デジモンエタニティ   作:LOST

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誠の忠義!ギンリュウモン! Bパート

熱砂の中で合流を果たした子供達。

だが、その中にシャオの姿はない。

 

そのことに対しての意見は様々だった。

 

「薬師寺さん!やっぱりおかしいよ。シャオが通話に出ない!!こんなことは今までなかった!!」

 

太河がそう主張するも薬師寺は取り合おうとしなかった。

 

「ですが、この工場は色々と騒がしい音が鳴っています。工場の中に入ったのなら、呼び出し音が聞こえないんじゃありませんの?」

「シャオが工場の中に入った可能性は低いと思うけど」

「そうでしょうか?シャオさんはここに来るまでも『周囲の安全を探る』と言って度々単独行動してきたじゃありませんか。今回もきっと先に工場に入って……」

「シャオがそんな甘い判断をするとは思えない」

「じゃあ、日陰に行きたかったのではないですか?そこのロバートのように」

 

あくまで楽観的な態度を取る薬師寺に太河もヒートアップしていく。

だが、太河は声を荒げまいと必死に感情を抑え込んだ。

 

太河はシャオとの最後の会話を思い出す。

 

 

『とにかく、このまま工場を前に佇んでてもしょうがない。見る限り、この工場は稼働しているようだし、何かしらが働いているはずだ』

『まぁ、『何かしら』はいるよな』

 

 

シャオは中にデジモンがいる可能性を強く考えていた。

そのシャオが単独で逃げ場のない工場の中に入っていくとは思えなかった。

 

そう思っているのは太河だけではなかった。

 

渚沙は先程からずっとシャオのデジヴァイスを鳴らし続けている。

鐘山は決して工場に背を向けないようにして常に警戒の視線を送っていた。

 

だが、薬師寺は『シャオの単独行動』という意見を崩さなかった。

対立し、平行線をたどる話し合いに薬師寺の方にも苛立ちがつのってきていた。

 

「瑠々川さん……例え、ロンさんがもし工場内に拉致されたとしましょう。もし、その場合あなたはどうするつもりですか?」

「…………それは……」

「どちらにせよ、工場内に皆で入るのでしょう?でしたら、『このまま工場の中で人を探す』というわたくしの意見には賛成してくれますわよね?」

 

確かに、シャオが工場の中に消えたというのなら余計に工場内を探索する理由ができたことになる。

だが、太河は別の意見があった。

 

「……いや……シャオが中に攫われたなら……他に方法がある」

「聞きましょう」

 

太河は強く拳を握りしめた。

 

「……この工場を外側から破壊する」

「…………………はぁっ!?」

 

薬師寺が遠慮会釈なく、『あなたはアホなんですか!?』という顔をした。

 

太河のその意見に驚いたのは薬師寺だけではなかった。

鐘山が「瑠々川君……流石にそれは……」と言い、渚沙は「……太河……大胆」と呟いた。

 

だが、太河は本気だった。

 

「まずはこちら側の『増築側』のベルトコンベアやロボットアームを破壊する。そうすれば反対側からどんど工場は解体されていく。それと同時に外壁から一枚ずつ破壊していってシャオが見つかるまで工場を解体する」

「本気ですか!?器物損壊で捕まりますわよ。中学生だからといって何をしていいわけでは……」

「関係ない。もしこの工場の中に敵対する相手がいるなら下手に相手の土俵に飛び込むよりは遥かに安全だ。コアグレイモンとシードラモンがいればそれぐらいならできる……だよね?」

 

太河がアグモンに視線を向けると、アグモンは自信満々に頷いた。

 

「もちろん!!この前はシャオとガジモンに助けられたんだ。今度はぼくが助ける番だよ!」

「ありがと……鐘山君、ベタモンはいける?」

「え…………ど、どうかな、この暑さがけっこう辛そうにはしてるけど……」

 

乾燥地帯の砂漠はベタモンには厳しい環境だ。

そのベタモンは鐘山の頭の上に乗ってぐったりしていたが、片手をあげて『行けるよ』とアピールしていた。

 

「薬師寺さん……僕は今すぐに始めたい。そして、できれば皆にも協力して欲しい」

「………………」

 

今度は薬師寺が絶句する番だった。

 

薬師寺は『処置無し』という様子で首を横に振る

 

「…………瑠々川さん……あなたはもう少し冷静な判断ができる方とと思っていました」

「薬師寺さん!!」

「正気の沙汰ではわりませんわ。建物を壊すなんて……しかも、わたくしにも犯罪の片棒を担がせるなんて。中に人がいたら障害罪どころじゃすみませんことよ」

「薬師寺さん!!考えてくれ!!こんな工場の中に本当に人がいると思うのか!!?シャオが危ないかもしれないんだ!!」

「……あり得ませんわ……そんな破壊行為は慶風学園生徒会長として、絶対に許可できません。もしそれでもやるつもりなら、わたくしが全力で阻止させていただきますわ」

 

ブチリと頭の奥で自分の糸が切れる音がした。太河の顔色が一気に不穏なものに変わった。

この緊急事態。普段なら余裕で受け流せることでも、一瞬で感情が沸騰する。

 

太河が足を踏み出した。

 

その瞬間、鐘山とアグモンが飛び出すように前に出た。

 

「る、瑠々川くん!!ちょ、ちょっとこっちに来て欲しいんだ。見てもらいたいものがあって」

「そ、そうだよ太河!うん、うん、行った方がいいよ!うん、うん!!」

 

鐘山が大きな体で強引に太河の視界から薬師寺を遠ざけ、アグモンが必死に洋服を引っ張って太河をその場から引き離す。鐘山とアグモンは額に大粒の汗をかきながら、太河を工場から少し離れた場所へと連れて行った。

 

『怒り』というものは寄せては返す波のようなもの。どんなことでも6秒我慢すれば冷静になれると言われている。

 

だが、太河は『怒り』を収めるのに10秒以上の時間をかけることになった。

幾度となく深呼吸を繰り返し、砂漠の砂を蹴り飛ばし、何とか腹の虫を抑え込む。

 

「くっそ!!!なんでわからないんだ!!」

 

太河からすれば、薬師寺がこの工場に『人間』がいることを信じている気持ちが信じられなかった。

『慶風学園生徒会長』なんて肩書きが出てくることも信じられなかった。

『正常性バイアス』という奴だろうか。『日常』の延長戦上にいるつもりなのだろうか。

いい加減、危機感を覚えないと取り返しのつかないことになる。

 

太河は雲一つない砂漠の空を見上げ、大きく息を吸い込んだ。

 

「……すぅーーーーーっ……はぁーーーーっ……」

 

そして、太河はゆっくりと鐘山の方を振り返った。

 

「ありがと、鐘山君……うん、少し、冷静になった……うん、喧嘩している場合じゃない」

「う、うん……だよね……」

「アグモンもありがと」

「太河、怒っちゃダメだよ。太河が言ったんだからね。手を出したらダメだって」

「うん……うん、わかってる」

 

太河は一度深呼吸をする。

 

『怒り』は収まった。

 

だが、心は平静から程遠かった。

 

『誰かが突然いなくなる』

 

太河の頭の中に幼馴染のアホ面がこびりついて離れない。

 

織原のことが常に頭の片隅にある太河にとって、今の状況は耐え難い程のストレスだった。

焦燥感と恐怖心が太河の心に襲い掛かってきていた。太河は髪を掻きむしってまでそれらを振り払おうとする。

 

そんな太河に渚沙が歩み寄ってきた。

 

「……トラウマだね……」

「渚沙、電話は!?」

「……繋がってたら言ってる……」

「あ……そうだよね」

「……でも……太河……そんなに焦らなくてもいいと思う……」

「え?」

「……ミノタルモンのこと……太河が言ってた……『ミノタルモンは誰かを探している』……シャオを捕まえても……すぐに殺されたりはしないと思う……だから……焦る方が危ない」

「……そう……か」

「……落ち着いた?」

「……あ、あ……うん……」

 

太河はもう一度、大きく深呼吸をした。

 

「ありがと、渚沙」

「……どういたしまして」

 

渚沙は何度鳴らしても繋がらないデジヴァイスに見切りをつけて、ポケットにしまい込んだ。

 

そんな時、士ノ道が歩み寄ってきた。

 

「瑠々川……いいか?」

「うん……さっきはごめん……感情的になった」

「うむ、それはあまり良いことではないぞ……だが、瑠々川……さっきの意見は……」

「………………」

 

太河は口を開かず、士ノ道を睨みつけた。

 

「…………本気だったのか」

「もちろん」

 

半ば喧嘩腰のような声音になってしまった。

だが、こればかりは仕方なかった。

 

「…………本気で……この工場が危険だと思っているのか?正直、私にはそうは思えない……考えすぎではないのか?本当に中に人がいないのか確かめるのが先決ではないのか?工場を攻撃し、万が一中に従業員が大勢いたら、彼等は怪我だけでは済まないぞ。そうなるのは本意ではないだろう?」

「……それは……そうだけど……」

「ならば、やはり中の調査が先だろう……案外、中に入れば従業員の人にすぐに会えるかもしれない……」

「本気で言ってる?」

「…………それは……」

 

士ノ道は言葉を濁した。

どうやら、士ノ道もこの場所の違和感は感じているようだった。

 

だが、薬師寺の意見を完全に否定する方法がないのも事実だった。

この工場の中で大勢の『人間』が働いていて、そこでシャオが茶を出されている可能性だってゼロではないのだ。

 

強硬手段に出るより先に、安全を確認する。

その意見も決して間違いではない。

 

「ごめん……僕はどうも……冷静じゃないみたいだ」

「瑠々川……」

「士ノ道さんと薬師寺さんの意見にも一理ある……それに、今は薬師寺さんがリーダーだ。決定には従うよ」

「そ、そうか。良かった」

 

士ノ道が安堵の溜息を吐いた。

太河の隣で鐘山も同じように息をつく音が聞こえた。鐘山も『工場を壊す』という意見には賛同しかねていたのだろう。

 

太河は戒めを兼ねて、自分の側頭部をコツンと叩いた。

 

そして、太河は工場を見上げた。

 

物静かなくせに、機械音だけはやかましくなり続ける機械の城。何が潜んでいるのかはわからないが、やることは決まった。

 

 

「この中に入る。その意見に賛成するよ」

 

 

太河はそう言い、覚悟を決めた。

アグモンがそれに応じるように鼻息を噴き出す。

 

だが、太河はどうしても敵の罠に飛び込んでいくような感覚が拭えなかった。

 

 

 

 

 

―――――― ※ ―――――― ※ ――――――

 

 

 

 

工場の通用口は一本の長い廊下だった。横幅も高さも十分にあり、大きな資材の搬入口も兼ねているような印象だ。薄暗い廊下にはところどころに非常灯のような強い明かりが配置されているのだが、そのせいで目を闇に慣らすことができず、逆に暗闇が際立ってしまっていた。

太河達はデジヴァイスの「ライト」のアプリを使いながら工場の奥へと進んで行った。

 

「やけに周りの物音が大きいな……アグモンはどう?」

「ダメ……うるさすぎて、何かがいてもよくわからないよ」

「そっか……」

 

壁の向こうや天井の上から様々な音が溢れている。機械のモーター音や空調の風の音。ベルトコンベアが工場の中を常時進んでいるせいか、音が止まる瞬間はない。お互いの声もすぐにかき消されて隣にいる相手にも聞こえずらい。

これでは、五感が鋭敏なデジモン達の力をもってしてもシャオの気配を辿るのは不可能だった。そして、それは敵の接近に気づかないという危険でもある。

 

「……誰もいないか……」

 

先頭を行く士ノ道がそう言った。

その後ろに太河と薬師寺が続き、その後ろをロバートと鐘山が歩き、最後尾では渚沙がレオルモンと背後を警戒していた。

 

工場の中は一歩進むごとに闇が深くなっていくようだった。

外の光を取り込む窓は1つもなく、非常灯の灯りは先に進むごとに間隔が広くなっていく。

 

視界は次第に窮屈なものになり、それは不可視のプレッシャーとなって子供達に襲い掛かってきていた。

 

その時だった。

 

「おーっぃ!!誰かいませんかぁーーっ!!」

 

列の中心付近にいるロバートが声を張り上げた。

 

「なっ!!ロバート!!声を出すな!!敵がいる可能性があるって話したろ!!」

「なんだよ。誰もいないんだからしょうがないだろ。だれかーーーっ!!いませんかーーーっ!!僕達迷子で困ってまーーーっす!!」

「ロバート!!」

 

太河が急いで口を塞ごうとするが、それよりコエモンの方が速かった。

 

「ロバート!!」

「むぐむぐっ!!ぷはっ!何すんだ!!」

「ロバートがうるさいからだべ。こーきょーの場で大声だすなんて恥ずかしいべ」

「なにぉう!!」

「あっ、わかった。ビビッてんだべ?廊下が暗くて怖いんだべ?」

「こいつっ!!」

 

ロバートはコエモンにつかみかかろうとする。

そこに薬師寺の叱責が飛んだ。

 

「おやめなさいMr、アットマン。みっともない。それでもアットマン家の息子ですか?」

「ぐっ……」

 

薬師寺が注意したことで、ロバートが憎々しそうな顔で口をつぐんだ。ロバートが大人しく引き下がるのは珍しい。それは『アットマン家』の名を出されたからではなかった。ここが、『大人の目があるかもしれない』場所だとということがロバートの自制心を働かせていた。

 

押し黙ったロバートを一瞥し太河は前を向く。

 

ロバートがあれだけ声を張り上げても何の気配もない。

 

「……やっぱり普通じゃない……」

 

そう言ったのは最後尾の渚沙だった。その前を歩いていた鐘山が渚沙を振り返る。

 

「え?ど、どういうこと?」

 

いまだに、鐘山は渚沙相手には少し及び腰になる。

そんな鐘山相手でも渚沙はいつもの無表情を崩さなかった。

 

「……なんとなく……そう思った……こんな長い廊下は……不自然だし……それに……なんか……変な感じが……ん?」

 

渚沙が立ち止まり、後ろを振り向いた。

 

「木村さん?」

 

鐘山も立ち止まり、後方を見る。

何もいない。だが、渚沙は後ろを見つめたままだ。

渚沙は足元にいるレオルモンにチラリと目線を向けた。

 

「……レオルモン……なにかいる?」

「……いや……何もいない……というより、わからんと言った方が正しいな……ここではオイルの臭いで鼻がきかん」

 

レオルモンが鼻をひくつかせ、廊下に目を凝らす。

 

「……渚沙……何か気になるのか?」

「……わからない……でも…………あれ?」

 

渚沙が目を細め、しばしの間後方を睨んでいた。

だが、そこには真っ暗な廊下がどこまでも続くだけ。

 

何もいない。そのはずだった。

 

渚沙はそのまま数秒間その場に立ち止まっていたが、結局のところ何も見つけることができず再び歩き出した。気が付けば少しばかり皆から遅れてしまっていたようだった。

士ノ道や薬師寺、ロバートが先に進み、太河だけが前のグループとの中間点で渚沙を待っていた。

 

「渚沙……なにかいた?」

 

太河が小さな声でそう尋ねたところ、渚沙はは静かに首を横に振った

 

「……わからない……でも……視線を感じた気がした」

「視線?」

「……うん……」

 

渚沙がもう一度後ろを振り返る。

太河もつられて、背後に目を向けた。

 

だが、やはり何もいない。

 

「……真っ赤な……2つの目が……見えた気がした……」

 

渚沙は無味乾燥とした声でそう言った。

 

その時だった。

 

「うわぁぁぁぁ!」

 

ロバートの悲鳴だ。皆の視線が列の中心にいたロバートに集中した。

ロバートは何かに怯えるように尻餅をつき、壁際まで引き下がっていた。

 

「た、たた、助け!たすぇてぇぇ!」

「ロバート!しっかりするべ!何が起きたべ!」

 

コエモンがロバートを守るようにパチンコを引きしぼる。

鐘山が素早く駆け寄り、ロバートを立たせる為に引っ張り上げた。

 

「なに!?なにがいるのですか!!」

「みんな!落ち着いて!」

「ライトで照らせ!そこになにかいるぞ!!」

「蛇がいたんだ!大量の蛇がぁぁ!!」

 

全員のライトがロバートとその周囲を照らした。

皆がほぼ一斉に息を吐き出した。

 

「Mr.アットマン。よく見てください。それはただのコードですわ」

「へっ?」

 

照らされている床には黒いビニールに包まれたコードが大量に走っていた。

 

「……まったく、人騒がせですわね」

「まったくだべ」

 

薬師寺が処置なしとでもいいたげに首を振り、コエモンも同じように首を振った。

 

「う、うるさい!しょうがないだろ!暗かったんだから!」

 

ロバートは自分を支える鐘山の腕を払い、一人で立ち上がる。

そして、八つ当たりで鐘山を怒鳴りつけた。

 

「鐘山!!いつまで僕を掴んでるんだ!!痛いじゃないか!!」

「……あ、ごめん」

「けっ!!」

 

どんな言葉を叩きつけられても、柔和な顔を崩さない鐘山。

 

「行くぞ」

 

士ノ道がまた先頭を歩き出す。彼女は歩きながらブツブツと口の中で文句を呟く。

 

「まったく、ロバートの奴め。こんなところでまで余計なことを増やしおって」

 

その声が聞こえているのは士ノ道に付き従っているリュウダモンだけだった。

 

「真央殿……何か焦っておりますか?」

「え……」

「いえ……なんだか、少し顔色が悪いようですが」

「……………」

 

士ノ道が唇を真一文字に引き結んだ。

それは、吐きだしたい言葉を無理に口元で止めたような顔に見えた。

 

「……気のせいだ」

「え?真央殿!お待ちを!!」

 

焦ったように足を前に出す士ノ道。リュウダモンは彼女の顔を心配そうに見上げながらも決して遅れないように歩きを速める。

 

だが、2人が歩き出して数歩もいかないうちに再び大きな声があがった。

 

「みんな!待ってくれ!!」

 

鐘山が声を張った。全員の足が止まる。

 

「どうしたの?」

 

太河がそう言った。鐘山は今来た廊下を照らしていた。

その先には誰もいない。

 

「……誰もいないんだ」

「はぁ?そりゃそうだろ」

 

ロバートが「なに言ってるんだ?」と言葉を続ける。

他の皆もまた、鐘山が何を言っているのかわからないようだった。

 

「あっ……」

 

真っ先に太河が気がついた。ライトに照らされた鐘山の顔は青ざめていた。

 

「鐘山君!なんで君が最後尾なんだ!?」

 

太河はがそう言い、皆もハッとした。

皆のライトが鐘山の背後を照らす。

 

だが、そこには誰もいない。

 

「渚沙が……いない」

 

全員の背筋に鳥肌が走り抜けた。

 

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