哿(エネイブル)のルームメイト   作:ゆぎ

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遂にSUPER NATURALのシーズン14が吹替でレンタルが開始されました。次でfinalシーズンが決定しているのにシナリオの都合でディーンの出番が少ないのは残念に感じるファンもいることでしょう。メインキャストが欠けずにシーズン14まで演じたことも人気を支える要因なんじゃないかな。


イ・ウー編
透明の瞳


 

 

 近くで雷の音がする。ここ最近はずっとだ。笑えねえ、最近ってのはいつからだ。いつから雷の音を聞いてるのかも分からない。時計もない、体内時計ってやつはとうに狂ってる。最初は神頼みを試したがどうやら主は休暇を取ってベガスにでも行ってるらしい。

 

 背中と腹を通過してる鎖は乾いた俺の血で汚れてる。イカれた体勢で吊られてることに違和感を覚えねえ程度には、俺はここに滞在してるらしい。ルビーの言ったとおりだ、スイートルームには遠いよ。シャツにぶちまけられた血は致命傷の量だってのに死ぬことに恐怖はない。感じるはずがないんだ。死──そのものを意味する場所がここだ。ゴールに辿り着いてる。

 

「……ちくしょうめ、飼い犬の躾くらいしたらどうだ」

 

「飼育が行き届いてる。賢いペットだろう?」

 

「話が通じねえな。おい、アスピリン持ってねえか。まずい空気と耳鳴りで頭痛が酷くてよ」

 

 頭痛で済むわけねえ、鎖が至るところに刺さってやがる。立ってるんじゃねえ、吊るされてるんだよ──悪魔みたいなやり方でな。湯水のごとく垂れ落ちているのはすべて、俺の血だった。

 

 透明の目をしたそいつの名前は忘れない。リリスと同じ透明の目、取引を仕切るわけでも地獄の王子の系譜でもない。しかし、地獄でその名前を知らぬ者はいない権力者だ。

 

 研がれたナイフに手足が滅多刺しになる、切られ、抉られ、貫かれ、ただそれだけが繰り返される。肉片が残らなくなって、一日が終わると俺は何もなかったように元通りだ。そしてまたその繰り返し──

 

「頭痛ならすぐ治まる。ここは特等席だ、話が通じるまでずっといられるぞ?」

 

 悪夢だよ、どんなに切られて抉られても──俺は死ねなかった。思い出したくもねえのに忘れられない。何年経とうが記憶から消えない。

 

 獣に心臓を割かれるのは刹那の痛みだ。だがこの時間は違った。何十年にも及ぶ時間を俺とディーンは奴と一緒にいた。メグが師匠と呼んだ透明の目をした野郎の名前は──

 

 

 

 

 

「お前も見てるのか。悪い夢の、続きを」

 

 ……目が覚めて状況を理解するのに、数秒では足りなかった。朝日がある、硫黄も匂わない、何度も聞いたルームメートの声にハッとする。キンジの部屋だ、俺たちが住んでる部屋で寝てたのか。二段ベットから見下ろせるがキンジも寝起きだな、ひでえ顔だよ。俺は頭に手をやり深く息を吸い込む、悪い夢にも限度がある。いや、罪悪感があるから夢に出てきやがったのか。

 

「お前もやられたのか?」

 

「変な体勢で寝たからな。お前は大丈夫かよ。寝汗が……普通じゃないぞ」

 

「地獄にいたときの夢を見てた。何年も前のことだが最悪だよ。ここまで酷い夢は久しぶり」

 

 本当だな、寝汗で気持ち悪い。夢の中で浴びた血が全部汗に変わった感じだ。

 

「地獄って?」

 

「そのままの意味。悪魔の親玉が飼ってたグロテスクなペットちゃんに引き裂かれて地獄にいたんだよ。40年間くらいな」

 

 言いたいことは分かってる。俺は40歳のおじさんじゃない。地上の4ヶ月は地獄では40年間になるんだよ。くだらない知識を教えてやろうとしたがキンジは既に見下ろせる場所にはいなかった。笑えねえ、俺は何を語ろうとしたんだよ。かぶりを振って、俺は天井を仰いだ。外の景色は快晴なんだろうさ、雷の音なんて聞こえない。聞こえてくるのは特徴的なアニメ声。

 

「キリ、遅刻しても知らないわよ?」

 

「……すぐに準備する」

 

 本調子には程遠い頭を金槌で殴り付ける気持ちで発破をかけてから、俺も支度を始める。

 

「朝は苦手みたいね」

 

「どんな朝かにもよる」

 

 ちなみに今朝は最悪の朝だ。同じく悪夢に魘されていたらしいキンジは神崎と、見せつけるように自転車の二人乗りで登校し、俺は俺でインパラと一緒に学校に向かった。朝から同室の女の子と自転車で登校だ。言ってやるよ、なんだデートかよ?

 

 

 

 

 

 

「戦兄弟? 御守りじゃなくて錘だね。弟子の育成なら間に合ってる。若くて金髪、無愛想。あいつが最初で最後だよ」

 

 インパラを停めて、俺は生徒が集まっている教務科の連絡掲示板まで足を向けた。他人の不幸は蜜の味か、教務科からの呼び出しは大抵悪い知らせか、すごく悪い知らせかの2択。それを嗅ぎつけたじゃじゃ馬が集まるのはもはやお約束だ。

 

「お前が教育を?」

 

「最初だけな、すぐに自立して一人で狩りを始めたよ。今思うとハンターになることは止めるべきだった。この仕事は普通の人生を送れない。人並みの暮らしは手に入らないからな」

 

 今朝、昔の夢を見たせいだな。笑えない、朝から魔女相手に饒舌になってやがる。

 

「誰でも理由があってハンターになる。止められない理由を持っていた、違うか?」

 

「それも一理ある。強情な女だった、意思が強いって言うかさ。一度でも狩りを見たことがあるなら、普通の理由でハンターになろうとは思わないだろ。彼女もパターゴルフと妙に物真似が上手い普通の女だよ」

 

 ……俺やキャスが関わるまではな。誰も理由がないのにハンターにはならない、ジャンヌの言ってることは正しいよ。こんなこと言っても、いざクレアと向き合ったら、俺はあの子を止められない。

 

「……」

 

 ふと、今朝の悪夢が頭を掠め、俺はかぶりを振る。懺悔するわけじゃない、だが()()()()()のことを話せるのはジャンヌしかいない。

 

「ジャンヌ、俺の尋問科としての技術は先生と出会う前に養われてる。例の檻が開く前よりずっと前にな」

 

「やけに今日は饒舌だな?」

 

「そんなときもある。お前は聞き上手だし」

 

「つまり、気まぐれか。檻を開く最初の鍵、第一の封印のことだな?」

 

 さも当たり前のようにジャンヌは話の核に触れてきた。

 

「お前はとことん裏事情に精通してやるよ。第一の封印はディーンが鍵を握ってた。俺がいなかったら、兄貴はアラステアにも屈さなかったかもしれない。俺は兄貴よりも先に奴の剃刀を受け取った。たった30年でな」

 

 最初の封印を破ることが檻を開くための最優先事項。最初の封印さえ守れば他の封印が破られることはない。黄色い目の計画からすべては繋がっていた。赤い目の取引を口実にディーンを地獄に落として第一の封印を破る。そして、最後には全ての封印を解き、ルシファーを檻から解き放つ。

 

 結果的にルシファーは檻から放たれ、地上でミカエルと対面した。天使と悪魔の戦いは多くの犠牲を払った末に最終戦争にまで駒を進めた。出来損ないの天使とバカな人間のせいで終末の手前で頓挫したけどな。最高だよ。

 

「武偵は自分を隠すものだ。それともハンターとしての話か?」

 

「ハワイじゃチップより情報が喜ばれる。俺の弱味を一つ教えたんだ。また力を貸してくれ」

 

「そのときが来ればな。普通の人間は30年も耐えられない。私はそれを弱味とは思わないぞ?」

 

 サファイアブルーの瞳に見つめられ、俺は微笑と一緒にかぶりを振る。

 

「それでも事実だ。俺はされる側からする側に変わった。アラステアの話に乗ったんだよ」

 

 妙に縁のある魔女と一緒に掲示板を見ると、俺は肩をすくめた。掲示板に縁のある生徒の名前があった。キンジが単位不足で留年の危機かよ。どこまでも話題に尽きない野郎だな。ジャンヌも目を丸くしてやがる。

 

「遠山金次、専門科目の1・9単位不足。なるほど、肝心の探偵科の依頼は猫探し以来してなかったわけだ。身近に転がってる石を見落としちまったな」

 

「どうやらお前の名はここにはないみたいだな。がっかりだぞ」

 

「なんでお前ががっかりするんだよ。尋問科の単位は足りてる、これでも先生の面子は気にしてんだよ」

 

 嫌がらせかよ。掲示板を食い入るように見るジャンヌは俺の名前を探すので必死だ。策士家の反面、ジャンヌは天然な面も併せ持ってる。宝石のような碧眼に目を奪われそうになるが俺はかぶりを振った。

 

「おい、足怪我してんだから‥‥‥」

 

「この程度の負傷に屈する私ではない」

 

 フン、と鼻を鳴らし、ジャンヌはそっぽを向いた。俊敏な魔女が今は幅広の松葉杖を支えにしてる。いや杖じゃないな。抜け目のないジャンヌのことだ、どうせ御自慢の聖剣でも仕込んでるんだろう。負傷してんのに丸腰にはならねえさ。山より高いプライドと海より深い意地っ張りは変わらねえけどな。

 

「世間ではバスにひかれたのをこの程度の負傷とは言わねえよ。全治二週間で松葉杖じゃ満足に戦えないぞ?」

 

「キリ、この私を心配することがいかに愚かで危険なことか身を持って教えてやろうか」

 

「……お前、負傷してんのにいつもより好戦的になってねえか?」

 

 呆れてやる。ハンターと魔女。出会ったときはもっと簡単な関係だった。だが、今は線引きがなくなった。ハンターが魔女を心配してるんだからな。

 

 いまやジャンヌとは協力関係にある、仕方ない。クラウリーやメグ、敵対した相手と協力するのはウィンチェスターお決まりの展開だ。ブラドとの戦いでは協力してヤツをぶち込んだ。

 

 ブラドはイ・ウーのナンバー2、重役だ。俺たちは確実にイ・ウーに打撃を与えてる。そろそろ仕返しが来てもおかしくねえな。

 

「ジャンヌ」

 

 ジャンヌを呼ぶ声には覚えがある。いつも思うが分かりやすいアニメ声だよ、一度聞いたら忘れられない。振り返ると、やはり神崎が腕を組んでいた。今朝、別々に部屋を出て以来だ。キンジも一緒だな。神崎はでかい態度でジャンヌの近くまで歩いてくる。

 

「ーーあんたが武偵高の預かりになったのは知ってたけど。夏服も似合うじゃない」

 

 そういや今日から夏服だな。神崎もジャンヌの夏服を見るのは今日が初めてか。ジャンヌはジャンヌでそっぽを向いている。ブラドとの戦いでは結束したが神崎とはまだ溝を感じるな。神崎の態度がでかいのもあるがいつものことだしな。

 

「ママの裁判、あんたもちゃんと出るのよ?」

 

「……分かっている。それも司法取引の条件の一つだからな」

 

「神崎、ガバメントに伸ばした手はどこかにやれよ。今朝は悪夢で頭痛がひでえんだ。これ以上悪化させたくない」

 

「ま、足をケガしてるみたいだから、イジメるのはまた今度にしといてあげる。あんたも頭痛なら薬でも飲んどきなさい」

 

 アスピリンが貰えるならそうしたいね。天使のラジオが鳴りっぱなしになってる感じ。控えめに言って地獄だよ。

 

「足の一本くらい、ちょうどいいハンデだ。今日は寝覚めが良い──今の私は負ける気がしない」

 

「ジャンヌ、神崎は銃を抜くのをやめた。これ以上の追い打ちや挑発は騎士としての誇りに傷をつけるぜ」

 

「……あんたも妙な説得するわね。自慢のトーラスは戻ったの?」

 

「長年連れ添った相手が一番だ。それよりビッグサプライズ、キンジの名前が出てる。ここだ、野次馬の注目の的」

 

 掲示板を指してやるとキンジの態度が豹変する。留年すれば一般校への転入の道も絶たれるからな。掲示板には『夏期休業期・緊急任務』と書かれた張り紙、これは報酬は安いが足りない単位を補える教務科からの補修授業みたいなものだ。キンジは緊急任務の中で探偵科の単位が出る任務を血眼で探している。今朝は俺と同じで悪夢を見たらしいが、現実でも災難が続くとはな。

 

「キンジあんた留年するの? バカなの?」

 

「うっせぇ! 今そうならないためにこれを見てるんだっ! 少し黙ってろ」

 

 手頃なクエストで取れる単位じゃねえからな。俺も一緒になってさがしていると、港区のカジノ「ピラミディオン台場」で私服警備の任務がある。出る単位はキンジが不足している1・9単位。必要生徒は四人、推奨学科は探偵科と強襲科か。キンジの大きなツケを払えるのはこの任務しかねえな。警備なら何も起こらない可能性だってある。武偵の間じゃ腕が鈍る仕事としてバカにされてるしな。補修には悪くない任務だ。

 

「アリア」

 

 ──気になるのはキンジが見た悪夢ってやつだ。たかが夢だ。だが俺みたいに妙なもんを見てないといいけどな。

 

「お前もこの仕事、一緒にやれよ」

 

 親しいと思ってる奴ほど、知らない何かを抱えてる。

 

 

 

 

 

「第二次世界大戦中の潜水艦にタイムスリップした感想を教えてやろうか。ちっとも楽しくない」

 

「前は西部劇にタイムスリップしたって言わなかったか?」

 

「それはコルトが鉄道を完成させる前の時代だな。怪物の親玉を倒すのに必要なフェニックスの灰を探しに行ったんだよ。西部劇から今の時代に宅配便が届いた。兄貴が携帯を忘れてきたおかげでな」

 

 先生が二日酔いだかで休講だった2時間目の後、3時間目はプールで水泳の時間となった。お目付け役の蘭豹先生はすぐに帰ってしまった。最後に物騒なことを言ってたがあの人はいつも物騒だからな。先生が帰ったことで真面目に授業をやる生徒も一気に減った

 

「お前、武偵を止めて作家でもやれ。怪物と人間が戦うノンフィクションなんてどうだ?」

 

「……それだけは勘弁。作家とは色々あった。怪物から風呂敷を広げて天使や悪魔が絡んでくるんだろ、知ってるよ。俺は預言者じゃない、本は書けないよ」

 

 屋内プールはがら空き、世間で言えば貸し切り状態と呼ぶべきだろう。そして不真面目な俺とキンジもプールサイドのデッキチェアで絶賛くつろいでる。世間話をしながらな。

 

「さっきの続きだけどさ。どうして潜水艦なんだ?」

 

「神の手。その武器の名前の由来は、名前の通り神の力を得られることから来てる。そいつを探しに行ったんだよ、お友だちの天使の力を借りて」

 

「神様の手ってのまたオカルト染みてるな。見つかったのか?」

 

「見つけたよ、でも失敗した。色んな問題が重なった末にな。手は別の方法で手にいれたけど、それでも倒せなかった」

 

「倒せなかったってなんだよ。神の力を得るんだろ?」

 

「倒そうとした相手が肝心の神よりも強かったんだよ。神と問題児の息子四人が組んでやっと勝てる相手。今度敵に回ったら誰にも止められない」

 

 過去の話をするのは初めてじゃないが神の姉(アマラ)の話はまだ記憶に新しい。檻に封じられていた彼女を放ったのも二人の兄貴と俺だ。彼女を説得したのも兄貴だけどな。屋内のプールは涼しいもんだ、蒸し暑い教室より快適だよ。

 

「お前、普通の相手と戦ったことはないんだな」

 

「怪物と幽霊専門だからな。今は犯罪者が増えたから昔より大変だよ」

 

 大きな狩りをする機会は減ったがハンターであることは変えれない。神崎が転校してきてから異教の神や吸血鬼や魔女と会った。アメリカにいるのと変わらないよ。俺はインパラに乗って、兄貴や親父の好きだった古い曲を流して、天使の剣とブロンド悪魔のナイフを振り回してる。だが俺はネフィリムの問題だけは置いてきた。

 

 それだけは、攻められても仕方ない。魔王は檻に戻ったが生まれてくる息子のことは兄貴に投げちまったからな。ネフィリムは生まれてくる天使より強い力を持ってる。父親が大天使だ、推して知るべし。

 

「俺のことばかり言ってるが、お前も吸血鬼や魔女と戦ってきたじゃねえか。普通はそんな奴等と戦わない、グリム一族じゃないんだからな?」

 

「ツイてないときにツイてない場所にいたんだよ」

 

 ああ、そうだな。今度はビル、それとも空港でベレッタを振り回すのか?

 

「不死身の男なのは認めてやるよ。今年のクリスマスはパイプの中を這いずり回ってるさ、おめでとう。ついでにクリスマスのツリーを買うか、ネットで」

 

「マスターシリンダーとクリスマスツリーはネットで買わない、ハワイの教訓だろ。いつになったら俺はカマロに乗れるんだ?」

 

「神崎と初めて登校した日にも言ったろ。カマロに乗りたきゃハワイにでも行きなよ、マクギャレット少佐」

 

「じゃあお前はウィリアムズ刑事か?」

 

「それは光栄だな。俺もあんなに可愛い娘がいたら過保護になるよ、絶対そうだ。誓ってもいい」

 

 しかし授業中の実感がねえな。悩みだったトーラスの不在も解決、気になるのは……ジャンヌの事故に加担した虫か。何も使い魔に決まったわけじゃない。ハンターにありがちな早とちりってこともある。俺は自分を納得させるべくかぶりを振る。なんでも狩りに結びつけたがるのはハンターの欠点だ。スーフォルズで俺や兄貴がクレアに説いたことだろ。隣で携帯を弄り始めたキンジに背中を向けると……

 

「子供の頃、俺は西部劇が好きだった。兄さんと見に行った西部劇の世界に憧れてた」

 

「……俺の兄貴も好きだったよ。ポンチョなんて買ってはしゃいでた。猿が出てくる映画なら台詞も全部覚えてたし、でも俺や修理工の友達には西部劇はイマイチでな」

 

 俺は話を一度切り、チェアの上で胡座を掻いた。

 

「今朝の悪夢の話なら聞くぞ。カウンセリング行くより安い」

 

「どうしてそうなるんだよ?」

 

「個人的な経験だが家族の話は熱くなるよな。お前が兄さんの話をするときは特別なときって決まってる。今のお前の顔を見せてやりたいよ、家族のことで行き詰まってる顔だ。ウチではお決まりの顔」

 

「……お前には分からないだろ。自分で家族から離れたお前には、分かんねえよ」

 

 キンジは起き上がり、俺には背を向ける。誰だってそうだ、家族の話は熱くなる。家族は人の心を乱す、それだけ大切な存在だ。問題が起きると乱れるのがお約束みたいにな。

 

 

 

 

 

「ベーコンチーズバーガー」

 

「……それ以外は食べないの?」

 

「これが好きなんだ。知らない味に手を出して絶望したくない」

 

「どうして貴方とハンバーガーを食べているのか。理由を聞ける相手はどこにもいないわね」

 

「お互い専門科目をフケたからだろ。この暑さにやられたって言い訳になると思うか?」

 

「イラクはこんなもんじゃないないわよ、岩で卵が焼ける」

 

 

「お得なアドバイスありがと。機会があったら実践してみるよ」

 

  

しかし、この暑さはやばい。空調を停めたどころか竈門に火入れたんじゃねえかってレベルだ。

 

 俺は夾竹桃の紙袋から一個、宣言したハンバーガーを取り出して口に運んだ。今頃、キンジは探偵科の講義を受けている時間だ。探偵科なら復帰した理子も一緒にいるのかもな。峰理子、器用が服を着たような女だが近頃はキンジへの対応が変わってきた。命をかけて自分を守ってくれた男だ、理子も……まさかな?

 

 屋上で風に吹かれながらハンバーガーを咥えると、なんつーか不思議な気分になるし、変なことを考える。美味いもんを食ってるのにさ。手摺に肘をついてそんなことを自虐する、平和だよ。ずっと変わらない髪型のせいで夾竹桃の髪は風に大きく靡いてる。やたら携帯を確認しては空と視線を行ったり来たりさせてるがまた漫画のネタになることだろ。クールに思えて実際は表情豊かな彼女に俺はうっすら笑う。

 

「どうしたんだ?」

 

「間宮あかり」

 

「名前だけで何を言いたいのか理解しろって? 間宮は神崎の戦姉妹、お前が負けてレインボーブリッジから突き落とされた相手だろ。ロクな答えが出てこない」

 

「今はクラスメイト、仲良くやってるわ」

 

 手摺に腰かけた彼女からそんな答えが帰ってくる。

 レインボーブリッジから水面に落下か、楽しい出来事じゃないよな。

 

「橋から川に飛び込むのは良い気分じゃないよな」

 

「普通はしないでしょう?」

 

「だよな、普通はしない。鍵を抜いた自分の車に追いかけられたりでもしない限りな」

 

「は?」

 

 ……今、心の底から首を傾げやがったな。無人の車に追いかけられるのはアメリカではよくあることなんだよ。幽霊を退治するのに教会の跡地や廃墟に車が突っ込むからな。

 

「幽霊にインパラをレンタルされたって言ったら信じるか?」

 

「ホラー映画のネタにもならないわね」

 

「だよな。お前と違って泳げたのが幸運だよ」

 

「私にとっては不幸よ。ワンヘダ、話を変えましょう。知り合いからホラー映画が送られてきたのだけど、つまらなかったから貴方もどう?」

 

「俺がワンヘダならお前はブラドレイナだよ。つまらない映画を進められる仲に進展した、最高だな。どんな映画?」

 

 ハンバーガーを食べて、ホラー映画の話をする。まるで普通の学生みたいだな。つまらないホラー映画、恐いものみたさとはよく言ったもんだよ。

 

 鞄から出されたDVDのケースを俺は何も考えずに受け取っちまった。しかしケースは表裏が真っ暗でジャケットが付いてない。映画の中身は見るまでお楽しみか。まあ、狩りでさんざん怪物や幽霊と戦ってるんだ、ホラー映画でびびるわけ──

 

「……」

 

「幽霊や怪物も平気な貴方にピエロの映画は物足りないかしら」

 

「……あ、ああ、そうだな。つまんないよ。絶対につまんねえ。俺見ないし、か、返すね?」

 

 開いたケースを閉じ、俺は受け取ったケースを夾竹桃に返した。俺は何も聞いてない、何も見てない。そうだ、俺は何も見ちゃいない。深く考えるな、こいつはホラー映画。そう、つまんないホラー映画だ。ゴーストフェイサーズが監督の自主製作映画……!

 

「雪平、どうして顔を背けているの?」

 

「背けてない」

 

「背けてるじゃない」

 

「背けてない! いいか! ピエロの99.9%は人を襲わない! 99.9%人を襲わないんだ!」

 

 夾竹桃はうっすらと笑い、そのケースを鞄に戻した。唇が緩やかな弧を描く。

 

「貴方、殺されるんじゃないかって目をしてたわよ? ケースを開けてピエロを見たときから」

 

「錯覚だよ」

 

「錯覚ね。良い気分だわ、私は泳げないけど貴方には恐いものがあった。それを知れただけでも今日は収穫ね。弱味を握られているだけの関係は面白くない」

 

「よし、白状してやる。俺の恐いものこの世に二つ。糸こんにゃくと、何をするか分からないアホなガキだ」

 

 俺は立てた人差し指と中指を握り混んで拳を作る。そういや、今日から神崎やジャンヌと同じで夾竹桃も夏服を着てる。日頃、黒一色の夾竹桃が白と水色の夏服を着てるのは珍しいものを見た気分になるな。お前は本当に目に毒って言葉が似合う女だよ。不意に携帯を気にしていた夾竹桃の隣で俺の携帯が着信音を鳴らした。

 

「貴方の?」

 

「ああ、雪平の着信音。お前も使うか?」

 

 すぐにかぶりを振られ、俺は通話のボタンを押した。授業の時間に誰かと思ったら理子じゃねえか。あいつもフケたのかな。

 

「はい、雪平」

 

『強襲科に急げ。アリアが戦ってる、なんとか時間を持たせろ!』

 

「おい、話が見えねえぞ。強襲科なら蘭豹先生もいるだろ。大体、誰と──」

 

『あたしとジャンヌの元上役だ! もう来てるんだよ武偵高に!』

 

 携帯を持った手に無意識に力が入っていた。上役、つまり理子やジャンヌよりも強い奴がここにいる──?

 

『第一体育館。すぐにキンジも向かわせる。いいな、時間を稼げ。勝つことは考えるな、絶対に無理だ』

 

 理子の切羽詰まった声が伝染したように、背筋が冷たくなっていく。理子がここまで焦りを隠さない化物、そんなヤツが武偵高に乗り込んできたのかよ……

 

「お決まりの出たとこ勝負か。もうドクの世話にはなれない、なんとかするよ」

 

 携帯を切り、俺は暴れそうな胸を殴り付けるように沈めて、静かに息を吐く。

 

「この展開、どう?」

 

「いい予感はしないわね」

 

 同感だ。今度もお友だちになれるといいが。

 

 

 

 

 

 

 

 がやがやと話声が聞こえ、熱気に包まれているのを肌が感じる。インパラのトランクを開く猶予もないまま実習中の強襲科に尋問科の俺は躊躇わず殴り込んだ。神崎の実力は身を持って味わってる。だが電話を通じて耳にした理子の声色が不安を煽った。

 

 峰理子は器用が服を着たような女だが、あのトリックスターはこの手のことでは人を欺いたりはしない。神崎と理子の決着はまだ決してない、ブラドとの戦いも彼女は心の奥で神崎へ借りを作ったと感じてる。一族の因縁だったホームズの末裔に──借りがある。

 

 一族のことになると理子はどこまでも誇り高くあろうとする。俺より付き合いの長いジャンヌもそう言ってた。神崎に借りを作ったままにはしない、理子はこの場面で嘘や偽りを見せる女じゃないんだ──非常に忌々しいことに。

 

「先生! 蘭豹先生はいるんだろ!」

 

 強襲科の第一体育館は体育館の名を借りた闘技場だ。防弾ガラスで区切られる闘技場の中心、楕円形のフィールドの前に、両手の指では数えられない生徒が集まっていた。強襲科で人だかりができる理由なんて限られてる。防弾ガラスの衝立から届く銃声は誰かが戦っていることを暗示していた。衝立の上にいた先生は長刀を背負った背中をくるりと反転させて俺を見下す。

 

「喚くな、雪平。節穴の目で水差しよって、なんや言うてみ?」

 

 ……手で揺らしてる瓢箪の中身は、酒だ。軽く出来上がってやがる。

 

「先生、神崎は──」

 

 群がる生徒を押し退け、衝立に飛び付くと、俺は言葉を失った。

 

「おいで、神崎・H・アリア。もうちょっと──あなたを、見せてごらん」

 

 片膝をついた神崎とそれを見下ろす女性が闘技場にいた。C装備を着てるわけでもなく、非殺傷性の弾を使ってるわけでもない。防弾制服と実弾を使った実戦、二人がやってるのは闘技場の名前どおりの戦いだ。

 

 砂が撒かれた闘技場で膝をついた神崎、制服に傷らしい傷を残していない相手。防弾ガラスの衝立越しに戦いの経過が手に取るように伝わってくる。一騎当千のSランク武偵が苦戦を余儀なくされる相手、理子が言う上役が神崎を見下ろしている女性なのは疑いようがない。ああ、信じられなくて言葉を失っちまった。

 

(……カナ。日本であんたの顔が見れるとは思わなかった。ちくしょうめ、理子が焦るわけだぜ。とんだ化物が入り込みやがった……)

 

 出会ったのは何年も前のことだ。だが、一度彼女の美貌を目の当たりにしたことがある男なら決して彼女を忘れたりしない。本物の天使よりもずっと美しい美貌は昔と変わってないよ。あんたが理子やジャンヌの上役であることが信じられない、だが理子が嘘を吐くのも信じられない。呈の良い言い訳が何も思いつかねえ……

 

「蘭豹先生、先生の授業方針に口を出すつもりはないが、神崎にもしものことがあったら口の煩い欧州は黙ってない」

 

「あァ?」

 

「この試合、先生の権限で中止してくれ。神崎とあの女に話がある」

 

「雪平、お前があの女に気があろうが神崎に話があろうがどうでもええことや。一度しか言わん、ガキ共に混じって観戦しとけ。お前の出る幕やない」

 

 その名の通り、蘭豹は豹のような目で俺を睨む。一度しか言わない、と念を押した蘭豹先生は瓢箪の酒をぐいっと飲み直した。

 

 蘭豹先生は魑魅魍魎の武偵校の教師陣の中で綴先生と肩を並べて危険とされる人だ。香港を皮切りに各地の武偵校を追い出された経歴が危険度を語ってる。強襲科が明日なき学科と言われる由縁には少なからず先生が担当教諭であることも影響してる。

 

 だが先生は先生で強襲科には不可欠な人だ。尋問科の講師が綴先生以外に考えられないように強襲科の講師は蘭豹先生以外に考えられない。俺はゆるくかぶりを振った。

 

 先生の観察眼や勘の鋭さは俺よりずっと優れてる。目の前の景色を見極める力は、俺の比じゃない。

 

 俺の出る幕がない──つまり、俺が出るべき必要がない。カナと神崎との戦いでもしものことなど起きない──先生はそう判断したのだ。

 

「勝ち誇るのはまだ早いわよぉッ!」

 

 衝立の向こう側、視線が神崎に引き寄せられた。近距離からカナに向けられたガバメントの銃口が、逸れる。流れるような動きで神崎の手首を押し、銃口を逸らしたカナが一歩後ろに引いた。至近距離から45口径の銃、それも双銃で向けられたのに軽々いなしやがった。

 

 驚愕は終わらない。刹那、鞭で打たれたように神崎の足がふらつく。銃声が聞こえたがカナの手に銃は見えない。白く美しい手には何もない。見えない銃弾……背筋が冷たく戦慄を覚える。公道で襲ってきたあの指輪の女と同じ、目には見えない不可視の攻撃。身を持って味わった俺にはよく分かるよ。理解できない領域からの攻撃ほど不気味で厄介な物はない。

 

 神崎は闘志を失わず、カナに敵意を向けるがガバメントの凶弾がカナを掠めることはなかった。カナの見えない銃弾だけが神崎を一方的に攻めてやがる。TNK繊維は銃弾の貫通を防ぐが衝撃まで殺してくれない。呻き声が聞こえるのが証拠だ、防弾制服でも実弾を受ければ無傷では済まない。このまま撃たれ続けたら神崎が意識が手放す……

 

「遠山は強襲科を抜けてからホンマ昼行灯になりよったが、お前も腑抜けたもんやな。ウチに4条語らせるつもりか?」

 

 ──武偵は自立せよ。要請なき手出しは無用の事。解除キーに向かった指が蘭豹先生の声に震える。解除キーを使って闘技場の中に入ることはできる。だが、これはあくまで強襲科の授業だ。劣勢の神崎に力を貸せばギャラリー気分の生徒にはどう映るかな……確かなのは自立って言葉には程遠いってことだ。

 

 要請なき手出しは無用、神崎とも約束したなぁ。優しさや助け合いには形がある、正しいとは別物。あの貴族様は武偵の心構えには厳しい、偉大な先祖が全ての武偵の先駆けになったシャーロックホームズだからな。常に強くあろうとしてやがる。解除キーに向かった指が妙に重い、物理的な重さじゃない。俺の指が躊躇ってるだけだ。

 

「あたしが屈しない限り、あんたが勝ったわけじゃない!」

 

 緋色に染まったツインテールを揺らし、確固たる信念を秘めた神崎の叫びがドームに響く。実力の差は明白だ、闘技場で行われているのは一方的なワンサイドゲーム。余裕のカナと必死の神崎、カナはまだ手の内を完全には晒してない。手札には使えるカードをまだまだ残してる。見えない銃弾が支配する闘技場で形勢が揺らぐ気配はない。

 

 が、神崎に降参の考えはない。土と血に汚れ、血を流し、何度倒れても立ち上がる。神崎って女は弱さや諦めることと折り合うつもりがないんだ。諦めるって生き方を最初から放棄してやがる。諦めない人間の末路は二つしかない、最悪の結果を招くまで突っ走るか、本当に目的を叶えるか。

 

「揺れないのね、貴方の意思は。まるでダビデのように揺るぎない信念を感じる、貴方の心を立たせようとするそれは、何?」

 

「……退けない、のよッ。今回だけは……ッ!」

 

 神崎、どれだけ圧倒的なものに踏みにじられ絶望を味わったとしても、それでも戦い続けられるというのなら、俺はお前の強さを認めるよ。

 

 人の心は移り変わる。感情というモノが振り子のように常に変動するからだ。だからこそ、人はその変化を受け入れてきた。それが正しいことだと偽り、自分に言い聞かせてな。だからこそ言える。何者にも染まらず、屈することなく、ただ一つの目的の為に進める。

 

 

 

 お前は──本当に強い。

 

 

 

 

 

「悪いな、神崎。チェックインだ」

 

 俺は解除キーで防弾ガラスの扉を今度こそ開ける。横を流れていく先生が『象殺し』を向けるのと俺がルビーのナイフで掌を自傷するのは同時だった。斜線から逃れ、何度も繰り返し書き続けてきた図形を防弾ガラスに描く。天使相手に命懸けで描いてきた図形、先生の凶弾に撃たれるよりも完成した図形から閃光は先駆けて闘技場に放たれる。

 

 カナの足止め、先生への目眩ましを兼ねた天使避けだったが前者は俺の考えが浅かった。左足に被弾、撃った相手はカナ以外にいない。神崎の膝を撃ち抜いて体勢を縛り、三つ編みを揺らした彼女と、視線が重なる。

 

「私に恩寵は宿ってないわ。変な使い方を覚えたのね、キリ。お兄さんから教えてもらったの?」

 

 間違いなく()()だ、アメリカ本土で出会った彼女に間違いない。人間離れした美貌と神崎すら寄せつけない鬼神のような力を併せ持った、記憶から消そうにも消せない存在の一人。

 

 イ・ウーに彼女がいるわけがない──呈の良い幻想を俺は今度こそ瓦礫の下に埋める。

 

「そいつは良かった。あんたは信心深いからな。Yes.と言ってたらどうしようかと思ったぜ」

 

 俺の記憶ではカナが主に振るっていたのは鎌だった。大型の鎌──竜の爪(カルカッサ)がどこにも見当たらない。この数年で武装を変えたのか?

 

「……雪平、アンフェアなんやお前のやり方は。後で教務科に来いや。手出ししたからには、下手な立ち回りは許さんで?」

 

 先生への返事には逆手に持ち直したルビーの剣で答える。教務科に行くのは滅入るが、明日の命よりまずは今日の命だ。

 

 相手はカナ。その強さは数年が経った今でも忘れられない。神崎を翻弄する相手に普通の立ち回りなんてできねえよ。剣と刻印でもない限りな。

 

「……あんた、どういうつもり?」

 

「頼まれたんだよ、お前の一番のファンから電話を貰ってな。対戦相手は雑魚じゃない、5つ星のマイスターだ。お前も気づいてるだろ、彼女は凄腕だ」

 

「どうだっていい。これはあたしの絶対に引けない戦いよ。助力なんていらない、戻りなさい」

 

「別にお前に助力するわけじゃねえよ。俺は俺の家の教えに肩入れしてるだけだ。だがよ、お前がやられてんのを黙ってるのは流石に寝覚めが悪いんだよ」

 

 それに、あの酔っぱらいの修理工が居れば止めていただろうからな。理子、お前の計画通りに時間は稼ぐ。聡いお前のことだ、何か用意があることを期待するさ。幸運なことに野次馬から罵倒は聞こえねえからな。

 

「俺は自分からボランティアに励むような人間じゃないが、受けた恩をほったからしにする人間でもない。神崎──施されたら施し返す、恩返しだよ。俺は俺の自己満足の為に横槍を挟む、文句はないだろ?」

 

 哀れみや同情から味方してやるわけじゃない。あくまで利己的な理由であることを視線と一緒に振り撒く。神崎に、そして眼前にいるカナに向けて。

 

「まず銃を撃ち、後から考える。少し会わない間にディーンに似たのね」

 

「……あんたは誰に影響されたんだよ。聞きたいことは山程あるぜ」

 

 取り戻したトーラスを抜き、一剣一銃の構えでカナとの殺傷圏内に駆ける。五感を研ぎ澄まし、必要な感覚にだけ全神経を割り振る。

 

「……まあ、オビワン・ケノービみたいに助言をくれにきたってわけじゃなさそうだな」

 

 見えない銃弾──あの名前も分からない女からは銃声も聞こえなかったが、カナからは銃を発砲する音が残っていた。

 見えないだけで銃を使ってるのは俺たちと同じだ。それでも実力が同じとは言えねえけどな。

 

 先んじて神崎は動いていた。今は乱入した俺も含めて迎撃に必要な弾の数は増える。カナが弾を切らしたタイミングで勝負に出るつもりだな。

 

 銃は見えないが神崎はマズルフラッシュや銃声でカナの得物を推理したのかもしれない。

 カナを相手にそれをやるのは至難の技だが神崎なら有り得る。俺の頭の中で神崎がカナに放った言葉が甦る

 

 俺が屈しない限り、相手が勝ったわけじゃない、か……上等だ。手こずらせてやるか。

 

 

 

 

 

 




今回の話は主人公の過去や設定を少し前に押し出した話になります。主人公の好きな物は長男、苦手な物は次男から影響を受けてます。尋問でAランクを取れたひとつの理由がシーズン3のラストから始まる出来事ですね。
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