やはり女神達との道を歩むことには間違いも正解もある 作:トマト嫌い8マン
そういえば、何故急に映画やアニメを見たのかといいますと……
スクフェスで知識として知る
↓
仕事で沼津付近まで行く、なんとなくフラフラする
↓
妹が友達がいるというコピユニを見せる
↓
ハマる……というかどハマりする。ただのファンになる。
↓
沼津観光で作品について知ろうとする。月一で行くようになる。
↓
映画行く(初日舞台挨拶ライブビューイング付二回)
↓
アニメ観なきゃ!一気見する →今ここ
……的な流れですね。すごく変わった経緯でAqoursを好きになるというね(笑)そんなわけで実はAqoursファンなりたてですが、作品は楽しんで書きたいと思います。
次のお話、どうぞ〜。
「ふぅ……」
始業式と言えども、いや、寧ろ始業の日だからこそなのか?ともあれ、思いの外色々と教えられ、学校を案内され、帰路に着いた頃にはすっかり夕焼け空だった。
坂道でスピードが出過ぎないように気をつけながら自転車を走らせ、海辺の道へ出る。途中、津波から避難するための高台や、城跡、みかんの直販店など、この土地ならではの景色の側を通りながら、トンネルをくぐる。
左手には地元の水族館、伊豆・三津シーパラダイスが現れ、右手側には風情のある旅館が見える。名前を見ると「十千万」と書いてある。日帰り風呂とかもあるらしいから、今度来てみてもいいかもしれない。
と、順調に自宅への道を進んでいた俺だったが、ふと足を止めざるを得ない光景を目にしてしまった。
目にしたというか、飛び込んできたというか……とにかく視界に入れてしまったのだ。
「死ぬ!死んじゃうから!」
「離して!行かなきゃいけないの!」
何故かスクール水着を着ている女子と、制服姿の高海が、船着き場のあたりで何やらもみ合っている。と、
「「えっ?」」
「あ」
もみ合っているうちに足が交差したらしく、2人揃って体勢を崩した。残念ながらその辺りには手すりや柵といったものはなく、つまりは彼女たちを支え、或いは受け止めるものが何もないわけで、2人はそのまま、引力に引き寄せられるままに、綺麗な水しぶきをあげるのだった。
「って、いや、おいおい!」
流石に見て見ぬ振りをするわけにもいかなかったので、自転車をその場に止めあたりを見渡す。丁度いいところに紐のついた浮き輪が置いてあったので、それを手に取り、2人の方へと駆け出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「くちゅんっ!」
「……ほれ」
「あ、ありがとうございます」
取り敢えず一番寒そうにしている水着姿の少女にコートを渡す。
浮き輪に付いていた紐で、2人を砂浜まで連れてきたのはいいものの、びしょ濡れの状態では流石にまずい。と、思ったが、すかさず高海が海岸の正面にある十千万に駆け込み、タオルを持ってきたので、2人はそれで身体を拭いていた。
「もー、まだ4月なんだよ?沖縄とは違うんだからね」
「え、ええ、そうね」
「あ、比企谷先生もありがとうございました」
「先生?」
「うん。比企谷さんはね、私の学校に来た新しい先生なんだ」
「そうなんですか……すみません。ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げる少女。正直水着姿のままなのはちょっとアレなんで、出来ればさっさと退散したい気持ちである。が、礼を言われてるのに何も返さないのは流石に失礼だろう。
「いや、気にすんな。たまたま通りかかっただけだしな」
「先生はどうしてここに?」
当たり障りのない答えをしていたところに、高海が首を傾げながら顔を覗き込んでくる、って近い近い!というかまだ少し濡れてるでしょうが、俺まで濡れちゃうからね?
「この道、帰宅路なんだよ」
「そうなんですか。じゃあ私と一緒ですね」
「ほーん……」
満面の笑顔で話す高海。どこか年不相応な幼さやあどけなさが、彼女の顔立ちや仕草から感じられる。なんというかそう……歳の離れた妹、を見ているような……いや、俺の妹は小町だけだし……あ、でもあの二人も俺のこと「お兄さん」って呼んでるしなぁ……
「あ、そういえば自己紹介してなかったね。私、高海千歌!貴方は?」
「あ、桜内梨子です」
少女が立ち上がりながら小さくお辞儀をする。生徒会長の黒澤とは違うものの、やはり何処か品のある振る舞い。風になびく長い髪は、ワインのように綺麗な色。どこか儚げにも、寂しげにも見える笑みで、彼女は名乗った。
「桜内さんは、どうして海に?」
「……海の音が聴きたくて……」
「へ?」
「海の音?」
思わず聞き返してしまう。波の音を聞くだけなら別に海に入る必要はないだろうから、恐らくは別のものを指しているのだろうけども……
「私、ピアノで曲を作ってるの。それで海をテーマにした曲を作ろうと思ったんだけど……全然イメージが湧かなくて……こっちきたから、折角だし海に行けば、何かわかるかと思ったんだけど……」
そう言いながら、桜内が海の方へ顔を向ける。悲しげに伏せられた横顔は、沈み行く夕陽に照らされ、儚げで、今にも海へ消えてしまいそうで……そしてその表情を、俺はよく知っていて……
何か大切なものを、手放してしまった、手放さなければいけなくなってしまった、諦めてしまった……そんな表情。
「じゃあ、私がいいもの見せてあげる!」
と、タタッと高海が桜内の前に回り込む。キョトンとしている桜内の目の前に、高海のスマホが突き出される。
「ほら!一緒に見よ!なんじゃこりゃあ、ってなるから!」
「え、ええ」
「比企谷先生も!」
「は?お、おう」
チョイチョイと手招きする高海。おいコラ、一応教師だからな?そういうふうに呼ぶのはやめような。まぁ、別にたいして気にしないけどさ……
桜内を連れ、道路に続く階段に腰を下ろす高海。左隣に座り込み、スマホの画面を覗き込む桜内。俺はその反対側に回り座……らずに、立った状態で少し身を屈めた。
「じゃあ、行くよ〜!」
テンション高めの高海が動画サイトから、1つの動画を選ぶ。
「〜♪」
最初に聞こえたのはピアノの音。
そしてそこから続く歌声。
9人の少女……女神達の歌う、始まりの歌。
思わず目を見開いていた。思わず口元が緩みかけていた。奇しくもそれは、この町に来たばかりのあの日、バスの中で思い出していた曲でもあったから。
未だ色褪せぬ思い出なんて、きっとあの頃の俺は信じなかっただろう。だが今、こうして実感する。
変わったのは俺の知る世界だったのか、それとも俺自身の方か。そんなこと、考えたところで、わかるはずもないのだけれども。それでも、あの日、あの場所、ほぼ空っぽだったあの講堂で、あの歌を聴いた時から、きっと何かは変わったのだ。
それにより、それ故に、そのために、今俺はここにいるのだから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「— Hey, hey, hey START: DASH!! ♪」
気がつけば、曲は終わっていた。目を輝かせながら画面を見つめていた高海が桜内に顔を向ける。
「今の何?」
「へ?知らないの?スクールアイドル、u’sだよ!」
「スクールアイドル?」
首をかしげる桜内。まぁ、なんというか、確かにそういうジャンルの音楽とは無縁そうな感じはあったが、やはり知らない人は知らないのだと思ってしまう。
「そう!学校でアイドル活動して、大きな大会に出て……今すっごい人気なんだよ!」
「ごめんなさい。私そういうのに疎くて……」
「そっか。ねぇ、さっきの見て、どうだった?」
「どうって……なんというか、アイドルって感じというか……思ってたより普通?……あ、」
思わず、しまった、という表情をする桜内。初対面の相手の高海が好きというものをそんな風に言ったことに、罪悪感があるのだろう。だが、
「だよね」
「えっ?」
「私もそう思ったんだ……普通の女の子達が集まって、こんなキラキラしたことができて……凄いなぁって」
地平線を眺めながら、高海がそっと呟くように話す。
「私ね……普通なんだ。何をやっても、どんなに頑張っても、ずっとずっと普通だった……周りに凄いなぁって思う友達はいるのに、私はいつも普通……そして、気づいたら高校二年生になってた」
「このままじゃまずい!普通の星に生まれた普通星人どころか、普通怪獣チカチーになっちゃう!って、そんなふうに思ったの」
「そんな時に出会ったんだ……あの人たちに」
高海の視線は、地平線の方に向けられたまま。でも、その瞳が写しているのは、暮れゆく空ではなく、ましてや海でもない。
高海の瞳が写しているのは、きっと彼女にしか見えていないもの。彼女の語る、あの出会いの日に目撃したもの。
それは彼女にとって偶然で、空前で、しかしてどこか必然めいた出会いだったのだ。
あの日、あの場所で、あのスクリーンで。
彼女は、いや
「気づいたら全部の曲を聴いて、全部のPVを見てた。みんな私と変わらない、何処にでもいる女の子なのに、すっごく輝いてた……」
「だからね。私もやってみたくなったんだ。凄くキラキラしてたあの人たちみたいに、私も輝きたいって。あの人たちが見たものを、私も見てみたいって」
「なんか……凄いね……ありがとう。よくわかんないけど、頑張れって言ってもらった気がする」
桜内が微笑む。先ほど見せた寂しげなものではない。高海のおかげで気持ちが少し晴れたのか、その笑みには先ほどはなかった暖かさがあった。
「……そろそろ日も暮れるぞ。そのままだと冷えるし、暗くなる前に帰ったほうがいい」
「あ、はい」
一応教師という立場的には注意しておくべきだろう。特に桜内とか未だに水着姿だし。
「そういえば、ふたりはどこの学校に?」
「あそこだよ!あの山の上に見える学校!」
高海が指差す方のずっと奥、沈む夕日の中で、辛うじて学校の姿が浮かび上がる。
「桜内さんは?」
高海が近くに置かれていた桜内の服を手に持ちながら、彼女へ近づく。微笑みながらそれを受け取る桜内だったが、その制服には見覚えがあった。
あの頃、毎日のように見ていたのだ、間違えようがない。間違えるはずがない。
その確信を裏付けるように、桜内はゆっくりとその名を口にした。
「東京にある、音ノ木坂学院っていう学校よ」
ようやくここまで来たよ……
まぁ、まだ何人か登場してないんですけど……主に三年生。
その辺りもぼちぼち書いていきますので、また次のお話でお会いしましょう。
あ、因みにハマったコピユニというのは、Siriusって言います。
折角だからついでに動画とか見て、応援してくださいな(笑)
→Twitter:@Sirius_LS
→YouTube:https://m.youtube.com/channel/UCl_ystqbxxJUGUsbYtR4Ghg
→ニコ動 :http://sp.nicovideo.jp/mylist/62110151?cp_in=mllst_mlgrp