数年前にとある鎮守府の艦隊が有名になった。
どんな海域でも攻略し、作戦では常に前線で活躍し続ける。
死者は勿論怪我人すら殆んど出さない艦隊は、日本最強の艦隊として語り継がれてきた。
~提督室~
現在提督室でも重い空気が漂っていた。室内には幕僚長兼横須賀鎮守府の提督とその秘書艦「霧島」、四日市鎮守府提督とその筆頭秘書艦の「叢雲」が机を隔てて座っている。
「またやるのか?前回から半年ほどたっているが良い奴は出てきたのか?」
机に置かれているコーヒーを一口飲むと一言呟く
「ええ。最近の海域攻略とかで連戦連勝ですからね。たまには折ってやらないと。横須賀の方もそろそろじゃないですか?」
男性の発した言葉からは感情は読み取れないが口元は少し笑っていたような気がする。
「では2週間後にお願いします。叢雲にも準備させておきますので。」
少し間をおいて幕僚長が口を開く
「ところで叢雲くん。いい人はいないのかね?私の部下でも良いのが揃っているが紹介しようか?君みたいなボリュームが無い艦娘でも大丈夫だと思うが。」
「あら幕僚長殿、そんなナチュラルにセクハラしてもらっても困りますわ。そんなこと言い続けると週刊誌に載ることになるわよ?ね、霧島?」
顔は笑顔だが、眼が笑ってない
「そうですね。その気になれば海軍省だけではなく、内閣まで解散出来るくらいのネタは持ってますよ。私たち。」
霧島も顔は笑顔だが、眼が笑ってない
「も、申し訳ありませんでした。」
幕僚長が頭を下げるのを見れるのはこの面子だけのようだ。
「あ、そうそう霧島。最近駅前に美味しい松阪牛を食べさせてくれる鉄板焼屋さんが出来たのよ。今日はそこで食事しましょ?自分のお給料じゃなかなか行けないし。」
「良いわね❗じゃあ神通さんも誘って5人ね❗予約しとくわね。提督ご馳走様。」
「え、俺が出すの?そんなこと一言も言ってないが…」
叢雲、霧島「あっ?」
「は、はい。」
幕僚長とのやり取りを見てこの艦娘たちには絶対逆らってはいけないと思った四日市提督だった。
「私たちはもう少し打ち合わせするから、あんたたちは一時間位どっか行っててちょうだい。一時間後に裏口集合ね。後車回しといて頂戴。神通には言っておくから。」
「俺が車出すのかよ‼️」
叢雲「は?」
その迫力に言葉が出ない四日市提督
その後幕僚長と提督は秘書艦室に立ち寄り激励してから、喫煙所に行くことになった。
「全く叢雲くんには頭があがらないね」
胸ポケットから煙草を出して口に咥えながら喋る幕僚長。
「あの艦娘には絶対に逆らっちゃいけませんね。」
そう言いながら幕僚長の口に咥えた煙草に火をつける提督。
火をつけた後に自分の煙草にも火をつける。
二人とも煙草を二口位吸ったところで提督が問いかける。
「幕僚長、そう言えばあの実験結果はどうなりましたか?」
「君の言う通りの結果になりそうだ。まだ途中だからなんとも言えないが。」
「そうですか。また何かわかったらお願いします。ちょっと車を回してくるので失礼します。」
その後皆合流し、美味しく松阪牛を食べ、幕僚長の財布から結構な数の諭吉が消えたそうな。
~提督室~
提督室の机を挟んで6人の艦娘が立っている。提督の横には本日の秘書艦の陸奥がファイルを持って6人を見ている。
「君たちは最近攻略作戦や演習など全て順調に進んでいる。これは提督として喜ばしい限りだ。そこで君たちに演習の相手をしてほしいと連絡が入った。」
立っている6人は自信に満ち溢れた目をしており、どんな相手でも負ける気はしないという感じだ。
「因みに対戦相手は横須賀鎮守府第一艦隊だ」
前に立っている6人がざわめき出す。
「て、提督。横須賀第一艦隊って日本最強って言われてる艦隊ですよね?私たちは勝てるんでしょうか?」
「お前たちなら大丈夫だろ。何しろうちの鎮守府の主力艦隊なんだからな。やる前から負けることを考えてどうする自信を持て。その為に一週間の期間があるんだ。みっちり訓練しろ。いいな?」
そう言い終えると6人の艦娘は敬礼をして、部屋から出ていった。
陸奥と二人きりの提督室で陸奥が問いかける
「ねぇ提督。本当に勝てると思ってる?」
「間違いなく負けるな」
「意地悪な人ね。」
「世の中はそんなに甘くないってことを知らなきゃいけないときもある。」
「そんなものかしらねー。ところでな何でさっき猪木みたいなフレーズ入れたの?」
「言ってみたかっただけだよ。」
「馬鹿な男は嫌いじゃないわよ。」
陸奥とのこんな馬鹿な会話をしながら過ごす日だった。