デジモンエタニティ 作:LOST
【コロモン進化----アグモン】
【パグモン進化----ガジモン】
「え?」
太河の目の前でコロモンが姿を変えた。その身体はオレンジ色の細かな鱗に包まれ、大きく頑丈な顎からは小さな牙が見え隠れしている。二足歩行で歩く足の先と両手の先端には黒い金属のような光沢を放つ爪が備わっていた。
太河の前にいたのは二足歩行の恐竜をミニチュアにしたかのような見た目のデジモンだった。
「え……君は……コロモン……なの?」
太河のその言葉に黄色い恐竜は勢いよく頷いた。
「うん!でも今は……アグモンだよ!!」
「アグ……モン?」
アグモンの自信に満ちた背中は太河の中から『恐怖』の感情が抜けていく。
パグモンがいた場所に立っていたのは紫の体毛をしたデジモン。その名はガジモン。犬のような顔立ちに、大きな耳、目には傷跡のような模様が走っている。悪戯心好きそうな雰囲気はそのままに、戦闘的な哺乳類の要素を追加したかのようなデジモンがシャオの前でシシシッと笑っていた。
「進化……だと?」
「そうさ、オイラは進化したんだ。パグモンからガジモンに進化したシャオの『パートナー』だ!」
両手をクロスさせて大きな爪を研ぐ仕草をするガジモン。
そして、それが合図だったかのようにアグモンとガジモンはほぼ同時に地を蹴り、ゴリモンへと向かっていった。
「いっくぞぉぉ!『ベビーフレイム』」
アグモンの放った火球がゴリモンの顔面を直撃した。
「ぐぁぁああ」
ゴリモンが怯み、砲塔から放たれようとしていたエネルギー弾が明後日の方向に飛んでいく。
「こっちだ!『ガジモンクロ―』!」
ガジモンが飛び上がり、その顔面にめがけて鋭い爪を振り下ろす。
ゴリモンの顔に3本の爪痕が刻まれ、ゴリモンが唸り声をあげた。
ゴリモンは痛みに呻き、顔を庇いながら後退した。
そして、その直後にはガジモンはゴリモンに組みつき、顔の横に着地した。
「『パラライズブレス』」
ガジモンが口から放った強烈な空気弾。それは麻痺性の毒ガスを含んだ強烈はエアショットだ。
その刺激臭を嗅ぎ取ったゴリモンは慌てて身を引いた。
そして、そうやって体勢が崩れた瞬間を狙ってアグモンが懐に滑り込んだ。
「くらえ!『ベビーフレイム』!」
アグモンの口から放たれたのは真紅に燃え盛る強烈な火炎弾。
それはゴリモンの腹部へと襲い掛かり、火の粉を飛び散らせながら破裂した。
「ごぁああああああああ」
大きく仰け反るゴリモン。
そのゴリモンに向け、2匹の鋭い爪が迫る。
「お前なんかぁあああああ!」
「どっかいけええええええ!」
アッパーカットのような鋭い一振りがゴリモンの顎に叩きつけられた。
「ぐぁぁぁああああああぁ!」
ゴリモンの身体が傾き、仰向けに倒れていく。そして、巨体が倒れ込む音と共にゴリモンの姿が森の茂みの中へと消えていった。
訪れる静寂。ゴリモンが起き上がってくる様子はない。アグモン達は少しの間、森の茂みを睨み、警戒を続けていたが、すぐに諸手をあげて自分達のパートナーに駆け寄ってきた。
「たいが~僕やったよ!!」
太河は跳びかかってくるアグモンを受け止め、肩に抱きしめる。だが、太河の頭の中は未だ混乱の最中だった。
「え、えと……コロ……コロモン?アグモン?」
いきなり姿の変わったアグモン。だが、この跳びついてくる感じはコロモンと全く同じだった。
「ふふふ、僕アグモン!コロモンから進化したんだ!」
「アグモン……今はアグモン?」
「うん!」
太河はアグモンを抱えつつ、真正面からアグモンを見つめる。
確かに姿形は変われど、その優しそうな瞳はコロモンのものと同じだ。
そして、アグモンが太河のパートナーであることもやはり変わらない。
「……えと……ありがと……ありがと、アグモン。アグモンのおかげで助かった!」
「どういたしまして!」
アグモンが再び太河に抱き着いてくる。
太河は今度こそしっかりとアグモンを抱きしめた。
その隣ではシャオが飛びはねるガジモンに困惑した顔を浮かべていた。
「ガジモン……でいいんだよな?」
「ああ、オイラはガジモンだ。へっへ~ん!誉めてもいいんだぜ、シャオ!」
「えと、変身?進化?どっちでもいいけどさ。なんでお前、最初からそれやらなかったんだよ」
「それがよ、今までも何度か挑戦したけど一度も進化できなかったんだ。けど、今回はシャオがいてくれた。だから、きっとシャオのおかげで進化できたんだ。ありがと、シャオ!って、あれ?なんでオイラがお礼言ってんだ?」
首をひねるガジモンにシャオは気が抜けたように苦笑いを浮かべた。
「……ったく、うるさい犬だな」
「なぬっ!犬っ!?こらシャオ!オイラは犬じゃねぇぞ!」
「はいはい……まっ、ありがとな」
ガルルルルと不機嫌そうな声をあげるガジモンの頭をシャオは乱暴な手つきで撫でた。
とにかく、ひとまずの危機は去った。
太河は安堵の笑顔を浮かべ、みんなを振り返った。
「ぐあぁぁぁあああああああああ!」
「えっ!?」
茂み中からゴリモンが立ち上がる。その機械の腕には既に発射寸前のエネルギー塊が光を放っていた。
「『エネルギー……カノォオオン』」
エネルギー弾が飛ぶ。その弾丸は太河達の間を通り過ぎ、ロバートの方へと突っ込んでいった。
「避けろぉぉ!」
太河はそう叫びながら、手を伸ばす。だが、ゴリモンのエネルギー弾に追いつくことなどできるはずもない。
太河の目の前でエネルギー弾がロバート達の足元に着弾する。
走馬灯のように世界の全てがゆっくりと流れた。
太河の手足はまるで動かず、エネルギー弾が危険な光を放ちながら膨張していく様子がありありと観察できた。弾ける直前の水風船のように満ち満ちたエネルギーの表面。赤を通り越して白い光を放ちだした危険な弾丸。それが破裂した後に残るのは小さなクレーターだ。人間が食らえばひとたまりもない。
それが今、ロバートと鐘山のすぐ傍で炸裂しようとしていた。
太河の立ち位置からでは絶対に間に合わない。
太河の手は届かない。
だが、動けないものがいないわけではなかった。
「ロバート!」
鐘山だった。
鐘山はゴリモンのエネルギーカノンの余波を防ぎきれないと判断し、あえて激流の中にロバートを引きずり込んだ。
直後、光弾が炸裂する。
強烈な爆裂音と閃光が飛び散った。
太河とシャオはその余波に動けず、アグモン達も立っているだけで精一杯であった。
太河達が顔を上げた時には既にロバートと鐘山は遥か下流へと流されていくところであった。
「あぷあぷあぷ!ぱ、パパーーー!」
「ロバート、落ち着いて!ほら、ワニャモンに掴まって!」
「あぷ!パーーーーパーーーー」
ワニャモンとツノモンを浮袋代わりにして川に流されていく二人。
彼等の姿がどんどん遠ざかっていく。
「鐘山!!ロバート!!」
太河の声は最早激流に呑まれて2人には届かなかった。
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見知らぬ世界に流された少年少女達。自分たちに何が起きたのかもわからぬまま、息をつく暇もなく新たな脅威が迫りくる。
恐怖、焦燥、そして勇気
度重なる危機に本当の自分が試される。
次回『冒険!デジタルワールド!』
今、終わらぬ冒険譚が始まる。
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さて、ここまで読んでいただきありがとうございました。
やっぱり、アニメを意識している以上は次回予告が必要ですよね。
というわけで、話が一区切りつく毎にこういった次回予告を挟ませていただきます。
どこまで続くかわかりませんが、今後ともこのお話にお付き合いいただければ幸いです。