やはり女神達との道を歩むことには間違いも正解もある 作:トマト嫌い8マン
お話書くにあたってアニメ1期から一気見し始めたんですけど(実は初見)、前にあった入学式の話、感想の通り、確かに間違えてたんだなぁ、とか思ってしまいました(笑)
映画から、というよりちょっと変わった経緯で興味を持ち始めたんですけど、凄いいい作品ですよね。思わず3日くらいかけて一期二期、両方見ちゃいました(笑)
ヨハネが中に入ってから暫くすると、徐々に新入生が来始めた。あいつだけやたらと早かったのはなんでだろうな。まぁ、俺もそんな感じだったか。結果として事故が起きて、早く着くどころか2週間入院してましたけどね……
緊張してる感じの子、期待に満ちてる感じの子。新しい高校生活に向けて、それぞれ様々な思いを抱いている様子。
「入学おめでとうございます。中に入ったら名前の書いてある席に座ってください」
来る学生一人一人に声をかけながら、資料を渡す。同じ作業の繰り返しではあるが、まぁ一人一人リアクションが微妙に異なるから、それなりに退屈はしない。
と、次の子たちが来たようだ。今までの生徒と比べて特徴的な二人組。一人は眼鏡をかけ、長い茶髪を揺らし、制服の上に黄色のカーディガンを着ている。もう一人はどこか小動物のような印象を抱かせる幼い顔立ちに、宝石のように綺麗な赤い髪をしている。
入学生には変わりないだろうから、取り敢えず資料を渡すための用意をする。二人が入り口付近に来たところで資料を差し出しながら声をかける。
「入学おめでとうございます」
「あ、ありが……」
「資料を持って中に……って、ん?」
何やら赤い髪の少女の表情が固まっている。というか今にも倒れそうなほどに顔面蒼白である。なんだ?急に調子でも悪くなったのか?目か?目が悪いのか?
「あの?」
「あ、まずいずら!」
「ずら?」
さっと隣の眼鏡少女が耳を塞ぐ。というか今ずらって……
「ピッ」
「ピッ?」
「ピギャァァァアッ!!」
「のうわっ!?」
唐突に響いた大きな叫び声に、思わず仰け反るように一歩下がる。叫ぶ少女は目に涙さえ浮かべている。
えっ、なにこれ?
俺が何かしてしまったのだろうか?
いや、だがしかしなにも間違えていないと思うのだが。
「ルビィちゃん、落ち着くずら」
「あ……は、花丸ちゃん」
「先生もびっくりしちゃってるず……よ」
「あ、あう……ごめんなさい」
「あ、いや別に。驚いただけだし……」
眼鏡の少女、花丸って呼ばれてたな。花丸の後ろに隠れるようにしながらもこちらに視線を向け、頭を下げる赤髪の少女。しかし、ルビィ?髪の色から連想したのだろうか、宝石の名前をつけられるくらいだ。親から大切に思われているのだろうと、容易に想像がつく。というか確か同じように宝石の名前の生徒がいたな……
「う、うゅ」
「あ、悪い」
考え込んでいるときにじっと見すぎていたらしい。ルビィの瞳に浮かんでいる涙がこぼれそうになっている。うん、まぁそれは仕方ないな。
いきなり見知らぬ男、しかも目が腐ってる奴がじっと自分のことを見つめてきたら、それは怖いわ。というか俺でも怖い。
「えっと……さっきの、俺何かしちゃったのか?」
「あっ、いえ……その……」
「ルビィちゃん、極度の人見知りなんです。特に男の人はお父さん以外とはほとんど話したことがなくて……」
「あぁ、成る程」
それでこの怯えようか……一種の男性恐怖症って奴だな。まぁ、極度の人見知りってのも手伝ってるんだろうが。
「急に声かけて悪かったな。俺は比企谷八幡、今年からこの浦の星女学院で教師をすることになった」
「あ、オラ……じゃなくて、マルは国木田花丸です」
「く、黒澤ルビィ、です」
「黒澤……って、生徒会長と同じ名字か?ってことは」
「あ、はい!お姉ちゃんです!」
花が綻びる、とでも表現すべきなのだろうか。怯えた表情から一転、姉の話になった途端に、彼女、黒澤ルビィが見せた表情は、あまりに可愛らしく、愛らしく、愛くるしい程の笑顔だった。
その破壊力は、思わず一瞬息を忘れる程に。なんだこれ。小学生のけーちゃんにも負けないほどに純粋で、幼い印象を与える程の笑顔は、なんというか、本当に小動物が見せる愛くるしい表情のそれと同じような、心の中に、小さな暖かさをくれるような、そんな印象だった。
「そうか。そういえば新入生に向けた歓迎の言葉は、黒澤……生徒会長がやるんだったな」
「はい!お姉ちゃんと同じ学校に通えるの、とっても楽しみなんです!」
「……そうか」
こんなに妹に思ってもらえるとは、姉も幸せものだな。リハーサルの時に一瞬壇上にいた時にしか、俺は彼女を見ていない。ただそれでも、黒澤ダイヤの放つ存在感に、あるいはその気品や立ち居振る舞いから滲み出る華やかさに、大人でありながら圧倒されていたのは、確かだった。
大和撫子とでもいうのか、美しく手入れされていた長い黒髪。妹と同じく宝石のような青緑の瞳、そして口元の艶ぼくろ。お嬢様言葉ではあったが、それがキャラ付けなどではなく、完璧に彼女にとってはそれが普通なのだと思わせられる。
ほんと、この学校もやたらとレベルの高い女子多いな、おい。
そういう意味では隣にいる国木田もその一人である。
黒澤と並ぶとやや低めの身長。あどけなさの残る顔立ちは、しかし何処か落ち着きもある。カーディガンのおかげでもあるのか、全体的に黄色がよく似合うイメージで、遠くからでも分かっていたことだが、長めの髪は綺麗な茶髪でふんわり、おっとり、そんな印象を抱かせる。
「っと、次の人も来たな……中に自分の名前書いてある席があるから、そこに座っておいてくれ」
「は、はいっ!」
「はい」
少し声が裏返りながらも、なんとか返事をした黒澤と、二人分の資料を受け取る国木田。最後に二人揃って礼をしながら、体育館に入っていった。
「……あいつらを教えるのか」
なんだろう。津島といい、あの二人といい、面白い奴が多いな。他の生徒とも挨拶はしてるのに、何故かあの3人は強く印象に残っている。
3人の一年生……
『二人とも、行っくにゃ〜!』
『ちょっ、意味ワカンナイ』
『誰かタスケテ〜!』
……何故このタイミングであいつらを思い出すんだろう。思っていたよりも、あの頃の活動は強く心に残っているらしい。入学生の対応をしながら、そんなことも思う。
「っと、今ので最後か」
気づいたら入学生の出迎えの業務はこれで終了らしい。まぁ、元の人数が少ないわけだし、初対面と話し込むってこともそうないことだろうしな。
「比企谷先生、全員来ましたか?」
「っあ、はい。全員分配布も終わってます」
主に保護者の対応を担当していた先生が声をかけてくる。あっぶね、気を抜いてたから変な声出るかと思った。少し年上の女性教師……というか、殆どの教師が女性である。
いや、女子校なんだからそうなんじゃないかとなんとなく思っていたけどさ。あの学校でも用務員以外ほぼ女性だったし。おかげで最初の頃は奇異な物を見る目で見られまくりだった、ほんと怖かった……まぁ、こっちでは保護者から訝しげな視線を浴びてるんですけどね。
「もうそろそろ開始時間だし、中に入りましょうか」
「わかりました」
先を歩く先生の後ろについて行く形で、体育館に入る。既に入学生は全員着席済みのようだ。と、先ほどの3人の後ろ姿だけ、やけにわかりやすくて思わず笑ってしまいそうになる。黒い羽根と、明るい茶色と、宝石のような赤。
「これより、浦の星女学院の入学式を開式いたします」
マイクを通して、体育館に声が響き渡る。入学生の背筋が伸び、保護者や教員も姿勢を正す。
こうして、社会人生活の第一歩もまた、今日この日から始まったことを告げられた、そんな気もしながら、俺は入学式の進行の様子を、席から眺めるのだった……
ふぅ……次回からようやく本筋に入れる、かな?
そしてようやく主役とのちゃんとした対面になるのかな?
頑張って書くとしましょうか(笑)
なお、お気に入り登録者に私の大好きな作者様がいて歓喜(笑)