一〜二時間目 非日常の冒頭①②
時は現代。最強の勇者である
春「最強が三人居るのはおかしくないか?」
朽「春、黙れ」
春「えぇ…」
私たち三人は最終階層のボス部屋の前まで辿り着き、巨大な部屋のドアをゆっくりと開ける。すると、そこに現れたのは巨大な私たちだった。困惑する私たちを気にする素振りもなく、莫大な攻撃力を見せる巨大な三人の分身を倒すことが出来るのか!?
朽「次回、最強の勇者 死す!」
角「おいおい、勝手に殺すなよ。最強設定の俺たちが死ぬわけないだろ!」
春「角が突っ込む所そこじゃないだろ」
休み時間、教室で机に突っ伏していたら、朽が勝手に謎の冒頭を話し始めた。睡眠を妨害してきた事について訴訟したいが、今はこの話について対処しなくては、この時間は終わらない。
春「それで、いきなりどうしたんだ?」
朽「私が話しているっていうのに、机に伏せながら話すなよ。まぁ、小説には冒頭ってものが必要だろ?」
小説?冒頭?男口調の女子である朽が何を言っているのか分からない。ジャイアンみたいなことも言ってるし、もしや病気か?
朽「この面白くの無い日常に、ライトノベルでよくある非日常の冒頭を入れてみた!」
春「いるか?その非日常」
朽「……いや、要らないな」
自分から話し始めた内容を自分で否定しやがった。
角「だから、最強な俺たちなら死ぬはずがないだろ!」
朽「チンカク、うるさい!」
春「えぇ…」
お前が始めた話だろ。
②
三人の分身は最強の力を引き継いでいるのか、春と角と朽の三人を追い詰めていた。更には、何倍にも力を膨らまして放出している為、どんな攻撃も跳ね返されてしまう。勇者の力を跳ね返されては勝ち目がない。その中、角は仲間に聞こえるように苦しまれながらに話す。
角「ここは俺に任せろ…お前らは逃げるんだ!」
春「え、いきなりどうした?」
朽「チンカク……お前の事は忘れないぞ」
角「不名誉なあだ名だったが、最後に聞くと……悪くない気がするぜ!」
最後でもそんな名前で呼んで欲しくないだろ。と言うか、またしても机に伏せていると、朽が前にも聞いたことがある話の続きを話し始めた。何故だか分からないが、周りの生徒は俺たちに注目している。
春「今日は台詞付きなのか」
朽「アニメ化も考慮してみた」
小説の次はアニメの為に冒頭を考えたようだ。
角は台本を置いて、俺と朽の席に近づいて来た。どうやらこの二つの台詞の為に、監督である朽が台本を考えたらしい。
角「台本に書いてあったから言ったけど、勝手に俺を殺すなよ」
朽「チンカクよ、お前は最強の為に死んだんだ……悪い気はしないだろ?」
角「するだろ。しかも最後にチンカクって言われても、すっごく悪い気はするからな」
朽「しないって言えよ!」
教室内に大声で話す内容と時間では無かった。ある人物が俺たちの目の前に現れ、怒号の声を上げる。
先生「お前ら!授業中に寝るわ、いきなり演技するわ、席を移動するわ、大声をあげるわ、後で職員室に来い!」
そう、授業中の話である。