追記
サブタイトルを変更しました。
再出発後は狼が12、蛇が9の討伐となった。同じような戦法を繰り返して危なげなくこなせた。三回目からは浮遊したままでも戦えるようになった。
この辺りでは餌があまり無いせいで砂狼とサンドスネークが多く、大型のモンスターは滅多に見掛け無いそうで今日は訓練の意味合いが強いと言われました。
まだ冒険者カードを見ていないけど、どのくらい経験値が貯まってるのか見るのが楽しみだな。
「もうじき目的地だ。」
さっきから段々と緑が増えて来ている。川に近付いているらしく草原とは言わないけど、所々草むらを見掛けるようになってきた。
「これから行く場所は通称、水の村と呼ばれている。辺境でもっとも多くのアクシズ教徒が居住しているが下手に刺激しなければ大丈夫だ。彼らが話し始めたら相槌や声を掛けず聞き流せ。」
それは、どうなんだろう。面と向かって無視するのはちょっと抵抗がある。
「どうしてですか?」
わからない事は聞く。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥って教わったし。
「話を聞く姿勢を見せると他のアクシズ教徒も集まって来て、自分達の信仰を語り出して鬱陶しいからだ。ここの連中は信仰の押し売りはしてこないが、自分達の信仰を語り聞かせる事を生き甲斐にしてる様な変人ばかりだ。無駄に時間も喰うしその場から動けなくなるぞ。」
見知らぬ人に囲まれるのは嫌だなぁ。
「ちょっとマグナ。それは心外ね。私達は当たり前の事しか言ってないわ。生けるものは全てが水を必要とし、水が無ければ死ぬ。水に感謝をして女神アクアの慈悲に祈りを捧げ、日々を生きる。幸運なんて無くても死なないけど、女神アクアの恩寵にすがらねば生きられぬ定命の者として女神アクアを信仰するのは当然の事じゃない。」
ミアさんってもしかして。
「ああ、普段意識しないから忘れてた。ミアもアクシズ教徒だったな。」
げんなりした顔でマグナさんが言った。
「ちょっと!私はアクシズ教徒だけど、享楽派のクズ共と一緒にしないでよ! 私達、原始派は自然の恵みに感謝を捧げ女神アクアを真に信仰する真なるアクシズ教徒よ。教義に胡座をかき好き勝手するだけで日々の恵みに感謝を捧げない奴等とは違うわっ!」
えーと、アニミズムだっけ。自然とかあらゆる物に魂が宿るとして信仰するのって。言ってる事は間違ってないと思うんだけどなぁ。
「マイム、これだ。あの村のアクシズ教徒は全員こんな感じだ。否定も肯定もするな、話が長くなる。」
「?言ってる事は間違ってないと思うんですけど?」
「そう言う問題じゃ無くてだな。」
「そうよ。私達は何も間違ってないわ!マイムは分かってるわ、その髪、その目、その力。女神アクアの御加護に違いないわ。あなたはアクシズ教に入信すべきだわ。」
さっきまでのミアさんと印象が全然違う…。すっごい食い付いて来るなぁ。
「ああ、もう! だからアクシズ教徒は嫌なんだっ。今すぐその口を閉じろ、パーティー内での勧誘は止めろ。信仰の自由は誰にでも有るんだ!マイム、どこの神を信じるも信じないも自分で決めろ。親兄弟や友人知人が何を言っても無視しろ、自分の心のままでいるんだ!」
マグナさんも熱くなってて、収集が着かないよ…。トラウマでも有るのかな。
「はぁ、コレが無きゃマグナもミアも仲が良いんだけどね。」
リナさんが頭を振りながらため息をついた。
「ねえ、マイム。あなたが何を信仰しようと問わないけど、パーティーで宗教の話はご法度でお願いね。普段はマグナもミアも口にしないんだけど、ちょっと口が滑っちゃっただけだから忘れてあげて。」
リナさんは悲しそうにため息をついた。
「はい…。」
この世界でも宗教対立が有るんだ…。仲間同士で喧嘩してるのは見たく無いや。
「ミアもマグナもそのへんにしときなよ、マイムが怖がってるのが分かんないの?そういう問答は後でやりなよ。」
リナさんは素っ気なく言ってるけど怒ってるのが分かる。
「行くんでしょ、教会。司祭様相手に三人で問答してりゃ良いでしょ、嫌なの?マグナ。」
あ、すごい怒ってるや…。
「わかった、わかったから。私が悪かった。すまないマイム、リナ。熱くなりすぎた。」
マグナさんが私達に謝ったけど、リナさんはミアさんにアゴでしゃくって促している。
「ミアは?」
「私は、悪くないわよ。マグナがみんなを馬鹿にしたのが許せなかったのよ。マイムに入信を勧めたのも本音よ、強制はしないけど…。」
「……(イラッ)」
「パーティー内で勧誘したのは悪かったわ、ごめんなさい。」
リナさんは頷き納得したようだ。一番怖いのはリナさんだと思う…。
「この話はこれでおしまい。さ、いつもの二人に戻ってよ。」
しばらく無言で歩き続けた。空気が重苦しい。
「村に入ったら真っ直ぐに教会に向かう。足を止めるなよ。」
マグナさんがそう言い、ミアさんも頷いていた。
村に入った途端に。
「ようこそアクア様への祈りを捧ぐ水の村へ。入信ですか?観光ですか?商いですか?入信ですよね。いい加減入信しろよマグナ、入信したら色々割引するからさぁ。」
私達は無言で通り過ぎて行く、マグナさんの知り合いなのかな。
ん?なんか向こうが騒がしい。口笛を吹いてる人や歓声を上げてる人が居る。つい顔を向けようとしたら。
「マイム、後だ。興味が有るなら後でミアに案内してもらえ。」
前を向き直す事にした。
「私はここの出身だから村中どこでも案内してあげるわ。」
ミアさんの故郷だったのか。
「もうじき教会だ。」
通りを歩き、真ん中に石碑が有る広場を抜けた先にそれはあった。
真っ青に塗られた屋根と白い壁、アクシズ教のシンボルが屋根に掲げられていた。なんとなく教会のイメージ通りだけど、建っている場所が違った。
川の中に建っている。川底から柱が伸び、その上に教会が建てられていた。教会へは橋を渡って行くようだけど、その橋の床板が一枚飛ばしで敷かれている。
「毎度思うが、なんでこんな配置なんだ。」
マグナさんがぼやき。
「それに関しては同感ね。子供の時に何度も落ちそうになって怖かったわ。」
ミアさんも同意していた。いや、単純に危ないじゃん。
「足元に気を付けろよ。お前らなら落ちはしないがだろうが板で打つと痛いからな。」
片足だけ踏み外したら、股関節か太ももを強打しそうで普通に怖い。恐る恐る橋を渡った。
なんとか橋を渡りきり、教会へと足を踏み入れた。
「ようこそ、真なるアクシズ教の聖地へ!」
白くて所々に銀や青で装飾が付けられたローブを纏った老人が出迎えた。歳は70近くだろうか。白髪で豊かな髭を蓄えた優しそうな方だ。
マグナさんが小声でボソッと「自称聖地な」と言ってた。
「そこに居るのは不信心者のマグナと我が同胞と渇きの地の民だな。そこのお嬢さんは初めてましてだなっ!儂はリムタス、この原始派アクシズ教会の司祭を務めておる。名を伺ってもよいかね、お嬢さん。」
「私はマイムです。」
「マイムか、良い名だ。何処かの言葉で水を意味する言葉だったはず。その青き髪と相まって、まるで女神アクア様を彷彿とさせる。ようこそマイムよ、そなたにはきっとアクア様の御加護が有るのだろう。」
意味を知ってる人が居た。それに私がアクア様を彷彿とさせるだなんて、嬉しい。
「して、今日は如何なる用だ?また聖水か?たまには説教でも聞いて行け。渇きの地に住まうなら、水が如何に尊いか実感しているだろう。アクア様に祈りを捧げる事を何故拒む?」
「強要された祈りに意味は有るのか?誰にだって何を信じるかの自由は有るはずだ。」
「相変わらず頑固な奴だ。そんなんだから未だに独身なんだぞ、さっさと身を固めろ。大地に根付き子を育てよ。全ては繋がっている。水も空も大地も、もちろん人もだ。水は命を育み空は恵みの水をもたらせ、大地は恵みを実らす。人も自然の一部だ。いつまで引き摺っておる、お前の両親も悲しむぞ。」
マグナさんが吠えた。
「両親の話は止めろ!あいつ等はどうでも良い、あんただってあいつ等の事は嫌いだろう!」
「儂も人間としては嫌いだな。大嫌いだ、享楽派は視界に入れたくもない。だが人の親としては分かる所も有る。あれらが歩み寄るのは無理だな絶望的だ。だがあいつ等ももう歳だ、喧嘩別れでいつ永遠の別れを迎えるか分からんだろう。分かり合えんでも良い、話し合え。」
「アクシズ教は全てを受け入れる。例えどんな結果になろうとも受け入れるだろうさ。さて、本日の用向きは聖水だな?いつもの奴なら自分で汲め。寄進箱はいつもの所だ。」
事情はわからないけど、聞いたらいけない奴だ。
「さて、マイムよ。そなたからは迷いと決意を感じる。儂に話してみなさい。きっと答えを出す手助けが出来るだろう。」
お見通し、かぁ。隠しているのも嫌だし言ってしまおう。
「私はアクシズ教に入信する為に来ました。私はとある事情で死に瀕し、このままでは死ぬ所をアクア様に救われました。自由に動かない身体、家族は皆死に私だけが生き残り親類に引き取られても居場所は無かった。せっかく生き残れたのに今度こそ死を迎える時にアクア様にお会いしたのです。そして自由に動かせる身体をそして新天地への道を与えられたんです。信じて貰えなくても良いです。私はアクア様に誓ったんです。大恩を返す為にアクア様の尊さを布教する旅に出ると。」
涙が流れ、涙声になっていく。
「ギルドでアステールさんからはアクシズ教には関わるなって言われて、でも私の使命だぢ…。私はアクア様の写し身を頂いたんです…私は恩を仇で返す様な人には…なりたくなくて…だから私は…第一歩として入信したいのです。」
言葉がまとまらない。上手く伝えられない。
「儂は信じる、全てを。魔道具や看破に頼らずとも嘘は無いと確信しておる。よく話してくれた。世間は儂等の事を狂信的で頭が狂っていると言う者も多い。事実そういった者も存在する。その中で自身がアクシズ教に入信したいと告白するのは勇気がいる事だ。」
リムタスさんは私に近づき涙を拭った。
「勇敢なる少女よ。アクシズ教への入信を歓迎する。我らアクシズ教は全てを受け入れる。」
「アクシズ教教義その一。アクシズ教徒はやれば出来る、出来る子達なのだから上手く行かなくてもあなたのせいじゃない。上手くいかないのは世間が悪い。自分で何もかもを背負う必要は無い、自分ではどうしようもない運命という物もある。」
「アクシズ教教義その二。真面目に生きても頑張らないまま生きても明日は何が起こるかわからない。わからない明日より、確かな今を全力で生きなさい。今、君には仲間が居る。そしてアクシズ教徒の同胞が居る。周りの者達を頼って良いから今を全力で生きなさい。」
「アクシズ教教義その三。汝何かの事で悩むなら、今を楽しく生きなさい、楽な方へと流されなさい。自分を抑えず本能のままに生きなさい。悩み苦しむばかりの人生は辛いばかりだ。自分を解放する事も時には必要じゃ。」
「アクシズ教教義その四。汝、我慢する事なかれ。飲みたい気分の時に飲み、食べたい気分の時に食べるがいい。明日もそれが食べられるとは限らないのだから。この乾いた大地では明日の命も危うい、だから我慢をしてはいけない。今ある恵みを享受しなさい。」
「アクシズ教教義その五。犯罪で無ければ何をしてもいい。因果応報と言う言葉が有る、しても良いが自分や大事な人に振りかかる事も有るだろう、大きな自由の中でも自分を見失ってはいけない。」
「アクシズ教教義その六。悪魔殺すべし、魔王しばくべし。小さな悪事を見逃せばより大きな悪事へと繋がるだろう。人を堕落させる邪悪なる者共は滅ぼさねばならぬ。人々を脅かす魔王は懲らしめねばならぬ。人と世界の平穏の為に。」
「アクシズ教教義その七。嫌な事からは逃げればいい。逃げるのは負けじゃない。逃げるが勝ちと言う言葉が有るのだから。生きてさえいれば次が有る。みっともなく逃げ出しても良い、最後に生き残った者こそが勝者じゃ。」
「アクシズ教教義その八。迷った末に出した答えはどちらを選んでも後悔するもの。どうせ後悔するのなら、今が楽な方を選びなさい。迷えば迷うほど時間を浪費するしどうせ後で、ああすればこうすればと思うじゃろう?だったら楽な方を選べば良い、間違ってたら次に頑張れば良い。」
「アクシズ教教義その九。汝、老後を恐れるなかれ。未来のあなたが笑っているか、それは神すらもわからない。なら、今だけでも笑いなさい。恐れるだけでは進めない、ならば笑いながら共に歩めばよい。」
聞き終え、涙が止まらない。肯定された。ずっと否定され続けてきた私の全てを肯定してくれている。リムタスさんのハンカチは私の涙でグショグショになってしまっている。私の頭を優しく撫でる手が少しくすぐったいけど嬉しい。
「アクシズ教教義その十。」
「同性愛者であったりニートであったり、人外獣耳少女愛好家であったりロリコンであったとしてもアンデッド悪魔っ子以外なら愛があり、全てが赦される。愛があれば種族も性別も信教も年齢もすべて関係無い。そう愛さえあれば、年齢は関係無い。」
なんか、手つきが変わって来たんだけど…。首の方に手が…。なんかちょっと嫌なんだけど。
「離せセクハラ爺!」
後ろから抱き締められるように引っ張られた。私はミアさんに抱き締められてる?
「マグナが居ない隙に、優しい言葉で油断させてセクハラするとかほんとゴミね。大丈夫マイム?もう大丈夫だからね。」
ミアさんに強く抱き締められて声を掛けられた。
「震えちゃってるね。もう大丈夫よ。そこのセクハラ爺はマグナに任せてこんな所は出ましょう。行くわよリナ。」
「待ちたまえ。ちょっとしたお茶目だろう。老い先短い老人の「ふざけんな!」」
「行こう。」
ミアさんと手を繋いだままで教会を出た。
三人が出ていくと入れ替わりで、マグナがリムタスの背後に立った。
「さて、物理的に二枚舌にでもしてあげましょうか?幸いここには浄化の聖水もポーションも沢山有りますし、ね?」
三人は広場に戻ってきた。
「ったく、あのエロ爺油断も隙も無いわ。」
「司祭様は真面目な時とどうしようもない時が有るからねぇ。私の時は即座に脛に蹴りを入れたっけ。」
「リナさんは反撃したんだ、私はお爺さんを蹴るのはちょっと抵抗があるなぁ。」
いくら何でも70近くのお爺さんに暴力を振るうのは良く無いと思う。
「甘いわ。あの爺はレベル42のアークプリーストなのよ、ちょっと蹴ったり殴ったりしたくらいじゃビクともしないわよ。」
レベル42かぁ、そう言えば私のレベルはどうなったかな。
「真面目なままで居りゃ良いのに、余計な事してくれるわ。」
ほんとそう。
「私達はアクア様の恩寵に感謝を捧げ仕え、教えを広めていくのよ。あのエロ爺みたいなのばっかりじゃないからね。教団に伝えられている様々な逸話を聞けば、マイムもアクア様がどれだけ優しくて思いやりに満ちた方か分かるはずよ。アクア様を敬い仕えれば色々な意味で人生が劇的に変わるわ。」
私はミアさんを信じる、ロリコン爺なんて忘れよう。
「それじゃ村の中を見て回ろうかミア?今日は何かやってたりするの?」
さっきの歓声とか私も気になってた。
歓声がしていた方に歩くと、異様な光景が広がっていた。
「アレはアクア様への愛を試す試練なのよ。水を渇望し心の底から望む事。それは則ち、アクア様を心の底から愛する事。心の底から水を渇望する為にはどうすれば良いと思う?簡単よ激辛料理を口にし耐え続ける事よ。苦痛が極限に達するまで水を渇望しつつも手を着けないようにする事で己を高めるのよ。」
ちょっと、わからなくなってきた。
老若男女様々な人が試練?をしていた。テーブルが幾つも置かれ、皿に赤い何かが置いてある。その赤い何かを震える手で口に入れ、うめき声を上げながら咀嚼していた。涙を流し噎せながらも飲み込もうとしている。拳を握り締めテーブルに突っ伏して耐えようとしている人も居る。そんな人々を周りの住民は口笛や歓声、野次を飛ばして盛り上がっている。
「うわぁ…。我慢大会してる…。」
ちょっと期待していたのとは別の光景だった、見ているだけで辛いや。
「夏は極限まで暑さに耐える試練をするわ。アクシズ教の教義では辛い事から逃げても良いわ、でも逃げずに立ち向かい水を極限まで渇望した者はアクア様を心の底から愛していると言う何にも変えがたい信仰の証明になるのよ。」
私もリナさんも絶句している。変わった風習が有るんだね…。
「ミアさんもやったんですか?」
「私?やらないわよ。嫌よあんなしんどいのは、周りで野次馬してる方が楽しいもの。アレは信仰に狂った馬鹿を見て楽しむのが賢いわ。だいたい冒険者になってからは普段から水が無くて苦しんでるんだもの。私はいつだって水を渇望しアクア様への愛を捧げているわ。だから辺境の住民は皆、潜在的にアクア様への愛を捧げているのよ。水を渇望する日々の生活それその物がアクア様の愛を渇望しているのよ。」
リナさんは言う。エリス教徒もアクシズ教徒も関係無く、人も動物も植物も更にはモンスターでさえも水を渇望しアクア様の愛を渇望しているのだと言う。
ちょっと拡大し過ぎじゃないのかなぁ。でもミアさんはすごく楽しそうに話してる。過酷な生活が愛を育んでいるのと、蕩けそうな笑みを浮かべて主張している。
「ミアはこういう子だから。愛を語るのは良いけどもうちょい方向性を変えてくれたらね…。でも普段はしっかりしてて良い子なんだよ。」
リナさんが私の肩を叩きながら言う。今はちょっと目がイッてるけど、優しい人なのは分かってるから大丈夫。好きな事を語る時は周りが見えなくなるものしょうがないよ、多少は。
「さあ!次はどこへ行く?私が色々案内するわ。」
その後リナさんの案内であちこち行った。活気がある村で子供も大人もみんな笑顔が溢れてる。誰もが水が入った瓶や革の水筒を持ち歩いている不思議な村だった。常にアクア様(水)と共に在る為に水を持ち歩いているそうだ。
変わってるけど、教会以外ならまた来たいって思いました。
村の門の所で待っていると、マグナさんがやって来た。私に小瓶を幾つかとポーチや革袋の着いた革のベルトを手渡してきた。迷惑料がてらエロ司祭から貰って来たと言われた。瓶は聖水とポーションだった。
私はポーションを手に入れた!
私は聖水を手に入れた!
脳内で「ごまだれー」と、鳴り響き頭上に掲げたい衝動にかられたけど、我慢した。ベルトを手に入れやっと冒険者らしくなった。今日は間に合わないからと昨日と装備が変わってなかったけど、アイテムを持ち歩くベルトを手に入れてみんなとお揃いになった。貰ったナイフも持ち歩けないからリナさんに預かって貰ってたので受け取った、これで私も冒険者だ!
「これでお揃いですね!」
何故かリナさんが優しい目をして私を撫でた。何故に?
「胸甲も注文してあるから、明日には受け取れるだろう。帰りも気を付けて帰るんだぞ。」
門から離れた所でウインドウォーカーを掛け、帰路に就いた。帰りはモンスターに遭遇せずに帰る事が出来、そのままギルドに直行した。
ギルドに着くと私達は受付に行き討伐数の報告をして報酬を等分した。一匹辺り狼は4000エリス、蛇は3000エリスだった。端数はパーティーの予算に渡し、2万6000エリスを受け取った。初めて自分で稼いだお金だ。感動する。
レベルは2に上がっていた。上級職はレベルが上がるのが遅いらしいけど、その分のステータス上昇率は大きいそうだ。ちなみに知力も幸運も上がってない。
「今日はここで解散だ。私はちょっと用事が出来た。」
受付が終わるとマグナさんは帰って行き、私達は酒場に向かった。とりあえず、とネロイドのシャワシャワと今日のおすすめを注文した。リナさんはクリムゾンビアと言うのを注文した。ビアと聞くとビールだけどここでもビールなのかそれとも得体の知れない何かなのか。
「マイムにはクリムゾンビアはまだ早いよ。でも一口だけ飲んでみるぅ?」
興味が有るのがバレてしまった。
「今日はマイムの初めての戦闘だったけどどうだった?」
「緊張したけど、終わってみれば割りと大丈夫でした。」
初めてこの手で命を奪った。でもそれはモンスターだからで、もしそれが盗賊とか人間だったら私は戦えるのだろうか。
「人間だったら、って思ってる?大丈夫よこの辺りには盗賊は居ないから。何せ何にも無いから奪いようが無いもの。それに必死になれば人間何とでもなるわ、アクシズ教徒は出来る子よ。だから大丈夫。」
注文したシャワシャワとクリムゾンビアが来た。
「じゃあ、今日はお疲れ!乾杯!」
乾杯した後、クリムゾンビアを一口飲んだ。苦い、たぶんビールと一緒だ。私は無理。
「マイムにはやっぱり早いかぁ。甘いのが良い?」
「私は甘いのが良いです。」
ほっぺたを指で突っつかないで。
今日のおすすめは何かなっと待ちつつ。冒険者生活二日目が終わっていく。
まだ始まったばかりだけど、優しい人達に囲まれて私は幸せです。
ありがとうございます、アクア様。今日も幸せに過ごせたのはアクア様のお陰です。こんな日々が続いて行く事を祈っています。
アクシズ教の教義って間違った事は言って無いけど、良くも悪くもどこまでも拡大解釈で好き勝手出来てしまうと思うんです。
解釈が違っても、アクシズ教はアクシズ教でした。ひたすら前向きでへこたれない強靭な精神力を持った人々です。
リムタス氏は派閥争いに敗れ辺境へ追いやられました。辺境に来ても諦め無い強靭な心でしっかりとアクシズ教は根付き、じわじわと布教して行ってます。いつの日か全てを飲み込みアクシズ教の主流となれるように。
承認欲求って人それぞれだけど、大なり小なりあると思います。