東方煙焔記   作:Amaryllis___

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レミリア戦ですよ。
思ってたより戦闘表現が難しいっすわ。


永遠に紅い幼き月

「オイオイまじかよ…」

 

 

オレの前には黒き両翼を広げ、威厳に満ちた吸血鬼が立っている。

レミリアの目の色はより一層紅くなり、完全に覚悟を決めた目をしていた。

 

レミリアは再び、右手で赤い魔力を凝縮させて赤い槍を創り出した。

 

 

レミリア「槍を投げるだけだと思ったら大間違いだ。」

 

 

手馴れた手つきでバトンのように槍を振り回し、レミリアはオレに槍を突きつけてきた。

 

 

「…おもしろくなってきたなァ…!!!」

 

 

久々に命がかかった戦いが始まるということでオレは興奮してきた。

やはり根っからの喧嘩太郎だということだ。

 

 

レミリア「いくぞッ!!」

 

 

レミリアは高く飛び上がり、オレに槍を突き立てるように着地した。

FFの“ジャンプ”のような感じだ。

 

って解説しとる場合か。

間一髪、後ろに飛んで回避した。

もちろん槍が直撃した床面は砕けている。

 

 

「ッッぶねぇ!?!?竜騎士じゃねぇんだから!」

 

 

レミリア「竜騎士…?まぁいい。」

 

 

休む暇もなく、レミリアは素早い刺突を繰り出してきた。

咄嗟に魔力で鉄パイプのような物を形成し、これをいなした。

日頃の特訓の賜物だ。ありがとうパチュリー。

 

 

「根比べといこうかァ…!」

 

 

レミリアが槍を横に凪ぎ、それをパイプでいなす。

パチュリーから貰った魔力が膨大であったため、その魔力を結集させて形成したパイプには傷一つつかない。

 

レミリアとオレの筋力が拮抗し、良い具合の戦闘が生まれている。

 

 

楽しい。

 

 

やはりオレは喧嘩太郎。

こういう時はかなりテンションが上がってしまう。テンアゲってやつだ。

 

 

「オラオラオラオラァ!!!打ってこい打ってこい!!!」

 

 

槍とパイプを打ち合う金属音が連続で響き渡る。

 

 

レミリア「…ッ」

 

 

極度のテンションアップのせいでレミリアへの攻撃が強めになり、実質オレのターンが始まった。

オレが攻撃をし、レミリアはそれを弾く。それの繰り返しだ。

 

だが、同じことの繰り返しでうんざりしたのだろう。

オレが強くパイプを振り下ろした時、レミリアは槍で弾かずに後ろに飛んで距離をとった。

すかさず距離を詰めようと前に出ると、レミリアは槍を投げてきた。

 

レミリアが投げる槍はかなり速く、一瞬身が震えるほどだ。

咄嗟にパイプで受け止め、弾いた。

槍を受けたことでオレの動きが止まり、レミリアが魔法を発動するのに十分な距離を取らせてしまった。

 

 

レミリア「紅魔の王を舐めるなよ。」

 

 

レミリアが手を横に広げ、赤い魔方陣がいくらか展開された。

その瞬間、その魔方陣から赤い魔力の弾が連続で発射された。

 

 

「魔弾って奴か?T.M.Rev○lutionじゃねえんだから…」

 

 

「ってそんなん言ってる場合じゃねェ!」

 

 

ギリギリで身を捩り、魔弾を無理やり回避した。

対象を失った魔弾は床面に直撃し、また瓦礫を生み出した。

 

 

「相変わらずイカれた威力だぜ…」

 

 

レミリア「よそ見している場合か?」

 

 

「!…ッテェ!!」

 

 

一瞬気を抜いてしまったのが災いし、続けて発射された魔弾がオレの右足と左肩を撃ち抜いた。

傷はそこまで深くないが、衝撃で体制を崩してしまった。

 

 

「…ッ!隙を…ッ!」

 

 

レミリア「もう遅い。」

 

 

再び発射されたレミリアの魔弾がオレを貫こうと迫ってくる。

だが、忘れてはいけない。オレには能力があるのだ。

レミリアの攻撃によって生まれた瓦礫を幾つか能力で飛ばし、瓦礫と魔弾を相殺させた。

 

 

レミリア「随分と能力を使いこなしてるじゃないか。」

 

 

しかしレミリアに動揺した様子はない。

むしろオレが能力で魔弾を打ち消すのを予測していたようだ。

運命を視たのだろうか、相変わらず規格外な存在だ。

 

 

「フン!土魔法、ストーンだッ!」

 

 

レミリア「ほざけ、瓦礫を飛ばしただけだろう。」

 

 

バレたか。

魔弾での攻撃が一段落ついたので、オレはレミリアに走り寄って飛び蹴りを食らわせた。

流石にこれは予想外だったのか、レミリアは蹴りをモロ腹に受けた…

 

ように見えたが、蹴りが直撃する瞬間、バックステップをとって衝撃を和らげたようだった。

 

 

レミリア「妙な格闘術だな、これは自己流か?」

 

 

「ただの喧嘩術さね。」

 

 

ここからは攻撃、防御、攻撃、防御……これの繰り返しだ。

レミリアが槍を振り下ろせば、オレはパイプを振り上げて弾く。

オレがパイプを横に振れば、レミリアは槍を縦にして防ぐ。

この攻防に最初に変化を与えたのはレミリアだった。

 

レミリアは突然飛び上がり、空中で無数の槍を創り出した。

 

 

レミリア「どうせ死ぬならば華麗に散りたいだろう?」

 

 

「テメェまさかとは思うが…」

 

 

とてつもなく嫌な予感。

こういう予感ってのはだいたい当たるもので。

 

 

レミリア「…そのまさかだ。」

 

 

レミリアは無数の槍をオレに向けて魔法力で飛ばしてきた。

赤い槍の雨がオレに降り注ぐ。

 

レミリア「そうだな…“ブラッドルイン”とでも名付けておくか?」

 

 

「センスねェなオイ…!チッ…、やるしかねェか…!」

 

 

周囲の瓦礫も先程使ってしまった。

自信はないが、魔力と能力を掛け合わせるしかないようだ。

オレはレミリアとは違って、無数のドスを創り出した。

 

 

「これ、結構集中力いるんだよなァ…」

 

 

練習の成果をここで見せるときだ。

 

創り出した無数のドスを、オレに向けて飛んでくる槍に当たるように飛ばす。

軽い頭痛を起こしながらも、全てを飛ばすことに成功。

ドスは何個か槍に直撃して槍と相殺したが、槍はまだ幾つか残っている。

 

 

レミリア「…やはり未熟だったか。」

 

 

「ほざけ、予想通りよ。」

 

 

槍が迫り来る中で、今度は篭手を創り出した。

右手を硬い鎧が包む。

 

 

「オラァッ!!!」

 

 

その硬くなった右手で握り拳をつくり、眼前まできていた槍に向けて拳をぶつけた。

 

本気の右ストレート。

これが喧嘩であれば“止めの一撃”になるものだ。

 

赤い飛沫。

その場を見ていれば、誰もがオレの血飛沫だと思うだろう。

だがこれは違う。

 

 

レミリア「…ッ!!」

 

 

赤い飛沫の正体は、レミリアが放った“スピア・ザ・グングニル”であった。

オレの拳がレミリアの槍を砕いたのだ。

これには流石のレミリアも驚きを隠せていなかった。

 

ここですかさず、オレは足に力を込めて跳躍。

レミリアに詰め寄って右腕を大きく引いた。

 

 

レミリア「ッ!しまっ…ッ!?」

 

 

「悪ィな、覚悟があってもオレは殺せないらしいわ。」

 

 

大きく引いた右腕を思いっきり前に押し出す。

オレの本気の拳はとてつもない衝撃波を起こした。

その衝撃によってレミリアは勢いよく吹っ飛び、何度かバウンドして床面に打ち付けられた。

 

 

「…死んじゃいねェよな。」

 

 

レミリアは動かない。

玉座の間に立ち込める砂煙のせいでレミリアのシルエットしか見えないのだ。

心配していると、シルエットが起き上がった。

 

 

レミリア「舐められたものだ。あれだけ本気で拳を突き出しておいて、直撃させないとはな。」

 

 

「ケッ、子供を本気で殴るほど落ちぶれちゃいねェよ。」

 

 

レミリア「誰が子供だ。」

 

 

「見た目は子供だろうよ。」

 

 

砂煙が晴れ、ガラクタまみれになった玉座の間に傷だらけのレミリアが現れた。

 

オレは先程、レミリアに向けて本気で拳を突き出した。

しかし、それをレミリアに当てる事はしなかった。というよりは出来なかった。

そもそも女に手をあげることさえ躊躇うのに、見た目が幼いレミリアの顔面など殴れるはずがないだろう。

 

それでも衝撃は充分だったようで、レミリアはかなりの勢いで吹っ飛んだ。

だからレミリアは傷だらけなのである。

 

傷だらけのレミリアは再び赤い槍を形成し、オレに槍を向けてきた。

 

 

「なンだよ、まだやんのか?」

 

 

レミリア「………。」

 

 

レミリアは何も語らない。

だがやはり、何かを言いたそうにしていた。

 

このまま攻撃してくることは無いだろう。そう思ったオレは警戒心は解かずに煙草を取り出し、ジッポライターで火をつけた。

 

息の上がった状態では少々堪えるが、相も変わらず冷たい害煙はオレの心を満たした。

 

一応命がかかった戦いの最中であるにも関わらず喫煙を嗜むオレに何を思ったわけでもなく、顔を上げたレミリアは漸く口を開いた。

 

その目はいつも通りに戻っている。

 

 

レミリア「…わかった、今回の件は貴方に預けるわ。」

 

 

「おぉ、そうかいそうかい。そりゃ嬉しい限りよ。」

 

 

「でもね…」とレミリアは一言付け足した。

 

 

レミリア「フランとの(遊び)には、この戦いとは比べ物にならない程の痛みが伴うわ。」

 

 

レミリアの表情が少し引き攣っている。

その表情に宿るは悔しさか、不安か。

だが、オレを心配していたのは確かだった。

 

 

「全部覚悟の上よ、あまりオレを舐めんじゃねェぞ?」

 

 

レミリア「そう…そうね、貴方は私に勝ったものね。」

 

 

「…フン、そもそもハナからオレを殺す気なんて無かったろ。全部予想通り、そうだろ?」

 

 

レミリア「…全てお見通しなのね。でも殺す気が無かったとはいえ、私は本気で戦ったわよ。貴方の実力は確かめられたわ。」

 

 

「…ケッ!オレはもう行くぜ。指くわえて待ってな!」

 

 

レミリア「えぇ、期待しているわ。」

 

 

レミリアは微笑みながら、玉座の間を後にするオレを見送った。

 

 

レミリア「これも…全て運命が導くまま…。」

 

 

玉座の間を出て廊下を歩きながら、さっきまでのレミリアの表情を思い出した。

 

レミリアの威厳がありながらも、どこか苦さを感じる表情。

 

まるでそれは、戦争に行く息子を見送る母のように。

あるいは死にゆく父を見守る娘のように。

レミリアの表情は酷く辛そうであった。

 

 

「“紅魔の王”がなんつー顔してんだよ…」

 

 

本気を出した(実際はわからないが)“紅魔の王”をオレは退けたのだ。

自分で言うのもアレだが、そこまでの男を信用しないというのはどういうわけなのだろう。

 

いや、信用していないわけではないのか。

ただ、心配なのだろう。

運命を視れることから、やはりレミリアはオレの事をかなり知っているようだ。

オレ自身でさえ知らないような事すら、レミリアにはお見通しのようである。

 

 

「…仁義を欠いちゃいられねェ、オメェの妹は絶対オレが助けてやるから心配すんな。」

 

 

男、龍二。

覚悟を決めた。

恩義の為、仁義の為、理由は後付けで好きなようにできる。

しかし、オレには深く考える程の脳は無い。

 

ただ、今回はレミリアに尽くしたかった。

一度衝突はしてしまったが、やはりオレなりに考えた結果である。

 

“姉妹が一緒に居られるように。”その一心でオレは地下への扉に向かったのであった。




ちなみにスペルカードルールはまだ無いわよ。
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