東方煙焔記   作:Amaryllis___

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こいついっつも執筆遅れてんな


暫しの別れ

眩い光に煌々と照らされる昼下がりの紅魔館…

とはいえ、基本的に陽光を受け入れないこの館ではそれも無意味だろう。

 

その陽光を忌み嫌う館の中でオレは唯一、窓を開けて煙草を吸っていた。

 

フランとレミリアの1件を終え、数日が経った。

そんな中オレは瑠美の事(厳密には元いた世界の事)について考えていた。

忘れていた訳ではないが、紅魔館での生活で危機意識が薄れていったこともあり、あまり本格的に手をつけていなかった。

 

 

「そもそも世界越えるなんて常識的に無理だろ…魔法でも使えねェと………あ。」

 

 

使えたわ。

 

 

ここは幻想郷、魔法など当たり前の非常識な世界だった。

魔法といえば、この館にはその道のエキスパートがいるではないか。

彼女に聞けば方法が分かるのは必然、古事記にもそう書かれてる。

 

そもそもこんな簡単な事を思いつかない辺り、オレのIQも知れたものだ。

 

思い立ったら即実行。

煙草を灰皿に押し付け、大図書館へと向かおうと窓とカーテンを閉める。

 

と、ほぼ同時ぐらいに部屋の扉がドーンと開いた。

何だと思って入口を見やると、背に7色の宝石をあしらった羽を生やした金髪少女が居た。

 

 

フラン「お父さんっ!!遊びに来たよ!!」

 

 

開口一番“お父さん”とはなかなかに心臓に悪い。

あの件以来、フランはすっかりオレに懐いてしまっていた。

本当ならレミリアにくっついていて欲しいが…笑顔でいれるなら及第点だろう。

 

 

「今日も元気だなァ、今からパチュリーんトコ行こうと思ってたんだが来るか?」

 

 

フラン「行く!魔法でも教わるの?」

 

 

満面の笑みで頷いて素朴な疑問を投げかけてきたフランの頭に手をポンと置き、オレは図書館へと歩き出した。

 

 

「世界を超越するのさ。」

 

 

フラン「……?」

 

 

 

カッコつけて言ったが、おそらく超越の使い方は間違っているだろう。

 

 

 

 

 

 

──紅魔館が誇る知識の庭園、大図書館。

 

 

パチュリー「…そう、言われてもね…」

 

 

その大図書館の管理者、パチュリーは三日月形の栞を額に当てて唸った。

 

幻想郷を越え、オレが元いた世界に帰る方法。

それをパチュリーなら分かると踏んで聞いてみたが、思い当たる節は特にないらしい。

 

フランは本棚から気に入った本を何本か引っ張り出し、夢中で読んでいる。

相手はしてやれてないが、それなりに楽しんでいるようだ。

 

 

パチュリー「昔に私たちが幻想郷に来た時は、八雲っていう大妖怪の能力で結界を越えたのよ。」

 

 

「ならソイツに頼めば越えられるんじゃねェのか?」

 

 

八雲…幻想郷に来て初めて聞いた名だが、世界を越える事に関しては大きく関わってきそうだ。

単純にソイツに頼めば解決しそうなものだが…パチュリーの事だ、何かしらの問題があるから唸っているのだろう。

 

 

パチュリー「頼めれば、ね。実は幻想郷に来てから1度も八雲に会ってないうえ、会い方もわからないのよ。」

 

 

なるほど、これはよくある話だ。

飲み会で会ったばかりの奴と打ち解けて仲良くなっても、連絡先を交換しないでそのまま解散したらもう会うのは難しい。

オレが昔居酒屋で会った土方の兄ちゃん、浮浪者のおっさん、鷲などにはもう会えないだろう。

 

 

「っつーことは探すか偶然見かけるかしねェとダメってわけだ。」

 

 

パチュリー「そういうこと…力になってあげれなくてごめんなさいね。」

 

 

「いんや、話聞いてくれてありがとよ。」

 

 

どうやら世界を越えるのは暫く難しそうだ。

付き合ってくれたパチュリーに礼を言うが、どうしても悩ましい。

これは諦めるしかないのか。

 

 

フラン「ねぇねぇ見て見て。」

 

 

落胆していると、フランが本を持って走ってきた。

手元を見ると、あるページに指を挟んで栞代わりにしている。

 

 

「ン…どうした?フラン。」

 

 

悲報を聞いた後で多少やつれているオレは素っ気ない反応を返しそうになる。

そんなことを気にも留めず、フランは本のとあるページを見せてきた。

 

 

フラン「死んだ魂はみんなここに辿り着くらしいんだけど、綺麗なところじゃない?」

 

 

「……“冥界”ねェ。」

 

 

フランの見せてきたページには暗い世界に大量の桜が咲いた屋敷の絵が描かれていた。

その絵の上には“冥界”の文字。

確かに、暗い空に妖しく光る桜は妖艶な美しさを醸し出していた。

 

 

フラン「私も死んだらここに行くのかなぁ」

 

 

「…ッ!」

 

 

フランのその一言でオレはハッとした。

オレの脳に電流が走ったようにも錯覚するくらいにはハッとした。

ここに行けば瑠美の安否がわかるんじゃないか。

厳密にはわかるのは生死だけだが、それだけでもわかれば充分だ。

 

 

「フラン、ちィとばかしその本借りてもいいか?」

 

 

フラン「え〜でもまだ読み終わってないからなぁ」

 

 

読み終わってないからと渋るフラン。

まぁこの本を見つけたのも教えてくれたのもフランだ、責めることは出来ないだろう。

 

ここは1つ、大人の男ってものを見せてやろう。

 

 

「…今夜のデザート、フランにやるよ。」

 

 

フラン「はい、どーぞ!」

 

 

チョロいもんだ。

子供心を利用するのは少々心が痛むが、致し方ない。

 

フランから冥界の本を受け取ってページをパラパラと捲ってみるが、冥界への行き方が書いているページは特に見当たらない。

首を傾げていると、パチュリーがオレのもとへ歩いてきた。

 

 

パチュリー「冥界といえば、たまに紅魔館に来る楽団から話を聞いたことあるわよ。」

 

 

「楽団だァ?」

 

 

世界を越える方法は分からないようだが、どうやら冥界には心当たりがあるようだ。

さすがパチュリー、紅魔館の知識担当なだけあるな。

 

 

パチュリー「プリズムリバー楽団…騒霊の三姉妹で結成されている楽団ね。」

 

 

「騒霊って幽霊みたいなもんか?今時パンクなお化けも居たもんだなァ。」

 

 

楽団と聞いてもあまりピンと来ないオレは、なんとなく幽霊達がヘヴィメタルをシャウトしている様を思い浮かべた。

Ghooooooooooost!!!!!!!!!

みたいな。

 

 

パチュリー「パンク…?まぁそれは置いといて、冥界がどうかしたの?」

 

 

ここで馴染みのない言葉を使ったことでパチュリーを困惑させる。

幻想郷は横文字に弱い。パチュリー・ノーレッジも横文字なのにな…

 

 

「元いた世界でちょっとした事件に巻き込まれてな。その時に女房も居たから、冥界に行けば生死はわかるんじゃねェかってよ。」

 

 

超天才的推理である。

バカな俺の頭もどうやら悪くないらしい。

これは金田二やコナソも唸る天才だ。

 

ちなみに天才は自分を天才とは言わない…つまりそういう事だ。

 

 

パチュリー「ッなるほどね…。冥界の行き方なら心当たりがあるわ。」

 

 

オレの推理に納得したのか、パチュリーは説明の為に魔法で羽根ペンと手帳のようなものを引き寄せた。

フランは暇だったのか、いつの間にか居なくなっていた。

 

パチュリーは手帳を開き、羽根ペンを走らせた。

羽根ペンの擦れるカリカリとした音が子気味良い。

 

 

パチュリー「私も行ったことがあるわけではないから、あまりアテにしすぎないでね?」

 

 

「構わねェ、本当に助かるぜ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【⚠この辺から作者がスランプ気味!】

 

 

 

冥界の本をお父さんに見せたら買収されました。でもデザート貰えるからいいよね!

こんばんは、フランだよ。

 

お父さんに本を貸したら、お父さんってばパチュリーと話し込んじゃってつまんないの。

っていうことで暇つぶしに面白い本を探してるってわけだ!天才かな?

 

 

 

フラン「それでも私には、本がある!デザートがある!そして父親がいるッ!」

 

 

 

お父さんの事を思い出し、私はフフンと微笑んだ。

初めて会った時は変な人間だと思っていたが、自分を殺そうと襲ってきた私を、「オレが父親だ」って言って抱きしめてくれた。

 

今私がウッキウキで楽しく過ごせているのは一重にお父さんのおかげだ。

そう思うとついニヤっとしてしまう。

 

 

 

フラン「…ん、この本面白そうかも!」

 

 

 

と、上機嫌になっていると、本棚にある1つの本が目に入った。

本棚から抜き取り、軽くページを捲ってみる。

ページ一面には色とりどりの紙が織りなす造形美の数々が展開されていた。

 

 

 

フラン「これでお父さんと遊ぶネタができたね。」

 

 

 

お父さんと遊べるから。というだけで口角が上がりそうになる衝動を堪え、本を閉じた。

 

 

 

フラン「お父さんの所に持って行ってあげよっと!」

 

 

 

私は本を小脇に抱えて再び歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「冥界と顕界を乖離させる結界の穴ねェ…」

 

 

 

よくわからないが、幻想郷の上空を飛行していれば穴を見つけることはできるらしい。

ただ、根気よく探さないと見つからない可能性も高いようだ。

 

 

 

パチュリー「とはいえ、まずは浮遊術を修得しないとよね。」

 

 

 

浮遊…と聞いた瞬間、オレに稲妻が走った。

青いイナズマがオレを責める〜ってか?

 

 

 

…………

 

 

 

「…いや、その必要はねェぜ。オレに考えがある。」

 

 

 

ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら腕を組むオレにパチュリーはきょとんとした顔をした。

 

 

 

パチュリー「…?まぁそれならいいんだけど…早速向かうの?」

 

 

 

「そうだな、まァレミリアとかには伝えてからだけどよ。」

 

 

 

こういうのはなるべく早く済ませたいものだ。

そう考えていると、本棚の並びから小脇に本を抱えたフランが歩いてきた。

表情はどことなく嬉しそうだ。

 

 

 

フラン「お父さん!これやって遊ぼ!」

 

 

 

フランは心底楽しそうにその本を見せてきた。

その本には見覚えのある色とりどりの造形美が描かれていた。

 

 

 

「ほォ、折り紙か。懐かしいモン見つけてきたな。」

 

 

 

折り紙。幻想郷にもこういった遊びの文化があったのかと多少の感動を覚え、それと同時に少年時代の思い出が蘇った。

そのうえ、純粋なフランのキラキラとした目を見て心が洗われるようだ。

 

だが、フランには悪いが今は瑠美の安否を早急に確認したい。

 

 

 

「すまんなァ、フラン。オレはこれから大事な用事があって出かけなきゃいけねェんだ。」

 

 

 

そう言った途端、輝いていたフランの顔に陰りが刺した。

 

 

 

フラン「え〜…遊びたかったのになぁ。用事と幼児どっちが大事なのよ!」

 

 

 

なんだそのダジャレ…似ちゃいけないところがオレに似ちまったらしい。

 

それにしても、渋るフランに申し訳なさを感じざるを得ない。

だが、用事さえ終わってしまえば時間は有り余っている。

その後にたくさん遊んでやろう。

 

 

 

「これが終わったら、たくさん遊んでやるからよ。それまで待てるか?」

 

 

 

そう言うとフランは少し悩む素振りをし、数秒と経たないで顔を上げた。

その顔色は先程と比べて大分明るくなっていた。

 

 

 

フラン「わかった!でもちゃんといい子で待ってるから、なるべく早く帰ってきてね?」

 

 

 

いい子だ。

オレは猛烈に感動しているッ!

フランの為にも、早く目的を達成して帰ろう。

 

フランの頭に手をぽんと置いて、オレは出掛ける支度を済ませた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリアや咲夜に挨拶を済ませ、オレは今紅魔館の門前に立っている。

後ろではパチュリー達が見送りに来てくれている。

よく見たら2階のテラスからは咲夜とレミリアがこちらを見下ろしていた。

 

 

 

「じゃあ、行ってくるぜ。待ってろよ、フラン。」

 

 

 

フラン「うん!いってらっしゃい!」

 

 

 

元気のいい子供は最高だ。

いい子に育つだろう。

 

 

 

パチュリー「結局、どうやって行くつもりなの?」

 

 

 

「ン…まァ見てロッテ明治ブルガリアヨーグルト。」

 

 

 

パチュリー「え?明治?ブルガリ?ヨー…?」

 

 

元いた世界の意味わからん単語を言ってパチュリーを困惑させる。

正直、これは結構楽しい。

 

さて、とオレは近くにあった大岩を能力で持ち上げ、その岩に飛び乗った。

大岩があった地点には大きな穴が空いている。

 

 

 

「この岩を能力でぶん投げるッ!」

 

 

 

パチュリー「馬鹿なの?」

 

 

 

良い発想だと思ったのだが、パチュリーには呆れられてしまった。

 

とその時、テラスの方から声が聞こえた。

 

 

 

レミリア「…ねぇ、紅魔館の外観が損なわれるのだけれど…?」

 

 

 

確かな怒気を含む声にギクリとし、恐る恐るテラスの方を振り返る。

だが、その声とは裏腹にレミリアは満面の笑みでオレを見下ろしていた。

 

 

 

レミリア「ふふふっ、冗談よ。気をつけて行ってきなさい。」

 

 

 

ニコニコと笑うレミリアに、オレはとても騙されて負けた気分になった。

正直、めちゃめちゃビビった。

 

 

 

「…どうもありがとうよ……さて、今度こそ行ってくるぜ!」

 

 

 

少々名残惜しいが、少しの間でかけるだけだ。

紅魔館ってのは暖かいなと改めて感じる。

 

…今は瑠美の安否確認が最優先だ。

 

 

 

「生きててくれよ…瑠美。」

 

 

 

覚悟を決め、オレは能力で自分が乗っている岩をぶん投げた。

そういえば、幻想郷をマトモに散策したことはなかった。

幻想郷の景色を楽しみつつ、結界の穴を見つけるとしよう。

 

そんなことを考え、後方で手を振ってくれているフラン達に手を振り返した。




結界の穴までの流れ、なんか上手くまとまる気がしないんで流しますよ…
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