コンコン
「提督。お連れしました。」
「どうぞ」
本日の秘書艦翔鶴が提督室のドアを開ける。その後ろには30代そこそこであろう夫婦が立っていた。
「どうぞこちらに」
隣にいた叢雲共々立ち上がり挨拶を始める。
「どうも初めまして、私この鎮守府で提督をしております◯◯と申します。隣はこの鎮守府の筆頭秘書艦の叢雲です。」
「初めまして、叢雲です。」
「この度は遠方から御呼び立てして申し訳ありません。どうぞお座りになってください。」
挨拶もそこそこに全員が着席する。
「翔鶴、悪いがコーヒー4つ頼む。」
提督の言葉を聞くと一言返事をして提督室を出ていった。
「今回御呼び立てしてした主な内容は契約更新です。よくお考えになって更新なさるかお決め下さい。」
男性の方が喋りだす
「娘がいつもお世話になっております。もっと早くご挨拶にくるべきだったのですが遅くなり申し訳ありません。これ、良かったらつまらないものですが。」
男性が紙袋を提督に渡す。
「これはこれはありがとうございます。おや、このお菓子僕好きなんですよ。あっちの方に出張に行く度に買ってますよ。いやー有難い。後でいただこう叢雲。」
「ええ。ありがとうございます。」
そう言い終えると頭を下げる叢雲
頭を上げるのを見計らって提督が口を開く
「では始めましょうか。」
コンコン
ドアが開きお盆を持った翔鶴が入ってきて、4人にコーヒーとお茶菓子を置いていく。
「今年が初めての契約更新ですよね。順に追ってお話します。基本的には書類にサインをしていただいて、後は面談と授業参観みたいな物です。最初に申した通りサインをする際はよくお考えになって下さい。最初の契約時に海軍省の担当の方から説明があったと思いますが、もう一度ご説明いたしますね。娘さんを海軍省の
特別公務員枠に入れて【艦娘】として運用する契約。それにともない賃金を出す事。一年更新である事。未成年である場合は保護者の同意が必要である事。人としてちゃんと扱うという事。最後に一番大切な、殉職する可能性がある事。」
真剣に提督を見つめる夫婦
「ここでサインしますか、しませんかと言うのも無理があるので1つ補足を加えます。お二人も知っての通り先の大規模作戦いわゆる南方海域作戦ですが、あの時の作戦で大勢の艦娘が亡くなっております。ですが、それから現在に到るまで艦娘の殉職者は0です。何故だかわかりますか?」
「いえ」
「昔は艦娘の事を只の兵器だと考えている輩が多くいたのです。だから多くの艦娘を使い捨ての駒扱いだったんですよ。ですが艦娘は人間。人権を持っていると言うだけで雑に扱って言い訳ではない。艦娘の地位向上の結果と言えるでしょう。隣にいる叢雲やテレビで見る那珂のような者達の努力の結果なのです。」
頷く夫婦
「特別公務員でも軍役ですので不慮の事態にも遭遇する可能性もある。という事もあります。ですがここにいる艦娘全てが娘さんの味方だという事もお忘れなく。死なせやしません。必ず元気に家に戻れるようにするのが、私達の役目なのですから。」
それを聞いた夫婦は目を少し合わせてから頷き、男性がサインをした。
「ありがとうございます。では次のお話しですがお金の話です。」