やり過ぎた、と思わないこともない。
唐突に、こんなことを言われても理解はできないだろうし、私自身もまた物事を把握し切れてないので整理がてらに少し振り返ってみようと思う。
確か――そうだ、妹達が自分が望む未来を掴む為に課題を与えたのだ。豫州沛国の最西部にある城都、譙国にて、この土地をより良い場所にする為に目に見える成果を一つ上げてみせよ。というものであり、自分で考えて行動する為の思考を培わせる為のものだった。それで自信が付けば良いし、なにか面白いものが見られれば退屈凌ぎになる。そして何か大きな事を為そうとするのであれば、その手助けをすることは吝かではなかった。正直に話せば、これは許攸と出会ったのがきっかけで思い付いたことであり、未来を想いながら行動する楽しさを知って欲しい気持ちが強かった。
期限は私が寺小屋を卒業するまで、開始当初は張り切る妹達を微笑ましく眺めていた記憶がある。
先ず
脳筋な彼女は持ち前の武力を活かす為に翌日から賊退治へと出かけて行ってしまった。まあうん、これについては構わない。数日後、獣狩りをしてきた後のような爽やかな笑顔で、賊から剥いだ装備の数々を戦利品として屋敷に盛り込んできたことも
その戦利品の数々は
定期的に春蘭が単身で賊狩りへと出掛ける最中、もっと美味しい御飯が食べたいっす、と呟いたのは
現実逃避をしている場合ではない。
柳琳の意見に納得しかける華侖と栄華の二人に少し冷静になりましょう、と。田畑を耕すにしても、物流を広げるにしても、人手が足りないわよ。と的確な助言で水を差した。
「ん、人手が必要なら私が用意してやるぞ?」
その時、時悪く帰ってきた春蘭がそんなことを言った。
数日後、簀巻きにされた賊達が庭先に転がされる。
きっちりと教育済みで彼らは春蘭にとても従順だった。
後に爆裂団を名乗る彼らは田畑を耕すのを手伝い、街道に出没する賊退治で仄かに有名となる。
まあ爆裂団も元は民草、飢饉で食料を得られず、仕方なしに賊になった連中だ。その中でも、まだ小さな悪事しか働いていない者を狩ってきたので民草からの反発も少なかったこともある。ともあれ私が寺小屋を卒業するまでの間、彼らが私達の労働力となった。
労働力を得たは良いが、彼らを食わしてやらなくてはならない。そこで頭を悩ましたのが栄華であり、彼女は先ず私にではなく、春蘭の妹である
「近頃、商隊から護衛依頼が多く届くようになったんだが……どうすれば良いんだ?」
それだ! と栄華と秋蘭が仲良く叫んだ。いや、それじゃない。正しいけど、話が飛躍している。
そうして爆裂団は護衛業から輸送業までも担うようになった。農業から賊退治まで貴方の頼れる近しい隣人、お問い合わせは豫州曹家まで、とかいう宣伝文句まで生まれる始末だ。そうして事業が軌道に乗り始めた頃合いで、比較的常識人であった栄華がやらかした。名産品を作ろう! と。あ、その話ってまだ消えてなかったんだね、と思いはしても口には出さず、とりあえず話を聞いてみる。
そして豫州沛国の片隅にある衣服屋で、曹純
寺小屋卒業時には、沛国の暮らしは劇的に変わってしまった。
華侖、瓶詰めって何? それって今の時代に生まれて良いものじゃないと思うのだけど?
余談になるが爆裂団は年々規模を拡大しており、部署分けによる改革にも着手している。
今や爆裂団とは名ばかりの財閥であり、様々な分野で豫州を支える屋台骨だ。期限を迎えて、どうだ! と言わんばかりの良い笑顔を妹達は浮かべる。その姿は何かしらの偉業を成し遂げたような達成感に満ちていた。そんな妹達の姿に、私は久方ぶりに頭が痛くなる想いを抱いた。最早、曹家の名を知らぬ者は沛国には誰一人として存在していない。阿蘇阿蘇の調査によれば、曹操の名は豫州刺史よりも知られているようだ。
うん、とりあえず寝よう。
明日は寺小屋の卒業式だ、わーい。