little Angel story〜1人の少女の物語〜 作:ムーンナイト
ハーメルンよ!ムーンナイトは帰ってきたぁッ!!(このセリフやってみたかった)(遅刻)(スライディング土下座)
本日は白鳥ひめ生誕祭2022ということで!
投稿させていただきますっ!
3行で分かったりしなくもない前回のあらすじ
・香澄姉妹のSummer Tears Diaryはイイ。とてもイイ。
・怪我したらひなちゃんがお姫様抱っこで運んでくれます
・「ステージまでには帰ってくるから!」
side:ひな
お仕事へ駆けていく後ろ姿を見送ってから数時間後。
「Wats⁈帰って来られないってどういうことだい、ベイビー?!」
ローラちゃんからかかってきた電話に出て顔色を変えたアンナ先生の一言が、鋭く廊下に響いた。
帰って来られない…?
CM撮影が長引いているのかな。さっきゆめちゃんがもう少ししたら帰ってくるはずだと言っていたから、元々はもう終わっている予定だったのだと思う。
アンナ先生が耳に当てている赤色のモバイルからローラちゃんが何か言っている音が聞こえた。──故障──新しい──待って──なおし…、もしかして撮り直し…?新しい機材が到着するのを待ってから、ということかもしれない。
「・・で、ステージまでには戻って来られるのか?」
アンナ先生は緊張をはらんだ声でそう問いかけていた。
お仕事が長引くのは珍しいことではないけれど、今日はローラちゃんにとって大切なステージの日。代表に選ばれてからずっと準備をしてきた夏フェスの本番…。
「桜庭?」
返事がなかったのか先生が再度呼びかけると、電話の向こうからローラちゃんの声が今度はハッキリと聞こえた。
《──ステージには、間に合わせてみせます!絶対に! 》
歌組のステージ開始予定時刻は11時30分。今は9時前だから…リハーサルを本番直前に
「分かった。また連絡をくれ」
アンナ先生のその言葉に、隣にいるゆめちゃんと目を合わせた。ゆめちゃんの顔にも不安そうな表情が浮かんでいる。
「アンナ先生、ローラは?」
「まだ、かかるみたいだね」
電話を切ったことを確認して歩み寄ったゆめちゃんに対して、アンナ先生は口角を下げたまま何か考えているようだった。
「そんなぁ…ローラ、楽しみにしてたのに」
そう言ってゆめちゃんはうつむいた。
もうこの時間には帰ってくる予定で、あれくらいに学園を出て一通りの撮影が終わっていたということは間に合う可能性が十分すぎるほどある。逆に言うと、間に合わない可能性もほんの少しだけ存在するということなのだけど…。
「こうなった以上」
耳に届いた少し低い声を聞いて、私とゆめちゃんは同時に顔を上げた。
「歌組としては、最悪の場合も考えといた方がいいね」
歌組としての最悪…。
「最悪の場合って…」
困惑した声を恐る恐る上げたゆめちゃん。私はアンナ先生を見つめたままそっと口を開いた。
「歌組のステージに、2人が揃わない…」
ハッと息を呑む音が響く。
「Yes、その通りだ」
「ローラが本番に間に合わないってことですか!?」
考えたくはないけれど、歌組としての最悪は1年生代表のローラちゃんが帰って来られずに夏フェスのユニットステージが成り立たなくなってしまうこと。そうなると、影響を受けるのは歌組だけではない。学園の大切なイベントである夏フェス自体が成り立たなくなってしまう可能性だってある。
「あくまで、最悪の可能性だ。だが0とは言えない」
私たちだけの問題ではない。待ってくれている方々がいる…!
「そんな…」
これまで窓の外を見ていたアンナ先生が振り返った。
「歌組のメンバーをスタジオに集めよう。虹野も白鳥も、学園内にいる1年生に声をかけてくれ」
「「はい!」」
30分も経てばホールが開場するから、それまでにできるだけめぐるや他の子たちに知らせないと…!
☆☆☆☆
集まった歌組のみんなに、現時点でローラちゃんがお仕事から帰って来られていないということがアンナ先生の口から伝えられた。
「「え?!ローラが?!」」
…綺麗に揃ったなぁ。
「大丈夫なの?!」
見事に同じタイミングで反応をした飴宮さんとめぐるに続いて花畑さんが声を上げる。
「もう始まっちゃうよ…!」
ゆめちゃんの隣に座るメイちゃんも心配そうにしていた。
「でも、ひめ先輩のソロステージで大丈夫だったりしない?」
続けて笑顔でそう言ったのは飴宮さん。確かにひめ先輩のソロステージは誰にも負けない光を放っているけれど…あれ?
「だよね!他の組に負けたりは…」
「いいえ」
私がレッスンルームの入り口に顔を向けるのと花畑さんへの言葉がそこから放たれたのはほぼ同時だった。
「ひっ」「ひめ先輩!」
お姉ちゃん!
「今まで見たことのない、S4と1年生のステージを…みなさん心待ちにしていらっしゃるんです」
アンナ先生の隣まで歩きながらひめ先輩は言葉を紡いだ。
「その期待を裏切っては、アイドル失格」
勝つことに重きを置くのではなくて、応援してくれるファンの方々の期待に応え続けていくことが大切だから。
「YES!その通りさ!」
アンナ先生はピシッと右の人差し指をこちらに向けた。
「あ…」「はい…」
「それにみなさんも、昨日の香澄夜空さんと真昼さんのステージ、見たでしょう?」
シュンとなる飴宮さんと花畑さんを見てから問いかけられた言葉にみんなの雰囲気が明るくなる。
「はい!」「すごかったです!」
ゆめちゃんやメイちゃんがそう言っているのを聞きながら隣に立つめぐると目を合わせて頷く。真昼ちゃんと夜空先輩のステージはこれまでに見たことのない輝きを放っていて目が離せなかった。夜空先輩だけではなくて、真昼ちゃんも一緒だったからこそのステージだったと思う。
「あれを超えるステージにするためには、もう1人の力が、必要不可欠です」
真剣な表情で、語り聞かせるようにユニットとしてステージに立つことの重要性をお話してくれた。
「けど、どうするんですか?今から選び直してる時間は…」
「それなら、考えがあります」
メイちゃんから発せられた疑問へ滑らかに出された解決案の存在に、レッスンルーム内がびっくりしたような雰囲気に包まれる。
「ローラちゃんが実力テストで1位だったのなら、2位の子にお願いすれば」
ニコリと微笑んで提案したひめ先輩。2位の子…2位はもしかして…。
「なるほど。2位といえば…this is 樹神めぐる!」
やっぱり、めぐるの名前が呼ばれた。いつも通りのコンディションならきっとめぐるは元気に返事をしていたと思う。
「っ…先生、あたし、2日は安静にって言われました」
めぐる…。
めぐるは松葉杖を持っていない方の手を強く握りしめていた。チラリと足元を見ると、昨日捻挫してしまった足首には固定するための包帯がしっかりと巻かれている。ダンスはもちろん歩く動作まで気をつけてと八重先生から言い含められていたから、今の状態でステージに立つのは難しい。
「そうか。それじゃあ…」
アンナ先生が真剣な顔で視線を動かす。
「あの!」
その時、いつもよりもしっかりとした声でめぐるが声を上げた。
「どうした?」
めぐる…?
アンナ先生の言葉と共にみんなからの視線も集まっていく。
「あたし、白鳥ひなさんを推薦します」
静かにハッキリと、レッスンルームに声が響いた。
「え…?」
めぐるを見ながら思わず固まってしまう。今、なにを…?
私が混乱している中、めぐるの言葉は続く。
「みんなだって一緒にレッスンしててひなのレベルは知ってるはず。あたし、ひなにステージに立ってほしい」
その金色の瞳がまっすぐ私に向けられていた。
「めぐる…」
名前を呟いたあとに、言葉が出てこない。
めぐるは私からみんなへと視線を移した。
「それに、美組が姉妹の輝きならこっちだって姉妹の輝き!絶対スゴいステージになるって!」
…!
姉妹の輝き…。私とお姉ちゃん。昨日の真昼ちゃんと夜空先輩のように、私とひめ先輩にしか出せない光があるのかな。
「わぁ!それいい!」
「姉妹の輝き、そうだね!」
めぐるの言葉に呼応するように明るい肯定的な声が上がっていく。
「それじゃあ、すぐにミーティングよ。ホールの
お姉ちゃんはそう言って、微笑みながらレッスンルームを出て行ってしまった。
このままホールの控室に行けば私は夏フェスのステージに立てるかもしれない。ローラちゃんが間に合わなかった場合、代理の1年生代表として…。
…だけど。
「白鳥」
アンナ先生から名前を呼ばれる。
「ひな?」
めぐるからも声をかけられた。
息を吸って、視線を上げる。私を見ていたアンナ先生と目を合わせて吐いた息を、もう1度吸った。
「私、ステージには立てません」
響いた私の言葉に混乱が広がった。
「え?!」「どうして?!」
どうして…ローラちゃんが夏フェスのステージに代表として選ばれた理由を思い浮かべて、ほろ苦く笑う。
「夏フェスは、実力テストで結果を出した人が、S4のひめ先輩とステージに立てる…」
ポツポツとそのまま口に出すと、隣のめぐるは理由に気が付いたようだった。
「あ、そっか。ひなは…」
私は…。
「そう、テストを受けていないから。推薦をしてくれたのに、ごめんなさい」
めぐるの目を目返して口元は変えないまま眉を下げた。せっかくめぐるが推薦をしてくれたのに、私はその想いに応えられない。
それで良いのかと視線を送ってくれたアンナ先生には頷きを返す。
「それならステージに立つのは3位のベイビーだね。3位は…this is 虹野ゆめ!」
空気を入れ替えるように呼ばれたのはゆめちゃんの名前。
「え…」
突然だったからか、ゆめちゃんはさっきの私と似た反応を返していた。
「やったねゆめちゃん!」
自分のことのように嬉しそうなメイちゃんに肩を揺らされてもゆめちゃんは微妙な表情を浮かべている。視界に入りやすいように1歩前へ動いて声をかけた。
「ゆめちゃん。ひめ先輩に伝えたいから、一緒に来てくれる?」
ステージを辞退すること、早く伝えないと。
「え、でも」
ゆめちゃんは浮かない表情のままその場に
「ゆめ、行って来てよ。あたしは行けなくて悔しいんだから」
うしろから聞こえためぐるの言葉。暗い表情ではなくて、きっと仕方がないという笑顔を浮かべている。ぺちぺちと松葉杖のフレーム部分に触れながらゆめちゃんの背中を押すような声でそう言っていた。
「めぐるちゃん。…わかった」
ハッとした表情でめぐるを見た後に、ゆめちゃんはコクリと頷いた。
☆☆☆☆
ホールの控室で待っていてくれたひめ先輩に、推薦の辞退と3位のゆめちゃんがローラちゃんの代理になったことをお話する。
「そう。わかったわ、よろしくねゆめちゃん」
短くまとめた私の話を聞いた後にひめ先輩はゆめちゃんへ声をかけた。
「はい…」
微笑まれて返事をするゆめちゃんを見てからくるりと反転して、扉の前で振り返ってお辞儀をしてから控室を出る。カチャリと扉が閉まってから周りに誰もいないことを確認して、扉からは少し離れた対面の壁に背中を預けた。
話している間、目が合わなかった…こんなこと初めて。これまでずっと、お話をする時は視線を合わせてくれていたのに。一緒にステージに立てなかったから、というのは違うと思う。
夏フェスは四ツ星学園の大切なイベント。お姉ちゃんは1年生の時には当時のS4だった先輩と、去年はS4として出場している。今年は3回目の出場だから思い入れもより強いはず。
私がめぐるから推薦された時にすぐ辞退しなかったから、ただでさえ時間がないのにそのぶん大切な打ち合わせに使う時間を減らしてしまった。…だから目が合わなかったのかな。どうして、すぐに辞退をしなかったんだろう。
じわじわと染み込んでくる不安と後悔を受け止めて整理するために、私はゆっくりと目を閉じた。
side:ひめ
ひなちゃんが頭を下げて控室を出たあと。私が
「劇組のステージが終わり次第、振り付けの最終確認。時間無いんで、そこんとこヨロシク!」
「はい」
夏フェスで披露するのはスタートライン。マイリトルハートのドレスを着る。ゆめちゃんは以前ソロライブでもこの曲に挑戦していたから、基本的な振り付けは大丈夫よね。
ひなちゃんなら…ふとそう考えかけてすぐに打ち消す。
──「あたし、白鳥ひなさんを推薦します」
めぐるちゃんがそう言った時、私は思わず
めぐるちゃんの声かけにまわりの子たちも賛同してくれている。
──「それじゃあ、すぐにミーティングよ。ホールの控室で待ってるわ」
だから私はすぐにひなちゃんへ声をかけてレッスンルームを出た。
頭のどこかでひなちゃんは実力テストを受けていないと冷静に指摘する自分を無視して、あの子がどんな表情をしているのかも見なかった。
わかっていた。ひなちゃんは、私の妹は辞退するだろうということ。だから私はその場で辞退される前にレッスンルームを出た。みんなの反応を見ている間にひなちゃんから辞退の言葉が出なかったから、もしかしたら同じステージに立てるかもと期待して都合の悪いことを無視した。…アイドル失格なのは一体どちらの方かしら。
アンナ先生に連れられてひなちゃんとゆめちゃんが控室に入ってきた時には、やっぱりという気持ちが大きかった。
──「実力テストを受けていない私には、夏フェスのステージに立つ資格がありません。推薦を辞退させていただきました」
まっすぐ私を見てそう話すひなちゃんは、とても強い子。同じステージに立てることを期待して守らなければならないルールを曲げてしまいかけた私にはとても眩しく見えて、その引け目からひなちゃんの目を見ることができなかった。こんなことをしてしまったのは初めて。それによって動揺させてしまったと、痛いほど分かってる。あの子が体の前で組んだ手の指先をきゅっと縮めるのは、心を落ち着かせようとしているから。表情には不安や動揺を出すことが少ない、私たち共通の癖。
「Hey、虹野」
アンナ先生の声に思考が引き戻されてゆめちゃんの方を見る。
「あっ、はい!」
そういえば、予定の再確認をした時にゆめちゃんはお返事をしていなかった気がする。…集中して、しっかりしなくちゃ。
「大丈夫だね?」
腰に両手を当てたアンナ先生からゆめちゃんに問いかけ。
「はい…あ、あの」
何か言いたげなゆめちゃんにアンナ先生は首を
「ローラは昨日、ひめ先輩とミーティングもやってるし、本番までに間に合えば、大丈夫ですよね?」
本番までに間に合えば…つまりリハ無しの一発勝負ということを言っているのね。確かに昨日ミーティングをしたし、ローラちゃんの歌に関しては心配していない。
──「歌もダンスも完璧に仕上げてみせます!」
1つだけ言うとすればダンス。細かいズレがパフォーマンスに大きな差を生むことになる。ダンスに関してはめぐるちゃんが1番だけど、今回は怪我をしてしまって安静にしなければならないようだった。
ゆめちゃんの言うようにローラちゃんが本番までに間に合えばもちろん一緒にステージに立つ。だけどリハ無しというのは、現実的ではない。
「それは、そうだけど…」
同じ結論に至ったのであろうアンナ先生も少し言葉に困っていた。
「私、正門まで迎えに行ってきます!」
勢いよく立ち上がったその動きから、ゆめちゃんのローラちゃんを想う気持ちがよく伝わってくる。
「ちょっと?!虹野!」
アンナ先生の声に振り返らず控室を出て行くゆめちゃんを、私はただ見つめていた。
よし、本日の主役がメインの回と言ってもおかしくないな(白目)
違うんです。予定していた3分の1を書き終えたところで文字数が6000文字になっていることに気付いて一旦切って投稿したからひたすらシリアス味に溢れているだけでこの後ワクワクしたり色々する予定なんです次話でそうします(早口)
みなさま改めましてお久しぶりです!
ムーンナイトは前回更新後の8月から全く触っていなかったメモ的なアプリのパスワードを忘却した結果、15万字ほど書いていた小説のプロット全てといつか放出しようと思って書き溜めていた番外編のことごとくが消失いたしましたが元気です。
これからまた書き溜めていきますよぉ!(鋼の意志)
そしてお知らせ!
前話の後書きにリンクを載せていた活動報告で休止のお知らせとTwitterを始めることをご報告させていただいたのですが、頑張って描いた絵が何枚かあるので挿絵としていくつか挿入していこうと思います。挿入後は試験的にサブタイトルのうしろに【挿絵あり】と記載しますので、もしよければ見てもらえると飛び上がって喜びます。
今回はめぐるちゃんとサツキちゃんのイラストを挿入挿入…ひなちゃんは小説のあらすじ部分に挿入しています。時間ができたら制服バージョンも描きたいです。
↓樹神めぐるちゃん
【挿絵表示】
↓汝鳥サツキちゃん
【挿絵表示】
そして休止している間にアイカツシリーズ小説が増えていて嬉しさが爆発しています。しかもひめ先輩の小説も増えているんです!!(大声)
みなさんもっと気軽に小説投稿してほしい…(願望)
実はツイッターでハーメルンに投稿されたとお見かけした方もいまして、爆速周回済みです。みなさんもっと気軽に小説投稿して…読ませてください…(切望)
ムーンナイトは今年も文章構成能力向上更新速度向上画力向上を目指して活動して参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます!
それでは、また!