この鎮守府は外出時に基本近場なら外出届はいらないが、県外などの遠方に行く場合などは必要になってくる。
今提督室の空気はとっても悪くなっている。提督は机にゲンドウポーズで両ひじを付きながら目の前の艦娘二人をじっと見ている。提督の隣には本日の秘書艦大和が提督をなだめている。
提督の机を挟んで立っている艦娘
鈴谷
最上
「お前達よくも外出届が欲しいなんて言えたもんだな。大阪に旅行に行くだ?そうかそうか俺は絶対に外出届はやらんからな。」
「て、提督ちゃんとお土産買ってくるからさー許してよー」
鈴谷が提督にお願いする。
「僕もお土産買ってくるからお願いだよ」
最上は両手を合わせながら頭を下げている。
「俺はな、別にお土産を買ってくる云々の話をしてんじゃねーんだよ。お前らこれをどう説明してくれるんだ?」
提督は机に置いてあったファイルを大和に見せる。
「あらあら酷いもんですね。これはいけません」
大和は苦笑い
「お前らこの前のテスト赤点ばっかりだろ!こんな成績で外出させるわけにはいかない!来週の頭に再テストするからそれまで外出禁止だ!今週入ってた演習も出撃も全部取り止めだ大和。」
「はい、提督。叢雲さんに言って調整しておきます。」
「ったくよー」
そう言いながら胸ポケットから煙草を取り出し口に咥える
「提督、鎮守府内は全面禁煙になっております。」
口から煙草を外ずす
「そうだったな。とにかく来週の再テストまでに勉強しておけ。今度悪い点取ったら俺が直々に解体してやるから覚えとけよ。再テストでいい点数取ったら外出届はくれてやる。以上」
提督はそう言うと立ち上がりドアの方に歩いて行く。
「提督どちらに?」
「煙草吸ってくるだけだよ」
いつもより強めに扉を閉める。
ぶつぶつ言いながら裏玄関の横にある喫煙所に近づくと一人の影が見える。
「おー提督おつされさん」
「駄目じゃないか成人前の子供が煙草なんか吸ってたら」
「じゃかしいわ!このくだり何回やらせんねん!」
提督と何時ものやり取りをしている艦娘
龍驤
「なんか飲むかー?」
「コーヒー貰うわー、微糖で」
そうきくと喫煙所の隣にある自販機でコーヒーを2本買って、片方を龍驤に投げる。
「サンキュー」
煙草に火をつけた提督が龍驤に話し出す
「鈴谷と最上たちが大阪に旅行行くの知ってるか?」
「ああしっとる。うちあっちの生まれだから案内してくれって頼まれてるんよ。」
「残念ながらその話は無しになりそうだぞ」
「なんで?」
「赤点の取りすぎ」
その言葉を聞いて龍驤は溜め息をつく
「あのこらは優秀なんだけどな、何故か勉強だけは興味が全く無いんだよねー。提督が何故勉強を大切にしてるかの意味も知らんだろうし。」
「まあ意味に関しては今はわからんだろ。親の心子知らずだよ。俺も実際に勉強なんて、役に立つなんて思ってもいないが世間はそうは見てくれないからな。ましてや預かってる身としてはそこはしっかりしないとな。」
「ならうちにいい考えがある。神通と加賀は今出張中だっけ?」
「ああ、新しい艦載機運用の論文発表会でドイツに行ってるよ。来週まで帰ってこない。」
それを聞いた龍驤はニヤっと笑う
翌日
ガチャ
「うぃーす。叢雲、これこの間の資料目を通しといて。」
「わかったわ」
「所であいつらは頑張って勉強してるか?」
「はーっ。見ての通りよ。神通と加賀の机に座らされて、回りにいる怖いお姉さま達に囲まれて勉強してるわ。」
「そうかそうかそりゃあ、愁傷なこった。悪いね仕事の片手間に勉強みてもらっちゃって。」
「ていとくー。助けてよー。」
「僕もちゃんと勉強するからここでの勉強は勘弁してよー。高雄さんと矢矧さんが怖すぎるよ。」
最上がいい終えた瞬間に、高雄と矢矧の机に置いてあるファイルで鈴谷と、最上の頭を二人同時にひっぱたく。
「いたー!」
「あたし何にも言ってないじゃん!言ったのはもがみんだけじゃん。」
「ここまできたら共同責任です。戯言言ってないでさっさと勉強する!」
「は、はい!」
高雄に叱られる鈴谷はちょっと涙目になっていた。
「お前ら今度からちゃんと勉強しろよー。熊野と三隈はちゃんと勉強してるぞ。でも良かったなー。神通と加賀がいたらこんなもんじゃすまないぞ、運が良かったと思えよ。では俺は今から大阪に行ってくるからあとよろしく。ちゃんとお・み・や・げ買ってきてやるから頑張るんだぞー」
そういい終えると秘書艦室から出ていった。
その後みっちりしごかれた二人は何とか再テストでいい点数をとり、大阪に旅行に行ったのであった。