偽アクアの旅路   作:詠むひと

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偽アクア大地に立つ

 さて、ここはどこなのか。

 

 

 空気は乾燥気味で、足元には草が疎らに生えている荒れ地だ。

 

 

 遠くの方に建物が見える、なんとなくだけど村っぽさがある。

 

 

 そこまで考えて、自分の今の姿を確認する。

 

 

 手足は細く、でも柔らかな女性らしい曲線を帯びている。脚は太ももまでの青いニーハイブーツに包まれ、その上は白いサイハイを履いているのが見て取れる。アクア様の衣装から装飾を取り除き簡素にしつつ膝とスネに青く染色した革で補強がされている。

 

 手の甲から二の腕までを包み込む手袋じゃなくて、何て言うのか知らないけど長手袋みたいなアレは甲の青い装飾は無く銀色のプレートで甲と指を保護してあり革の手袋か籠手のようになっている。二の腕側の金の装飾は無く折り返してあるだけだ。白いしなやかな革で出来た籠手のような長手袋と言った所か。

なんか、バイク用の手袋でこういう甲の有ったよね。

 

 

 スカートは水色と紺色で金の縁取りは無く、丈も僅かに長く絶妙なギリギリで太ももがチラリしない。動けば太ももが見えるかもしれない柔肌をガードしつつも男の視線を誘ってしまうだろう。アクア様は尊いだけで無く、わかってる方だと確信した。流石だ、アクア様。

 

 

 アクア様が羽織っている羽衣は無いが、その代わりに水色から紺色へのグラデーションが美しいローブを纏っている。あ、フード付きだ。膝辺りまでを覆い、前を閉められるようだ。

 

 

 腰回りは筋肉の上に薄めに皮下脂肪が付き。うっすら腹筋のラインが出る程度には引き締まりつつも、柔らかさを感じられる。体脂肪は20%前半と見た。

 

 

 胸は引き締まった身体に対し、どっしりと主張している。EかFか、だがブラ無しでも重力に逆らえるとは流石女神。この身が劣化コピーでも劣化しない有能さだ。

 

 

 髪は南の海みたいな青だ。まさに水を司る女神らしさを体現している。手櫛ですいても引っ掛かりも無い、見事だ。アクア様と違ってポニーテールになってるな。

 

 

 全体的に確認した所、アクア様の衣装を簡素にし旅装として使えるように変更した感じだ。体型もアクア様より控え目でありつつも引き締まっている。ある程度動けるように筋肉をやや増量した感じかな。声は僅かに低いか落ち着いてる、かな。気のせいレベルで。

 

 

 素晴らしい調整です、アクア様。性的嗜好ドンピシャです。流石女神様だ。完璧だ。尊い。お姿だけで無く、気配りまで完璧とはなんて有能な女神様なんだ。

 

 

(本当はお付きの天使が気を遣って体型や装備等を調整しましたが、全ては上司の手柄に…)

 

 

「さて、現状確認はしたし。村らしき所へ行ってみようかな。」

 

 目算でだいたい2kmくらいかな。そういえば、目も良くなってるな。前は眼鏡が無いと部屋の中ですらうっすらぼんやりしてたのに、事故の前よりもくっきりしてるや。くっきりした視界、懐かしいなぁ。

 

 

 歩けど歩けど、周囲は荒れ地。

 

 村らしい場所の周辺は荒れ地と渇いた畑が広がっている。作物らしき物も萎れているようだ。

 

 暫く雨が降ってないのかな、干ばつって程じゃないし。歩く度に足元は砂埃が舞っている。

 

「もうちょっとだ。」

 

 ゆっくり歩いているとはいえ、元の身体はベッドから起き上がるのがやっとだったのに対しこの身体は普通に歩く事が出来ている。その普通こそが難しく、感動を覚えるほどだった。

 

 重ね重ね、心の中で女神アクアに礼を言う。

 

「(アクア様ありがとうございます。こうして自分の足で歩くのも僕には出来ない事でした。自分の身体が動くって良い事ですね。僕のままじゃ、歩けていたか怪しいところでした。第二の人生をお与えくださってありがとうございます。)」

 

 

 失ったものを取り戻す事は困難で、そもそも取り戻す事も絶望的だった。あのままの自分では手に入らなかったモノを手にし、喜びを噛み締める。

 

「第一村人はっけーん。かな…。」

 

 見知らぬ人に挨拶をする。

 

 それだけでもコミュ障には大きな難題だ。挨拶は大事だと教われど、その第一歩を踏み出すのが億劫で仕方ない。

 

 されど、この身はアクア様の写し身。不様を晒せばアクア様の顔に泥を塗るも同義と自分に言い聞かせる。

 

 

「こんにちは」

 

 意を決して挨拶をした。コレだけで心臓はバクバクだ。

 

「やあ、お嬢さん。こんにちは。こんな開拓村に何かご用かい?」

 

 村人Aこと、30歳位の男性は言う。

 

 ご用と聞かれても、実は何も考えていなかった。とりあえず何か言わないと、と思い。そうだ、冒険者だ。と思い付く。

 

「えーっと、あの。ですね。冒険者になろうと思ってるんですが、どこへ行けば良いか分かりますか?」

 

 

「ああ、冒険者志望かい。じゃあ、丁度良いな。実は冒険者ギルドの出張所が開設になったばかりなんだよ。」

 

 そう村人は言い、指で差し示す。

 

「あの建物に行ってごらん。アレがギルドの出張所さ。開拓村で登録すれば登録料も掛からんし、みんな作るだけ作ったのさ。かく言う俺も、ほらこの通り。」

 

 そう言い、カードを見せてくれた。カードが有れば街へ行く時も門の手続きが簡単になるのだと言う。

 

 

「そうなんですか。ありがとうございました。」

 

 礼を言い、会釈しその場を後にした。

 

 

「おお、じゃあなお嬢さん。」

 

 村人Aは手を振り歩いて行った。

 

 村の中はあまり人気が無い、昼間だし働きに出ているのだろうか。

 

 建物の前に立つ。扉は閉まっているが中からは幾人もの声が聞こえる。

 

 深呼吸を一回、二回、三回…行かなきゃ始まらない。

 

 と、その前に名前を考えなければいけない。

 

 実は自分の名前が思い出せなくなっている。記憶を探ってもそれらしい名前が出てこない。昔飼ってた猫の名前は思い出せるのに…と凹む。

 

「えーっと、アクア様のアクアはイタリア語だったかな。なんか無いかな…」

 

 思案するも、

 

「ウォーター、アックア、ヴァッサー、ワータラ…えーっと。」

 

 不意に脳内でマイムマイムが再生された。

 

 マイムマイムマイムマイム、マイムベッサッソン?

 

 

「たしかヘブライ語の井戸掘りの歌で、ああそうだ。マイムは水だ。マイムで良いか、響き的に。救いの井戸から水を汲むとか言う意味の歌詞だったはず。」

 

 自身にとって、アクア(水)は救いだ。乾燥した大地に湧き出る救いの水。これ以上なくうってつけだと感じた。

 

 

「今日から僕は、いや。私はマイムだ。誰かの救いの水となる水の使者にして、尊き女神アクア様の信奉者だ。」

 

 私はマイム、マイム、マイム、マイムベッサッソン。じゃない。マイムだ。あぶない。

 

 

「設定はどうしよう。冒険者志望でアクシズ教に入信予定でえーっと、まあその時に考えよう。」

 

 考えが纏まらず立ち竦んでいたが考えるのを放棄し、やっと動き出したマイム。

 

 

 扉をくぐると…

 

 

 酒場が併設されており、まだ昼間だからか昼食を取っているグループが居るようだ。

 

 だが、マイムが一歩踏み出し足を踏み入れると誰もが口をつぐみ。マイムを見ていた。

 

「(えっ、何コレ怖い。何で見られてるの、ヤダ、何かしたの?何もしてないよね?)」

 

 

 内心、半泣きのマイム。無言でじっと見られると言うのは大きなストレスになる。

 

「(とりあえずカウンターに行かないと)」

 

 

「あのっ、すみません。冒険者になりたいのですが。」

 

 

 受付に立っているのは18歳位の女性で、彼女はマイムが話し掛けると我に返った。

 

「ようこそ、冒険者ギルド開拓地区出張所へ。」

 

 

 受付の女性の説明によると、通常は登録料1000エリスが掛かるところ開拓地区では登録料は掛からないそうだ。

開拓支援でもあり、ある程度の規模の街になるまでは登録料は掛からないらしい。その分、施設等も無く食堂兼酒場と受付だけであり。訓練場や資料室も無く、何もサービスを受けられない代わりに登録料も取らないという説明だった。

 

 

 受付での説明は続く。

 

 冒険者の概要と職業の説明をされ、カードの説明を受けた。

 

 ざっくり言うと、生物を殺すと経験値(魂)を吸収してレベルアップ、レベルアップするとステータスが上がるし、スキルポイントを得る。人によってはスキルポイントをはじめからたくさん持っている人もいる、と。ゲームかよと。

 

 

「こちらの書類に身長、体重、身体的特徴を記入してください。」

 

 カードへの情報記載の為情報を埋めていく。身長は160cmで体重はわからない、特徴は青髪で目の色はわからないと言うと。

 

 

「目の色は水色ですね。体重はこちらに体重計がありますからこちらで計ってください。」

 

 

 カウンター内に案内され、体重計で測った数値的を記入し提出した。

 

 

「では、こちらのカードに触れてください。あなたのステータスが分かりますので、なれる職業が表示されます。その中から職業を選んでください。」

 

 

 そう言われ、カウンター上に置いてあるカードに触れると…

 

 

「はい、マイムさん。ありがとうございます。ええと、筋力、敏捷性、生命力が非常に高いですね。魔力も平均を大幅に越えています。器用度は普通で知力は普通をやや下回っています。幸運は平均を下回っていますが全体的には非常に優秀なステータスです。これなら高い知力が必要な魔法使い職以外は大抵の職業になれますよ。」

 

 受付のお姉さんは興奮気味に捲し立てた。

 

 

「(知力が低いかぁ、昔から物知りだけど馬鹿だよね。って言われてたんだよね…知識は有るけど適切な使い方が出来ないって言うか…)」

 

 表示された職業は、と。

 

「表示される職業は自動的に各系統で上位の物が表示されるようになっています。」

 

戦士系

・ソードマスター、クルセイダー、ダークナイト、バーサーカー

 

プリースト系

・アークプリースト

 

武道家系

・モンク、グラップラー

 

盗賊系

・バンディット

 

等々

 

 

「戦士系のは武器が無いと弱体化とかってあるんですか?」

 

 

「弱体化はしませんが、武器を使ったスキルが主体ですので。武器無しでは効果は無いでしょうね。他の職業も説明しておきますね。」

 

 アークプリーストは回復、支援、各種退魔及び浄化系魔法を数多く習得出来ると共に物理系の伸びもよく、前衛もこなせる万能職であると。

 

 モンク、グラップラーは共に物理特化の職業で共に物理系の伸びが非常に高く、素手または籠手を装備するだけで岩をも容易く砕く拳を放ち、極めて高い俊敏性による連撃により敵を打ち砕く職業であると。

 

モンクとグラップラーの違いはモンクは一部のアークプリーストの魔法を習得出来、打撃と支援を両立出来るバランスの良さが在り、グラップラーは魔法が習得出来ない変わりにモンクを上回るステータスの伸びによる圧倒的な火力を叩き出せる職業であると。

 

 

「(悩むなぁ。アクア様の尊さを伝える伝道師としてはアークプリーストなんだろうけど、モンクとかグラップラーとかも良いな…拳一つで悪を砕く。みたいな。)」

 

 

「では、えーっと…。モンクにします。」

 

 悩み抜いた末に答えを出した。考えるのは得意では無いしステータスもどっちかと言うと脳筋ステータスだし?

 

 

「はい、モンク…っと。冒険者ギルドへようこそマイム様、冒険者ギルドスタッフ一同今後の活躍を期待しています。」

 

 そう言い、カードを手渡してきた。

 

「スキルの種類や習得など、わからない点があれば何でも聞いて下さいね。」

 

 と、笑顔で続けた。有望な初心者には手厚い優遇でもしているのだろうか。

 

 

 受付のお姉さんはアステールと名乗った。アステールさんに案内され受付横の商談スペースのような場所に移動しスキル習得の説明をして貰った。

 

 

 カードに表示されるスキルの中からスキルポイントを消費して習得していく方式で、スキルを長押しすると説明文が表示されるようだ。スキル表示は縦スクロールしていき表示が変わっていく。

 

 ざっと見ると、魔法は初級魔法と何故か水系統魔法だけは級に関わらず攻撃と支援その他魔法が揃っており、回復魔法と浄化退魔と続き。

 格闘系スキルが続き、アクティブスキルパッシブスキルが続いて表示されていた。

 

 

 アステールさんによると、珍しい事ではあるけれど神々や精霊の加護が強いと本来は習得出来ない魔法やスキルも習得が出来るそうだ。

 

 

 幾つかのスキルが習得済みになっていた。

 

・浄化

体表面に触れる液体(毒物含む)を真水に変える。任意でONOFF不可

 

・心眼

本来見えない物も見る事が出来る。悪意や障気等を可視化したり出来る。

 

・雨乞い

雨雲を呼ぶ。雨が降るかはその場の者達の運次第。

 

・水中呼吸

水の中でも呼吸出来る。

 

・ハードナックル

モンクの基本スキル。拳の硬さを上げ、殴っても手を痛めないようにする。

 

・力をためる

モンクの基本スキル。力を溜め物理攻撃力を上昇させる。

 

・叫ぶ

雄叫びを上げ、自身のステータスを僅かに上昇させる。敵を呼ぶ効果がある。敵を怯ませる効果がある。

 

 

 

 水関係と心眼はきっとアクア様が由来だろう、流石水を司る尊い女神様だ。あとはたぶんモンクのスキルだな。

 

 

「こんなにもスキルが習得済みなのはすごいですよ。しかもどれも有力なスキルばかりですし。一体あなたは何者なんですか?」

 

 言ったあと、失言でした忘れてくださいと言われた。冒険者の過去は詮索してはならない物らしい。

 

 

「気を取り直して、スキルの習得に移りましょうか。」

 

 スキルの用途等も交えて説明しながら相談に乗ってくれるそうだ。

 

「マイムさんのスキルポイントは結構多い方ですので、戦闘用と支援用両方をバランス良く習得していくのも有りですね。」

 

 相談しながら幾つかのスキルと魔法を習得する事にした。残りは必要に応じて取っていけば良いとアドバイスを受けた。

 

 とりあえず習得したのは以下の通り。

 

・連続拳

高い俊敏性に物を言わせ、目にも留まらぬ速さで連続で拳を繰り出し攻撃する。足元がお留守になりがちなので注意が必要らしい。

 

・波動拳

モンクとグラップラーの固有スキル。手のひらに闘気と魔力を集め凝縮し撃ち出す、片手でも両手でも使える。遠距離攻撃に乏しいモンク系にとっては有用なスキル。使用者の力量によって威力と射程が増減し、熟練者は属性を付与しファイヤー波動拳なるものも使用出来るらしい。

 

 ロマンの塊過ぎて困る。

 

・石頭

頭突きと頭部の防御力を大きく向上させる。

 

・物理攻撃力上昇

物理攻撃力を上昇させる。熟練度により効果が上昇する。

 

・物理防御力上昇

物理防御力を上昇させる。以下同文。

 

・気功

傷と体力と魔力を僅かに回復させる。使用するのに体力が必要だが魔力も回復させるので貴重なスキル。他人に掛けるのは熟練度が高く無いと出来ない。モンク固有スキル。

 

・ヒール

回復魔法、傷を癒すが体力は回復出来ない。

 

・ターンアンデッド

亡霊、亡者を成仏させる。生物には無害。魔法や魔法の付与された武器を持っていないなら、亡霊に対する唯一の攻撃手段となる。

 

・ブレッシング

幸運を上昇させる。上昇値は対象の幸運値依存。元が低いと上昇値も低い。

 

・クリエイト・ウォーター

真水を召喚する。飲み水に出来る他応急処置に使える。乾燥地帯では必須魔法。

 

・ウインドブレス

そよ風から強風まで加減出来るが殺傷力は無い。野営のお供、焚き火での火力調整に使われる。

 

・ティンダー

着火魔法、火打ち石を持ち歩くよりはマシ。野営のお供。

 

 

 相談のうえ、以上を習得した。

 

 

「マイムさんはステータスは優秀ですが、やはり経験は無いようですし始めは臨時でも良いのでパーティーを組むのを強く勧めます。」

 

 

 確かに私は野宿の仕方は勿論、この世界の常識も戦い方も知らないし世間知らずもいいところだ。

 

 

「宜しければこちらで募集中のパーティーの選別をしましょうか?」

 

 

 提案を飲もうと思うが、どうしてそこまでしてくれるのか聞いた。

 

 

「まず、第一に開拓支援があります。開拓地区では冒険者の数が乏しい割に仕事が多く、またモンスターの脅威があっても対応出来る人員が不足しているのです。ですので初心者、特に有望な人物にはギルドからの支援を厚くし開拓地への定着または貢献出来る人材を育てていく目的があるのです。」

 

「こちらにも益がある事ですから気にせず頼って下さいね。第二には知っての通り魔王軍の脅威に対しての備えです。この地方は魔王軍の脅威からは遠いですが、備えは必要です。強力な冒険者は人類にとって必要ですからね。」

 

 

「納得しました。ではパーティーの件はお願いします。」

 

 何も知らないので選びようも無いし、ギルドにお任せしよう。

 

 

「分かりました。募集中のパーティーの書類をお持ちしますので、暫くお待ちください。」

 

 アステールさんはそう言い、席を離れた。

 

 

 手持ちぶたさでぼんやりしていると。声を掛けられた。

 

 

「ギルドへようこそ初心者の嬢ちゃん。俺はマイクって言うんだ、うちのパーティーも募集中でね。アステールが持ってくる書類にもたぶん入ってるだろうけど、うちはこの近辺でモンスターや害獣の討伐を中心にしてるんだ。パーティーじゃなくたって、初心者からの相談には乗ってるからよろしくな。」

 

 そう声を掛けて来たのは20代半ば位の日に焼けた短髪の青年。筋肉質で鎧を身に付けて剣を腰に付けている。剣士だろうか。私なら見知らぬ人に声を掛けるなんて出来ない。

 

 

「あ、はい。私はマイムです。ついさっきモンクになりました。パーティーの方はアステールさんにお任せしているのでなんとも言えませんが、わからない事ばかりですのでそのうち相談させていただくかも知れません。」

 

 私は愛想笑いを浮かべそう言った。とりあえず女の子が笑顔を浮かべながらそう言えば何とかなるだろう的に。

 

 

「おう、そん時は相談に乗るぜ。じゃあなマイム。」

 

 手を振り離れ、仲間と思われる人達の居る席へと戻っていった。

 

 

 なんと言うか、爽やか系なスポーツマン風って言うか。気さくな人だったな。

 

 他にも何人かギルド内には居るけど遠巻きに見てくるだけだった。開拓地だし余所者が珍しいって事なのかな。

 

 3分かそこら経つと、アステールさんが戻ってきた。

 

 

「お待たせしました。こちらが現在募集中のパーティーです。」

 

 一件目は先程のマイクさんのパーティーで前衛と後衛を募集しており、初心者歓迎と書かれていた。

 

 二件目は、ルナスと言う女性プリーストがリーダーのパーティーで前衛募集で経験は問わないとある。村内の雑事や周辺の見回りを主体にしているようだ。

 

 三件目は、マグナと言う男性ウィザードが募集主となっている。こちらは臨時パーティーで討伐クエストを受ける時等に結成するだけで普段は自由行動だそうだ。剣士三人とウィザード一人、プリースト二人、シーフ二人、狩人三人で構成されていて個人毎に予定が合う者でパーティーを組むようだ。通常は三人組等に別れてクエストを受けているそうだ。

 

 

 アステールさんによると。マグナさんは開拓地でも古参で経験豊富で初心者の育成もしていて、何人もの冒険者を一人前にしたそうだ。アステールさんとしてはオススメだそうだ。

 

 

「じゃあ、マグナさんのパーティーにしようと思います。」

 

 そう伝えると、もうじきマグナさんが戻って来るだろうからギルドで待っていると良いよと言われた。ついでに色々聞いておこう。

 

 

「所で、この辺りにアクシズ教の教会は在りますか?」

 

 こう聞くと、ビクッとした。何でだろう?

 

「アクシズ教に何か用なの?悪い事は言わないからアレには関わってはダメよ。アクシズ教徒は色々と個性的と言うか灰汁が強すぎだし、ろくな事にはならないわよ。」

 

 捲し立てるように言われた。ヤバい人達なのかな?でも、私には使命がある。

 

 

「そうなんですか。でも、私はどうしても行かないといけないんです。」

 

「私は死に瀕しこのままでは死に至る所でしたが女神アクア様のお力により救われ、この地へと導かれました。私にはアクア様の尊さを布教する義務があるのです。」

 

 そう熱弁すると引かれた。

 

 

「まだ入信して無いなら間に合うわ。若いんだから早まってはダメよ。悩み事があったら私が聞いてあげるから、あの人達に関わってはいけないわ。だから冷静になって、お願いよ。」

 

 そこまで言われるとは。でも写し身を戴いた私としては引く事は出来ない。

 

「私を救って戴いた恩義を返さなくていけないのです。私に魂を救って戴いた恩を仇で返せと言うのですか?」

 

 自然と涙が出た。泣きながら私は続ける。

 

「私は、私は。誰にも必要とされず、私を引き取った親戚からも早く死ねば良いのにと影口を言われていたのです。身体の自由はきかず動く事も出来なかったのです。アクア様がそんな私を救ってくださったのです。自由に動く身体と力を与え新天地へと送って戴いたのです。閉ざされた人生を開いて下さった大恩があるのです。だから私はアクシズ教に入信し、布教しなければならないんです。」

 

 そこまで言うとアステールさんは黙りこくり、何かを悩んでいるようだった。

 

 

「あなたの言葉からだけじゃアレを信用は出来ない。」

 

「でも、私の前の泣いている女の子は信用しても良いって私は思うわ。」

 

「はぁ、気は乗らないんだけど…よく聞いて。あなたの気持ちはわかったわ、でもアクシズ教徒の大半はろくでなしなの。あなたがアクシズ教の教会に行くときは私も同伴するわ。あなた一人じゃきっと丸め込まれて大変な目にあってしまうわ。ギルドの者として同行すれば彼らでも強硬手段は取れないはずよ。だから行くときは必ず教えて、絶対に絶対に一人で行ってはいけないわ。」

 

 

 そう言われ、約束だと押しきられてしまった。まだ納得はいかないけど今はやめておこう。

 

 

 お互い無言で時間が過ぎて行く。

 

「それで、今日の宿は決まっているの?」

 

 重たい空気を切り換えるようにアステールさんが切り出した。

 

 

「いえ、ここには着いたばかりで何も決まってません。」

 

 実際、この世界に来てまだ2時間程度だと思う。

 

 

「だったら今日はギルドの仮眠所で寝ると良いわ。時折、宿の決まってない初心者やスタッフが寝泊まりしてるのよ。今日は私が宿直だしこの周辺地理とかも説明してあげられるけど、どう?」

 

 

 渡りに舟だったのでお願いする事にした。

 

 

 そうしているとギルドの入り口が開き、40代位の男性と10代半ばの少女二人が入ってきた。

 

 

 アステールさんが彼らの方を見ると声を掛けた。

 

「マグナさん、用が終わった後で良いのでこちらに来ていただけますか。」

 

 言われた男性は片手を上げ了承したようだった。

 

 

「今のがマグナさんよ。もうちょっと待っててね。」

 

 

 ウィザードと言う事だったけど、日に焼けたガタイの良いおじさんと言う感じだった。真面目そうな雰囲気が出来る大人って雰囲気だった。

 同行していた二人は剣士と狩人と言った所か。2人は16か17歳位に見えた。

 

 受付が終わると三人はこちらに来た。

 

「何か用があるのかい?」

 

 マグナさんが言った。

 

「ええ、こちらのマイムさんは今日冒険者に登録したばかりでパーティーが決まって無いんですよ。マグナさんのパーティーへ入れていただけませんか?」

 

 

「ギルドが世話するって事はそうか、わかった。どちらにせよ初心者を導くのは私の務めだ。構わないよ。」

 

 マグナさんはそう言い、近くから椅子を持ってきて腰掛けた。

 

「では改めて自己紹介するよ。私が灼熱の風のリーダーのマグナでハイウィザードをしている。こっちの二人は剣士のリナと狩人のミアだ。」

 

 紹介された二人は会釈してきたので、私も会釈仕返した。

 

 

「私はマイムです。今日冒険者に登録したばかりでわからない事ばかりです。職業はモンクです。」

 

 モンクだと言うと三人は少し驚いたようだ。

 

 

「これは有望な新人のようだな。今までに戦闘の経験はあるかい?」

 

 

「いえ、ありません。」

 

 

「そうか。ではまず自分が何を出来るかの把握もまだだね。日没まではまだ時間もある。これから村の外で確認に行くとしよう。二人はどうする?」

 

 マグナさんとこれから村の外でスキルと動きの確認に行く事になった。二人もどうやら一緒に行くようだ。

 

 

 道すがら、習得したスキルと魔法の事を話すと雨乞いとモンクのスキルを見たいと言われた。プリースト系は知っているので今回はいいと。

 

 私自身がどの程度動けるかという事とモンクはこの辺りには居ない為知っておきたいそうだ。

 

 

 暫く歩き、村の境界の柵から300mほど離れた所まで来た。大きめの岩が幾つか転がっており、それらを目標にしてスキルを使うように言われた。

 

 

 不思議な事だけれど、スキルを習得すると自然に使い方がわかるようになっていた。まずは、正面の岩に対して連続拳を使う。

 

 

 岩から3mほどの位置に立った。軽く構えを取り、右足に力を入れ踏み込んだ。

 

 一瞬で距離は無くなり目の前の岩に右拳を打ち込む。まるで抵抗無く拳がめり込み、戻しながら左拳を打ち込む。それを瞬きする間に合計20発打ち込んだ。

 

 身の丈よりも大きな岩は、私の腰のやや下を残してバラバラに吹き飛んだ。自身が行ったとは言え、信じられないほどの威力と速さだった。

 

 

 マグナさん達は何も言わない。無言とかやめて欲しい。何か言ってよ…。

 

 

「これは、想像以上だな。その岩は硬度が高くなかなか割れないのだが…。」

 

 そう言い、こちらに来て割れた岩と言うか石を手に取り確かめる。

 

「では次はあの岩に対して波動拳というのを使ってみて欲しい。

 

 30mほど離れた所にある岩を指し示された。マグナさんは二人の方に戻っていった。

 

 

 岩に対し正対し、意識を集中する。

 

 両手を目の前で合わせ、手のひらの間に闘気を集めるイメージをした。手のひらが熱を持って来たように感じると、手のひらを合わせたままで右腰の辺りに持っていき、更に力を溜めた。

 

 手のひらの間から光が漏れ始め、強い熱を感じた。両手を閉じたままで前に持っていき、押し出すように解放した。

 

 

 波動拳のイメージ通りのポーズで撃ち出した。ハンドボール程度の大きさの光の塊は真っ直ぐに飛んで行き、何か固い物がぶつかるような大きな音が鳴り、岩に突き刺さり貫通していった。貫通した周囲はひび割れ反対側は大きく割れたようで岩が飛び散っていった。

 

 

 撃ち出すと、身体から力が抜けていきどっと汗が出て立ちくらみがした。思わず膝を突いてしまった。

 

 

 マグナさんが駆け寄って来た。

 

「大丈夫か、どうした。」

 

 立ちくらみがした事を話すと座って休憩するようにと言われた。二人もこちらに来た。どうやら心配させてしまったようだ。

 

 

「大丈夫?顔色が真っ青よ。今日が初めてだから力加減とかわからないよね?今は深呼吸して、呼吸を落ち着けて。」

 

 狩人のミアさんが私の肩を支えながらゆっくりと座らせてくれた。

 

 

「呼吸が落ち着いたら少しずつでいいから水を飲んで。今は安静にね。」

 

 リナさんが水筒を取り出して言った。

 

 

 優しい人達だなって思った。

 

 

「すまない、無理をさせてしまったようだ。」

 

 マグナさんが謝るが、これはどちらかと言うと私の落ち度だ。

 

 

「マグナ、さんが、謝る必要は無いです。私が初めてで、力み過ぎた、だけ、だと思います。」

 

 途切れ途切れでそう口にする。

 

 

「とりあえず休憩にしよう。」

 

 マグナさん達も座り車座になった。

 

 

「今の貧血に似た症状は魔力欠乏だろう。暫く安静にしていればよくなるから大丈夫だ。」

 

 

 魔力欠乏と聞いて思い出す。気功スキルが魔力を回復させるはずだと。

 

「たしか、気功スキルが魔力を回復させる効果があります。もうちょっと、落ち着いたら使ってみます。」

 

 

「そうか。だが決して無理はするなよ。」

 

 分かりました、と頷く。

 

 三人が話している間に深呼吸して呼吸を落ち着けた。まだフラフラするが視界は回復した。気功スキルを試してみよう。

 

 静かに呼吸をしながら目を閉じると、おへその辺りに力を感じた。感じた力を回すようにしながら増幅していく。手を組み、力が両手を経由して円を画くイメージをした。温かさが両腕を通してへその上で円を画き、次第に呼吸が楽になり冷や汗も止まった。徐々に全身が温まっていく。

 

 1分ほど経っただろうか。万全の体調に戻ったと感じ、目を開いた。

 

 三人は心配そうにこちらを見ていた。

 

「顔色が良くなったね。今のが気功スキル?」

 

 ミアさんが心配しつつ聞いてきた。

 

 

「そうです。体調は良くなったと思います。」

 

「そう、でも無理はしないでね。気分が悪くなったらすぐに言ってね。」

 

 リナさんが水筒を手渡しながら言ってきた。渡された水筒から水を一口含みゆっくり飲み込んだ。

 

 

「もう少し休憩して、今度は雨乞いスキルを見たいのだがいけそうかい?」

 

 マグナさんにそう問われた。言外に無理はするなと言っているのだろう。

 

 

「大丈夫だと思います。今度は力み過ぎないように落ち着いてやってみます。」

 

 

「雨乞いかー。何て言うか渡りに舟って言うか。この辺りってさ、もともと乾燥地帯なんだけど特に今年は雨が少なくて畑は勿論井戸の水位も下がっててね。領都の魔術士ギルドから雨を降らせる魔法を使えるアークウィザードに来て貰うように要請するって話が出てるんだよね。」

 

 ミアさんはそう言った。

 

「私の故郷もこの近所の村でさ、雨が降らないから山にも餌が足りなくてモンスターが人里に下りて来る事が増えててさ。開拓地だけで無くこの辺一帯で問題になってるんだよね。」

 

 

「最近は水利権での揉め事の仲裁の依頼も増えて来ている。早急に解決しなくてはならないがなかなか領主様は動いてくれないのが現状だな。」

 

 マグナさんも悩ましげに言った。

 

 

「あまり期待はしないで下さいよ。スキルの説明によると。その場の人間の運次第らしいですし。私の運は平均を下回っていますから。ブレッシングと併用しても低いですよ。」

 

 運次第ではどうにもならない。ついて無さには昔から定評がある。どうにも、ここぞと言う時のクジ運が無い。

 

 

「じゃあ大丈夫かもね。だって私は幸運値が高いし。」

 

 ウィンクしながらリナさんが言った。運が良いのか、良いなぁ。

 

「じゃあとりあえずブレッシングしときますね。」

 

 

 魔法媒体は持って無いので、右手を掲げ集中し唱える。

 

「ブレッシング!」

 

 なんとなくふんわりした感触があった。

 

 

 リナさんが冒険者カードを取り出して見ている。

 

「おーーっ。スッゴい上がってるよ。これ!こんなに上がったの初めてだよ。マイムってもしかして魔力も高いの?」

 

「はい、魔力は平均を大幅に超えてると言われました。」

 

「はーー、そうなんだ。ウィザードとかにはなろうと思わなかったの?」

 

 

 痛い所を突かれた。私の知力が低いのを告白しなければならないのか。

 

「それは…知力は高く無いので魔法使い系の職業は無理だと言われたんです…。」

 

 

「あー…そっか、ごめん。」

 

 そこで申し訳なさそうにされると更に来る物がある。

 

 

「レベルアップしてステータスが上がれば知力も上がるから気にしなくても大丈夫さ。」

 

 マグナさんは慰めるように言うけど、モンクは脳筋職なので上がるのかなぁ…。

 

 気のせいか三人の目が優しい…。

 

 

「じゃあ、そろそろ雨乞いスキルを使いますね。」

 

 そう言って私はゆっくり立ち上がり少し歩いて三人から距離を取った。

 

 

 

 目を閉じ、耳を澄ませ意識を拡げる。周囲の風を感じ、光を感じ、水の気配を探る。

 

 遠く離れた空の上、風に舞い散る雲を感じその雲に同化するかのように意識を繋ぐ。意識を二つに分け片方は雲から地上を見下ろし、ここまで来るように導く。

 

 吹き荒ぶ風は雲を吹き散らそうとし、照り付ける太陽は雲を消し飛ばそうとする。

 

 大きな抵抗を感じつつも雲は近付く。地上を見下ろし、身体が真下に在るのを感じ、身体からは雨雲が真上に在るのを感じる。

 

 二つに別れた意識を繋ぎ、地上へと降り注がんとする。

 

 身体から魔力が天に昇っていくのを感じ、雨雲に届いたのを知覚した。

 

 雨雲と身体からの魔力が手を繋ぐような感覚と共に、雨が降り始めた。

 

 初めは小雨だったが徐々に強くなってきた。

 

 

「雨が強くなってきたから中断してギルドに戻るぞ。」

 

 マグナさんがそう言いその場から動こうとしたが、私は動けなかった。両手を天に掲げたまま、身体が動かない。声も出せない。

 

 

 「マイム、行くぞ。中断だ。」

 

 そう言われたけど、動けないものは動けない。

 

 

「もしかして、動けないのか?」

 

 声も出せないがなんとか頷いた。

 

 

「参ったなぁ。仕方ない、マイムが動けるようになるまで私も待機しておく。」

 

 なんだか、すごく申し訳ない。

 

 

「じゃあ私も残るよ。」「私も」

 

 二人も残るようだ。

 

 

「雨乞い、成功したな。おめでとう。」

 

「動けないのは辛いが、これが有れば水不足の解決の糸口になるやもしれんな。」

 

 

 確かにそうだろう。成功率がどの程度なのかはわからないけど、雨が降る可能性があるなら飛び付く人は居るだろう。

 

 

「これなら来週の雨乞いの儀式に出ても良いかもね。」

 

「来週、この辺りの村に伝わる雨乞いの儀式を行おうと言う事になったんだ。もう何十年もやってないしそもそも効果が有るのかもわからないけど、やるだけやろうと言う話だったんだ。」

 

 

 そんなのが有るのか…私にそれをやらせようと言う事だろうか。

 

 

「ギルドとこの辺りの村で雨乞いの儀式の巫女を募集しててな、この二人も参加する事になってたんだ。出来ればマイムも参加してくれないか?」

 

 マグナさんが頭を下げてお願いしてきた。私は動けないので返事のしようが無い。

 

 

「すまない、返事は動けるようになってからでいい。」

 

 

 リナとミアの二人は装備を外して雨で身体の埃を洗い流しているようだ。

 

 

 

 

 

 15分ほど雨は続き、唐突に止んだ。頭上の雲は影も形も無くなっている。まるで全てが地上に降り注いだかのように。

 

 

 やっと動けるようになり、両手を下ろした。肩回しをしながら振り返ると三人は衣服を搾っている所だった。

 

 

「上げっぱなしだった両手は大丈夫か?」

 

 マグナさんが心配して聞いてきた。

 

「特に問題は無いです。まさか動けなくなるとは思って無かったので、雨の中でお待たせしてすみません。」

 

「なあに、装備の埃を洗い流すのに丁度良かったさ。最近は装備を水で拭くのさえイチイチ魔法に頼らないと難しかったからね。」

 

「じゃあ、一度ギルドに戻ろうか。今後の相談等を酒場でしよう。それにマイムの歓迎会もね。」

 

 

 私なんかを歓迎してくれると言うのか。すごく嬉しい。今自分でも笑顔になっているのが分かる、愛想笑いではなく自然に笑えているだろう。

 

 

「ありがとうございます。」

 

 

 

 

 こうして、私達はギルドへ戻る事にした。

 

 

 

 




本物の女神アクアの能力を劣化コピーしたものであるけれど、能力の上下幅をカットして中間部分だけ抜き取った形。

服装と体型の変更は部下の天使によるもの。女神アクアそのままと言うのは如何なものか、と言う事で幾つか変更された。

生前の知力は普通くらいだったがアクアと相殺して下方修正された。

名前を忘れたのと、スタート地点の件はアクアのミス。

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