NARUTO日向ネジ短篇集   作:風亜

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ネジおじさんと露天風呂

「ひゃっほ~い、貸し切り露天風呂~♪」

 

 バッシャアァンと、ボルトはいきなり風呂に直行した。

 

「…こらボルト、体を洗わずに入るとは何事だ」

 

「貸し切りなんだからカタイ事言いっこなしだってばよネジ、オレも風呂に直行…!」

 

「おい待てナルト、お前までそれをやったらマナー違反というか、父親の示しがつかないだろう」

 

「へいへい分かったってばよ……と見せ掛けてからのッ!」

 

「な、何を…?!」

 

 不意にひょいと軽く持ち上げ、ネジを風呂に投げ込むナルト。

 

「───へっへ~ん、ダメだってばさおじさん、ちゃんと体洗ってから入らなきゃ!」

 

 ネジが風呂に投げ込まれると同時に風呂から飛び出て父親のナルトと隣り合い、共に仁王立ちポーズでからかうボルト。

 

 

「………お ま え ら………」

 

 

 投げ込まれた露天風呂の縁に手を掛け覗かせた顔は、濡れそぼった長い髪に覆われており、とあるホラー映画を彷彿とさせた。

 

「あ゛ーっ! 露天風呂からサドコが出て来たー?! 父ちゃん、何とかしてくれってばさ…!?」

 

「むむむムリだってばよ、オレ未だにあぁいうの苦手ッ…」

 

 

「皮膚が剥がれる程……全身洗われたいのか………?」

 

 

 露天風呂から這い上がり、顔は長い髪に覆われたまま両手をだらりと前にしてヒタヒタとボルトとナルトに迫るネジおじ。

 

「わ、悪かったってばさ!」

「わ、悪かったってばよ!」

 

「「ちゃんと体洗うからジョーブツしてくれぇ?!」」

 

 

 

 

「───なぁボルト、オレの背中洗ってくんねぇ?」

 

「はぁ? ヤだね、自分で洗えってばさ」

 

 ボルトのすげない返答にナルトはがっかりする。

 

「何だよ、小せぇ頃は喜んでやってくれたのに……父ちゃん淋しいってばよッ。んじゃネジ、代わりにやってくんね?」

 

「…何故俺がお前の背中を流さなければいけないんだ」

 

「あ、じゃあおれ、おじさんの背中流してやるってばさ! …つか、長い髪ジャマだからよけてくんない?」

 

「あぁ、はいはい……」

 

 後ろに流れている髪を、片手で横に流す動作と共に現れたうなじに、一瞬ドキリとしてしまうボルト。

 

「お、おじさん、ちょいえろ───な、何でもないってばさっ。ん~と……」

 

 ボルトは、風呂イスに座って隣り合う父親のナルトとネジおじの背中を見比べた。

 

「父ちゃんより色白めで、背中細めな気がするってばさ、おじさん」

 

「まぁそうだな……いつの間にか背を抜かれて、体格に差がついてしまった」

 

 溜め息混じりに言うネジに、ナルトはニンマリした。

 

「へへ、オレの方がアニキっぽくね?」

 

「調子に乗るな。お前のような兄を持ったら気苦労が絶えないだろう。…いや、実際義弟にしても同じか」

 

「にしてもおじさん髪長いよなぁ。ヒアシのじぃちゃんもだけど……いつから長かったんだってばさ?」

 

 ボルトの疑問に、先にナルトが答えた。

 

「下忍の頃から長かったよな、ネジ?」

 

「……アカデミーに入る以前からだぞ」

 

「───まさかネジ、お前生まれた時からサラッサラのロン毛だったのか!?」

 

 ナルトが想像するに、生まれたてで顔面を覆うほどの長髪が、サドコ並みの恐怖感を覚えて思わず身震いした。

 

「そんなわけあるか。…ただ、生まれてこのかた伸びた髪を短くバッサリ切った事がないだけだと思うが」

 

「う~ん、おれも髪伸ばしてみよっかな…?」

 

「ボルト、どうせならオレみてぇに短く刈り込んでみたらどうだッ?」

 

「はぁ? 坊主頭に近くなるだけじゃん! おれハゲる気ねーもん」

 

「父ちゃんはハゲてきてるわけじゃねーってばよ! 必要最小限にしてるだけだッ。あ~、けど最近伸びが悪ぃんだよな……。ヒアシのじぃさんは未だにサラサラ伸びてんのに、オレってばこの先自信無くなってきた」

 

 ガックリ肩を落とすナルトを励ますように、ネジは背中をパシパシ軽く叩いてやった。

 

「まぁそう気を落とすな。来るべき時が来たら、頭髪だけ変化させ続けたらどうだ」

 

「オマエそれ慰めになってねーだろッ! ───まさかネジもヒアシのじぃさんもそうしてんのか? だからいつだって髪サラッサラなのか…! 納得だってばよッ」

 

「おいナルト、勝手に納得するな。地毛に決まっているだろう…!」

 

 

 

 ───体と頭を洗ってサッパリした上で、三人は改めて露天風呂に浸かった。

 

「白眼の透視能力って…、色々見えちゃうんだろっ? だからおじさんってやっぱ、オンナ風呂のぞいたことあ」

 

「るわけないだろう」

 

 ボルトの露骨な問いに、ネジはしかめ面で返すが、ナルトがある指摘をする。

 

「いや、けどアレじゃね? お前…、オレとヒナタが結婚するずっと前から日向家にヒナタと居た時間あったわけだし、ヒナタが風呂ってようが修行中だろうがチャンスはいくらでも───」

 

「だよな~、見てるよな~? 透視能力持ってるオトコが見ないわけないってばさっ。あ~ぁ、おれも白眼だったらよかったのになぁ…」

 

 女湯のある方向を透視も出来ないのに目を凝らしてみるボルト。

 

「───白眼をそのように使うものだと思っているなら俺が許さんぞボルト」

 

「ひぇっ、おれを白眼で見てどーすんだってばさおじさん…?!」

 

 カチンときたネジは動脈を露にして睨み、ボルトは思わず大事な部分を隠した。

 

「…いや、オマエ既にまっぱだし、それに隠しても意味ねぇってばよ」

 

「あ、そうだったってばさ」

 

「つーか、もしかしたらボルトもこれから白眼開眼する可能性もあるだろ。ヒマワリは半分白眼みてぇなもんだしな?」

 

「くッ、そうなってはもはや止めようがないのか……」

 

 ナルトの言葉でネジは眉間にシワを寄せたまま顔を逸らした。

 

「実際は、ら…裸体が視えるのではなくて、チャクラの流れや点穴が視えるわけであってだな……」

 

「おじさん、悪いけど言いわけにしか聞こえないってばさっ?」

 

「───あぁもう、勝手にしてくれ」

 

 ネジおじはそれ以上ボルトに言って聴かすのを諦めた。

 

「あ、そーいやおれ、木ノ葉丸先生に教わってる術あるんだけどさ……」

 

 ボルトはそう言って一旦風呂から上がり、印を結んでボンッと白煙と共にスクール水着のツインテール少女になった。

 

『せんせーは、もっとすんごいのやったりするんだけど、おれはどっちかっていうとこっち系の方がいいかな~なんて?』

 

「それってば、お色気の術っつーより、ろりこん…? そこはやっぱ、コレだろッ!」

 

 ナルトも風呂から一旦上がってボルト少女の横に立ち、物本のお色気の術を披露し、メリハリのあるビキニ姿の美女になった。

 

『───ボンッ・キュッ・ボ~ンでいかないとダメだってばよ♪』

 

「何をやってるんだお前達は……」

 

 二人に呆れ、頭が痛くなるネジ。

 

『あれ、おじさんはやらないの? …あ、でもアレかぁ。術使わなくてもおじさん、まだ女装とかいけそうだもんなっ?』

 

『あぁ、ネジはそのままでもそれっぽかったりするからな~』

 

「───ボルト、ナルト、俺をからかってそんなに楽しいか」

 

 再びネジの白眼の動脈がぴききっとなる。

 

『やだな~おじさん、ほめてんだってばさ~。それより…、母ちゃん見てると思うんだけどさ、ヒマワリも将来……あんなに胸デカくなっちまうのかな』

 

『まぁ、そりゃヒナタの娘だしよ……』

 

 互いの顔を近づけて声のトーンを低くするボルトとナルト。

 

『そうなっちまったら、兄ちゃんが全力で変なオトコ共から守ってやるってばさ…!!』

 

『あぁ、それが妹守る兄ちゃんの役目ってもんだってばよ…!!』

 

「……その姿で言っても説得力無いぞ、二人共」

 

 スクール水着少女とビキニ美女に冷たい視線を送るネジ。

 

「はぁ…、付き合ってられん。俺はもう上が───」

 

 露天風呂からネジが上がった時、足元がふらついて前のめった所を左右からナルトとボルトが支えた。

 

『おい、大丈夫かネジ…! もしかして、オレとボルトの姿でのぼせちまったのかッ?』

 

『そうなのかおじさん、おれのロリっぽい術もいけるってばさっ』

 

「そんなわけあるか…! 単に湯にのぼせただけであって、お前達の術のせいでは───」

 

『ほらムリしないでぇ? ワタシ達が休める所まで連れて行ってあげるからぁ…!』

 

『そうだよ、ムリしちゃダメなんだよおじさんっ』

 

「う……うっとうしいッ………!」

 

 払いのけたい所だが妙な脱力感で力が入らず、お色気とロリっぽい術を身に纏ったままのナルトとボルトに挟まれながら露天風呂を後にするしかないネジおじだった。

 

 

 

 

「───もう、二人しておじさんを疲れさせちゃダメでしょ~?」

 

「ネジおじさん、だいじょおぶ……?」

 

 湯でのぼせたらしいおじさんを旅館の和室で横たわらせ、ハナビとヒマワリがうちわで扇いであげている。

 

「疲れさしてねぇってばよ? いきなり風呂に投げ込んでサドコにしてやったり、白眼の透視能力についてちょっとばかし突っ込んだ話したり、ボルトと一緒にロリ&お色気かましてやっただけだ。なぁ?」

 

「その通りだってばさ! それで勝手におじさんがのぼせて───」

 

「ナルト君、ボルト……二人のお夕食抜きでいいかな。代わりに私が全部、食べてあげるから」

 

 ヒナタは二人に笑顔を向けているが、妙な怖さを感じさせた。

 

「「ごめんなさい謝りますから晩飯食わしてください」」

 

 ナルトとボルトは揃って土下座する。

 

「ヒナタ……俺なら大丈夫だから、二人をあまり責めないでやってくれ」

 

「兄様は優しいわねぇ。ナルトとボルトと違って、やらしい事考えて無さげだものねっ」

 

「ハナビお姉ちゃん、やらしいことってなあに?」

 

「は、ハナビ、ヒマワリの前で余計な事を言わないでくれ」

 

「はいはい、ヒマちゃんの前ではカッコイイおじさんでいたいものねぇ?」

 

 

 

 ───その後、のぼせから回復したネジおじと共に貸切旅館の懐石料理を6人でワイワイ頂き、次いで並べられたお布団の上でボルトとヒマワリがはしゃぎ回り、ナルトとハナビも加わって枕投げをし出し、ヒナタとネジはそれを止めるでもなく苦笑しながらも楽しげに眺めた。

 

……ようやくボルトとヒマワリが寝静まった所で、大人達は夜更けのお酒でまったりほろ酔い気分に浸り始めた。

 

 

「ねじ兄さぁん……、わたしのアタマ、ナデてほしいのぉ...!」

 

 ヒナタは頬を赤らめながら、従兄の胴回りに纏わり付いておねだりした。

 

「こ、こらヒナタ、離れなさい。───甘えるなら、夫であるナルトにしてくれないか」

 

「やぁだ、今は兄さんがいいの...!」

 

「しょうがない子だな……」

 

 そう言いつつ、ヒナタの頭を優しく撫でやる。

 

「ふふ~、ねじ兄さんだいすき……♪」

 

 うれしくなったヒナタは、放すまいとぎゅうっと力を込めて抱き締めた。

 

「ズルいぞぉヒナタぁ...! オレも甘えたいってばよぉ、ねじぃ~......!」

 

 不意に背後からガバッと抱き付くナルト。

 

「あ、暑苦しいだろう、やめろ馬鹿...!」

 

「ねぇさまもナルトもず~る~い~っ。あたしはにぃさまに、きっすしてやるんだからぁ...! む~~っ」

 

 ハナビはくちびるを突き出し迫って来る。

 

「お、お前達……悪酔いし過ぎだ...! いい加減にしろぉッ」

 

 

 ───終いにヒナタ、ナルト、ハナビの三人はネジにべったりくっ付いたまま眠りこけてしまったので、ネジは身動きがとれず困ったが、まぁいいかと諦めたように苦笑してそのまま一緒に眠りにつくのだった。

 

 

 

 

《終》

 

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