little Angel story〜1人の少女の物語〜 作:ムーンナイト
1行で分かったりしなくもない前回のあらすじ
・みーんなーーっ‼︎
side:ひめ
玄関側の廊下から聞こえてきた底抜けに明るく弾むような声に、箱に伸ばしかけていた手の動きを止める。
「この声って…」
夜空がグラスを両手で持ったまま少し首を
「ゆず?」
確かに、扉から見える真っ直ぐな廊下を軽快に駆けてくるあの姿は
でも今日って、ゆずは泊まりのお仕事じゃなかったかしら。
「たっだいまーッ!」
あっという間にこちらに駆けて来たゆず。おかえりなさいと口にする。
「今日の仕事はどうなったんだ?」
ツバサが聞きたい事を言ってくれた。
「それなんだけど、この雨で延期になっちゃったんだゾ☆明日は晴れみたいだからお昼からやるって!」
そういうことだったのね。確かに、雨が降っていたら外でのお仕事は出来ない。
キラリとピースをしたあと、ゆずはアイスティーに気付いたみたい。
「わ!なになに!何飲んでるの?ゆずも飲みたい‼︎夜空たん!お願いしたいんだゾ!」
今日もゆずは元気いっぱい。
ウキウキと体が動くたびに毛先がぴょこぴょこと揺れている。
「ふふ。今日のお茶は私が入れたんじゃないのよ」
グラスを置いてゆずの分のクッキーをお皿に足しながら夜空がそう言うと、
「じゃあ、ひめちゃん?」
惜しい…かしら?
「私でもないわ。でも、ちょっと惜しいわね」
そういうと今度は首をかしげながらツバサの方に見たゆず。
「え〜?惜しい?ツバサっち?」
「いや、私でもない」
ツバサが1口紅茶を飲んだ後にそう答えると、ゆずは本格的に悩みだした。
「ええーー‼︎んー……。もう降参こうさーん!!」
もうそろそろいい?
チラッと夜空を見る。
「…(パチンッ♪)」
本当に楽しんでいるのが分かる夜空。
パチンッという音が似合うウィンクも貰ったし、正解発表。
「正解はね」
「うんうん‼︎誰?誰⁉︎」
こちらに乗り出して来るゆず。
これは確かに、夜空が楽しむ理由が分かるかもしれないわ。
「私の妹の白鳥ひなちゃんよ」
「うんう…ん?あ、え⁉︎えええー‼︎‼︎」
最初に頷いて、次に疑問符が浮かんで、事実に行き着き、私に
ゆずにもひなちゃんの事は話した事があったと思うのだけど…。どうしてそんなに驚いているのかしら?
「あ・・・あ………」
「「「あ?」」」
私達3人の声が見事に重なった。
「ゆずも…、会いたかったんだゾーーー‼︎‼︎」
あぁ、そういうこと。
side:夜空
「読み終わった?」
キッチンからひめに声をかける。
ひなちゃんからの手紙、読み終わったかしら?
「えぇ」
ひめ、すごく嬉しそうね。ほわほわと幸せなオーラが見えるくらいに。
えっと、確かアイスティーは冷蔵庫に…あったわ。
氷が溶けているけど水色は薄くなってる様子もないわね。ここまで計算されてるのだとしたらすごいけど…流石にそれはない気がするわ。
「アイスティー、飲みましょうか」
あら、ひとつひとつ違う?
名前も書いてあるし、ひなちゃんは4種類も
「え〜っと。これがひめのよ。それで、これがツバサの。そして、これが私ね」
ゆずの分は冷蔵庫に入れておきましょうか。1度キッチンに戻ってゆずの分のアイスティーを冷蔵庫に入れていたら、後ろからひめの声が聞こえたわ。
「種類が違うのかしら?」
私が戻っていくのと同時に席に着いたツバサを見る。さっきモバイルに何か連絡が来ていたようだったけど、トラブルとかではなさそうでよかったわ。
「そうなんじゃないか?ほら、グラスひとつひとつにカードが付いてる」
不思議そうに
流石はツバサ。いつもそうだけど、状況理解の速さは
さて、と。椅子を引いて座る。
私のカードには、なんて書いてあるのかしら?
『夜空先輩 Dimbula セイロン島中央部生産。バラの香りに似たやわらかい香り。マイルドな味』
可愛らしくて綺麗な字ね〜
中心が宝石で飾られてるお花…プルメリアかしら。アクセサリーのデザイン画って言われてもおかしくない完成度だわ。
それにフレームも、ジュエルとゆったりしたリボンが描かれていて素敵♡
あら?この挿し絵、もしかして手描き?
「……まぁ」
一足早くアイスティーを飲んだひめが声を上げた。
紅茶には特にこだわりを持っているひめが驚くなんて、気になるわね。私も早速飲もうかしら。
いただきます♪
っ!
「すごいわね。とっても美味しいわ」
確かにこれはひめが声を上げるのも分かるわ。
苦味が全く無いとってもマイルドな味わいで、ほんのりと薔薇のような香りがするの。
本当に美味しい♡
「あぁ。美味しいな」
ツバサも同じみたいね。
このアイスティー、とっても優しい味がするわ。淹れた人の心が分かるとはよく言うけれど、ひなちゃんの人柄がにじみ出ているようね。
「みーんなーーっ‼︎」
あら〜?
「この声って…」
私の言葉の続きを言うようにツバサが扉に顔を向けたわ。
「ゆず?」
そうね。こっちに駆けてくる子は、確かにゆずだわ。
お仕事はどうしたのかしら?流石に放り出して帰って来るような子ではないけど…
「たっだいまーッ!」
相変わらず足が速いわね、ゆず。
あっという間にここに来て急ブレーキで止まるのは、毎度のことながら転ばないか心配になるわ。ゆずの事だから大丈夫なんでしょうけど。
「今日の仕事はどうなったんだ?」
そうそう。私も気になるわね。
「それなんだけど、この雨で延期になっちゃったんだゾ☆明日は晴れみたいだからお昼からやるって!」
キランッとピースをした後、こっちにも気付いたみたい。
「なになに!何飲んでるの?ゆずも飲みたい‼︎夜空たん!お願いしたいんだゾ!」
元気いっぱいで可愛いわ。
でも。
「ふふ。今日のお茶は私が入れたんじゃないのよ」
少しだけ問題♪
ゆずは当てられるかしら?
パッと顔を向けたのはひめ。私と同じでお茶を淹れている確率が高いからひめだと思ったみたいね。
「じゃあ、ひめちゃん?」
惜しい!
まあ、答えに
「私でもないわ。でも、ちょっと惜しいわね」
ひめも楽しそうだし。
「え〜?惜しい?ツバサっち?」
ツバサの方を向きながら考えてるわね。
「いや、私でもない」
コクリとアイスティーを飲んだあとに答えたツバサ。1呼吸おいてわざと
「ええーー‼︎んー……。もう降参こうさーん!!」
ひめからアイコンタクトをされたから、ウィンクしてもういいわよってしておいたわ。
ゆずって、見ていて本当に楽しい♪
「正解はね」
ひめが口を開いたら、ゆずは目をキラキラさせながら聞く姿勢に入ったわ。
「うんうん‼︎誰?誰⁉︎」
待ちきれないみたいね。
「私の妹の白鳥ひなちゃんよ」
ひめがニコニコしながら答え合わせ。
「うんう…ん?あ、え⁉︎えええー‼︎‼︎」
ふふっ♪
びっくりしたみたいね。
ゆずがプルプルしだけど、どうしたのかしら?
「あ・・・あ………」
「「「あ?」」」
私とひめとツバサの声がぴったり重なって少し面白かったわ。
「ゆずも…、会いたかったんだゾーーー‼︎‼︎」
あぁ、成る程ね。
side:ツバサ
ひめがひなからの手紙を読んでいた時、手元に置いていたアイカツモバイルが震えた。
…学園長から?一体何だろうか?
『生徒会長
白鳥ひなが本日の結果発表の後、組分けオーディションのステージを行う事となった。
集会が終わった後に、ステージビデオの確認を頼みたい。
ひなが…。
組決めという事だけど、ひなは歌組なのだろうか。幼少期に主演・出演したものの演技力が成長と共にレベルアップしているのなら、是非とも劇組に
それと、ステージビデオの確認か。
ステージビデオは、新入生お披露目ステージやS4戦、学園が主催するイベントでのステージを記録したものだ。
撮られたビデオはアイカツモバイルや学園内の資料室で四ツ星学園の生徒ならいつでも
さらに、組分けオーディションでのステージは学園のホームページでも公開される。これは誰でも
この事は他言しないように…とも書かれていたな。
もちろんそんな事するわけないが、なぜ内密にするのだろうか?学園長はイベントやサプライズ等を好む傾向があるから、良い意味でも悪い意味でも驚かされる事が多い。今回もおそらくその
「え〜っと。これがひめのよ。それで、これがツバサの。そして、これが私ね」
あぁ、もうお茶の時間か。
今日は、ひなが淹れていたのか?
私自身が寝てしまったから分からないが、夜空が淹れている様子もなかったし恐らくそうだろう。
夜空が机の上にグラスを置いていく。
ひなはゆずの分も淹れたらしいな。鮮やかなオレンジ色の紅茶が入ったグラスをトレーと一緒に夜空が冷蔵庫に持っていった。
見て気付いたが、ひとつひとつ種類が違うみたいだ。
色も違うし、それぞれのグラスにカードが添えられている。
「種類が違うのかしら?」
そう首をかしげるひめに椅子を引きながら口を開く。
「そうなんじゃないか?ほら、グラスひとつひとつにカードが付いてる」
さて、私のにはなんて書いてあるのだろうか?
『ツバサ先輩 Nuwara Eliya セイロン島中央部生産。さわやかな香り。しっかりとした味わいが特徴』
読みやすい、綺麗な字だな。
カードのフレームには私が好きなラムネの泡のようなものと風がデザインされている。風の中にはいくつか星が散らされていて、それが良いアクセントになってるな。
挿絵として描かれているこの鳥のデザイン…格好良さもあり、可愛さもあり、力強い。
控えめに言ってすごく好みなデザインだ。
どこのメーカーだろう?
「……まぁ」
一口飲んだひめが驚いた様に声を上げた。珍しいな、ひめが紅茶を飲んで驚くのは。
ん?この鳥、手書き⁈
「すごいわね。とっても美味しいわ」
鳥が手書きであった事に驚いた私も夜空と同じタイミングで淡い
確かに、これは…!
「あぁ。美味しいな」
美味しい。カードに書いてあった通り爽やかな香りが鼻を通り、口の中にはしっかりとした紅茶の味が広がっていく。程よい渋みに、飲み込んだ後に残るじんわりとした甘さ。どこか緑茶に似ている所があるな。
その後は、ゆずが帰って来たり、ゆずがひなに会いたかったと騒いだり、ゆずをひなの紅茶で
あと何気なくひめからあのカードのフレームまでひなの手書きだと言われた時は、思わずむせた。
☆☆☆☆
「そろそろ行きましょうか」
少しの間お茶とお菓子を楽しみひと段落した所でひめが席を立った。それに続くように私達も席を立つ。
「楽しみだゾ!一緒に踊るの、誰になるかな〜?」
玄関に続く廊下をルンルンと1歩先に飛び出したゆずが楽しそうにこちらを見た。
「みんな頑張っていたもの。誰になってもおかしくないわ」
ひめがそう答えると、ゆずの頭にポンと電球がついたような気がした。ゆずと話しているとこういう事が多いな。
「そういえば、夜空たんの美組では真昼ちゃんがキラキラしてたね!」
話を振られた夜空は、手を頬に当てながら微笑んで返す。
「そうねぇ〜。最近はレッスンでも
そんな他愛の無い会話を色々としながらホールの2階席に着いた。
下を見る限り、もう
劇組は汝鳥が不参加だったから…可能性として大きいのは早乙女だな。超新星と、ホープ。早乙女は光るモノを持っているが、まだ一皮むけていない。もしかすると…いや、考え過ぎは良くないか。
さて、どうなるかな。
書き上がり、ました。(14:27)
あれやこれやと考えていたら、短めにもなっていました。
お正月休暇も終わり、これからは更新が遅くなりがちになりますが、よろしくお願いします。
もうずっとお正月だったら良いのにと思いました。
追記・さらっと最後の方にオリジナルキャラクターその1が出ていました。また細かい事が出たら、キャラクター紹介のようなものを作ってみようかと思います。
(2019年9月・文章整形や加筆を行いました。