やはり女神達との道を歩むことには間違いも正解もある 作:トマト嫌い8マン
多分奇跡のウェーブ起こしたいんだろうなぁ、と1人納得する。
因みに正解でした(笑)
まぁそれはさておき、続きま〜す
全身に感じる穏やかな流れ。
手足を軽く動かすのにも、いつも通りとはいかない重み。
音は届きにくく、そして光もそう。
耳を澄まして、瞳を凝らして、それでもどこかぼんやりとしか、辺りを認識できない。
海の中……生命の源というが、成る程。こんなにもぼんやりとしか周りがわからないのに、感じるのは恐怖でなく心地よさなのは、やはり身体が自然に帰ろうとしているのだろうか?
なんてことをぼんやり思っていると、ちょんちょん、と肩を突かれる。その方向に顔を向けると、松浦がこちらを覗き込んでくる。
親指と人差し指で輪を作り、こちらに向けながら首をかしげる松浦。それに対して俺も同じように輪を作り、彼女に向ける。松浦が頷く。
マスク越しで分かりにくいが、彼女の表情が笑顔になったように見えた。心配でもかけてしまったのだろうか。
ふと松浦の背後の方へ視線を向けると、桜内が1人でぼんやりと浮かんでいるのが見える。その側には高海と渡辺がいて、その様子を見守っているようだ。
呼吸のために桜内が浮上するのを見て、松浦が親指を立てて海面に向ける。指で輪を作り頷きを返すと、松浦が浮上していく。あとを追うようにフィンで水中を蹴り、水面を目指す。
「ぷはっ」
「ふぅ。なかなか上手くいってない感じみたいですね」
「……みたいだな」
少し離れた場所に浮上している3人を見ながら松浦が呟く。自分が見ても、その通りだと言わざるを得ない。現に桜内の表情は浮かないままだ。
「海の音、なぁ……」
「海の中って、どこか別空間ですから。光も音も、地上よりずっと届きにくくて、だから不思議で怖い時もあります」
淡島の職員が操縦する船に戻り、すぐに座り込むと、松浦が人一人分空けて隣に座る。座りながらも、どこか真剣な表情で語る松浦。その視線は高海たちに向けられている。
確かにさっき潜ってた時も、あまり明るくなかった。感覚全てが鈍くなったかのような、不思議な感覚。目を閉じれば、まるで宇宙に放り出されているんじゃないかと錯覚するような浮遊感と静けさがある。
だけど……
「……けど、それだけじゃない、だろ?」
「そうですね。それだけならきっと、何度も潜りに行きたがる人はいないですよ。海の中には、そこでしか見られない景色が……生き物が……世界があるんです。そこには、そこにしかない輝きがきっとある……」
そう語る松浦は、本当にこの海が好きなのだと思う、思える程に、優しい微笑みをしている。あの3人に向けられた瞳からも、何かが見つかることを確信して、疑っていないような、そんな感じさえしてくる。
「やっぱり、ダメ?」
「ええ……水の中って、思ってたより音が聞こえにくくて……」
「う〜ん、どうしたら良いかなぁ……」
頭を悩ませている高海たち3人の会話が聞こえてくる。そんな3人の様子を見ていた松浦が立ち上がり、3人に近づく。
「調子はどう?」
「あ、果南ちゃん。うん……なかなか難しいみたいで」
「ごめんなさい。折角誘ってくれたのに」
「まぁ、今日はちょっと雲が多くて、水中が見えにくいってのもあるからね。でも、水中だからこそ見えるものがあるから、そこからイメージを膨らませてみたら、良いんじゃないかな?」
「イメージ……でも、景色が真っ暗な中で、どこからイメージを……」
俯く桜内。顔を見合わせる高海と渡辺。
「千歌ちゃん」
「うん!桜内さん、もう一回いい?」
「えっ?え、ええ」
高海と渡辺に続くように、桜内も水の中に飛び込む。それを見ていた松浦だったが、今度はさっきよりもはっきりとした笑みを浮かべている。船の操縦者と一言二言交わして、こちらに戻ってくる。
「どした?」
「折角だから、比企谷先生も行きますよ」
「行く?」
疑問符を浮かべながら松浦に問いかける。と、松浦は笑顔のまま、視線をこちらに向けて、ウインクした。
「海の音を聴きに」
……可愛いじゃねぇか、そりゃ反則だろ。
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少し前を泳ぐ3人を追うように、松浦と泳ぐ。特に景色が変わっているようには見えないが、それでも何か明確な目的を持って、高海と渡辺が先導する。
と、ふと2人が止まる。それに合わせて桜内もその場で止まる。松浦が3人のいる場所から少し離れた場所で止まるように指示を出す。マスク越しに伺うと、その視線はしっかりと3人に向けられている。どうやらここで見守るように、ということらしい。
じっとそこに浮かんでいるだけの3人。
と、ふとその姿がより明るく、鮮明に見えるようになる。高海と渡辺、それに松浦が上を指差す。桜内が見上げるのにつられるように、俺も水面を見上げる。
瞬間、言葉を失った……
あ、元からこの状況じゃ喋れないか。
ただきっと喋れたとしても、何の言葉も発することはできなかっただろう。
雲の隙間を縫ったのか、僅かな日光が海に差し込んでいた。その光は波の動きに合わせて、まるで光の渦のように、揺らめき、煌めき、輝く。
さっきまで姿に気づくことさえできなかった魚たちの影に、色が生まれる。真上から差し込む光を反射し、キラキラと海を彩る姿は、どこか生きている宝石のようにも見えてくる。
その景色の中で、桜内がそっと両手を前に差し出す。何かに導かれるかのように、その指が動く。
決して音色が出ていたわけではない。
出るはずがないのだから。
けれども……
その一瞬、その瞬間、その場所に音色が満ちた。
その音色に俺は、俺たちは聞き惚れていた。
「聞こえた?」
「うん……聞こえた、気がするわ」
「私も!」
「「「ふふっ。あははは」」」
水面に上がった3人が船に登ろうともせずに抱き合い、喜びを分かち合っている。あの瞬間、あの場所で共に経験した小さな奇跡が、彼女たちを強く結びつけた。
「良かったですね」
「ん?」
先に上がった松浦が、ウェットスーツのジッパーを下ろしながら声をかけてくる。
……や、まぁうん。スーツ着てた時からわかってたけどさ。5つも年下なのに目のやり場に困るっての。
「桜内さんの悩みも解決できたかもしれませんね」
「どうだろうな……そんな簡単に解決するもんでもないだろ」
そもそも彼女の悩みは、きっと曲を作れなかったこと、ただそれだけのことではなかったのだろうと思う。それではあの時の表情に説明がつかないからだ。
ただ、そうだったとしても、
「聞こえたっぽいな。海の音」
「先生には聞こえましたか?」
どこかいたずらっぽい笑みを浮かべながら、松浦が顔を覗き込んでくる。いや、だからお前も近いって、格好考えてくれよ頼むから。
と、少し動揺しながらではあったが、
「……まぁ、多分な」
と返すのだった。
後日、桜内が作曲の協力を申し出てくれたこともあり、ようやく最初の曲を作り始められる、と思った俺たちだったが……
「じゃあ、詞を頂戴」
「詞って何?」
「多分歌の歌詞のことだと思う……って歌詞?」
「あ……」
どうやらまだまだ問題は続くらしい……
Sirius紹介第3弾!
今回はちょっと学年変わって1年生。
国木田花丸担当、心さん!
本人曰く運動音痴らしいけど、それはそれで花丸らしい(笑)
でも、踊ってる時は本家に割と寄せられているという評判も。
デイドリと想いよの二曲の時が個人的おすすめ。
踊ってる時に表情に注目すると、彼女のちょっと可愛らしい癖も……
この方も超可愛いですよ、マジで。
というか私の中での最推し。
天使、大天使、聖天使!
皆さんも応援してくださいね〜(笑)
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