little Angel story〜1人の少女の物語〜 作:ムーンナイト
アイカツシリーズ新プロジェクト発表が始まる前に滑り込み投稿。
間が開きすぎて話を忘れた人のための3行で分かったりしなくもない前回のあらすじ
・小春ちゃんは癒し。
・冬服ウッキウキひなちゃん
・エントリーッ!!
side:ひな
【“2人の願いごとはどちらも素敵でした。他の人のお願いも色々なものがあり、見ていて楽しかったです“】
これで、よし。
“コンコンコン”
ちょうど最後の文字を書き終えた時、扉がノックされる音が耳に届いた。
椅子に座り直してそちらを向くのと同時に扉が開かれる。少しだけ顔を覗かせてからお部屋に入ってきたのは汝鳥さんだった。
「おはよう、汝鳥さん」
スペイン語日記を閉じながら挨拶をすると、コクリと頷いてこちらに歩いてきた汝鳥さん。
「おはよう。…?」
挨拶を返してくれたあと、机の上にある日記帳と西和辞典を見て疑問符を浮かべていた。
「お勉強も
私がそう言うと汝鳥さんの顔に納得の表情が浮かぶ。
1年前から続けている前日にあったことをスペイン語で日記に書く日課。昨日は時間があまり取れなくて5行しか書けていなかったから、そのぶん今日はランニングのあとに時間をたっぷりと取って2ページ分の日記を書いた。
今はまだ綴りを調べるために辞書をひきながらだけれど、いつか何も見ずに書けるようになったらいいな。
「寝てる?」
辞書を上棚に戻してから日記を引き出しにしまっていると、汝鳥さんがベッドを見上げてそう言った。
「うん、まだ寝ているみたい」
穏やかな寝息が聞こえるから。
「…」
私の言葉を聞いて何か考えていた汝鳥さんが、ベッドの
「めぐる、朝」
その言葉が耳に届いたのか、ベッドの上の掛け布団がもぞもぞと動く。
「んにゃ…あと5ふ」
「7時半」
そんな時間ではないと思うけれど…?
「うそだっ!!?」
言葉を
「嘘。おはよう」
声のトーンを変えないまま朝の挨拶をした汝鳥さんが梯子から降りてくる。
「え、え?いまなんじ?」
若干不安そうな表情を浮かべためぐるにそう聞かれた。机に置いていたアイカツモバイルを手に取って時間を確認。
6時ぴったり。
私は微笑んで口を開いた。
「7時30分かな」
その瞬間、めぐるは眠気が完全に吹き飛んだような顔をした。
「嘘じゃないじゃんっ!!」
「なんちゃって♪」
「6時」
慌てた表情を浮かべて叫んだめぐるに対して私が笑顔で言ったあと、汝鳥さんが続けて本当の時間を口にした。
「だぁあもうおはよ!!!」
ベッドの
「うん、おはようめぐる」
イタズラ成功♪
「お腹空いた」
私が挨拶を返したあとに汝鳥さんがそう言うと、めぐるはスウッと息を吸いながら天井を
「ふぅ。おっけ準備するからちょぉっと待ってて」
ベッドから降りて顔を洗いに行っためぐるを見送ったあと、汝鳥さんと顔を見合わせて笑った。
☆☆☆☆
朝ご飯を食べてめぐる達と別れたあと、私はウェアに着替えて体育館へ向かっていた。
今学んでいる範囲は自主学習でも大丈夫そうだと思ったから、今日の授業は欠席。明日は金曜日だから出ておこうかな?
カフェテリアを出たあたりでアンナ先生に会って授業を欠席するとお話をしたら、それなら体力テストをしようと言われた。
先に準備しておくから着替えたら体育館に来な、と言われたけれど…
「ここ、だよね?」
まだあまり施設の名前が一致していなくて不安だけれど、間違っていないはず。
開いている入り口から少し覗くと中にいたアンナ先生と目が合った。
「来たか」
よかった、ここで合っているみたい。
「お待たせして申し訳ありません、アンナ先生」
少し急いでアンナ先生の元へ向かっていく。
「構わないよ。さて、室内で出来るテストは…」
アンナ先生は手元のクリップボードを見た。
「握力、上体起こし、長座体前屈、反復横とびに立ち幅とびだ。ハンドボール投げと持久走、そして50m走はグラウンドで。オーケー?」
1つずつ指を立てながら説明してくれたアンナ先生。
「はい、オーケーです」
体力テスト、病院でのことを思い出す。
リハビリテーションルームで毎日走ったりして体力をつけていたから、1年に1度の体力テストは私たちにとって腕試しと成果発表のようなものだった。あとは誰か1番か競いあったりとか。
ほとんどのテストで1番だったのに、握力だけはどうしても1位を取れなくて悔しがったりしていたなぁ…去年は1番だったけれど、やっぱり
ルナも、元気にしているかな。
「それじゃ始めるよベイビー!!」
アンナ先生の声とギターの音に、少し頭を振って意識を集中させる。
「はい!」
今年こそ、目指せ握力新記録!
☆☆☆☆
気合を入れて
今は室内で出来るテストとグラウンドでの持久走を終わらせて、ハンドボール投げをしているところ。
今のは…18mくらいかな?
「白鳥、水分補給をしたら50m走だ。いけるか?」
ここまでほぼ休みなしでテストをしてきたからか、アンナ先生がそう聞いてくれた。
「はい。問題ありません」
水分補給をしながら視線を動かした時、グラウンドへ誰かが降りてくるのが見えた。
…えっと、真昼ちゃん?
授業は欠席したのかな。
視線を下に向けて歩いていた真昼ちゃんが、ふと顔を上げた。私にも気付いてくれたみたい。
「おはよう、ひな」
挨拶をしながらこちらに来てくれた。
「おはよう真昼ちゃん。自主レッスン?」
私がそう聞くと、真昼ちゃんは頷いた。
「夏フェスに向けて特訓しようと思って。ひなは?」
「私は体力テストを受けているの」
それを聞いて真昼ちゃんは納得したような表情と何か気になるかのような雰囲気を浮かべた。
特訓に来たということは、グラウンドを使いたいはず。私のテストの状況を知りたいのかも。
「次の50m走でテストは終わりかな。そのあとに、少し走り込もうと思っているけれど…」
やっぱり当たっていたみたい。よかった。
「白鳥ー!」
赤い
「行ってくるね」
真昼ちゃんにそう言って手を振ってからアンナ先生の元へ向かう。
「スタートはクラウチングで、フラッグを上にあげたらスタートだ」
クラウチングスタート、去年まではスタンディングスタートだったから少し緊張するかもしれない。…そう思ったけれど、ずいぶん前に
「それじゃ、ラストいくか」
「はい!」
アンナ先生がゴールラインの近くに立ったことを確認して、私もスタートラインに立つ。
しゃがんで、片足を1歩下げて地面に膝をつける。腕は肩幅より少し広く広げて、準備完了。
「位置について!」
アンナ先生の声はよく通って聞こえやすい。
一瞬だけ目を閉じて、集中。
「よーい!」
フラッグが上がり始めるのを見て前の方の足に力を込める。
大切なのは、適度な
そうだよね、
赤いフラッグが上がるのと同時に、私はひと筋の風のように走り出した。
☆☆☆☆
体力テストを終えてしばらくランニングをしたあと。寮へ戻った時に、真昼ちゃんとお部屋が近いことを知った。
「1つ挟んで隣だったんだ…気付かなかった」
ウェアから制服に着替えてお部屋を出たところでちょうど出会った真昼ちゃんは驚いていた。
「よろしくね、真昼ちゃん。これからお昼ご飯を食べに行くのだけど、一緒にどうかな?」
さっきまでランニングやトレーニングをしていた真昼ちゃんもまだ食べていないはずだし…。
「えっと」
気まずそうに視線を
「もう約束していた?」
そう聞くと、真昼ちゃんは首を振った。
「食欲無いし、このままレッスンしようかなって」
…!
たくさんエネルギーを使って汗もかいているはずなのに、このままレッスンを続けたら倒れてしまうかもしれない。
「お腹も空いていないの?」
食欲が無い理由は少し早い夏バテなのか、それとも…
「空いてると言えば空いてるかもだけど…」
小春ちゃんに教えてもらったことが関係しているかもしれない。
「それなら一緒にカフェテリアへ行かない?何か口に入れておいた方が、レッスンにも集中出来ると思うの」
私の言葉を聞いた真昼ちゃんは、少しだけ考える素振りを見せたあとにゆっくりと頷いた。
「それなら、食べた方がいいかも」
もしかして、昨日もあまり食べずにレッスンをしていたのかな。そうなのだとしたら心配…
「ひな?」
真昼ちゃんの声に慌てて意識を戻して、カフェテリアへと向かった。
☆☆☆☆
「「いただきます」」
真昼ちゃんと一緒に手を合わせてから、早速トマトナムルを口に運ぶ。
お醤油にお酢、胡麻油と白ごま…すり白ごまも入っているかな?あっさりとしていて美味しい♪
私がお昼ご飯に選んだのはこのトマトナムルとチャーシューレタス
真昼ちゃんは鶏ササミとキュウリの
お箸を持ったまま険しい顔をしていた真昼ちゃんが、ゆっくりとキュウリを口に運んで驚いたような表情を浮かべた。
「あ、美味しい…」
その言葉に思わず微笑む。
「食べられそう?」
「うん。これならいけるかも」
そう言って真昼ちゃんはお箸を持ち直した。
よかったと安心して、私もお昼ご飯を食べ進めていく。
炒飯はレタスがシャキシャキとしていて美味しい…!この食感の邪魔にならない程度に柔らかくてシャキシャキとしていて、かつ味が付くようにレタスを炒めるには最後にサッと炒め合わせた感覚で覚えていくのかな。
とろみがついた中華スープは鶏ガラスープの
少し食べ進めてから真昼ちゃんを見ると、もぐもぐと口を動かしながらも意識は別のところに向いているようだった。機械的に口へ素麺を運んでいるのを見て、思わず声をかける。
「真昼ちゃん?」
こちらを見てくれた。
「考えごと?」
何か考えていたことを中断させてしまって申し訳ない気持ちもあるけれど、それ以上に真昼ちゃんの
「自分の目標に向かって、もっとがんばらなくちゃって」
小春ちゃんが心配していた言葉。前向きな気持ちのがんばろうではなくて、自分を追い込むような…
「目標って?」
出来るだけ深刻そうな表情は出さずに、あくまで普通の会話のように言葉を返す。
「私の目標は、お姉ちゃんを追い越すこと。ひなは違うの?」
問いかけられた言葉に頷く。
私の目標は、お姉ちゃんの隣に立つことだから。
「どうして真昼ちゃんはその目標を持っているの?」
夜空先輩をライバルとして追い越したいと言っているのなら、もっと前向きな空気を纏うはず。話したくないと言われたらこの話題に関して私は踏み込むべきではないし、1度だけ。
少し待っていると、真昼ちゃんは口を開いた。
「私を置いていったお姉ちゃんを見返すためよ」
夜空先輩が、真昼ちゃんを置いて…?
「そうなんだ」
疑問を浮かべる前に、頷いて続きを聞く。
「今度のステージだって、絶対にすごいパフォーマンスを見せつけてやるんだから」
悔しげな険しい顔でそう言い切った真昼ちゃん。
夜空先輩が真昼ちゃんを置いていって、真昼ちゃんはそんなお姉ちゃんを見返すためにアイカツを…
見せつけたい、見返したい、見てほしい。きっと真昼ちゃんは夜空先輩が大好きで、だからこそ気持ちが複雑になっているのだと思う。
もうがんばっている真昼ちゃんにがんばってとは言いたくない。でも、安易にもうがんばっているよとも言えない。
だから。
「…よかったら、はい♪」
ゼリーの器を真昼ちゃんのトレーにのせる。
「え?」
険しい顔から一転、真昼ちゃんは目を丸くしていた。
「グレープフルーツのゼリー…苦手だった?」
少し不安になってそう聞くと、驚いた表情のまま真昼ちゃんは首を振った。
「ううん。いいの?」
その言葉に笑顔で頷く。食欲に問題は無さそうだし、食べられる時に食べてほしい。
「…ありがとう」
それにグレープフルーツは熱中症予防に良くて、なにより疲労回復の効果もあるから。
今の真昼ちゃんはきっと、夜空先輩以外の誰が止めても無理なレッスンを続けると思う。
最近は暑くなってきているし…ゼリーで少しでも熱中症や体調不良を防げたらいいな。
☆☆☆☆
レッスンを受けるために舞組のスタジオへ行くと、別の意味で熱い先生がいらっしゃった。
「アァーイム舞組ティーチャー!デーブ・佐東っ!よろしくぅーっうぅっ!」
複雑なステップや高速のスピンに加えて最後にシャキンッとポーズを決めながらされた挨拶に一瞬面食らってしまったけれど、すぐに姿勢を正す。
「白鳥ひなです、よろしくお願いします!」
「いい挨拶だな白鳥!今日はサァーイレンツっ!アンドムービン!アゥッ!」
サイレント。無音や無言、静かさ・・静かさ?
様々なポーズと共に大きな声で伝えられて少しだけ戸惑っていると、私のことをレッスンルームに連れて来てくれた桂先輩がスッと前に出た。
「今日はパントマイム・パフォーマンスのレッスンをするわ。身振りと表情だけでコミカルに表現するのを心がけること!」
なるほど、パントマイム…
「「「はい!」」」
他の舞組の人たちと一緒に返事をして、私の舞組でのレッスンが始まった。
☆☆☆☆
パントマイムの基礎をしっかりと教わりつつ1度休憩。
「白鳥さん、って呼んでいいのかな?」
用意していたお水を飲んでいたらかけられた声に、そちらを向く。
声をかけてくれたのはセクシータイプを示す紫色のレッスンウェアを着た、ダークグリーンの髪をサイドで結んでお花の和風髪飾りを付けた女の子…
「もちろん」
そう頷くと、宮小路さんは少しほっとした表情を浮かべた。
「白鳥さんのこと、友達から聞いてて。桃井こころちゃん」
あぁ、と頷く。
桃井さんとは昨日、美組のレッスンに参加したときにお友達になったの。桃井さんの瞳は綺麗な紫色に瞳孔の周りが金色で、似ているねと2人でお話をして仲良くなれた。
「みんなの名前を覚えてるって聞いたんだけど…」
宮小路さんの顔に浮かぶのは、興味の色と少しの不安。みんなの中に自分が含まれているのか考えてしまっているみたい。
「うん。よろしくお願いします、宮小路さん」
そんな宮小路さんに微笑みながらそう伝えると、パッと表情が明るくなった。
「すごい!本当だったんだ」
その声を聞いた私と同じクラスの
☆☆☆☆
レッスンルームの中に均等に広がって、それぞれパントマイムの練習を始める。
何かを乗り越えている人、透明な箱を振って中身を確かめている人、階段を登ったり降りたりしている人…少し見渡しただけでこんなににもたくさんの事を学べるところが舞組のいい所なのかも。
私は"見えない壁"に取り組んでみようかな。
パントマイム・パフォーマンスと聞いて多くの人が思い浮かべるであろう見えない壁。初めての人に向いているとデーブ先生がおっしゃっていた。
「イメージが大切よ。しっかり考えながら、それでいて自然にね」
アドバイスをして回っている桂先輩の言葉が耳に届いた。
イメージ。形、大きさ、材質…最初に時間をかけて習ったパントマイム・パフォーマンスの基礎を思い出しながら、壁を頭の中で作り上げていく。
1度目を閉じて開くと、目の前には大きな壁が出現していた。
ライトグレーのつるつるとした壁。薄いのか厚いのかは分からないけれど、継ぎ目はない。
少し触ってみると予想していた以上にひんやりとしていて、思わず手を引っ込める。
一体これは・・あれ?
ふと右を見て、思わず手を伸ばす。つるりとした、硬い感触。まさかと思ってうしろや左を見てみると、同じような壁が出現していた。
4方に壁、閉じ込められた?
どうしたら出られるの?
焦っても仕方がないから、色々な方法を試してみることにした。
押してダメ、ノックしてダメ、叩いてみてもびくともしない。
ため息を吐いて下を見ると、さっきまで無かったはずの物が視界に飛び込んできた。警戒をしながらそっと拾い上げる。
黒いマーカー。キャップを取ってみても、何の
何かに使えるのかな?インクは入っているみたいだし、壁に扉でも描いてみる?
他に手も思いつかないから、前の壁にコの字を描いてみた。でもそれだけ。…やっぱりダメかな…そう思ってマーカーを地面に戻そうとしたところで、違和感に気付いた。
マーカーで描いたところ、切れ目が出来ている?継ぎ目がなかったはずの壁にひと筋の線が入っていた。
…もしかして!
コの字に引いた縦の線の中心近くに1つ丸を描く。ドアノブを忘れていたから扉として完成しなかったのだとしたら。
そっと描いたばかりのドアノブに手をかけて、右に回す。
ガチャリという音が聞こえたような気がしたあと、扉が開いて────
「素晴らしいぞ白鳥っ!!」
「っ!?」
目の前にデーブ先生がいらっしゃって、とてもびっくりした。
「見えない壁だな?どんな壁だったんだっ?!」
目をバッと開いてそうおっしゃったデーブ先生の問いに答えていく。
「ライトグレーの、つるつるとした壁でした」
「厚さは?!」
「厚さは分かりませんでしたが、継ぎ目がなく、四方を囲まれていました」
「拾い上げて扉を描いたのはペンだなっ!」
「はい。何の変哲もない、黒いマーカーです」
ここまで答えると、デーブ先生はプルプルと体を震わせた。
「素晴らしいっ、いいぞ白鳥!壁のイメージ、表情!舞組のメンッバーになるつもりはないかっ!!!」
流れるように組替えの提案をされる。
「デーブ先生、白鳥さんは歌組の生徒ですよ?アンナ先生に怒られます」
呆れ顔を浮かべた桂先輩がそう言うと、デーブ先生はピシィッとそのポーズのまま石になったように一瞬固まった。
「むっ、それは困るな。だが白鳥!ダンスのレッスンをしたくなったらいつでも来い!舞組は、どんな生徒でも歓迎しているっ!アァウッ!!」
ぬるぬると前後に動くステップをしたあとに、さっきとは違うポーズを決めたデーブ先生。
桂先輩の方を見ると、笑顔で頷いて説明をしてくれた。
「これは本当。まぁ、参加したい時は私か他の幹部に一言伝えてもらえると助かるけどね」
眉を下げて困ったような表情を浮かべた桂先輩。本当に飛び入りでレッスンに参加する生徒もいるみたい。
「わかりました。ありがとうございます」
そう言って頭を下げる。
「ハルカ、感動しちゃった!めっちゃハイレベル!テンションアップ・アップ!」
そう言ってくれたのは水色の髪に2つのお団子が可愛らしい、前髪に星の飾りを付けたハルカ☆ルカさん。
どちらが苗字なのか分からないせいで、どう呼べばいいのかも決めかねているのだけど…
そこまで考えた時、レッスンルームの外から軽快な足音が聞こえた。
かなり速いスピードで近づいて来る足音、もしかして…
「みーんなー!」
私が誰が来ているのか思い至ったのと同時にレッスンルームの扉を開けたのは、ゆず先輩。
みんなの空気が一気に明るくなった。
「おっつかれー!あ!」
レッスンルームをさっと見回したゆず先輩と目が合う。コツコツと私の前まで来て、穏やかな笑顔を浮かべたゆず先輩。
「ひなちゃん、舞組はどうだった?」
そう聞かれた。
舞組は組全体が明るくてエネルギッシュで、みんなそれぞれのカラフルな色で輝いているところが印象的だった。
「はい。色々なことを学ばせていただきました」
私が言うと、ゆず先輩は嬉しそうに弾けるような笑顔を浮かべた。
「うんうん!風の舞組は、みーんなスゴいんだゾ!」
今日見てきた舞組のカラーはまさにゆず先輩を表しているようで、とっても素敵。
「そのとぉーっり!!メンバーは日々切磋琢磨し、技術を磨く!それが風の舞組だ!!」
熱く動いて語ったデーブ先生。
「デーブ先生はいっつも暑苦しいんだゾ☆」
そんな先生に、ゆず先輩が太陽のような笑顔を浮かべたままそう言っていた。
「二階堂っ!ストレェートで爽快な発言、いいぞ!」
かなりストレートで爽快だったなぁ…
「もうレッスンも終わっちゃうけど、みんな一緒に踊ろーうっ!」
…?
ゆず先輩がそう言った途端、周りの人の空気が一気に引き締まったものになった。
「ゆず様のダンスにどれだけついていけるか…自らの実力を身をもって知ることが出来るわ」
他の人と同じかそれ以上に真剣な表情を浮かべた桂先輩が、そう説明してくれる。
「ひなちゃんも!」
「え?」
桂先輩のお話を聞いていたらゆず先輩に手を握られて、思わず声を上げてしまった。
「楽しいのがいっちばん!」
輝く笑顔のゆず先輩と周りの人の真剣な顔に少し緊張を覚えたところで、スピーカーからイントロが流れ始める。
緊張していてもしょうがない。ゆず先輩の言う通り、楽しまないと。
そう思ったら自然と笑顔が浮かんでいた。
☆☆☆☆
「ふぅ…」
カフェテリアへ向かう途中で、ゆめちゃんやローラちゃん、小春ちゃんに会った。
その流れで一緒にご飯を食べていたのだけど、レッスンの疲れが残っていたのか少しため息を吐いてしまった。
「ひなちゃん、大丈夫?」
向かいに座っていた小春ちゃんが眉を下げながら声をかけてくれた。心配をかけてしまったみたい。
「ありがとう小春ちゃん。舞組のレッスンで、少し疲れてしまったみたいなの」
心配しないでと微笑むと、小春ちゃんはならいいけど…と頷いてくれた。
「そんなにハードだったの?」
隣に座るローラちゃんからの問いかけに何と答えればいいのか少し迷う。
「ハード…と言えばハードだった、かな」
思い出すのは最後の光景。
──「ほらほらー!みんなもっと出来るゾー!」
1人踊り続けるゆず先輩の周りには、力尽きた舞組のみんなが横たわっていた。
私も最後には立っていられないほど疲れてしまって、みんなの望みを託された桂先輩も程なくして撃沈。
何と言えばいいのか…
「その、本当おつかれ」
どんなことがあったのかを説明すると、ローラちゃんがそう言ってくれた。
「ゆず先輩とダンスかぁ…私がやったら早めに脱落するだろうなぁ」
ゆめちゃんがそう言って、小春ちゃんはそれを聞いて苦笑いを浮かべていた。
"ピロリロリロリン"
スクールバッグに入れていたアイカツモバイルから電子音が聞こえた。
電話…?
モバイルを取り出して画面を見ると、表示されていたのはめぐるの名前。
「少しごめんね」
ゆめちゃん達に断りを入れてからポチッと電話に出るボタンを押す。
「もしもし?」
《あ、ひな?ごめん、ちょっと頼みたいことがあるんだけど、いい?》
モバイルから聞こえるめぐるの声。いつもより低い声で、なんだか暗い。
「うん、どうしたの?」
めぐるの声のせいなのか、なんだか嫌な予感がする。
《あたしとサツキの分、お弁当買ってきてほしいんだよね》
思っていたよりも普通の内容だったけれど、それはどこか、普通ではないように感じた。
どうしてもアイカツシリーズ新プロジェクト発表が始まる前に投稿がしたくて昨日から夜なべして書きました。
ギリギリセーフムーンナイトです。
え、読む時には発表のあとになってるからアウト?
そんなぁ…(´・ω・`)
ところで皆さま、最近話題のここすきボタンという機能はご存知ですか?(唐突)
これはもう1つの投稿小説である姉バカレコードの最新話にも書いたことですので、ご存知の方は説明の部分を読み飛ばしていただいて・・
今回実装されたこの「ここすき」ボタンというのは、小説内の1行につき10回まで押すことが出来る上に、誰がどの行に投票したのかは作者にも分からないという機能です。
つまりですね、100行ある話の全部にマックスまでボタンを押したら1000ここすきということになります。すごいです。
感想を送るのはハードルが高いけどこの小説が好きだという思いはすごくある読者にとっては大変ありがたく、作者にとってもすきと押してくださった事によってモチベーションがぐーんとアップ…Win-Winな神機能です。
(どこに投票されたかも分からないのであれですね。体調不良や発作シーンがなんか好きなんだという方とかにもオススメな機能だと勝手に思っています。どんどん押しちゃって下さい。むしろ押して下さい)
PC版の方は小説内の行をダブルクリックすると「ここすき」ボタンが表示されます。
スマホ版の方は小説内の行を左右にスワイプすると「ここすき」ボタンが表示されるようです。
PC版でもスマホ版でもスクロールすると「ここすき」表示は消えますし、
残念ながら非ログインユーザーの方は表示されないようですが…
この機会に、皆さまも好きな物語を巡回し「ここすき」ボタンを連打されてみて下さい。ボタンを押した際にぽよんっと跳ねるハートが癖になります。
…と、ここまでが説明でした。
今回の
チラホラと新キャラクターのお名前に、ひなちゃんのパントマイム、久しぶりにシリアスの予感と色々なことがありましたね。
今後の話があまり決まっていないのは流石にマズいと思い最終話までのかるーいプロットを作ってみたのですが、9万字を超えて目が飛び出ました。
とにかく今年もお盆休みがもうすぐやってきますので、その期間に少しでも更新出来ればと思います。
それではまた、次の後書きで!