little Angel story〜1人の少女の物語〜 作:ムーンナイト
1行で分かったりしなくもない前回のあらすじ
・ローラ=チャン、カワイイ
side:ひな
聞こえたお腹の音に、レッスンが終わってからもうそんなに時間が経っていたの?と驚いていたら、お顔全体を赤く染めて固まったローラちゃんにめぐるが近付いていった。
「ローラ」
「な、なに」
私からは見えないけれど、めぐるはすごく真剣な表情をしている気がする。
「お腹すくと鳴っちゃうよね。わかる」
そして、その表情のまま喋っている気もした。
★★★☆
「ゆめ達は、っと。ちょっと待ってて」
ローラちゃんの声を聞いて、さっきまでのことを思い出していた意識が引き戻される。
「うん」
めぐるは汝鳥さんと一緒にご飯を食べる約束をしているらしくて、スタジオを出てから途中の道で別れた。
私もめぐると一緒に行きたいなと思っていたら、新しく友達を作るのも大事!と少し叱られてしまった。その代わり朝ご飯は3人で食べようと言ってくれたから嬉しかったな。
ちらりとローラちゃんを見ると、アイカツモバイルを手に何かしているようだった。ゆめちゃん
待っている間に改めてカフェテリアを見回す。
2階席で幹部の先輩方が食事をしている姿が見えた。打ち合わせも兼ねているのかも。
有莉先輩と…、あのうしろ姿は劇組の坂本ありさ先輩?
「・・繋がった。もしもし、ゆめ?」
ローラちゃん、ゆめちゃんに電話をかけていたみたい。
「うん。そう。メール見た?」
…そう言えばカフェテリアへ来る前にパパッと何かしていたけれど、ゆめちゃんにメールを送っていたのかな?
「──今一緒にいるし、ご飯頼んだらすぐ向かうから!」
どうしたのだろう。今一緒にいる…私のことだよね。
もしかしてなにか迷惑をかけてしまった…?
「了解…ふぅ。待たせてごめん」
電話を切ったローラちゃんはため息をついたあと、こちらを向いた。
「ううん。ねぇローラちゃん。私、なにか迷惑をかけていない…?」
そう聞くとローラちゃんは首を傾げる。
「迷惑?なんで?」
「電話をしていた時に、一緒にいると聞こえて…」
私の言葉を聞いて、ローラちゃんはどこか納得したような表情を浮かべた。
「あ〜、それなら全然。ゆめにひなを連れてくって連絡したら、結構な勢いで話して来たから、そう言っただけ」
それなら良かった…。
「ゆめ、2階にいるって。紹介したい子もいるし、ご飯頼んで早く行こ」
そう言って、こっちこっちと手招きしてくれるローラちゃん。
「晩ご飯はメニューの中から食べたい物を選んで頼むだけ。簡単でしょ?メニューは日替わりのものもあるし、ずっと変わらないのもあるの」
指をさしながら説明してくれた。
「そうなんだ」
メニューには色々なご飯やスイーツの名前が並んでいる。
お昼ご飯を食べた時はさっと目を通すだけになっていたけれど、洋食、和食…中華メニューもあるみたい。朝ご飯とはメニューが違うようだから、毎日のご飯が楽しみになりそう♪
スイーツ類で言うと、大福やどら焼きなどの和菓子にパフェやタルトなどの洋菓子・・どれにしようか迷ってしまう。
"ピロリロリロリン"
「?」
ポケットに入れていたアイカツモバイルが震えた。
取り出して画面を開くと、キラキラインにメッセージが1件。送り主は…ゆめちゃん?
『ご飯、オムライスがおススメだよ!』
すごい。何だかタイミングぴったり。
「どうかした?」
私の方を見たローラちゃんにゆめちゃんからのキラキラインを見せる。
「ホント、ゆめらしいわ。よくあるんだよね、タイミング良く送ってくるの」
「へぇ〜」
折角ゆめちゃんが
「私はオムライスにしようかな。ローラちゃん、決まった?」
「ん〜、私はおにぎり定食。アレ美味しいんだ」
おにぎり定食…汝鳥さんが好きそう。
今度食べてみようかな。
それぞれ注文をして、ほどなくオムライスとおにぎり定食が出てきた。
オムライスの付け合わせは野菜サラダとカットトマト、それとコンソメスープ。おにぎり定食は少し大きめのおにぎり二つにお味噌汁、お漬物に卵焼きがついていた。
どれも美味しそう♪
「さ、行こっか」
階段を上がって、2階へ移動。
見渡すと奥の席にゆめちゃんが座っていた。
「いたいた。ゆめー!」
ローラちゃんに
「ローラ!ひなちゃん!」
笑顔で迎えてくれるゆめちゃん。座って座って!と向かいの席を手で指してくれた。
ローラちゃんと顔を見合わせてふふっと笑顔になったあと、ローラちゃんがゆめちゃんの向かい、私がローラちゃんの隣に座る。
「あ!ひなちゃんオムライスにしてくれたんだ!」
私のトレーに視線を向けたあと、ぱっと顔を明るくさせたゆめちゃん。
「うん、ゆめちゃんがお勧めしてくれたから」
そう言うと嬉しそうに笑ってくれた。
「あれ?ゆめ、小春は?」
ローラちゃんが辺りを見回しながらゆめちゃんに聞く。
そう言えば、紹介したい子がいると言っていたよね。今ここにいるのはゆめちゃん1人だけれど…
「え?ちょっと前にご飯買いに行ったけど、下で会わなかった?」
下…注文した所?
「会ってないけど」
まさか、行方不明…??
3人で疑問符を浮かべていると、うしろから急いでこちらに向かって来る足音が聞こえた。
「ごめんね、遅くなっちゃったっ」
その声に私とローラちゃんはうしろを向く。
スミレ色のボブヘアーに、髪と同じ色の綺麗な瞳。髪には薄黄色のお花飾り。
ピンク色の眼鏡を掛けていて、手にはトレーを持っていた。
えっと名前は…
「
私が名前を呼ぶと、わぁっと嬉しそうにしてくれた。
よかった。名前、合っていたみたい。
「予想はしてたけど、やっぱ名前覚えてるの?」
ローラちゃんの問いかけに頷く。
「うん。前にあった新人モデルファッションショーで審査員特別賞を貰っていたでしょう?ホームページの各組アイドルプロフィールは全て読んだから、ほとんどの人は覚えていると思う」
七倉さんの好きなものは和菓子とお花だったよね。特技はアイドル情報収集と書いてあった。
「記憶力ヤバくない?」
「そうかな?」
ローラちゃんとそんなお話をしている間に、七倉さんはゆめちゃんの隣に腰かけた。
「よし!まずはいっただっきま〜す!」
ゆめちゃんの声を皮切りに私たちも食べ始める。
「いただきます」
ほんわりと湯気が立っている黄色い卵とケチャップライスを、スプーンで
ん〜♪美味しい!
少しトロけた卵の中に、ケチャップライスの酸味。ほどよく食感の残った玉ねぎと処理がしっかりとされて余計な苦味もないピーマンのシャキシャキ感。鶏肉も食べやすい大きさに切ってあって、食べる時の違和感がない。具材はバターで炒めてあるみたい。いい香り…。
隠し味は…ガラスープの
コーヒークリープは卵の方で、ガラスープの素はケチャップライスの方に入っている気がする。
もぐもぐと味わいながら食べていると、七倉さんがチラッとこちらを見ているのに気が付いた。
「あっ」
目が合ったと思った次の瞬間七倉さんは小さく声を上げて、はわわっと慌てた様子で目が逸らされてしまった。
お口の中に残っていたオムライスを飲み込みながら考える。
私、何かしてしまったかな…?
・・そういえばまだ自己紹介をしていなかった。七倉さんともう1度目が合ったタイミングで口を開く。
「自己紹介が遅れてしまってごめんなさい、白鳥ひなです♪好きなことは歌を歌うことかな。よろしくお願いします、七倉さん」
簡単に自己紹介をすると、七倉さんはしきりに頷いて聞いてくれた。
「えと、七倉小春っです。下の名前で呼んでくれたら…嬉しいな」
な…小春ちゃんはどこか恥ずかしそうに自己紹介してくれた。恥ずかしいという以上に顔が赤いけれど、大丈夫かな…見た限り熱はなさそう。
折角下の名前で呼んでと言ってくれたのだし、私も…!
「それなら、私のことも名前で呼んでくれたら嬉しい♪…小春ちゃん、顔が赤いけれど、大丈夫?」
思わずそう聞く。えぇ〜?!っと、小春ちゃんは頬を両手で押さえた。
「うん、なんとか…あっあのね…!」
パチンと軽く頬を叩いたあと、何か意気込むように少し身を乗り出してきた小春ちゃん。
「なぁに?」
そうすると、小春ちゃんは恥ずかしそうにぎゅっと目を瞑った。
そして胸の前で少し止まったあとに差し出された両手。両手…?
「握手、して下さいっ!」
…えっと、握手??
side:ローラ
いきなり小春から握手を頼まれたひな。
若干驚いたような顔したけど、すぐに微笑んでそのまま両手を伸ばして小春の手を握った。
「わあぁあ…」
どこか
隣のゆめは納得したような…でも不思議そうな、よく分かんない表情をしてた。
「小春ちゃんもひなちゃんのファンになったんだね。私もだけど…でも何でいきなり握手?」
ゆめがそう言うと、ひなとの握手を終えて席に着いた小春が首を振った。
「違うよゆめちゃん。私、ずうっと前からひなちゃんのファンだったの」
ずっと前から…?
ひなをチラッと見たら、嬉しいなって微笑んでた。
前にいるゆめは、え?前から??って頭にハテナ浮かべてる。
「ゆめちゃん覚えてない?小さいころ一緒に見てた、『
忍者っ子いろは…。
簡単に言うと、人を守る
本当はお母さんゆずりの綺麗なブロンドっぽい髪色なんだけど、町に溶け込んだりするために変装術を使って黒に近い髪色に変えてるんだよね。
手裏剣投げたり、手を後ろに流しながら上体を低くして走るいわゆる忍者走りでタタタッと走ったり。小さいころ、ワクワクしながら見てた。
それに、リーナの宿命って…。
今でもよく再放送されるくらい大ヒットしたドラマだ。春休みにあった『懐かしのドラマ春のスペシャル大放送』でもやってた。
2年前に1度リメイクされてたけど、そっちは全然ヒットしなかったらしい。大体の原因は、主人公の違い。予告編を見た事あるけど、1作目の子の方が
主人公のリーナっていう優しい女の子が色々な所で起こる争いを不思議な力を持った歌と優しくて強い心で止める話。お婆ちゃんと一緒に暮らしてたのに、急に現れた女の人と旅をすることになって、その人や旅の途中で出会う魔族や妖精の助けを借りながら最後はハッピーエンド。歌もドラマに自然と入れられてる、王道だけどどこか新鮮なドラマ。
初代リーナ、ホント可愛いかった。ママやパパと見たことあるけど、まるでお人形さんか天使みたいとか思ってた。
色白で、ミルキーブロンドの髪も綺麗で、なにより目の色が綺麗だったと思うんだけど…、何色だったっけ。珍しい色だった気はするけど。
ん・・?
色白で…、ブロンドの髪が綺麗で…、珍しい目の色…?
いや、めっちゃ当てはまる人、隣で微笑んでるじゃない。
そう言えば私、ひなの目を見たとき、どっかで見た事あるって思った。
小春がひなと握手した後にこの話を持ち出したってことは…
それにいろはとかリーナって初放送の時、見てた私と同い年かちょっと下くらいの女の子だった気が。
あ。
「もちろん覚えてるよ!2つとも今でも大好きだもん。あっ、私リーナちゃんの決めゼリフ得意なんだ!」
そう言って立ち上がるゆめ。
いや、多分本人目の前にいるんだけど。
「『とどいて…わたしのうた!』」
胸の前で指を
昔そのセリフと一緒に
とりあえず、えーっと。
私も小春もゆめに対して反応に困って苦笑い。
これ言った本人、いるし。
当の本人は、隣でお〜とか言いながらぱちぱちしてるけど。
そりゃ変な空気漂うよね。
「あれ?似てなかった?」
ゆめ…
いや似てたけどさ。
大好きなら、気付こうよ。
そのままゆめは不思議そうに席に座った。
「え〜と」
小春。
「まぁ」
私。
「ううん。とっても上手だった♪」
本人。
…ひなぁあー!
ほわほわした雰囲気でひながそう言ったからか、ゆめが嬉しそうにえへへってなってる。いやいや、えへへじゃないから。
「それで、リーナの宿命とか忍者っ子いろはがどうしたの?」
席に座ったゆめが小春に聞く。
小春は苦笑いしながら口を開いた。
「その、いろは役もリーナ役も…ひなちゃんだったから」
あ、ゆめが笑顔のまま固まった。
「・・・えぇっ?!!?!」
キッカリ3秒。復帰した。
「ふふっ」
隣で笑みを
私が
「『とどいて…私の歌!』」
ゆめと同じセリフ、ゆめと同じポーズのはずなのに。
全然違う。
優しく、でも必死で、決意に満ち溢れてて。
やっぱり
………ん?
私、今なんて…。
リーナが凄い??
いやいや、ここに居るのは…。
あれ・・・??
…分かんなくなって・・。
「なんてね♪」
……やっぱり、ひなは凄い。
side:ひな
ご飯を食べ終わった後もお話していたら、私が小さい頃に出ていた番組や映画や雑誌のことを小春ちゃんがよく知っていてくれて嬉しくなった。
リーナの歌も、懐かしいな。また歌いたい。
そして今は、カフェテリアのある本棟から4人で寮に向かっている所。道の両脇に
…あ、これは。
「これ、ゆめちゃんの?」
オレンジ色からクリーム色へグラデーションになっている短冊。
天に向かって大きくピースをしているゆめちゃんの絵に、『S4になりたい!!』と大きな字で書いてある。
「えへへ、そうだよ!」
ゆめちゃんの絵、可愛いなぁ。
それにこの短冊は…
「この短冊はローラちゃん?」
赤色からグラデーションがかかり段々と色が薄まっている短冊。
『絶対S4になる!』と書かれていた。
「そ。まぁ、私はすぐ叶えるけどね」
ローラちゃんらしいなぁ。
…あっ!
「小春ちゃんのも、見つけた♪」
紫から薄い桃色へグラデーションがかかっている短冊。
えっと、なになに…?
「ちょっと恥ずかしいな」
『夜空先輩みたいになれますように』小春ちゃん、少し恥ずかしいみたいで頬がほんのりと赤くなっている。
「小春ちゃんなら、きっと輝ける」
夜空先輩みたいに…ではなくて、小春ちゃんだけの輝きで。
小春ちゃんは、ゆめちゃんと一緒だともっと強く輝ける気がするけれど、今はまだ違うかも…?
「あっ、そうだ!ひなちゃんも短冊書く?」
ゆめちゃんの方を向くと、どこからか短冊とペンを出してきてくれていた。折角だし私も書こうかな。
「うん♪ありがとう」
水色から白へとグラデーションになっている短冊を受け取る。
お願い事か…。
ん〜、そうだなぁ。
やっぱり、私の1番の願いは……
side:ローラ
お腹いっぱいに晩ご飯を食べて、寮に戻ろうかってなった。
帰り道に七夕のアレコレで飾られてる道を通ってるんだけど、ひなは目をキラキラさせて七夕飾りを見てる。…なんか、小さい子みたいで可愛い。
「これ、ゆめちゃんの?」
何か見つけたらしい。
指の先にあるのは、ゆめの短冊。
イラスト入りで書かれてるゆめの短冊には、『S4になりたい!!』ってデカデカと書いてある。
「えへへ、そうだよ!」
可愛いって言葉を漏らしながら、ひなはまた何か見つけた。
「この短冊はローラちゃん?」
私の短冊だった。
『絶対S4になる!』って書かれてる。
赤い色は、私の決意の証。
それに。
「そ。まぁ、私はすぐ叶えるけどね」
絶対に。私はS4になるから。
それに、ゆめのは『なりたい』だけど、私のは『なる』だし。
…そう言えばさっき、宣言の時に1回だけローラって呼ばれたんだよね。ひなは気付いてなさそうだけどなんか嬉しかった。
「小春ちゃんのも、見つけた♪」
そんなこと考えてる間にひなは小春のも見つけてた。
「ちょっと恥ずかしいな」
『夜空先輩みたいになれますように』夜空先輩に憧れてる小春らしいお願い。当の本人はまた顔赤くしてるけど。
「小春ちゃんなら、きっと輝ける」
目を少し細めてどこか神秘的な微笑みを浮かべるひな。
その横顔に、思わず
「あっ、そうだ!ひなちゃんも短冊書く?」
いつの間にかゆめが短冊とペンを持って来てた。ひなのお願い、気になるかも。
「うん♪ありがとう」
少し考える素振りを見せたあと笑顔で受け取るひな。
ゆめが持ってきたのは水色から白に色が移り変わってる短冊。偶然なのか意図的なのか、ひなにぴったりな短冊持ってきた。
「…書けた♪」
あ、書けたっぽい。
短冊を持ってうんと満足そうに頷くひな。
「ねぇ、見てもいい?」
なんてお願いしたんだろ。
「うん、どうぞ」
やっぱりS4とか?
ひなから短冊を受け取る。
そこには綺麗な字でこう書いてあった。
『みんなと一緒に、ずっと楽しいアイカツ‼︎ 』
左右にゆめと小春が来て、3人でひなの短冊を見る。
結構普通だし、それって当たり前のことなんじゃない?
ゆめも小春も首を傾げてる。
「ふふっ」
楽しげな声に顔を上げると、ひなは空を見上げた。
「当たり前のことが、一番大切だと思うから。だから私のお願いはコレなの」
そういう考え、持ってなかった。
だって当たり前は当たり前だし。
でも、いい願いごとなんじゃない?
変かな?って首を傾げたひなに、良いんじゃないって返す。
ひなは嬉しそうな笑顔を浮かべて早速短冊を笹に吊るした。
私たちのアイカツ、これからますます面白くなりそうじゃない!
side:ひな
七夕飾り、綺麗だったなぁ…お願い事も書けて楽しかった。
お姉ちゃんが短冊に願いを書くとしたら、何をお願いするのかな?
お部屋の扉をコンコンコンとノックしてから開ける。
「おかえり!」
椅子に座ってアイカツモバイルで何か見ていためぐるがパッとこちらを向いた。
「うん、ただいま」
そう言いながら扉を閉めて机にスクールバッグを置きに行く。…誰かにおかえりと言ってもらえるの、嬉しいな。
「ご飯どうだった?新しい友達出来た?」
机にスクールバッグを置いた所で、興味津々な表情のめぐるに聞かれた。
「うん、七倉小春ちゃんとお友達になったよ」
小春ちゃんとゆめちゃんは幼馴染で、お部屋も一緒なんだとか。
「うんうん、よきかなよきかな」
腕を組み深く頷くめぐる。
「ふふっ」
なんだか孫を見守るおじいさんみたい。もしくは巫女を見守る神様?
「そうだ。立花さんからお風呂に案内したげてって言われたんだけど、もう行っちゃう?それともランニングとかやる?」
お風呂…そういえば昨日はお部屋で済ませてしまったから、浴場の位置やルールがよく分かっていない。
案内してもらえるのは嬉しいけれど、まずは…
「少し走りたいかも」
朝あまり走れなかったから、走っておきたい。
「ん、りょーかいっ」
私の答えを聞いためぐるがガサゴソとジャージを取り出した。
「ちょーどよかった、ひなをお風呂に届けたら走ろうと思ってたんだ」
出来れば置いていく前にルールも教えてほしいかなぁ。
…それはそうと、走るとめぐるを待たせてしまうことになると心配していたけれど大丈夫そう。よかった。
「いつも走っているの?」
スクールバッグから
「お風呂入る前にね、6キロくらい。あ、ほら、円の道あるでしょ?」
脱いだ服をクローゼットのハンガーにかけながら一瞬こちらを向いためぐる。
円の道…上から見ると丸くなっているあの道だよね。
「うん」
「あそこ1周1キロちょいだから、1周5分でペース落とさず走って6周…で30分」
「そうなんだ」
1周が1kmと少し…良いことを聞けたかも。
「ずっとおんなじペースで走るのがコツらしいよ〜」
簡単そうに聞こえるけれど、実は難しいことだよね。
隣同士のランニングマシンで初めて一緒に走った時の康二先生は、私と同じスピードで走ってしまったせいで4kmを超えた所で脚に力が入らなくなるほどヘロヘロになっていた。ペース配分を間違えました…と悔しそうにしていた姿を覚えている。
懐かしいことを思い出しながら着替えを終えると、丁度めぐるも準備を終えた所だった。
「よし、じゃ行こっか!」
☆☆☆☆
深呼吸をしたあと、手首足首をほぐす。
「準備運動おーわりっ」
隣で同じ動きをしていためぐるがシャキンと片手を上げた。
「もしなんか辛くなったら無理しなくていいからね?」
私の方を見て心配してくれるめぐる。体力は余っているから、多分大丈夫かな。
「うん、わかった」
私もめぐると同じく円の道を走ることにした。それぞれペースが違うだろうから、走るのはここに立っている時計をスタートとゴールにして、30分間。
めぐるは体を動かすのが得意で走るのも速いらしい。汝鳥さんが同じペースで走ろうとして酸欠になってしまったと教えてくれた。
今心配してくれたのも、こういうことがあったからだと思う。
「それじゃ30分後にしゅーごーで、よーい…」
めぐるの声に合わせて足に意識を集中させる。調子は大丈夫そう。
それでも今日はテストとレッスン初日で気を張っていたのか少し疲れているし、走るのは6周にしようかな。
「スタート!」
その声と同時に走り出しながら、明日のことについて考える。
研究生課程を飛ばした代わりに、明日から3日間、それぞれの組のレッスンに参加することになっている…とアンナ先生から教えてもらった。
明日参加するのは、美組のレッスン。
楽しみだな♪
お風呂シーンはカットだっ(無慈悲)
前回から1ヶ月以内の投稿ヤッター。
次の投稿も早くできるようにエネルギーをください頑張ります。
今回後書きが短く終わりそうなのですが、最後に最近ムーンナイトの頭でくるくると回っている文を1つ、申し上げたいと思います。
…特に意味は無いのですが、深い意味は無いのですが、申し上げさせていただきます。
それでは聞いてください。
在宅なのに、残業。
それではまたぁ!