私の休みは終わってしまったので、今後は短めで投稿するのが増えると思います。
あのあと、二人のお部屋に連行されてオモチャにされました。
女の子の髪型って色々有るんだなって思いました。でも私はポニーテール派です。サイドテールも悪くないけどポニーテール派なんです。
オモチャになったり、色々話聞いたりしてましたけど私には付いて行けない内容ばかりでした。経験値が足りません。女子力とか無いので。
クリエイト・ウォーターで水を出して布で身体を拭いて寝ました。リナさんと同じベッドで。幸か不幸か今の私には付いてないので何の問題もありません。マイサンとは永遠の別れを告げたのです。悲しくなんて、ないんだから…。
一夜明けて、宿で朝食を取り三人で一緒にギルドに行きました。ギルド内には掲示板を見ている人が数人と酒場で朝食を食べている人達が数人居るだけで閑散としています。
マグナさんはもう来ていました。
「マグナさんおはようございます。」
「三人ともおはよう。」
私達も席に着きました。
「今日の予定だが、村の外で常設依頼の砂狼を討伐しつつ、アクシズ教会へ行くぞ。」
アステールさんは危険だから関わるなって言ってたけど、良いのかな?
「都会のアクシズ教徒は危険人物ばかりだが、辺境のアクシズ教徒は関わり方を間違えなければそれほど害は無いぞ。」
疑問に思ったのが顔に出てたのかな。
「行けば分かるが、エリス教もアクシズ教も辺境では戒律等も緩くて割りと適当で良いとこ取りで運営してるから大した問題は無い。なんせ都会と違って細かい事を気にしてたら生きていけないからな。」
と、言うことは。今日はアクシズ教会に行ける、布教の第一歩と言う事だ。
アクシズ教への入信を希望している事をここで言うのはまだ不味いか。教会で告白しよう。
「さてと出発するとしよう。」
村の境界の柵を出て私達は立ち止まった。
アクシズ教会がある村へは徒歩だと半日ほど掛かる為、マグナさんの魔法により移動速度を上げてから行くそうだ。
「風よ。我が身を浮かべ、一陣の風と成せ。ウインドウォーカー!」
マグナさんが詠唱を終えると、つむじ風が私達一人一人の身体にまとわり着いて少しだけ身体が浮かび上がった。
「ウインドウォーカーの魔法だ。身体を浮かせ地面を滑るように移動出来るようになる。初めてだと少しコツがいるが慣らしながら向かうぞ。」
人間エアホッケーと言った感じ。
リナさんが横に着いて教えて貰いながら移動しているけど、ふわふわ浮きながら滑ってて急な制動が難しい。
「急に止まりたい時は進行方向と逆に重心を傾けると良いよ。」
アドバイスを貰うも、コレがなかなか難しい。どこにも掴まれずバランスを取る事そのものが難しい。
私が徐々に慣れてきたのが分かると段々ペースが上がってきた。しばらく歩いていると、先行していたミアさんが戻って来た。
「この先のくぼ地に砂狼が6、その付近でサンドスネークが2居る。」
偵察から帰って来たミアさんの報告を聞き、マグナさんが指示を出した。
「マイムは初戦闘だ。一度解除して戦うぞ。ミアは先行して陽動と狙撃で蛇を、リナはマイムの援護をしつつ狼だ。私がフレイムウィップで狼を牽制しておくから、二人で一匹ずつ確実に片付けろ。終わったら蛇を殺る。質問は?」
「具体的にはどうしたら良いんですか?」
三人は阿吽の呼吸で意志疎通してるけど、私はよくわからない。
「私が他の狼を近付けさせないからマイムはリナと狼を挟み撃ちにするんだ、落ち着いてやれば大丈夫だ。マイムなら一撃で倒す事も可能だろう。リナは狼の動きを阻害してマイムが攻撃する隙を作れ、危険を感じたらいつも通りやって良い。」
「わかりました。」
明確な指示でやっとわかった。
「あの岩まで来たら開始だ。タイミングはミアに任せた。」
「了解。」
ミアさんはまた先行していった。私達は岩に近付くと同時に魔法を解除して待機した。
「始まった。行くぞ。」
岩の裏から出て私とリナさんは走って端の方に居る狼に向かった。
「焔よ。束なり連ね一条の鞭と成れ。フレイムウィップ!」
タクトを引き抜くと同時に焔が一筋の線状となり、それを振るうと鞭の如くしなりマイム達に向かおうとした狼達の目の前を通り過ぎ地面を焼き焦がして行く。狼達は必然的にマグナに注意を引かれ、一匹だけが孤立する事になった。
「っし!」
リナさんが剣の背で狼の前足を払い体勢を崩させた。この、隙に。
「っせいっ!」
自然と掛け声が出る。拳を握り締め、左足を一歩前に出し身体を捻りながら拳を振り下ろした。狼の背後から背骨の横付近を殴りつけた。
一瞬、僅かな抵抗を感じたが拳はゴキともゴリィとも言える音を立ててめり込み、湿った音を出しながら狼の背中に突き刺さった。捻るようにして拳を引き抜くと、狼は声も上げず倒れた。口と私が殴りつけた穴から夥しい血を流し痙攣している。
私は一瞬、気を取られた。
「次行くよっ!」
リナさんの声で、我に返り気持ちを切り替えた。
横目でマグナさんの方を見ると焔の鞭を縦横無尽に振り、自身には狼を近付けずに狼達をあしらい動きを封じていた。私達に気付くと動きを変え自身の周囲から狼を追いやるように誘導し、一匹だけがこちらに向かうようにさせた。
そこからは一匹目と同じだった。リナさんが足払いか剣で殴打し私が背後から殴りつけ続けた。六匹目を倒し終えると、岩の周囲でのたうっている蛇の方へ向かった。蛇の体長は4mは有るだろうか。
蛇は何本も矢が刺さっているが、二匹は未だ健在だった。ミアさんが私達に気付くと一匹の頭を矢で居抜き絶命させた。
「マイム、波動拳でもう一匹を倒してみろ。私とリナは牽制だ。」
私は頷き、足を止め力を練った。
凝縮し過ぎず、でも弱すぎず。当てやすいように広げるイメージで。手のひらの熱を感じコントロールする。手を突き出し、撃ち出す。
「波動拳!!」
今回はスイカ位のサイズになった。蛇の頭よりも下に当たったが、内側から弾け蛇は胴体の半分程がバラバラに飛び散った。
今度は力が抜ける事もなく僅かな疲労感が有るだけだ。
「よくやったなマイム。初めてにしては上出来だ。」
マグナさんが近付いて来て、私の頭を撫でた。私の頭を撫でた。
私は撫でられるのが好き。両親の事を思い浮かべられるから。最後に撫でられたのは、祖母が亡くなる前だったかな。
「ありがとうございます。上手く行ったのは皆さんのおかげです。」
「当たり前だ。それがパーティーだからな。」
そう言ってくれたマグナさんの声が優しくて嬉しかった。
「やるじゃん、マイム。私の時よりもぜんぜん上手くやってたよ」
リナさんが後ろから肩を組みながら言ってきた。
「おめでとう、マイム。初めてでこれだけ動けたなら十分にやっていけるわ。」
ミアさんも岩から下りて来て言った。
「さて、怪我も無く戦闘を終えられた。マイム、私達のパーティーでの基本戦術はこんな感じだ。メンバーによって多少変わるが、基本は陽動と各個撃破だ。あとはその都度指示を出す。目的地までは残り半分くらいだから、もう少し頑張ってくれ。」
再びマグナさんが魔法を掛け直し出発した。お昼前には着きたいからと、今度は最初から早めのペースだ。
我ながらなかなか幸先の良いスタートなんじゃないかなこれは。
詠唱を考える時は、眠りに着いた私の中二心が疼く。
今回は初めての戦いと初めての仕事です。