あれから数日。
俺は影分身やジャンヌ達を使ってナザリック周辺を20キロに渡って捜索している。最近気付いたことは割と近い場所に村が幾つかある事と戦闘力は兎も角として生活水準はあまり高くないという事。同行している黒歌とルプスレギナに白音達は鼻が利く為周囲に人の匂いを探させているが一つ一つの村の規模は小さく非常に弱い。でもひとつだけ分かることがある。それはどの村も1人だけ助かろうとはせずにこの虐殺からお互いに守りあいながら死んでいったということだ。この姿を見るとさすがにある感情が芽生える。
「苛立ちを覚えるな。人では無くなったと思っていたがこの虐殺には意味が無い。」
と俺が言うと黒歌がサスケの気持ちに気づく。
「サスケ様の気持ちはわかりますにゃん。」
と黒歌が答える。そして白音は励ますような言葉を投げかける。
「サスケ様。まだ近くに無事な村があるかもしれませんよ?」
と言うのでここは1番鼻が利くルプスレギナに頼むとするか。
「ルプー。ここからまだ生きている人間の匂いは感じるか?」
と聞くとルプーは匂いを嗅ぎ始めるも少し申し訳なさそうに答える。
「申し訳ありませんサスケ様。死体の匂いが強すぎて他の匂いが掻き消されています。」
「そうか。」
俺はそう言ってから3人に自分に触るように指示を出しモモンガのもとへ行く。
飛んだ先にはセバスとモモンガがいた。
「何か見つかったか?」
と聞くとセバスが申し訳なさそうに言葉を紡ぐ。
「申し訳ありませんサスケ様。現状としてはまだ何も見つかっておりません。」
と返ってきた。それもそうだ。まだ景色が遠すぎると俺は思っているとモモンガの使う鏡の中に一つの村が出て来た。
「モモンガ。この村を拡大できるか?」
と聞くとモモンガは少し悩んでから答える。
「やってみます。」
とモモンガが答えて拡大を始めた。それを見てセバスが疑問に思ったのか質問をする。
「この村はどうされるのでしょうか?」
と聞いてきたので俺とモモンガは同時に答える。
「見捨てる。」
「救う。」
モモンガが見捨てると言ったのには驚きはあるがどうな危険があるかわからない中で無闇に救いに行くのは危険だとわかる。でも俺の中でたっち・みーの言葉で出て来てそれを口ずさんでいた。
「困っている人を助けるのは当たり前。」
と言うとセバスは驚いた顔をして声を出す。
「それはたっち・みー様の御言葉。」
と反応を示す。
「そうだ。そしてモモンガは少なくともその言葉の持ち主に救われた筈だ。」
と言って俺は1番姿が人間に近い黒歌を呼びに行き一応最大級の装備を身に付けてさっきの村の近くの森の中へ飛んだ。
森に着くとそこには2人の姉妹と思われる少女達と恐らくは他の村を攻めて回ったであろう何処かの国の兵士2人。妹が転けて逃げられないと思ったのか姉の方は妹を守る態勢になる。それを確認すると俺は咄嗟に言葉を発していた。
「立ち上がるな!」
と言うと少女2人は立ち上がるのを我慢したので俺は千鳥千本を2本だけ飛ばして兵士2人を殺した。なのに現実世界では感じるはずのものが無いことに疑問に感じた。
「何も感じないな。」
と俺が呟くと隣の黒歌が頭の上に?を浮かべたように話しかけてくる。
「どうしましたにゃん?」
と聞いてくる。頭の中を少し整理してから黒歌に答える。
「なんでもない。心配してくれてありがとな。」
と答えてから伏せていた2人の少女の元へと行き膝を着く。姉と思われる少女の背中には斬られたような跡がある。でも傷事態は浅いものだ。それでも血が流れていて俺の吸血鬼の本能が出てきそうになるが抑えて2人に声をかける。
「大丈夫か2人とも?」
と聞くと妹と思われる少女は泣きながら助けを乞うように叫ぶ。
「お姉ちゃんを助けて!」
と言う。黒歌が回復の仙術が得意なので少女に向けて答える。
「わかった。」
と答えてから黒歌の方を向き指示を出す。
「黒歌。怪我している所に回復を掛けてやってくれ。」
と伝えると空気を読んで黒歌は何も聞かずにサスケに頭を下げる。
「畏まりましたサスケ様。」
と答えてから俺と同じ様に膝を着いてしゃがんでから背中を斬られた少女の背中に触れて回復を掛けている。それを俺は確認してから「影分身」をする。何も言わずともやる事は理解しているようで走って村の方へ向かった。