やはり女神達との道を歩むことには間違いも正解もある 作:トマト嫌い8マン
高咲侑ちゃん、お帰りなさい!
絶賛迷走中、と言ったのは実際彼女たちの今の活動についての素直な感想に他ならない。というのも、別段スクールアイドルの方向性でおかしいということではない。むしろグループとしてのまとまりは問題ないだろう。
問題なのはむしろ――
「う~ん。魅力を紹介するのって、思ってたよりも難しいよ」
「ずっとこれまで当たり前のように過ごしてきた場所だもんね。改めてどこがいい、とか考えるのも難しいのかもしれないね」
ぐで~ん、と練習着のまま机に突っ伏す高海とそれを隣で眺める渡辺。その正面に国木田と黒澤が座り、揃ってビデオカメラの画面をのぞき込んでいる。
「これでいいのかなぁ?」
「マルにはよくわからないズラ」
「いやいや。流石にこの内容じゃダメなのくらいはなんとなくわかるでしょ」
とツッコミを飛ばすのは誕生日席に腰掛けている津島。そんな彼女はこれまで動画配信等の経験を活かして、絶賛動画編集中である。言うまでもなく、国木田たちが手に持っているビデオカメラで撮影した映像を。
「地元の魅力、ね」
「確かに難しいことですよね。私と比企谷先生はここに来てそんなに経っていないし」
「まぁそうだな。ぶっちゃけパッと思いつくものなんて、それこそ高海たちの方が知ってることだろうし」
そう、今回Aqoursが挑戦しようとしているのは、地元の良さを紹介するPVを作成することである。地元紹介PVを見てもらった人々に沼津・内浦の良さを知ってもらい、浦の星女学院への入学者を増やそう、という魂胆だ。
さてそもそも何故そんなことになったのかというと、話は少し前に遡る。
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「は?統廃合?」
「YES。このままだと、浦の星はなくなっちゃうかもしれないのデース」
「はぁ」
「はぁ、って。もう少し驚きのリアクションはないのですか!?統廃合ですよ、統廃合!」
「いや、んなこと言われてもなぁ」
若干胡散臭い話し方をする金髪高校生理事長に放課後急に呼び出されて何事かと思ったら、学校にとってかなり重要なことを教えられてしまった。ついでにですわ系お嬢様生徒会長までいる。ともあれ、告げられた内容は大きな衝撃ではある。まさか社会人1年目にして自分の職場がなくなる危機に見舞われるとは。
「で、なんで俺に?というか教員への連絡はしないのかよ」
「勿論今度正式に先生方には伝えるわ。ただ、貴方には先に知っておいてほしかったから。それが、貴方をこの学校に招いた私の義務だとも思ったの」
「鞠莉さんが、招いた?」
小原の言葉に黒澤が首を傾げる。
「そうよ、ダイヤ。比企谷先生にどうしてもこの学校に来てほしくて、私が色々なところにお願いしていたの」
「そうなのですか?ですが、何故わざわざ?」
「Sorry. それについては、私からは詳しく話せないの。そういう約束で、比企谷先生を紹介してもらったから。だから、詳しい理由については先生がいつか話してくれるのを待ってね」
珍しく――と言ってしまうのも失礼かもしれないがそれでもやはり珍しく真剣な表情でそう告げる小原を見た黒澤は一度チラリとこちらに視線を向け、小さく息を吐いた。
「わかりました。どうやらそれについては本当に鞠莉さんなりの考えがあるみたいですし、先生の事情もあるようですから今は深くは聞きません」
「ありがとう、ダイヤ」
「悪いな」
「いえ。誰にでも話しにくいこともあるでしょうから。それで?このお話を聞かされた比企谷先生としては、どのようにお考えですの?」
と、黒澤に質問されて考えることしばし。ぶっちゃけた話をすると、何かいい案が思い浮かんだかといえば皆無である。いや、一つ考えがあるにはあるがどうにもその方向に誘導されている感が拭えない。先ほどの小原が俺をここに呼んだ件といい、統廃合の可能性について話すのといい、あからさますぎる。
果たしてそのように彼女たちが動くかどうか、それについては結局のところ俺にはどうしようもない。俺はあくまで部活の顧問であって、彼女たちの活動の道しるべを示すわけでも、どこかのプロデューサーのごとく、「お前らはこれからスクール活動を通じて、ラブライブで優勝し、この浦の星女学園を統廃合の危機から救うんじゃぁぁぁいっ!」などと怒鳴り散らかしながらあれこれさせるわけにもいかない。というか普通にそんなことしたらハラスメント的な何かで捕まるし。
「どのようにも何も、ありのままを生徒にも伝えるしかないだろ。下手したら来年にはもうそうなっているかもしれないなら、全員が心の準備ができるように、なるべく早くに教えておいた方がいいんじゃないか。それに、それをどうかしたいと生徒が動くにしても、できる限りの時間があった方がいいだろうしな」
「そう言うと思っていたわ。時間取ってくれてありがとう。次の全校集会の時に、私の口から説明することにするわ」
「本件の説明については、わたくしの方からの説明は不要そうですね」
「ええ。これは理事長である私の役目だもの」
「わかりました。この件についてはお任せします」
そんなわけで、一旦は解散して小原からの説明を待つことにした俺たちだったが……
「廃校だよ!μ’sと同じだよ!スクールアイドルとして、学校を救うんだよ!」
部室にたどり着いてみたところ、津島を巻き込んで奇妙なポーズを決めた状態の高海が高らかに上記のセリフを宣言しているところに遭遇したのだった。
虹の後にはLiellaも控えているというね。
なんだこれ?ご褒美ですか?
楽しみですね。