仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
あれから一時間後。社員達が客席で食事を楽しんでいる中、厨房では今もスタッフ達が忙しく動き回る姿が多く見られていた。
零「そうじゃない!それじゃ味が濃くなるだろう?!此処はこうだ!分かったか?!」
「は、はいチーフ!」
零「駄目だ!味付けが薄い!そこにあるソースを片っ端から持ってこい!」
「はいチーフ!」
零「何をやってるんだお前は?!それじゃあ身が固くなるだろう?!火加減の微調整ぐらい気をつけろ!」
「す、すみませんチーフ!」
零「そこのコック!すまないが食材を取りに何人か連れて倉庫に行ってきてくれ!……そしてそこの二人!勝手に料理をつまみ食いするなッ!!」
ヴィータ「…ムグッ?!ば、馬鹿言うな!そんな事してねーよ!」
スバル「そ、そうですよ!ちゃんとお仕事してましたよ?!」
零「…なら何でデミグラスソースが口に付いてるんだ…」
『…ハッ?!』
ギンガ「もう、スバル!ヴィータ副隊長も!零さんやスタッフの皆が真剣にお仕事してるのに、しっかりしないと駄目でしょう!」
零「……ギンガ、口にクリーム付いてるぞ…」
ギンガ「へ?…あっ?!」
コック達が忙しく働く中、厨房内には零の怒鳴り声が多く響き渡っていた。当初はコック達に指示を送っていただけだったのだが、コック達の不手際を発見してからというものこの調子でありチーフ自らがキッチンに立つ姿が何度も見られ、問題点を指摘されるコック達は零の半分説教半分アドバイス?を受けて半泣きになりながらも零に言われた通り調理を続けていく。そして、別の厨房では祐輔がケーキセットを皿に盛り付けていた。
祐輔「あっ、コックさん。これも一緒にお願いします」
「は?あの、これは?」
祐輔「流石にあれだけじゃ社員の皆さんも満足出来ないでしょう?ですから一緒に持っていって下さい。僕からのオマケです」
「は、はぁ…分かりました」
コック達は祐輔から渡されたケーキを持ってそれ以下エリアの客席に向かい、祐輔は新しい材料を取り出して再び料理とケーキを作り始める。
―シャリッ、シャリッ…―
刹那「…………」
そしてその端では、刹那が黙々と野菜の皮を剥き続けていた。一箱の段ボールに入った野菜を取り出して皮を剥いていき、剥き終えた野菜を笊の中に入れてまた別の野菜の皮を向くと地道な作業を続けていく。そんな刹那の下に、零がKQJ用のランチを乗せた二つのトレーを持ってやって来た。
零「刹那、悪いがこれをKQJ用の客席に運んできてくれないか?他の奴等はどうも手が離せないみたいでな。頼めるか?」
刹那「…問題ない。行ってくる」
刹那はそう言って零からトレーを受け取ると、ランチを運ぶ為にKQJ用の客席へと向かって行った。
◆◇◆
KQJ用ランチを運ぶ刹那はKQJ用ランクのエリアに入り、ランチを注文した社員の待つ客席の下へ向かっていった。
刹那「KQJランチだ…」
と、一言だけ告げてランチを乗せたトレーをテーブルの上に乗せ、そのまま厨房へと引き返そうとする。だが…
「おい、ちょっと待てよ」
厨房へと引き返そうとする刹那を客席に座っていた社員が呼び止め、呼び止められた刹那は無言のままそちらの方に振り返る。客席に座っているのは見た感じ柄の悪そうな二人組の社員。その二人の首にはスペードのJと表示された社員証が下げられていた。
「なんなんだよその接客?それが客に対する態度か?」
「ホントだよなぁ。もうAじゃなくなったっていうのにその無愛想な態度…まだA様気分でいるつもりかよ?」
嘲笑うかのような表情で刹那を見つめてくる二人組の社員。明らかな上から目線の言葉に近くのテーブルに座っている社員達も苛立ちを覚えるが、当の本人である刹那は全く気にした様子を見せず、取りあえずこの場を治めようと二人に謝罪する。
刹那「何か気に障ったのなら謝る。すまなかった…」
「だーかーらーその態度と言葉づかいが気に入らないつってんの。俺達はJ、お前は7……誰が上なのか分かってるよね?」
「ホントに悪いと思ってんならそこで土下座でもしてくれない?スミマセンでしたってさ」
刹那「……………」
くだらない。不意に刹那の脳内にそんな言葉が浮かび上がる。こんな輩の相手をしていても時間の無駄だ。そう思った刹那は二人を無視して厨房に戻ろうと歩き出す。
「おいおい、無視しちゃうワケ?上司の命令が聞けないのかよ?…てかそうか。そんなんだからAから降格されちまったのか?そりゃそうなるわなぁ♪」
刹那「……………」
わざとらしく刹那の悪口を口にする社員だが、刹那は無表情のままそれを無視して厨房に戻ろうとし、社員は刹那のその態度に苛立ちテーブルから勢いよく立ち上がった。
「テメェ…謝れって言ってんだろうが!こっち向けよっ!」
社員は怒号を響かせながら刹那を振り向かせようと肩を乱暴に掴んだ。だが……
刹那「ッ!俺にっ……俺に触るなあぁぁぁッ!!!」
―ドゴオォォッ!!―
「うがあぁぁぁっ!!?」
―ガシャアァァァァァァアンッ!!―
『キャアァァァァァァアッ!?』
なんと、刹那はいきなり社員を殴りつけてしまったのだ。殴られた社員はそのまま別の社員達が食事していたテーブルへと吹っ飛んでいき、テーブルの上に倒れたままピクリとも動かなくなってしまった。
「っ?!て、テメェ!上司に手を上げやがったな!?」
刹那「…っ?!」
刹那はもう一人の社員の声を聞いて我に返り、自分がしてしまったことに始めて気づいた。上司に手を上げてしまった…。その事実が頭の中で何度も繰り返し流れ、刹那は社員を殴った自分の拳を呆然と見下ろしていた。
「この野郎ォ!もう許さねぇぞッ!!」
「あ、危ない!!」
刹那「ッ!」
悲鳴にも似た女性社員の声を聞いて刹那は目の前に視線を向けると、社員の放った拳が目の前にまで迫っていた。この距離では避けられない。刹那はそう思って歯を食いしばった。その時……
―パシッ!!―
「…ッ?!な、なに?!」
ロックオン「ったく…様子見に来てみりゃ、一体なにやってんだお前は?」
刹那「…?!ロックオン…アレルヤ…?!」
アレルヤ「大丈夫かい刹那?なにがどうなってるのかは……まぁ、この有様を見て大体予想出来たよ」
刹那の目の前に立つ二人の男性…ロックオンとアレルヤが社員の放った拳を受け止め、そのまま押し返すように社員の腕を払った。
「クッ!え、Aチームの…ロックオン・ストラトス…アレルヤ・ハプティズム…なんでここに?!」
ロックオン「何でって聞かれたら、飯を食いにとこの坊主の様子見ってところだ……んで?こいつに何か用があるってなら俺達が聞くぜ?」
アレルヤ「といっても、これ以上此処にいたら他の社員に迷惑が掛かる…話なら外で聞くけど?」
「うっ…ク、クソッ!覚えてろ?!この事は社長に報告するからなぁ!?」
そんな捨て台詞を言い残し、社員は気を失った社員を抱えその場から逃げ出すように社員食堂を飛び出していった。とそこへ……
ギンガ「刹那さん!どうしたんですか?!」
ウェンディ(別)「なんスか今の騒ぎは?!」
騒ぎを聞き付けたギンガとウェンディ(別)がその場に駆け付けると二人は客席内の惨状を見て絶句し、刹那はその場で身を屈めて床に広がった料理や皿の破片を広い集めていく。
アレルヤ「刹那、僕も手伝……っ!ロックオン?」
ロックオン「………」
刹那の作業を手伝おうと身を屈めるアレルヤだが、ロックオンがそれを制止し、刹那は床に散らばった料理と破片を拾い終えると厨房に戻っていき、その場に残されたギンガとウェンディ(別)は状況が理解出来ず、ただ呆然とその場で立ち尽くしていた。