問題児達に妖狐が混じっているそうですよ?   作:せーじゅん

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転生の理由書いたせいで前置きめちゃくちゃ長いです。


第1話

私、早瀬一葉は落ちている。

周りを見渡すと、同じように落下している者が3人。眼下には湖が見えるため皆怪我はしないだろうが、着衣水泳は学校の授業だけで十分だ。

「まったく、何でこんなことに…」

溜め息をつきながら私はこの数日を思い返した。

 

 

 

 

ある日私は京都に来ていた。何でもお母さんの姉の千絵さんが先日出産し、夏休みと言うこともあって数日間親戚が集まってお祝いするらしい。

他人との繋がりが希薄な現代には珍しい、良い家族だと思う。

しかし悲しいかな、私はその繋がりを求めない人間だ。人間は好きだが人付き合いは嫌い。そう言う人間なのだ、私は。うわべだけの付き合いは本当に疲れる。

まあ、そんなこんなで私はあまりこの集まりが好きではなかった。人が多いこの祝いの席は、落ち着けない。

 

ただ、良いこともあった。京都には伏見稲荷がある。

実は以前傷ついた狐を助けた事があり、一週間ほど面倒を見ていた。何者かに襲われたらしく、身体中に生傷があった。その狐を拾った私は親にバレないよう、こっそりと治療をしたのだ。5日ほどで見つかったが。

その狐は珍しく真っ白で、母は写真を動物雑誌に送ろうなんて言ったが、私はその子を晒し者になぞさせるものかと猛反対した。

私の話をまるで分かっているように聞いてくれる。いや、本当に分かっていたのではないだろうか。そんな白狐を親友のように感じていた私は母の言葉にに本気で怒ったのだ。

元来小さいものが好きで友達も少なかった私は、この白狐が大好きだった。親友だった。

 

 

しかし、傷が治り自然に帰すときがやって来た。

白狐が山へ入って見えなくなり、目に涙を浮かべる私に

 

「白狐は神の遣いと言うからな。稲荷神社にいけば会えるかもしれんぞ」

父はそう言った。父も、物心ついてから泣くことがなかった私が泣きそうになっていたから焦っていたのだろう。いくらなんでも、神様の使いだ、神社に行けば会えるだなんて都合が良すぎる。

だけど、私はあの子が忘れられなかった。あの美しい白い毛並みに、透き通るような瞳は私を虜にしたのだ。そして何より友達だった。

私は日本一の稲荷神社に僅かながら期待していた。

 

 

 

 

 

すぐに見つかった。駅を出てふと見たら、鳥居の根本ににちょこんと座ってじっと私を見ている。間違いない、あの子だ。

あまりにも簡単に見つけられて驚いたが、歓喜の波がそれを呑み込んだ。

すぐに走りだし、白狐に近づき撫でようとしたとき

 

「なんや、おもろい狐やな。ペットショップに売っぱらったろうか」

下品な声が響いた。見ると中肉中背の猫背の男が下卑びた顔で近づいてくる。

この子を売り払う?

 

「ふざけるなっ!自分の利益しか考えることのできないお前にこの子はわたさないっ」

怒った私はその男を突き倒した。

いきなりの襲撃に男もキレたらしい。何か喚きつつ、私の髪を掴んで投げ飛ばした。

運が悪かったとしか言いようがない。投げ飛ばされた所にブロックがあった。頭に激痛が走り、私の意識はぷっつりと途切れた。

 

 

 

 

 

 

ふと目を覚ますと辺り一面真っ白だった。頭に痛みはなく、血も出ていない。

私は死んだのだろうか?あんなに呆気なく?もう少しであの子を撫でることができたのに。抱き締めることができたのに。

「そんなに僕のことを想ってくれるのは嬉しいけど、ちょっと恥ずかしいかな」

そんな声に驚いて振り向くと…

 

 

狐耳をつけた少年がいた。

 

「やあ、一葉。この姿じゃちょっと分かりづらいかな?」

 

いいや、分かるとも。姿形が違っても優しいこの空気は…

 

「白狐なのか?」

「すぐに分かってくれて嬉しいよ」

 

それから色々な話をした。白狐がいなくなったあと拗ねて両親としばらく話をしなかったことや、白狐を見つけるために多くの神社を巡ったことなどを。

どの話も彼は楽しそうに聞いてくれた。

 

「まったく恥ずかしい話だけど親友が君一人で私の人生は終わってしまったよ」

ふと漏れた言葉に白狐が反応する。

 

「それなんだけど僕が一葉を生き返らせるよ。一葉は僕の命の恩人だからね」

「ち、ちょっと待って。そんなに簡単に転生なんて事ができるのか!?それになんで君がそんなことをできるんだ!?」

「僕は荼枳尼天(だきにてん)だよ。輪廻転生は専門外だけど、多少の融通は利くのさ。それと悪いけど生き返るのは今までとは別の世界になるんだ。ゴメンね。」

そういって話を進める白狐。

「それじゃあいくよ。不安かも知れないけど大丈夫。仲間も三人いるから」

不安そうな私に気を使ってくれたのだろうか。だが私はそんな心配はしてない。元々一人が好きなのだから。私の不安はー

「私達はまた会える?」

沈黙が流れる。

「私は君の存在を奪ってその箱庭とやらに転生するんでしょう?融通が利くといってもなんの代償もなしに転生なんてことはできないはずだよ?」

この子を踏み台にした人生なんて楽しいはずがない。

「もうっ、いちいち心配しすぎ。僕の霊格を全てあげる訳じゃないから大丈夫だよ。行ってらっしゃい!」

私の足元に穴が空いた。

いきなりすぎだろう

 

ー先ずは×××っていうコミュニティーについて調べてみてー

 

 

 

 

湖に落ち、グショグショになった服を絞りながら決意する。

気付いたら狐耳ついてるんだが。どゆこと?

 

「取り扱い説明書をくれたら考えるわ。」

隣では自己紹介を兼ねたメンチの切りあいが始まっていた。どうやら彼らには手紙が届き、それを読んだらこの世界に飛ばされたそうだ。

ヘッドフォンを着けた学生服の少年が逆廻十六夜、お嬢様風の少女が九遠飛鳥、天然っぽい無口な少女が春日部耀と言うらしい。絶賛不良街道爆進中なのは十六夜と飛鳥だ。

 

「なぜ初っぱなからこんな癖の強い人達に遭遇するんだ?」

 

そう呟くと二人からジト目で見られた。

「狐耳と尻尾をつけている人にその台詞は言われたくないわ(ぜ)。」

 

仕方ないじゃないか。私に力をくれたのは狐なんだから。多分 あの子の霊格とやらが私のなかにあるせいだろう、この素敵アイテムは。

しかし、この三人はなかなか面白そうだ。

「私は早瀬一葉だ。よろしく」

 

 

 

 

 

「私がお呼びしたのは3人だった筈ですが…なんで四人目がいらっしゃるのですか!?皆さん大変我の強そうな方ば

かりで困っているのにこんなイレギュラーまで」

 

3人を呼び出した黒ウサギは苦悩していた。それはそうだろう。なにせ問題児3人+狐耳だ。大丈夫なはずがない。

 

「それよりも早く出ていった方がいいぞ。皆待ちくたびれてイライラしてるから」

「にょわー!!!!」

 

後ろから声を掛けたらとても驚かれた。それと同時に全員の視線を集める。

「や、やだなぁ皆さん。そんな目で睨まれると、黒ウサギ心臓が止まってしまいますよ。古今東西ウサギは孤独と狼が天敵ですーって、なんでウサミミを引っこ抜こうとするのですか!?」

「好奇心のなせるわざ」

耀ちゃんがウサミミを鷲掴みにしている。

「耳、短くてよかったな」

「呑気なこといってないで助けてくださーい!!」

黒ウサギの悲鳴が森に響いた。

 

「ううっ、気を取り直して説明します。いいですか?いきますよ?さあ言います!ようこそ、『箱庭の世界』へ! 我々は御三方様にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうと召喚いたしました!」

黒ウサギがオーバーアクションで説明をはじめる。なんて気丈な娘だろう。

 

「ギフトゲーム?」

「そうです! 既に気づいていらっしゃるでしょうが、御四人様は皆、普通の人間ではございません! その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。『ギフトゲーム』はその恩恵を用いて競いあう為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大力を持つギフト所持者がオモシロオカシク生活出来る為に造られたステージなのでございますよ!」

 

黒ウサギの言葉に九遠飛鳥が反応する。

「まず、初歩的な質問からしていい? 貴方の言う我々とは貴方を含めただれかなの?」

「YES! 異世界から呼び出されたギフト所持者は箱庭で生活するにあたって、数多とあるコミュニティに必ず属していただきます」

「嫌だね」

「属していただきます! そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの主権者ホストが提示した賞品をゲットできるというとってもシンプルな構造となっております」

 

春日部耀が挙手する。

「……主権者ホストってなに?」

「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもございます。

特徴として、前者は自由参加が多いですが主権者ホストが修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。しかし、見返りは大きいです。主権者次第ですが、新たな恩恵を手にすることも夢ではありません。後者は参加のためにチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればすべて主権者のコミュニティに寄贈されるシステムです」

「後者は結構俗物ね…。チップには何を?」

「それも様々ですね。金品・土地・利権・名誉・人間……そしてギフトを賭けあうことも可能です。新たな才能を他人から奪えばより高度なギフトゲームに挑む事も可能でしょう。ただし、ギフトを賭けた戦いに負ければ当然――ご自身の才能も失われるのであしからず」

 

続々と進行していくイベントに額を抱えていると、ギフトゲームとやらが始まろうとしていた。

 

 




書き溜めはしてないので更新は遅いです。

拙い文章ですがよろしくお願いします。感想お待ちしております。
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