やはり女神達との道を歩むことには間違いも正解もある   作:トマト嫌い8マン

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出張行きたくないマン爆誕中~
今週末には出張だぜ~、しかも海外。

何気に人生初出張なのに単独で海外とか意外とスパルタですね、うち。
……まぁいいけどさ。

まぁそんな話はさておき、折角なので続きをば。


一年生たちは悩み、決める

 

「っ、はぁっ、はぁっ」

「花丸ちゃん、大丈夫?」

「っうん、だ、大丈、」

「ぶじゃないな。無茶しすぎだ」

 

よろよろと鳥居をくぐるマルに、高海先輩が心配そうに声をかけてくれます。なんとか笑顔を返そうとしたけど、比企谷先生がお水とタオルを持って来てくれながら、言葉を遮えぎります。

 

ちょっと不機嫌そうにも見える表情だけど、いつも先生はマルたちのことをしっかり見てくれてて、心配してくれているのがわかります。きっとあんな風に疲れた姿を見せちゃったからか、今までにないくらい強い口調で休むように言われます。

 

「こ、これくらいっ!?」

 

ガクンと突然膝から力が抜けます。丁度姿勢を正そうとしていた矢先、体重がやや後ろよりにかかっていたから、体は前ではなく後ろ、今しがた上って来た階段の方へと倒れそうになりました。

 

危ない、と思った時にはもう立て直すのは難しくて……そう思ってたら、腕をつかまれ強く引っ張られました。

 

ポスン、と思っていたよりもずっと軽い衝撃で何かにぶつかります。

 

「言わんこっちゃねぇ……あ」

「ズラ!?」

 

想像よりずっと近いところから比企谷先生の声がしたので、思わず閉じていた眼を開きました。自分よりも頭一つくらい高い位置にある比企谷先生の顔が、見上げてすぐのところにありました。思っていたよりもずっと近い距離にオラは、そして多分先生も、驚いていました。

 

 

「っと、悪い。大丈夫だったか?」

「あ、はい。オラ、じゃなくて、その、ありがとうございます」

 

一瞬目が大きく開かれたかと思ったら、先生はすぐにいつもと同じ表情に戻り、マルの安否を確認してくれました。大丈夫と伝えると、先生はマルを離し、水を渡してくれます。

 

「熱中症になりかけかもしれないから、ちゃんと木陰で水分とっとけよ」

「あ、はい」

 

流石に今のはびっくりしたズラ……2重の意味で。顔が少し熱いのは、先生の言うように熱中症になりかけているからでしょうか。

 

でも、先生にもみんなにも心配ばかりかけて、迷惑ばかりかけて。

 

やっぱり、オラは……

 

side teacher

 

やべぇ。とっさのこととはいえあれはまずかったな。

 

ただでさえ下手したらセクハラ扱いされるだろうことなのに、先生が生徒に対してそれやったら訴えられたら間違いなくアウトだ。それやって許されるのは少女漫画の世界だけですね、はいわかります。

 

まぁ、今回は国木田本人や高海たちがそういうことに対して大きく騒ぎ立てるタイプではなかったため、事なきを得たのかもしれない。今も高海たちが国木田のそばで体調の心配をしている。

 

ただ先ほどのことはともかくとして、国木田が現時点では体力的に他よりも厳しい状態にあることは間違いない。最初の時よりかは慣れもあるのかマシになったようだが、現時点では遅れが出ている。

 

別にそれ自体は悪いことではない。運動は苦手で、それでも努力し続けて輝いた少女のことを、俺はよく知っているから。

 

ただ、それには辛いであろう練習も、周りから遅れてしまっている認識も、スクールアイドルを続けることの難しさをすべて理解し、その上で続けようと思うための力、原動力となるものがいる。

 

簡潔に言えば、スクールアイドルが好きだという強い気持ちが必要だ。

 

そして俺の予想では、国木田は……

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

side ruby

 

今日の練習で花丸ちゃんが階段から落ちそうになったのを、比企谷先生が助けてくれました。

 

でも、もし助けが間に合ってなかったら、ケガしていたかもしれません……

 

これまでずっと自分には無理、似合わないって言っていた花丸ちゃんが、あの日急に一緒にやってみないかと誘ってくれた時、とても嬉しかったです。

 

でも、本当は花丸ちゃんは自分がやりたいから誘ってくれたわけじゃないんじゃないか。

 

気を使ってくれているだけなんじゃないか、って。

 

ついそんなことを考えてしまって、今日は花丸ちゃんと一緒には帰らないで、一人で部室に残ってちょっとだけ考え事をしてしまっています。

 

 

コンコン――と、扉がノックされる音がします。

 

「中々鍵が返されに来ないと思ったら。いつまで残ってんだ、黒澤?」

 

扉の方を見ると、比企谷先生が立っていました。

 

「もう完全下校時刻になるぞ。帰る準備終わってるならさっさと帰れよ。じゃないと俺も帰れない」

「あ、はい。すみません」

 

慌ててかばんを手に取り、部室から出ました。よく見ると先生ももう帰る支度をしていて、もしかしたらずっと待たせてしまっていたのかもしれません。部室に鍵をかけ終わると、先生が鍵を手の中から抜き取りました。

 

「んじゃ、俺はこれを戻してから帰るわ。黒澤はこのまま帰っとけ。お疲れさん」

 

そう言いながら手をひらひらさせて、先生が歩き出します。本当ならルビィが職員室まで行かないといけないのに、わざわざ部室にまで鍵を取りに来たのでしょうか。

 

「あ、あの!」

「っと、びっくりしたぁ」

「あ、あぅ……すみません」

 

自分でもどうして呼び止めてしまったのかわかりません。でも、思ったよりも大きな声が出てしまい、先生がビクッと肩を揺らしました。本当に驚いた表情で先生が振り返りました。

 

「いや、謝るようなことじゃないだろ。で、どした?」

「あ、はいぃ!あの……その……」

 

うぅ……もともとルビィは人見知りで、女の子相手でも初対面は緊張しちゃうのに……

 

お父さん以外でこんなに男の人と関わったのは初めてで、もう入学式から大分経つのに、まだ自分から話しかけるのも、一対一で話すのも、どこか怖く思ってしまいます。だから、なかなか言葉が出てきません。

 

「実は、その……る、ルビィは、その」

 

早く帰りたいと思ってるのに、引き留めてしまって、でも全然話を切り出せなくて……

 

なんだか申し訳ない気持ちに、思わず目に涙が浮かんでしまいます。気持ちがぐるぐるするまま、ついついそらしてしまっていた視線を比企谷先生に向けました。

 

イライラさせてしまっているでしょうか。あきれさせてしまっているでしょうか。迷惑かけてしまっているでしょうか。先生からの視線にびくびくしていたルビィに向けられていたのは――

 

――思っていたよりもずっと穏やかで、ともすれば優しそうな視線でした。

 

いつもと同じように、少し怖いと思ってしまう瞳でしたが、でも今はその視線からは怖さよりも不思議な安心感がありました。とっても不思議なことなんですけど、なんだかお姉ちゃんと似ている、そんな気がしました。

 

そう思ったらなんだか急に落ち着いてきて、ぐるぐるしていた気持ちも晴れたような気がしました。

 

「あのっ!比企谷先生!」

「ん?どした?」

「その、ご相談!しても、いいですか?」

 




む、難しい……

いやなんか八幡が大人になって、色々と経験しているからって前提で書いてはいるものの、なかなかどうしてひねくれ度合いが足りていないんじゃなかろうか……

実際彼が成長したらどんな感じになるんですかね?
実際先生やらしたらどうなるのやら……

想像するしかないけど想像力が足りないよぉぉおっ!

まぁ、ぼちぼち頑張ります、はい。

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