破壊光線に自分にしか分からないルビを振って使ってたらとんでもないことになった。   作:筋肉大兄貴
<< 前の話 次の話 >>

16 / 50
サカキ「お前のことが好きだったんだよ! (大胆な告白は悪役の特権)」
ワタル「え、何それは……(ドン引き)」

こんな感じの話。つーかお前ノンケかよぉ!?(驚愕)


主人公視点 16 ー 1 + サカキ視点 1 + 主人公視点 16 ー 2

主人公視点

 

 

 

何故だか今まで以上にカンナと仲良くなれた気がする昨夜の一件から、一晩明けた次の日の朝。俺と彼女の二人は、サカキさんの指定していたハナダの洞窟の入り口前へとやってきていた。

数日前までは固い警備と重い瓦礫とで塞がれていたその場所も、今では人っ子一人、石ころ一つも落ちていない、まさにもぬけの殻な状態だった。文字どおり綺麗さっぱりってわけだね。

 

ということはもしかして、これって全部サカキさんが片したのかな? だとしたら、俺も是非その光景を見てみたかったもんだなぁ。

だって真っ黒スーツのあの人が一生懸命瓦礫を退かしている姿とかすごくシュールじゃない? 間違いなく今年最大の衝撃映像になるよ。

 

 

 

……っと、今はそんなくだらない話をしている場合じゃないね。多分サカキさんも待ちくたびれていることだろし、俺もそろそろ洞窟の中に入るとしようかな。

 

そう考えて、改めてカンナと向かい合った俺は、何処となく心配そうな表情を浮かべるカンナに笑いかけながらこう言った。

 

 

 

「……では、カンナ。昨日話したとおり、君はここで俺が出てくるのを待っていてくれ。一時間経っても俺が出てこなかったら、その時はシバとキクコさんに連絡を頼む」

 

「分かりました。……どうか、無事に戻って来てくださいね、ワタル」

 

「……ああ、勿論だ」

 

 

 

そう言って、今にも泣き出しそうな顔でこちらを見つめてくるカンナに手を上げて応えた俺は、そんな彼女の護衛役を任せたカイリューにも「頼んだぞ」という意思を込めて目配せした後、そのままゆっくりと彼女達に背を向け、肌寒い霊気と漆黒の闇とを強烈に感じる洞窟の中にへと足を踏み入れたのだった。

 

……そう、踏み出したまではよかったんだけどーー。

 

 

 

「……寒い、な」

 

 

 

その結果がこれだよ。

いやー、久しぶりに洞窟になんて入ったから、この太陽の光の温もりの一切を遮断している岩の冷たさのすごさをすっかり忘れてたよ。こういう時にはあのダサいマントの適度な温かさが恋しくなってくるから困ったもんだ。

参っちまうよなぁ、本当に。

 

それにしても、今日の洞窟は随分と静かだね。四年前までは高レベル兼最終進化ポケモンのヤベー奴らがウヨウヨしていたのに、今はパラスの一匹もいないや。

前にここが崩落した時に併せて、その子達も何処かに避難してしまったのかな? もしもそうなら襲われる心配がない分、俺も結構安心出来るんだけどねぇ。

 

 

 

そんなことを思いつつ、一応は周囲の気配にも注意しながら、暗くて寒い洞窟の中を歩き続けること十数分。とうとう洞窟の最深部にたどり着いた俺は、そこで、こちらに背を向けたまま静かに佇んでいる、懐かしい人物の姿を見つけた。

 

 

 

「……お久しぶりですね」

 

 

そう、その人物こそがーー。

 

 

「……サカキさん」

 

「ふふっ……待ちわびたぞ、ワタルくん」

 

 

 

悪の秘密組織、ロケット団のボスにして「大地の支配者(ジ・アース)」の異名を持つ、カントー最強のジムリーダー・サカキその人なのだ。

 

 

 

サカキ視点

 

 

 

「こうして君と顔を会わせるのは、あの日から数えて実に四年ぶりか。元気そうで何よりだな、ワタルくん」

 

「……貴方も、お年の割には随分とお元気のようですね、サカキさん」

 

「ふっ……まだまだひよっこな若者諸君に負けるほど、私も老いてはいないさ」

 

「……そのようですね」

 

 

 

再び私の姿を目の当たりにしたというのに、相変わらずの無表情でこちらを睨めつけてくるワタルくんの豪胆な態度に、私は思わず自身の口角がニヤリと引き上がるのを感じた。

 

そうだ、それでこそだ。やはり君こそが、私の後を継ぐ者に相応しい!

 

 

 

私とワタルくんの最初の出会いは、まさに驚愕かつ衝撃的なものだった。

まだまだ本気を出してはいなかったとはいえ、あの満月の昇る深夜のオツキミヤマの頂上で、この大地のサカキが、若干十五歳の少年に過ぎなかった彼に完敗を喫してしまったのだからな。

 

私のこれまでの人生を振り返ってみても、間違いなくあれ以上に屈辱的な敗北を味わったことはなかったと断言出来る。それほどにまでワタルくんとカイリューのコンビの力は強烈だった。

 

 

 

しかし、そんな彼に対して、私は怒りでも憎しみでもない感情を抱いていた。

……それは期待だ。彼ほどの傑物ならばいずれは私を、いや、それこそこのカントーのチャンピオンにすらも届き得るのではないかと期待したのだ。

 

果たして、私の期待は現実のものとなり、ワタルくんは私を含めた並み居る強豪ジムリーダー、四天王達を下して、遂に最年少リーグチャンピオンの頂にまで上り詰めることになった。

そしてその際には、かの龍使い達が多く住まうジョウトのフスベシティの中でも、最強のトレーナーだけに送られる「ドラゴン使い(ロード・オブ・ドラゴン)」の称号を得るまでになったとも聞く。

 

 

 

やはり、ワタルくんの力量を見定めた私の目に狂いはなかったのだ。ロケット団としての私の活動は彼によって悉く阻まれてしまったが、それも今となってはどうでもいことだ。

組織は今後いくらでも立て直せるし、何よりも、私の意思を継ぐものは既にカントー以外の各地にへと潜入させている。

後は折を見て彼らと合流し、私の本来の目的である世界征服を推し進めていくのみだ。

 

まぁその際には、このワタルくんのように私の道を阻むものも出てくるだろうがーー。

 

 

 

「……それで、何故俺をここに呼び出したんです? 」

 

「決まっているだろう? ……君を、我等ロケット団に勧誘するためだよ」

 

 

 

それも、彼という最強の矛が手に入れば、何も恐れることなどないのだからな。

 

 

 

主人公視点

 

 

 

「……またですか。相変わらずの懲りない人だな、貴方も」

 

「それほどにまで君という人材が欲しいのだよ」

 

 

 

相変わらずのしつこく俺のことを勧誘してくるサカキさんの態度に、俺はもう何度目ともしれない呆れた表情を浮かべてしまった。

思い返せばこのおっさん、オツキミヤマで初めて会った時にも今みたいな言葉で俺を勧誘してきたんだよなぁ。「君こそが私の後を継ぐ者だ! 」とかなんとか言って、妙に鼻息を荒くしながらさ。

 

正直、あの時ばかりは流石の俺もドン引きしてしまったよ。

だって初対面のおっさんがすごくいい笑顔を浮かべながらこっちににじり寄ってくるんだよ? そんなん、恐怖以外の何物でもないじゃん。

 

 

 

それ以降も、ことあるごとに俺の邪魔やカントー中を混乱に陥れるようなことばかりをしてくるし……。何? この人もしかして俺のことが好きなの?

……もしもそうだったら、俺はその場でごめんなさいするしかないね。俺は普通に女の子が好きなんだからね。

 

そんな背筋に悪寒が走るような想像をしながらサカキさんの方を見つめていると、彼は「これが最後だ」と前置きした上で、その大きな手を俺の方に差し出しながらこんな言葉を投げ掛けてきた。

 

 

 

「ワタルくん、私と共に来い。君のその力は他者を支配し、それを導くためにあるのだ。それこそが君に与えられた使命、君の上に輝く運命の星なのだ」

 

 

 

何とも仰々しくておっかない話だ。それってつまり、俺にサカキさんの武力専門の右腕になれってことなんだろ?

面倒くさいからパスかなー。そもそも、誰かの下に付いて働くなんて俺の趣味じゃないし、何よりもロケット団の制服って滅茶苦茶ダサいしさ。

 

 

 

それにしても、俺の力、か。

思えば、俺も随分と遠いところにまで来てしまったもんだなぁ。フスベシティから始まった俺の冒険は、最初にホウエン、次にシンオウ、イッシュ、カロス、そこから一度ジョウトに戻って最後にカントー……。本当に色んなところに行ってきたもんだ。

 

そして、その旅をとおして学んできたものは一つ。

 

 

 

「……何度も言いますが、お断りします。貴方が望んでいる俺の力というのは、決して俺のだけものというわけじゃない。これは、俺に力を貸してくれるポケモン達の力だ。俺を支えてくれる全ての人達の力だ。……それを理解しようとしない貴方に、俺は絶対に協力したりはしない」

 

 

 

そう言い切って、俺がサカキさんからの誘いを手酷く断ると、彼は先ほどまで浮かべていた強気な笑みを若干の怒りが込められ無表情に変えた後、スーツの懐から一つのモンスターボールを取り出しながらこう言った。

 

 

 

「ならばここで君を倒し、無理矢理にでも私の前に跪かせてやることにしよう」

 

 

 

それを見た俺も、腰に付けたホルダーから一つのボールを手に取ると、中に入っているドラゴンに向かって一つ頷きながらこう答えた。

 

 

 

「……出来るものなら、やってみるがいい」

 

 

 

その言葉を合図に、俺とサカキさんの二人は一斉に手に持ったボールを空中に放り投げーー。

 

 

 

「蹂躙せよーーミュウツー」

 

「……天駆ける一筋の星となれ。飛翔せよーーラティオス」

 

 

 

互いのポケモンをフィールドに繰り出したのだった。




次回でサカキ戦決着及び本小説の最終回です。
思えば短くも中々に濃い小説でした。こんな作品を続けられたのも読者の皆さんの応援や技名ネタのおかげです!本当にありがとうございました!








あ、勿論、カントー編「の」最終回は次回って意味ですよ?

技名ネタは活動報告で随時受付中です。


※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。