昼飯を食べ終え、俺と角と朽はダラダラとくつろいでいた。
朽「ダイヤ…あぁ、ダイヤよダイヤ」
春・角「ほぉ」
急に朽が変な事を言い出した……ダジャレじゃないからな?ただ、反応してしまうと変な事に巻き込まれてしまう為、言葉に対しての反応はしない。
朽「ダイヤ」
春「ほぉ」
やばい、目の色が変わった。
角「百万円欲しかったら、テレビで見るような大きさじゃないと無理だぞ」
春「おぉぉい!ドブに足を突っ込んでどうする!?」
朽の目の色が更に変わった。これはドブよりマグマに足を入れた気分だ。
朽「あれ、ポケットに石みたいな物が入ってる」
朽のポケットからは確かに石のような物体が入っていた。しかし、それは石にしては輝きを放っている。更にそこそこの大きさ……。
角「鑑定士に見てもらおう」
朽「行こうぞ〜!」
この列車は止まることを知らないのか?ブレーキをどこかに捨ててしまったのだろう。
学校が終わり、三人は質屋へ向かう。学生だと買取額が下がるのでは、と言う角の懸念により帰宅後に集合した。
朽「よーし、百万円にして帰るぞ〜」
春「これが本物なわけ……」
二十分後
鑑定士「ダイヤですね」
朽・角「キターーーーーーーーー!!!!」
春「えぇ……」
ダイヤだった。
ポケットに何が入ってる、と言う腑抜けた台詞から本物のダイヤが出てくるものなのか?出てきていいのか?世の中そんなに緩かったか?
朽「こ、これの換金額は、幾らだ?」
鑑定士「正式な金額は後ほど出しますが、ざっと……百万円程でしょうか」
朽「ひ、ひ、百万円〜〜〜!」
鑑定士は奥へと向かい、一分ほどして戻ってくると、その手には百万円の姿があった。
角「三人で山分けだな!」
朽「いや待て……これは春に持ってもらおう」
朽は少し考えた様子を見せると、そのように言ってきた……どうしてだ?
朽「私たちが持てば、百万円なんてすぐに使い果たしてしまうからな。だから、春なら盗まないし爆買いに走らない。分かったか?」
春「なるほど?」
分からん。
朽は持っている百万円を俺へと向けた。
春「怖っ!百万円持つの怖っ!」
朽「今からこの百万円は春の物だ……さぁ、早く持つんだ」
天使の囁きではなく、悪魔の囁きだな!
結局俺が預かることになり、質屋から出た。外に出てからは誰一人、一歩も歩かずに立ち止まっている。
朽「さて、その百万円をどうするか決めようじゃないか」
角「一人ずつ何をしたいか言ってみるのはどうだ?」
朽「採用!」
この百万円を朽に渡して、早く帰りたい。
春がこんな事を考えているとも知らず、二人は何に使うのか提案した。
角「寿司」
しょぼい!
朽「宝くじに全投資」
ドリーム掴もうとするなよ!と言うかもう掴んでるじゃねぇか。掴もうとして空回りするパターンだろこれ。
朽「春は百万円で何をしたい?」
春「ふむ……」
遊園地貸切、ゲームの一括購入、高級寿司屋で十万円使い切るまで帰れません、バイク買う、○○○○○○○○、✕✕✕✕✕✕✕ 。
春「皆でゾーフに行くか」
朽「さすがチェリーだ!却下」
だろうな。
朽「よし、宝くじに全額投資すっぞ〜」
角「焼肉は!?」
朽「一億円掴んでから行こうぜ!」
その夢は叶わないんだろうなぁ。こう考えると、俺と角の考えは悪くない気がするんだが…まぁ、結局は朽が持っていたダイヤだから、利用券はこいつにあるか。
俺たちはドリームを掴みに宝くじを買いに行った。
春「それじゃ、適当に買ってくる」
角「いてら〜」
朽「元気でな〜」
春「おう」
おう?……元気でな?友達の送り出す言葉がおかしいのですが、気のせいですよね?
春「ドリームを買いに来ました」
店員「何円分購入しますか?」
春「百万円分で」
鞄の中からドサッとキャッシュトレイに置く。店員は少し驚いた様子だ。
店員「身分証明はありますか?」
財布の中から
店員「少しお待ちください」
春「はい」
店員は奥の方へ入って行った。少しすると、近くからパトカーのサイレンの音が聞こえた。何か事件があったのだろうか、お疲れ様です。
心の中で敬礼をしていると、サイレンの音が段々と近付いて来た。そして、目の前に止まった。
警察「今、通報があってね。学生が大金を持っているとの事らしいが、君で合ってるかな?」
春「恐らく?」
警察「出処の確認がしたい。署まで来てもらう」
気が付けば手錠を掛けられていた。
春「ちょっ、ちょっ、え?何で捕まらなきゃいけないんだ!?おい、朽!」
朽の方を向く……が、そこには姿が見当たらなかった。角もその場に居ない……嵌められたのか?
警察「おい、抵抗するな!」
春「いやいやいや!俺の物じゃないんですよ〜知り合いの金で!」
警察「より事件性が高まったぞ」
車に乗せられてしまった。必死に抵抗するが意味が無いようだ。振り返り、リアガラス越しに見えた光景は……
朽と角が道の真ん中でこの車に向かって敬礼している姿だった。