little Angel story〜1人の少女の物語〜 作:ムーンナイト
1行で分かったりしなくもない前回のあらすじ
・むせたツバサ先輩
side:夜空
どんなものにせよ、結果が発表される時は緊張するものよね。今も下にいる子達の空気がピンとなってるわ。
私としてもペアを組む事になる相手だから気になるけれど…誰になったのかしら。
「──そして最後。
学園長の口から発せられたのは、妹の名前。
「やった♪」
思わず声をあげちゃったわ。
だって、真昼が美組の1位だったのよ?
学園長の話が進んでるけれど、こっちはこっちで話をしてるわ。
「ふむ、早乙女か…」
ツバサが腕を組んで考えてるわね。早速構想を練っているみたい。
早乙女あこちゃん、劇組のホープって言われてる子よね。前に見かけた時はなんだか猫みたいで可愛いかったわ。…あら?そう言えば。
「ねぇツバサ。今回サツキちゃんは出ていないの?」
劇組の超新星と呼ばれてる女の子よ。
毛先の方は透明にも見える淡い水色の髪に、ガラスのように綺麗な瞳。
普段は表情の変化がほとんど無いように見えるのに、1度演技のスイッチが入るとすごいのよね。明るい笑顔から悲しそうな涙まで、ポンポンと出てくるんだもの。初めて見た時はびっくりしたわ。
「あぁ。汝鳥はテストの時、ゲスト出演するドラマの撮影でどうしても来られなかったんだ。来ていれば結果は違ったかもしれないな」
そうだったのね。
確かに出ていれば、あそこに居たのはあこちゃんじゃなくてサツキちゃんだったかもしれないわ。
でも、自分の力で劇組の1位を取ってあそこに立ったのはあこちゃん。アイカツには時に強い運も必要だもの。いればすればと言っていたら失礼だと思わない?
「わあ〜!もう、楽しみすぎるんだゾ‼︎」
ゆずは楽しいのが1番だものね。
舞組のチームは、見るからに楽しそうなユニットになりそうだわ。
「ふふ。そうね。さて、歌組はローラちゃんになったわね」
ゆずの言葉に頷きながらニコリとして言ったひめ。良かったわ。体調もよさそう。
それはそうと、ローラちゃん。まぁ、歌組1年生の中で今現在1番実力とテクニックがあるのはローラちゃんだもの。あと選ばれるんじゃないかって同じくらい注目されていたのは、めぐるちゃんかしら?
ゆめちゃんは時々ものすごいステージをするけれど、テストの時はそうじゃなかったみたい。
「そして美組は、真昼♪」
本当にワクワクするわ♪
ドレスにステージ、これから真昼と一緒に決める事がたくさんね♪
「夜空は本当に嬉しそうね」
ひめが微笑みながら私に言う。
「えぇ。だって嬉しいもの♪」
そう言いながら、ステージに目を向けると、丁度意気込みを語っているところだったわ。
次は真昼の番。
「姉には、絶っ対に負けません!」
キッとした表情。
一瞬こっちに射抜かんばかりの視線を向けられたし…
「…真昼?」
楽しみにしてる表情、ではないわよね。
「これは、宣戦布告…かしら?」
ひめも首を傾げてるわ。
う〜ん、一筋縄ではいかなさそうね。
「そして今日は、もう1つする事がある」
学園長からのお話、続きがあったみたい。
「1年生の中に4月から休学していた生徒がいたが、その生徒が本日晴れて休学開けしたため、組分けオーディションを行う!」
その子って…
「・・・あら?」
ひめも気付いたみたいね。
ホールもざわざわして落ち着かなくなってるわ。
「静まりたまえ。
学園長は相変わらず皆の気分を上げるのが上手。
私もワクワクして来ちゃった♪
side:ひな
「────後はステージだけだ。希望は歌組!では、始めよう!」
学園長先生、盛り上げるのが上手だなぁ。
ホールのボルテージがどんどん上がって行くのを肌で感じる。
筆記テストはクリア出来ていたみたいだし、あとはこのステージのみ。
「白鳥、行ってこい!」
アンナ先生…
「はい!」
フィッティングシステムの前に立って、手元にある3枚のカードを見つめる。
ホワイトスカイスターコーデ。
白の生地をベースにして、空のような水色、パステルブルー、コバルトブルーやシンフォニーブルーを
ドレスメイクの最後に、全てが美しく綺麗に引き立てあうように
初めてのステージ。
初めてのドレス。
ここから始まる、私の物語!
「
みんなに届けたい。
私の思い。私の願い。
ありったけの想いを乗せて。
今。全ての心に、煌めきを灯せるように!
side:ひめ
耳元のアンテナの位置を調整。ホールがアイカツシステムによって変化し始めるのを感じて視線を戻す。
どんどんと明るくなっていって、大きな噴水がステージの後ろに出現した。──このステージは…
「スタートライン…?」
思わずポツリと確認するようにして呟く。
最初のステージがスタートラインなのね。まさに今のひなちゃんにぴったり。…難易度的には、アイカツ☆ステップだと思っていたのだけど。
でも楽しみだわ。
ひなちゃんの…アイドル・白鳥ひなの、初めてのステージ。
キラキラとステージの中心が光る。
そしてひなちゃんが姿をあらわすと、皆の中にざわめきが走った。
「…あの子?」「え?ひめ先輩?」「綺麗・・」「そういえば名前聞いてないよね。」「あれ?」「ねぇ、あのドレスって…」
少し混乱してるようね。
曲目も、ひなちゃんをぱっと見た時の雰囲気も。皆が混乱する要素は揃ってる。
ふふ。ひなちゃん、髪型を戻したのね。同じじゃなくなったのは少し寂しいけれど、やっぱりひなちゃんにはその髪型が1番似合ってる。
1歩ひなちゃんが歩く度にふわりと揺れる髪の毛は、ステージの光を受けてキラキラと輝いているわ。
それに──
あのコーデ、とっても綺麗。
形だけ見れば、ただのスクールドレスの
ドレスの輝きは、それ以上。
スクールドレスって、あんなにも輝きを放てるものだったのね。
…登場から曲が始まるまでの短い間に、気づいた子が何人かいるみたい。白鳥ひなという名前を隣の人と交わす言葉がいくつか聞こえたわ。
ひなちゃん。あなたは私に、どんなステージを見せてくれるの?
────‼︎
「風…?」
隣にいるはずの夜空から声が聞こえる。
ひなちゃんのオーラが、変わった。曲のサビに入った時に、ひなちゃんの輝きがぐんと増した。
青い風…。その瞬間にブワッと広がる風を感じたような気がする程、強い輝き。
風の中で白い花びらが舞っていて、とても綺麗…。
♪──トライン!♪
すごい…
「・・・」
曲も終わり、ステージが終わった時、会場はシーンと静まり返っていた。
誰もが息をする事を忘れたかのように、舞台の上に立つひなちゃんを見つめる。
“パチパチパチ”
パラパラとまばらに拍手が聞こえた次の瞬間、会場は大きな歓声と破れんばかりの拍手で包まれた。
「すっごいゾ!あの子がひなちゃんだよね!ひめちゃん!」
ゆずは瞳を輝かせて椅子から身を乗り出していた。
ゆずの事だからワクワクしすぎるとここから舞台に上がりかねない。
「えぇ。そうよ」
そう答えながらどうしようかしらと考えていたら、危ないわと言いながら夜空がゆずを引き戻してくれた。
「本当にすごかったわ。1年生の中でもトップに躍り出たんじゃないかしら?とっても素敵だった…」
夜空も感激と驚きが入り混じった表情でひなちゃんに視線を移している。
「何だか、ひめのステージを思い出すよ」
そんな中、ツバサがステージに目を向けたままそう言った。
「私の?」
言葉を選ぶ様にゆっくりとこちらを向いて答え始めるツバサ。
「・・1年生の時の組分けオーディション。あの時のひめのステージと、今のひなのステージ。…同じ感覚だった」
・・・!
確かに、今のステージはすごかった。
もしかしなくとも、1年生の時の私を超えていて…。
まさか…!ひなちゃんも…?!
「ひめ?大丈夫?まだ体調が優れないの?」
夜空、よね。
ひなちゃんを見ながらガチリと固まった私の背中に手を置いて、こちらを見ていた。
「大丈夫よ。ふふっ、ひなちゃんに
笑って見せると、安心したように笑顔を返してくれる夜空。
ステージでは学園長が話を進めていた。…全く聞いていなかったわ。大丈夫だと思うけど。
「さて、審査の結果、白鳥ひなの歌組加入が決定した!これからは歌組のメンバーとして、さらなるアイカツに励んでくれたまえ」
舞台上のひなちゃんが、こちらを見た。
目が合ったと思った
・・ひなちゃん…?
疑問を感じて確かめる暇もなく、何事もなかったかのようにひなちゃんは頭を下げて舞台袖に帰っていく。
今…なにかあったの?
揺らいだように見えた。
ひなちゃん…
「ひめちゃん‼︎ゆず、これから楽しみすぎるんだゾ‼︎」
っ!
ゆずが私に抱き付いてきながらそう言った。いつのまにか座席の後ろにまわっていたみたい。ゆずの体は温かくて、少し落ち着いた。
考えすぎね。ひなちゃんなら、大丈夫。
「ふふっ。私も楽しみよ、ゆず」
9pageにして、初ステージとはこれいかに。
またシリアスの予感ですね。なぜでしょうか。
オリジナルキャラクター1、汝鳥サツキさんです。
もう1人出てきましたね。何人か出て来る予定です。
前話に誤字脱字があり修正しました。どれだけ焦っていたのでしょう。ムーンナイトは。
今回も少し短いですが、楽しんでいただけると嬉しいです。
(7月6日・汝鳥サツキちゃんの髪と目の色の描写を変更しました。
(2019年9月・文章整形や加筆を行いました。