偽アクアの旅路   作:詠むひと

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ずいぶん遅れてすみません。書いてて内容が停滞しているし迷走しているしで、これで良いのか悩んでドツボにはまっていました。
今も正直迷っていますが。このまま迷っているとまた長期間開いてしまうので、これで行くことにしました。

展開が遅いと思っている方も多いでしょう。全ては私の国語力の無さと怠惰によるものです。

まだ、読みたいと思ってくれる人がいたら幸いです。


いもめがみ

 

 

 

 扉をくぐり中に入ると同時にへたりこんだ。

 

(良かった、上手くいった。でも……。)

 

 上手く切り抜けることには成功した。だが胸中は複雑だった。達成感よりも罪悪感が強く胸が痛む。

 

(上手くはいったけど、ほとんど騙した様なものだし。これは悪い事だと思う。)

 

 嘘は言ってない。だが、わざと誤解を招く様に印象付けた事もありマイムの心に重くのし掛かる。

 

「マイム、今回は上手く行ったがリスクは極力避けるべきだ。」

 

 マグナがマイムの肩に手を置き諭す。

 

「はい。私もこんな事は良くないと思います。」

 

 マグナの言うリスクも分かるが、それよりも善良な市民を騙す様な形で切り抜けた事が心苦しい。虎の威を借りる狐の様なものだし、これはアクア様の威光を借りただけだから。

 

「上手く行ったけど、アクア様だって騙って騙したようで心が苦しいです。これは、悪い事ですよね……。」

 

 達成感が無いと言えば嘘になる。危機を切り抜けられた達成感と自分の考える女神ムーブが決まったという嬉しさもある。だけどそれと同じ位の罪悪感もあり、素直には喜べない。

 

 

「そう、だな。仕方ないというだけでは納得は出来ないか……。」

 

 マグナさんも悩む様に唸っている。でもこれは、マグナさんが悪いわけじゃないです。ただ私自身が納得出来てないだけで、マグナさんを困らせたい訳では無いのに。私は上手く言葉に出来なくて、どう言えば良いのか分からない。

 

「だから、これは私の罪なんだと思うんです。」

 

 涙が頬を伝う。解決法を見出だせず安易な方法に頼り、人々を騙した罪。もっと上手くやる方法があったかもしれないのに、それに頼り私の都合(女神ムーブ)を押し通した罪です。

 

 

「マイム様、こう考えてはどうでしょう。」

 

 同行してくれていた僧兵の方が手を叩いて私達の注目を集めた。

 

「これは前借りだとお考えください。今は自身の影響力では足りないからアクア様の威光を借りただけだと。借りたならば何かで埋め合わせしたら良いのです。マイム様のお力がアクシズ教団のプラスになる様な事柄を以て返済すれば良いのです。」

 

 目から鱗が落ちるようです。私は罪悪感を感じるだけでそこから先の事までは考えが至りませんでした。借りたら返す、当然の事でしたね。

 

 僧兵さんは何処からかハンカチを取り出し、私の涙を拭った。私を見て微笑みながら彼は語りだしました。

 

 

「今はただの美少女のマイム様ですが、今後アクシズ教団の象徴となって皆を率いて行けば万事解決です。普通、借りたら利子が付く物ですが返済先のトップに立てば有耶無耶になります。お得ですよ、それになんと我々アクシズ教徒を先導し自由に使う事も出来るでしょう。今なら更にお得です!街中マイム様の事が話題になっています。影響力も一気に大きくなる事は確実です。さあ、我々を導いてみませんか?美少女の導き、ああ、なんと素晴らしい!しかもただの美少女ではない!アクア様の眷族、アクア様と瓜二つの美少女!これで着いて来ない奴はアクシズ教徒ではない!ええ、絶対です!もうこれは、なるしかない!」

 

 利子、え、お得、は、え????え?

 

 僧兵の方が目を見開きながら一気に捲し立てた。いや、なんか怖いんですけど。でも、あれ?お得なのかな???

 

 アクシズ教徒は狂気を放った。

 

 マイムは混乱している。

 

 

「マイム、丸め込まれるんじゃない!正気に戻れ!」

 

 っは!私は今何を?

 

 マグナさんが私の前に立ち、狂気の僧兵の視線を遮った。

 

「おお、しまった。保護者が居ましたね。これは失敬。ですが、これは我々の多くが思う事です。マイム様さえその気になればいつでも歓迎いたしますよ。」

 

 なんか、目がヤバいんですけど。大丈夫?この人。

 

 

「マイム、そもそもこの事態を招いたのはコイツらが問題なんだ。マイムが責任を感じる必要は何処にも無いんだ。質の悪い野良犬に吠えられたと思って忘れてしまえ。」

 

 でもその野良犬、病気かなんかじゃないでしょうか。

 

 さて、私自身の納得とか僧兵さんの狂気とか色々ありましたが私達はとりあえずゼスタ様の元へと向かいました。

 

 まだ早朝と言えば早朝。こんな時間から居るのでしょうか?

 執務室をノックし、入室すると何故かセシリーさんも居ました。え、っていうか何してるの?

 

 

 目を疑う光景でした。

 

 そこには、セシリーさんがゼスタ様の背中をグリグリと踏みにじっているというよく分からない光景が広がっていました。

 

 いや、ほんとに何で?

 

 私達に気付くとすぐに何事も無かったかのように取り繕い咳払いをするゼスタ様。

セシリーさんって、もしかしてそういう趣味の人?

 

「ああ、待って!マイム様誤解しないで!これには深い訳が!」

 

「大丈夫ですよ、セシリーさん。人には色々な趣味がありますもんね。大丈夫ですよ。」

 

 ちょっとイケナイ場面を見てしまいましたが、突然押し掛けた私達が悪いだけですし。

 

「ちょっ、ちっ違うから。違うから!」

 

 セシリーさんは否定してるけど、大丈夫です。他の人には内緒にしますから。

 

「さて、この様な早朝にどうされた。いや、分かっておる。これは私達の不手際でこの様な事態となってしまったのだったな。誰が何をしたからというのは重要ではないな。」

 

 私達はセシリーさんを生温かい目で見た後、ゼスタ様の方を見た。もう既に外の騒ぎの事は把握していたみたいです。

 

「これからどうするか、だな。人の口に戸は立てられん。昨日、多くの者が見ている以上遅かれ早かれ騒ぎは起こっていただろう。故意に騒ぎ立てた者が居るからこうなった面もある。だが、それについては謝罪出来ん。何故ならば私達はアクシズ教徒だからだ。衝動のままに行動するのは最早本能と言っても良いからだ。」

 

 ああ、そういう……。まあ仕方ないですねぇ。

 

「とはいえ、なにがしかの埋め合わせは必要だろう。それ故、提案させて貰う。」

 

 ゼスタ様からアクシズ教団としての埋め合わせと対応を説明された。

 

 アルカンレティアと水の村とを繋ぐ為にテレポート屋を派遣し双方で人員のやり取りをする為のサポートをする。

 費用はアクシズ教団から出す為、こちらからの持ち出しは無いということです。費用面を言うと、辺境とアルカンレティアでは物価も違うので大変ありがたい申し出です。今後の各ギルドの調整でも大きな助けになると思います。

 

 今後は教団本部と原始派の和解の為の協議という事で、人の行き来も有るので渡りに船という部分もあります。

 

 ですが、世の中都合の良い話ばかりでは無いですよね。

 

 

「それは願ったり叶ったりだ。だが、こちらへの要求。いや、マイムへの要求が有るな?」

 

「心苦しい所ではありますが。あります。」

 

 開け放たれた窓から、遠く風に乗り外からの喧騒が聞こえた。その中には私の事を呼ぶ声が聞こえた気がした。

 

「この騒ぎを収集するのに力を貸していただきたい。」

 

 起こった事は仕方ない。でも、それの後始末をしなきゃ……ですよね。

 

「マイム様にはアクシズ教団の聖女として立っていただきたい。」

 

 人前に出るだけでも緊張する私にこの仕打ち。目が回る、頭が痛くなってきた。本音を言えば嫌だ。人前になんて立ちたくない。それに、そんな風に人前に立つなんてもっと先の話だと思ってた。もっとなんかこう、色々な下準備して人が集まってから演説的な事をするっていう感じにって勝手に思ってた。

 なし崩し的に流されてこんな風になるなんて思ってなかった。

 

 

「それは請けかねるな。マイムは人前に立つのを得意としていない、そんな彼女を大衆の前に立たせ象徴になれだと?ふざけるなよ?これ以上彼女に負担を掛けさせる訳にはいかない。」

 

 考えただけでも緊張で目の焦点が合わない。身体が震える。無理です。無理です。気持ち悪くなってきた……。

 

 

「性急過ぎたか。だが、このうねりはもう誰にも止められんのだ。遅かれ早かれマイム様の居場所は伝わり、教団のコントロール出来ない所で爆発するだろう。そうなっては双方とも得にはならんだろう?」

 

「っく。」

 

 奥歯を噛み締めた音が聞こえた。私の為にマグナさんが悩み、ゼスタ様も申し訳なさそうにしている。

 私が我慢して頑張れば解決出来るのかな。

 

 

 ある意味、私が発端とも言える。

 

 本来は辺境で解決するべき問題を準備も整ってないのに持ち込んだのは私。

 もっと冷静になれてたら、聖堂での騒ぎも起こさずに済んだかもしれない。

 もっと冷静に対処してたらダメ推しの様に女神様ムーブで騒ぎを大きくしなかったかもしれない。

 

 全部、私の軽はずみな行動のせい。もっと考えてれば、だなんて思っても後の祭り。こんな風にぐちぐち悩むのも全部自業自得。

 

 私が中途半端に力を持ったせいで、色々な人達を巻き込んだんだ。だから全部、私のせい。

 どうしたら良いって?責任を取るしかない。私のせいなら私が責任を取るしかない。

 マグナさん達やゼスタ様達が悪いわけじゃない、街の人達が悪いわけじゃない。考え無しに大事なことを適当に決めた私のせい。

 

 

「責任は取らなきゃいけない、ですよね……。」

 

 逃げたい。でも逃げたら、この優しい人達を裏切ってしまう。逃げたいけど、逃げちゃダメだ。やらなきゃ。

 

「私、やります。私が頑張ればみんな、丸く収まるんですよね?」

 

「マイム……。」

 

「マイム様……。」

 

 苦虫を噛んだ様に顔をしかめるマグナさんと申し訳なさそうなゼスタ様の表情に決意が揺らぐ。

 

「提案しておいて何ですが、マイム様を生け贄にする様なこんな提案など没にしてしまいたい所ですがこちらにも事情がありまして。誠に申し訳ない。」

 

 私に頭を下げて悔しそうな表情をするゼスタ様。そもそも、『良かれ』と思ってやった事がどんどん色々な人を巻き込んで迷惑をばら蒔いて行ってしまい、すごく胃が痛い。

 

 でも、これは私が蒔いた種。私が自分の手で責任を取るべきだって思うから。流されるままって、言えない事も無い。マグナさん達は私の責任じゃないって言ってくれてるけど、私自身が自分の責任だって思ってるから。

 

「私はどう動けば良いですか?」

 

 私ではどう動けばいいのかなんて分からない。きっと余計に空回っちゃう。だから求められる事をしよう。それがきっと最善だと思うから。

 

「マイム様、良いのですな?この先は貴女が望まぬ事もあるでしょう。それでも進むのですな?」

 

「はい。」

 

「では、共に事態の解決にご協力戴きます。」

 

 無力感に打ちひしがれるマグナ達はマイムとゼスタが連れだって部屋を出ていくのを見送るしかなかった。

 

 部屋を出る直前でマイムは振り返り言った。

 

「待っててください。頑張ってきます。どこまで出来るかわかりませんけどきっと皆で笑える様な結果を出してみせますから!」

 

 小声で誰にも聞こえないように言った言葉が続く。

 

(だから、私の帰る場所で居てください。まだまだ冒険し足りないんですから……。)

 

 

 

 扉は閉じられ外からの喧騒ばかりが響く室内。

 

 

 

「私達は待とう。マイムの決意を信じるしかない。これしかないんだ……。」

 

 寂しげに悔しげに呟いた言葉が重苦しい雰囲気の室内に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マイム様、まずはおめかししないとね。」

 

 

 私は今、たくさんのシスターさん達に取り囲まれている。

 

「うわーマイム様、髪さらっさらー。」

「ねえ見てよこれ、この肌!まるで赤ん坊みたいにきめ細かいわっ!」

「綺麗な髪……。まるで青空みたい。」

「モンクだって聞いてたけど、拳ダコも無いし細くて綺麗な指ね。」

「これで戦闘職だなんて信じられないわ……。だって何処にも擦り傷ひとつ無いもの。」

「はぁ、寿命が延びるわい。ありがたや……。」

 

 私よりも年下と思われる女の子からお婆さんのシスターさんまで様々だ。

 

 私に対してあーでもないこうでもないと様々なアクセサリーや色とりどりの服を持ち寄って私の髪や瞳の色に合うとか合わないとか取っ替え引っ替えしている。

 

「マイム様、じっとしててくださいね。採寸が終わり次第湯浴みしていただきますねー。」

 

 言われるがままされるがまま。目まぐるしく腕を上げたり下ろしたり右を向いたり左を向いたりと大忙しだ。

 

 

 どうしてこうなった。私は部屋を出てからの事を思い起こす。

 

 

 

 

「マイム様、立場には相応しい服装があることは理解していただけますな。民衆にはそういったもの一つでも印象変わるものなのです。ですので、今のままでも大変お美しく可憐でいらっしゃるが更に徹底的に磨きあげさせてもらいます。」

 

「え、は。はい。お化粧するとかそういうのですか?」

 

「そうです、そして勿論それだけではありません。それについては私よりもご婦人方の領分ですからな。この先で磨き上げられて貰います。その間に私は教団上層部で演説の台本の打ち合わせをしてきます。マイム様が頭を煩わす事はありませんから大丈夫です。」

 

 あ、そういう感じでいくんですね。私は台本通り演技するみたいな感じで良いんだ。良かったぁ……。ほんとよかったぁ。

 

「ささ、こちらです。お入りください。」

 

 ゼスタ様に連れられた私は所在なさげにポツンとたったままだ。

 

 周りの女性達は皆シスターの格好をしているが遠巻きに私を見たりひそひそと内緒話をしながら私を見つめている。

 率直にいってとても辛い。この女子特有のアレ。こっちを見てひそひそ話してるその様子が気になっても、男子はその輪に入れない感じという空気感のやつ。苦手です。

 

 どうやらゼスタ様は年配の女性に事情を説明しているようです。その間も私は好奇の視線に晒されている。辛っら、せめてなんか話しかけて欲しい。

 

 ゼスタ様の話は終わったようで、お婆さんが色々な人たちに指示を飛ばし一気に慌ただしくなってきた。

 

「お嬢ちゃんがマイム様だね?昨日は遠くからしか見えんかったけど、こうして近くで見たらほんとにアクア様に瓜二つで驚いたさね。」

 

 お婆さんが手を叩き注目を集めた。

 

「さあさあ、みんなよくお聞き!ここに居るマイム様をあたしらが徹底的に磨き上げるんだ。見ての通りすんごい素質を持ってるのに、全っ然活かせてない。このままの芋娘があたしらの上に立つだって?鼻で笑っちゃうさ。あたしらの力でこの芋女神を貧乳女神なんか霞むくらいの美人に仕立て上げなっ!さぁ!あたしらの全力で磨き上げてまずはこの街の民衆を骨抜きにしてやんな!」

 

 お婆さんが発破を掛け、周りのシスターさん達は弾かれた様に皆動き出した。

 

(芋……むすめ。いもめがみ……。いや、まあ。確かに活かせてないかもだけど、芋娘かぁ……。)

 正直、凄く凹んだ。この世界に来てから主にミアさんに教わって手入れしていたつもりだったんだけどなぁ。これが田舎と都会の差っていう奴なのかな。

 

 しょんぼりしていた私にお婆さんが声を掛けてきた。

 

「マイム様、あんたがちゃんと手入れしてるのは見てて分かるさ。でもね、所詮は素人の手入れさ。貴族や王族には比べるべくも無いさ。王族には劣るかもしれないけど、そんじょそこらの貴族になんて劣らぬ手入れでもっと輝けるさね。気落ちするもんじゃないさ、あたしらがミッチリ教え込むから今後はもっと普段から磨き上げられるってもんさ。」

 

「お、お手柔らかにお願いします。」

 

 パワフルなお婆さんに押され、そう返すのがやっとでした。

 

 

 そして、今に至る。回りはみーんな女の子。私も今は女の子。恥ずかしがってたら邪魔しちゃうから我慢してるけど、結構恥ずかしい。初対面の女の子達にあちこち触られ採寸され、瞳を覗き込まれ色合わせをされている。

 真剣な面持ちでやってるのが分かる子にはあんまり恥ずかしくないけど、キャーキャー言ってる女の子達には恥ずかしいって気持ちがある。

 もっとも、キャーキャー言ってるのは小さな女の子がほとんどなんだけど、時々私と変わらない位の子も混ざってて恥ずかしい。

 

 

 

「さぁ。マイム様、湯浴みの準備が整いましたのでこちらへお越しください。」

 

 お風呂……こういう時のってされるがままに洗われるやつだっけ。ってことは!

 

「あ、あのお風呂はじ、自分でやりますから!」

 

「だめでーす。マイム様は大人しく私たちに洗われてくださいな。ね?」

 

 ニッコリ笑顔と言い知れない威圧感を放つお姉さんの言葉に頷くことしか出来なかった。

 

 

「おおー、肌きれい。あたし貴族の女の子の世話してた事もあるんだけど、その子よりもずっときれいだし傷も荒れも全くないねー。すごーい。」

 

 言外に乾燥地帯、辺境じゃ言わずもがなろくな手入れも出来ないって思われているみたい。間違ってはいないけど、水の村で作られている化粧水も幾らかは流通しているし美肌効果のある薬草なんて物も流通していたりするんだけどね。

 とは言っても都会と比べたら効果の低い粗悪品って言われても仕方ない部分もあるんだけど。

 とはいえ、この場合。私の体質というか劣化アクア様といでもいうべきこの身体の特異性のせいなんだろうけど。どんな怪我も時間が経てば治癒されていくという特性のせいで小さな怪我すらも残らない。

 

「ま、アクア様のご加護って事で納得して貰えるといいんですけど。」

 

 さっきから色々な人に尋ねられているけど、私からはそうとしか言えない。だって他に説明のしようも無いし。でも同時に思う、劣化版の私でこれという事は本物のアクア様だったらどうなるんだろうなって。まぁ確かめようが無いんですけどね。

 

 

 身体を隅々まで洗われたりなんかトリートメン的なものを塗られたりマッサージされたりして、もう恥ずかしさが限界を越えて何も感じなくなってきたりした。

 そしてやっと終わったと思ったら、香油?だっけなんか良い香りの油を塗り込まれたり爪を整えられたりされ続けまだまだ終わりが見えない……。

 

「マイム様に似合う下着はどーれにしましょうねー。」

 

 まだまだお姉さん達のターンです。私は髪をドライヤーの様な効果の道具で半乾き状態にされタオル地のガウンを着せられ椅子に座らされています。

 お姉さん達は凄く楽しそうです、私はもう諦めの心境で心を無にしてじっとしているしかありません。

 

「マイム様にはやっぱり清楚な感じが良いよね。王道な白も良いけど、ここはサックスかなー。見えないところだからこそ気を抜いちゃダメなんだよねー。」

 

 私には薄い水色なことしか分からず、その微妙な差がよくわかりません。まぁでもアクア様ボディなら水色系統が似合うと思うので解釈一致ですから文句はありませんが。

 でもちょっとだけ、ちょっとだけですよ。選択肢から洩れちゃった薄いピンクも良いなって思ったりしましたけど。

 

「マイム様って結構あるから盛らなくても十分だけど、盛れるなら盛っといた方が良いよね?っていうか私が盛りたいから盛るね。」

 

 盛られました。何がというのは野暮というものです。女性は盛れるなら盛っておきたいらしいです。少し窮屈なので私はあんまり好きじゃないかなぁ。

 

 さて、やっと下着が決まりやっと全裸から下着を着る事ができました。いくらガウンを着ていても何も着けていない状態というのは落ち着かないものですね。やっと少しだけ落ち着きました。

 

 その手に持っているのは化粧道具ですか、全然わかりません。

 幼い頃、母が出掛ける前に化粧するのを見ていましたがなんか複雑な事をしているなと幼心に思ったものです。こちらに来てからは特に必要性を感じていなかった事もあり未経験です。

 宿でミアさんとリナさんが薄く化粧をするのを見ていたくらいで、自分で化粧をしようとは思わなかった事もあり、何をどうするのかも全然分かりません。

 

「マイム様にはあんまり濃い化粧は似合わないかな。薄く自然な仕上がりにーっていうよりも、うーん。このままの方が透明感があって化粧はむしろ蛇足なんだよね。」

 

 お姉さん達は悩んであーでもないこうでもないと相談し始めました。確かにこのままスッピンのままでも十分なんですが、私としてはせっかくだしという思いが首をもたげてきました。

 

「あのー、せっかくなので私にお化粧を教えてもらえませんか?下地でしたっけ?なんか基礎のところだけでもお願い出来ませんか?」

 

「んー、マイム様はぶっちゃけそのままの方が可愛いんだけどね。でもまぁたまには気分を変えたい時もあるかもね。ちょっと印象が変わるくらいなのは覚えててもいいかもね。」

 

 ということで、お化粧を少し教わりました。と言って時間もあんまりありませんのでほんの少しだけですが、要練習って事ですね。

 

 最終的に少し大人びて見える様なお化粧で決着しました。普段の私よりもアクア様に少し寄せた感じになりました。飾られていた肖像画のままと言った方が的確でしょうか。

 

 お化粧も終わり次は着替える事になりました。ここでもどこぞのお姫様みたいに次から次へと着せられていきました。いつもの服とは違いイメージ通りの青を基調とした聖女様って感じの衣装へと着替えさせられました。

 髪は結ったりせずにそのまま垂らす事になり、きっと風に吹かれたら髪と衣装が風にに靡き良い感じになりそうです。うん、観客目線で見たいですね。

 

 でもなんかこれで新しい肖像画が描かれそうなんですよね。そうなったら私に上書きされそうでなんか嫌なんですよね、オリジナルを汚すみたいで。二次創作は二次創作で好きにやるべきだけど、原典(オリジン)を侵すべきでないと思うんですよ。

 

 アクア様みたいになりたいとは思うけど、アクア様になりたいわけではないんです。

 

 

 この衣装等はさっき採寸して全速力で縫ったものだそうです。素人目には良くできていると思うんだけど、針子をしている方達からは見える部分だけはそれなりだけど見えない部分は全然だって嘆いていました。こんな物を着せるのが心苦しいと。

 

「いえ、そんな。こんな凄い衣装を短時間で作ってしまうなんて本当に凄い事だと思います。皆さんもこんな早朝から予定外だったでしょうに本当にありがとうございます。」

 

 私に出来ることはただ感謝することだけ。ここにいる人達は私には出来ない事を出来る人達で、私みたいに借り物の力なんかじゃなくて努力でここに居る人達。

 努力してここに居る事を許されているということ。私にはこの人達も、この人達だけじゃない皆が。

 

 諦めず努力する人全てが眩しい。

 

 境遇を言い訳に全てを諦めた自分自身と比べて、全力でこの世界を生きる全ての人が眩しくて憧れる。

 

 ズルをしてここに居る自分が近づくだなんて許されない事かもしれない。この危険な世界を自分の力で、時に人と手を取り合って進んできた人達に近づきたいと思ってしまう。自分に無い物を持つからこそ憧れ近づきたいと思う、でも憧れだなんて言っている私はやっぱり根本的に何かが足りず踏み出す事を躊躇してしまう。

 

 近づけないからこそ、眩しくて憧れるんだ。いつか、自分に自信が持てる日が来たらその時は……。私も輪に入れるかなぁ。

 

 

 特に指示が無いので周囲のシスターさん達と雑談をして時間を潰していたら、部屋に入ってきたシスターさんがお婆さんに耳打ちした。

 

「さあ!あたしらに出来る事は尽くしたね。こっから先はマイム様とゼスタ達次第だ。さあ、マイム様ここでヘタレたら芋女神のままだ、あたしらは全力を出した次はアンタが聖女、いや。民衆共の女神になってやるのさ。行ってきなっ!」

 

「はいっ!」

 

 私に掛けられた期待とプレッシャーはとても軽いとはい言えないけれど、同時に私の背中を押してくれる。優柔不断でぐずぐず悩む私だけど、期待に応えたいって思うから全力で頑張るしかない。

 

 

 私を迎えに来たシスターさんと部屋を出て次の場所へ向かう。今この瞬間も緊張はしているけれど、同時に胸の高鳴りを感じている。

 

 前に進まなきゃ。一歩ずつでも前に。

 

 

 

 

 




内容がその時の精神状態に引っ張られがちで不安定になります。
本文中で「何言ってんだコイツ」みたいな時は私自身がそんな状態なので、各人で脳内補完してください。
余裕があれば書き直すかも知れませんが、望み薄です。

基本的に書きたい事を優先するので、進行は遅いです。
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