あれ、お客さんかな?」

 

 

零「いや、客じゃなくて俺の連れだ。ほら、前にも何度か話してた……」

 

 

栄次郎「ああ、あー!前に話してくれた零君の彼女さんか!で、どっちの娘がそうなの?うん?」

 

 

スバル「え、ええ?!か、彼女ですか?!」

 

 

なのは「か、彼女というか、そのぉ……」

 

 

何やらとんでもない勘違いをしている栄次郎からの質問にスバルは思わず顔を赤くして慌ててしまい、なのはも言葉を濁しつつチラッと零の方を見るが、当の本人の零は適当に目に付いたハニワの置物を手に取りながら呆れ気味に溜め息を吐き、

 

 

零「前にも話したとは思うが、生憎俺とコイツらの間に爺さんが期待するようなロマンス溢れる浮かれた話なんてないぞ……。特に管理局なんてとこで働いてれば俺よりマシな男なんて幾らでもいるだろうし、わざわざ俺みたいな変わり種を好くような物好きでもないさ、ソイツ等は」

 

 

栄次郎「えー?そうかなぁ?」

 

 

なのは(あー……うん、シッテタ……どーせ変わり種を好くような物好きですよーっだっ……)

 

 

ナイナイと、片手を振って否定する零のいつも通りの反応に内心拗ねてそっぽを向いてしまうなのは。そしてスバルもそんな彼女の反応を察して苦笑いを浮かべると、話題を変えるのも兼ねて館内の撮影スタジオを物珍しげに見回していく。

 

 

スバル「そういえば私、写真館ってあんまり来たことってないかも……零さんはここ、確か行き付けって言ってましたよね?」

 

 

零「まあな。……あぁ、そういえば紹介もまだだったか。この人が写真館の館長を務めてる──」

 

 

栄次郎「初めまして、館長の光栄次郎です。皆さんのことは零君から常々聞いてますよ〜♪」

 

 

なのは「光、栄次郎さん……?その名前ってもしかして、地球の……?」

 

 

零「あぁ、爺さんは元々俺達と同じ地球出身らしい。ただ随分昔に次元震に巻き込まれてからこっちに跳ばされたらしく、其処からは色々あって此処で写真館を経営して過ごしてるんだとか……俺も初めて話を聞いた時は驚いたもんだ」

 

 

奥で三人への珈琲を用意し始める栄次郎の背中を見つめ、彼の過去について補足を加えながら二人にそう説明すると、零は近くの棚に仕舞われている救急箱を借りていく。

 

 

零「取りあえず、今は治療が先だな……説明しなきゃならない事も山ほどあるし……」

 

 

「「……?」」

 

 

テーブルの上に置いた救急箱から薬とガーゼを取り出しながら、これから説明しなければならない突拍子もない内容に零が今から頭痛を覚える中、そんな彼の様子になのはもスバルも互いに顔を見合わせて不思議そうに首を傾げていた。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

なのは「──じゃあ、私達の世界がこうなったのはその滅びのせいで、世界を救うには仮面ライダーって人達がいる世界を旅しなきゃいけない……ってこと?」

 

 

スバル「しかも、ティア達や部隊長達も、その滅びの現象に巻き込まれてライダー達の世界に跳ばされてるって……」

 

 

零「ああ……掻い摘んで説明すると、大体そういう事らしい」

 

 

それから十数分後。零は二人の治療を行いながら先程青年から教えられた経緯をなのはとスバルにも説明していた。

 

 

そして全ての話を終えた後、二人は何も言えず俯き包帯を巻いた自分の手を見下ろしてしまい、そんな二人の反応に零も救急箱を閉じながら溜め息混じりに呟く。

 

 

零「まぁ、すぐに理解しろと言われても飲み込めるような話じゃないだろうな。お前らのその反応も当然だ」

 

 

スバル「あ……い、いえ、確かに突拍子もない話だし、全部を全部理解出来たってワケでもないんですけど、でも……」

 

 

なのは「信じられない、なんて言えないよね……現に今、目の前であんな事が起こってる訳だし……」

 

 

そう言ってなのはは写真館の窓から差す赤い光を見つめ、世界が終わろうとしていた直前の光景を思い出し複雑げな表情を浮かべると、零の方に振り返って不安げに問い掛ける。

 

 

なのは「でも、本当に行くの……?魔法も使えないし、空だって飛べない今の私達じゃ出来る事も少ないのに……」

 

 

零「……それでも出来る事がない訳じゃない。現に今、俺達は此処にいるんだからな」

 

 

ライダーの世界とやらを旅するという事は、もしかしたら今後も自分達が襲われてきたあの怪物達と再び戦う事があるかもしれない。魔法を使えなくなり、戦う手段を失った今の自分達だけでそんな事が出来るのか不安を覚えるなのはに対し、零は椅子から立ち上がって二眼のレフカメラのファインダーを覗きながら何時もの調子で語る。

 

 

零「今までだってどうしようもなさそう状況で、死にそうな目に遭いながらも何だかんだで解決して来られたんだ。今回もそう変わらんさ。分かりやすい敵を叩いて、仲間を助けて、ついでに世界も救う……今まで俺達がやって来たことの延長線だろう?」

 

 

スバル「つ、ついでってっ……」

 

 

なのは「……マイペース過ぎ……こんな状況でもそういうとこは相変わらずなんだからっ……」

 

 

零「それが俺だからな。嫌ってほど知ってるだろ?……少なくとも、六課が無事に終われるまでは、俺もこんな所で終わるつもりはないさ……」

 

 

なのは「……あ……」

 

 

こんな差し迫った状況の中でも相変わらずな調子の零に呆れて言葉も出てこないなのはだったが、零が静かに呟いたその言葉を聞いた瞬間に公園での彼との会話が過ぎり、同時に気付いた。

 

 

彼が見てるのは世界の行く末というもっと大きなものではなく、その世界の中で自分達が一年を共にした機動六課が無事に終われる事や、教え子達の門出に少しでも上手くなった自分の写真を渡し、皆がそれぞれの選んだ道を歩む姿を見届けるという、もっと間近な未来。

 

 

自他共に認める弄れ者だし、根っからの善人とは言い難い彼だが、同時に身近な人達の為ならば文字通り命すら投げ出せる人である事を、"自分は良く知っている"。

 

 

例えそれが世界の終わりという状況の中であっても、仲間達の危機やその未来が奪われようとしているのなら迷わず往く人でもある事、そんな彼に見守られる自分がこれから先に描こうとしていた未来を思い出し、いきなり課せられた世界の命運という重みや今の力無き自分達だけで出来るのかという不安に苛まれてる場合ではないと、一度瞳を伏せて心を落ち着けたなのははソファーから立ち上がった。

 

 

なのは「……分かった。なら一緒にいくよ、私も。まだまだこの世界でやり残した事が沢山あるのに、此処で終わらされたらたまったものじゃないし」

 

 

スバル「なのはさん……うん、私も同意見です!せっかくこれからやるべき事が見えたのに、世界に終わられたら困りますから!」

 

 

零「……そうか……ま、俺一人でも事足りると思うが、九つもの世界を一人旅ってのも味気ないだろうしなぁ。特別に付き合わせてやっても構わんぞ?」

 

 

なのは「私達が付き合ってあげるのっ!大体零君一人に任せてたら、いつまで経っても旅が終わらずにずっと世界がこのままって可能性もあるしっ」

 

 

零「どんだけ信用がないんだよ俺はっ……言っとくが俺は元々大体の事を卒なく熟す方だ。余程の事でもない限り、俺がドジを踏むなんてある訳がないだろう?」

 

 

なのは「行く先々で女の子絡みのトラブルに巻き込まれては首を突っ込んで無茶して怪我した挙句、何故か助けた女の子が付いてくるのは?」

 

 

零「……………………………………………………………………………………………違う世界でまで同じ目に遭うとも限らんだろうよ…………」

 

 

スバル(あ、今すんごい間を空けてから目を逸らした……)

 

 

今の指摘に心当たりがありまくるのか、急に歯切れが悪くなりあからさまになのはから顔を逸らす零を見て、其処は否定はしないんだなぁと内心思ってしまうスバル。

 

 

因みに今のスバルの位置からはなのはの顔は見えないが、恐らくきっと凄い顔をしてるのだろうとこの一年で染み付いた経験故に何となーく分かり、初めの頃にオロオロしていた自分が今や懐かしいなぁーとスバルが遠い日の記憶に浸る中、隣に立つなのはが不意に溜め息をこぼし、椅子に腰を下ろしつつ若干投げ槍な口調で肝心な事を問い掛ける。

 

 

なのは「まあいいや……それで、そのライダーの世界にはどうやって行くの?確か並行世界って言ってたし、私達の世界みたいに船とかで次元世界に行くのとは違うんだよね?」

 

 

零「え?」

 

 

なのは「え?」

 

 

零「……………………」

 

 

なのは「……………………」

 

 

 

 

 

 

………………………………。

 

 

 

 

 

 

なのは「……ちょっと待って零君……まさかとは思うんだけどっ──」

 

 

零「…………………………………………………ああ………そーいえば、行き方自体の説明はなかったなぁ…………と…………」

 

 

スバル「え……えぇえええええええええええええっっ!!!?」

 

 

なのは「な、何でよりにもよって一番肝心な事を聞き忘れるのォッ?!だからそーゆー適当な所はあれほど直しなさいって口が酸っぱくなるほど言ったでしょっっ!!」

 

 

零「お、俺にばっかり責任があるとは言い切れないだろうこの場合ッ?!クッソッ、アイツちゃんとした説明も無しに消えやがってっ……!!」

 

 

まさかのエマージェンシー発生。ここに来てまさかのライダーの世界へ行く方法を聞き忘れるという大ポカをやらかしていた零にスバルは絶叫し、思わず両手で顔を覆ったなのはも零の胸ぐらを掴んでガクガクと前後に激しく揺さぶる中、三人分の珈琲を容れ終えた栄次郎が奥から現れテーブルの上にカップを並べていく。

 

 

栄次郎「まあまあ、取りあえず珈琲でも飲んで落ち着いて。話の内容はよく分からないけど、何事においても急いては事を仕損じる、だよ?」

 

 

スバル「うぅ……スミマセン……じゃあ、頂きますっ……」

 

 

なのは「嗚呼っ、もうほんとにどうしようこれっ!まさかスタートラインからいきなり躓くなんて思いもしなかったっ!」

 

 

零「あー……まあ落ち着け。爺さんの言う通り焦っても事が解決する訳じゃな、美味っ……解決する訳でもないんだ。一先ず冷静になってから三人でもう一度……しかし砂糖が欲しいな……」

 

 

なのは「喋るか飲むかどっちかにしてよぉっ!っていうかこうなったのは零君にも責任あるんだからちゃんと考えてよねぇッ?!」

 

 

実際問題かなりの非常事態であるのに会話の合間に珈琲を啜る零の不真面目さに怒り、再び抗議して零を叱り始めるなのは。そして栄次郎はそんな光景を何処か微笑ましげに一瞥しながら撮影スタジオの壁の一角にある撮影用の背景ロールを操作する鎖の調整を始めるが、何故か鎖を引っ張てもビクともせず一瞬訝しげな表情を浮かべるも、すぐに鎖が留め具に掛かったままだったのに気付いて留め具から鎖を外すと、一気に鎖が出て背景ロールが勢いよく降りてしまう。その時……

 

 

―パアァァァァァァァンッ!―

 

 

零「ッ!何だっ?」

 

 

勢いよく降りた背景ロールに不思議な絵が浮かび上がり、淡い光が何度か放たれたかと思いきや、光はすぐに止んで収まった。そして零達は謎の光を発した背景ロールの前に集まると、ロールには中心にそびえ立つ大きな山に向かって走る数台のパトカーの絵が描かれていた。

 

 

零「これは……」

 

 

スバル「……あ、あれ?何か、外の様子がさっきと可笑しくないですか?」

 

 

なのは「へ?」

 

 

スバルにそう言われ、二人も窓の方を見た。すると確かに、先程まで炎の海の赤い光が差していた窓からいつの間にか普通の日差しが差し込んでおり、二人と共に訝しげに窓を見ていた零は突然「まさか……!」と思い、慌てて写真館の外へと飛び出した。其処には……

 

 

零「……何だ、これ……」

 

 

写真館の外に出て、零は唖然として立ち尽くしてしまう。それもその筈、何故なら零が目にしたのは先程までの炎の海に飲まれ掛けるミッドの街並みではなく、自動車が目の前を行き交う道路沿いの風景に変わった外の世界だったからだ。更に……

 

 

『警ら中の各移動に連絡。春日部二丁目の北二倉庫にて、未確認生命体の出現を確認』

 

 

零「?今のは……って、何だこりゃ?!」

 

 

不意に聞こえてきた無線の声に驚き思わず肩を見れば、其処には何故か無線機が肩に留められており、加えて零の格好がいつの間にか警官の制服姿に変化していたのだ。

 

 

一体何が起こったのか?訳が分からぬまま周囲を見回すと光写真館の外観まで変化しているのに気付き、困惑する零は此処から見える巨大な山を見て、訝しげに目を細めた。

 

 

零「あれは……まさか……」

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

『事件現場の指揮は、警視庁未確認生命体対策本部員が担当する。現場にて対応する署員は、対策本部員の指示に従い、未確認の接近に注意。負傷・事故等無いように注意されたい。以上、警視庁』

 

 

「撃てっ!撃てぇええっ!」

 

 

―バババババババァンッ!!―

 

 

『ヌゥウウッ……ヌァアアッ!』

 

 

そして同じ頃、警察の無線にもあった北二倉庫では、大勢のパトカーと警官達が拳銃やライオットシールド等の装備を手に異形の怪物を包囲し、迎撃する光景があった。

 

 

しかし、異形の怪物……警察の無線の中で未確認生命体と呼称されていた怪人は自身に浴びせられる銃弾をものともせず、その強靭な腕力だけで近くのパトカーを軽々と転がして警官達を威嚇していく。

 

 

それでも警官達は退く事なく何とか此処で食い止めるべく懸命な一斉射撃を続ける中、一人の女刑事がパトカーの無線を使って警察の無線とは別の無線に繋げた。

 

 

「未確認生命体7号を確認……!優矢、聴こえてる?!」

 

 

『──大丈夫、聴こえてるよ姐さん!今ちょうど現場に向かってるとこだ!』

 

 

無線から聴こえたのは、まだ何処か少年っぽさが残る男の声。女刑事はその応答に頷き切羽詰まっていた表情にも僅かに力強さが戻るが、未確認生命体7号が警官の一人を捕まえると共にパトカーの上に叩き付けて襲い掛かろうとしているのを目にし、襲われる警官を急いで救出しようと未確認生命体7号の背中を銃で狙い定めるが……

 

 

―ガシャアアアアアアアアンッ!!―

 

 

『シャアアアアッ!』

 

 

「?!なっ、うぐぅッ?!」

 

 

「あ、綾瀬ぇッ!」

 

 

綾瀬と呼ばれた女刑事の背後にある倉庫の壁から突然もう一体の未確認生命体が現れ、そのまま一番近くの綾瀬の姿を捉えると共に彼女へと襲い掛かり、首を掴んで壁に叩き付けてしまったのだ。

 

 

もう一体の未確認生命体の出現により現場が混乱に包まれる中、其処へ一台のバイクが駆け付ける。そしてバイクに搭乗する少年がヘルメットを外すと、未確認生命体に襲われる綾瀬の姿を見て形相が変わった。

 

 

「姐さん……!?クッ!」

 

 

襲われる綾瀬を目にし、少年はすぐさまバイクから降りて自身の腹部に両手を翳す。すると少年の腹部にベルトが出現し、綾瀬の下へ駆け出しながら腕を前に構え、そして……

 

 

「変身ッ!」

 

 

高らかに叫び、少年がベルトの左側を左手の甲で軽く押すと、少年の体が徐々に赤い鎧の戦士へと変身していく。

 

 

そして完全に赤い戦士へ変身した少年は警官達の頭上を飛び越えながら拳を振りかざし、綾瀬に襲い掛かる未確認生命体を殴り付けて組み合いとなると、そのまま二体の未確認生命体を相手に戦闘を開始していくのであった。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

零「──クウガの……世界か……」

 

 

そして、光写真館の前では零が此処が自ずとあの青年が話していたライダーの世界である事に気付き、背景ロールにも描かれていた山……灯熔山を見つめて静かにそう呟いたのであった。

 

 

 

 

 

第一章/ライダー大戦END

 

 

 


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