五月という微妙なこの時期に、転校生がやって来るそうです。
角「転校生ってワクワクするなぁ、可愛い女子だったらいいなぁ!」
春「その気持ちは分かる。教室に新しい風が入ってくる感じだよなぁ」
俺と角が転校生の話をしていると、朽が不機嫌そうに近付いてきた。
朽「その風はクラミジアの細菌を運んでくるからな」
春「何で性病を運んでくるんだよ。まだインフルエンザウイルスの方がリアリティあるだろ」
朽「美人だった」
ほう、美人とな。朽が言ったには本当のことなのだろう。更に性病を話題に持ってきたってことは……
春「胸が大きいと」
朽「女はおっぱいが全てじゃ無いんだよ!」
春「そんな事は言ってないし、大きい声で言う言葉じゃねぇ!」
誰も胸が大きい方が良いとか、そんな事は、一言も、言って、ない……かもしれない。いや、言ってない…思ったかもしれないけど、言ってはいない。
角「胸は大きい方が正義だよな」
朽「ふんっ!」
角が言った途端、目の前に居た角の姿が消えた。朽の飛び蹴りにより、窓を割って三階という高さから落とされたようだ。
大丈夫か?
朽「取り敢えずだ。今回の転校生は、クラスで一番人気になる可能性が高い」
春「変な事はするなよ、俺は肩入れしたくないぞ」
朽のやる事は、下手すれば虐めになる可能性高いからなぁ。
朽「私たちの仲間に入れよう」
春「虐めだ。却下」
朽「どこが駄目なんだ!」
……俺のような目に合わせたくなくね?この三人の輪に入ると警察に捕まる可能性が出てくるぞ。と言うか、何で警察に捕まることを懸念しなきゃいけないんだ?
角「可愛い女子と一緒に過ごせるなんて、男としては本望じゃね?」
朽「なんだ。生きてたのか」
殺すつもりだったのかよ!てか、何で角は生きてるんだ?
少しボロボロになった角が説明をし始めた。
三分前
朽に飛び蹴りされて、角は三階の高さから落ちている最中だ。
角「さて、どうしようか。受け身とったら腕と肋骨と足の骨だけで済むかな」
ギリギリいけると思い、角は受け身の体勢を整えて下を向いたら。
角「あ、トランポリンじゃん。これで大丈夫か……って駄目だったァ!」
トランポリンは三階からの落下速度により角の体重を支えきれず、トランポリンの皮を突き破ってしまったようだ。
朽「トランポリンの皮って膜みたいだよな」
春「ん、あぁ、確かに」
朽は真剣な面持ちで聞いてきた。
朽「膜を突き破るって、なんか卑猥じゃね?」
何か真面目な話をすると思った俺が馬鹿だったよ!もう絶対騙されねぇ。今後、朽の表情を信じねぇぞ。
角「俺、トランポリンの処女膜を突き破ったのか!朽、ありが……たくねぇ」
朽「礼には及ばん」
春「礼してないだろ」
先生が教室に入ってきた。周りのクラスメイトたちはソワソワして、周りと小さい声で話し合っている。
先生「今日から転校生がこのクラスに入る事になった。もう少しでこのクラスに来る筈だ」
そして、教室のドアが勢い良く開いた。
転校生?「遅刻しました!」
春・朽「?」
角「ブスじゃねぇか!」
ブスだった。いや、言い方が悪いな……可愛くなかった。
転校生?「あ、クラス間違えました!」
角「他クラスか、一瞬焦ったぜ」
転校生?「角君、後で覚えておいてね」
角「いや、口が滑っただけだ!」
それも失言じゃないか?
教室を間違えた女子生徒は教室を出て行き、入れ違いにもう一人の女子生徒が入って来た。
容姿端麗で、才色兼備なこう……なんと言うか……うん。語彙力が足りなくて綺麗さが表せない。
先生「新井紡
紡「あ、新井紡です。よ、よろしくお願いします」
まぁ、緊張すれば誰でもこんな感じになるか。
朽「台詞が少ないキャラか……バランスが悪いな」
角「確かに。もう少し台詞が多くないと、シーンが回らないかも」
朽「何言ってるんだ?」
お前も何言ってんだよ。
自己紹介が終わり、SHRも終わった。その後は、やはり転校生なだけあって、周りに男子と女子が行き交っていた。
朽「話してる内容を書くのが面倒臭いから、さっさと仲間にしよう」
春「待て待て!何の話をしてる!?」
朽「もういい、もういい。さて、誰から話しかける?」
角「俺が行こう」
朽「気をつけろよ……喋ると死ぬかもしれない」
言葉に毒でも塗ってるのか?喋ると死ぬなら、今喋ってるクラスメイト全員倒れてるぞ。
角は息を飲んで、慎重にゆっくりと新井さんの方へと近付いていく。ただ単に可愛い女子と喋る事に緊張してるだけじゃね?
そして、角は新井さんが座る席の前まで移動完了し、周りの生徒は角の雰囲気により、数歩下がっていた。クラスメイトに引かれてるぞ。
角「んっ!んんっ!」
咳払いをする程緊張してんのか!?
角「こ、こっ!Hello!」
朽「ありゃダメだな」
春「あぁ」
こんにちは、の"こ"まで言って結局英語で言うのかよ。新井さんはどう返す?
紡「え、えぇと~…こんにちは。角、君だよね?」
角「え?」
春・朽「は?」
角「前に合った事、あったっけ?」
紡「いやいや!向こうで話してる時に聞こえたから、合ってるかな?」
聖女か?
朽「幼馴染属性まで持ってきたら流石に暴れてたな」
春「いつもより性格悪いな」
朽「よし、私たちも行こう」
遠目で見ていたが、朽と一緒に新井さんの席へと向かった。
朽「んっ!んんっ!」
お前も緊張してるのかよ。
朽「こ、こ……အဲဒီမှာမင်္ဂလာပါ」
紡「え?え?」
春「何語だよ」
朽「ミャンマー語だ」
よく発音できたな。聞き取れなかったし、理解出来なかったぞ。
俺達が新井さんを占領していたので、周りはいつの間にか解散していた。なんだか申し訳ない気持ちになるな。
春「俺は最上春で、ミャンマー語を何故か話せるこいつは佐久間朽だ。よろしく」
紡「よろしくお願いします……春君と朽ちゃん」
朽「呼び捨てでいい。ちゃんとか付けられると背中が痒くなる」
言うことやることが男っぽいもんなぁ。
と、考えていると目の前に拳が現れた。反射的に拳を目前で回避して、その拳を受け流す。
紡「え?」
朽「春が私の悪口を心の中で言ったような気がしたからな。こいつ、無駄に運動神経が良いんだよなぁ」
春「ま、こんな暴力的な女だけど仲良くしてあげてくれ」
朽「あ?」
再び拳を構えた。
春「そういう所があるから友達が寄ってこないんだろ」
角「それある~」
朽「ふんっ!」
角の顔面にクリーンヒットした。あぁ~痛そうだなぁ。
紡「き、朽」
朽「ん?」
紡「よろしく、朽」
新井さ……紡は朽に手を差し出した。そして、朽はその手を握り返すと思いきや紡を抱きしめる。
紡「え?あれ?」
角「春よ……百合も悪くないと思わないか?」
春「確かに悪くない」
悪くは無いが、片方はもう男のようなものじゃね?
朽は新しい女子の友達ができた事が嬉しいらしい。いつもなら形式上の友達のような関係だったが、手を出して握手を求めるのは……こうして見ると初めてな気がするな。
角「抱きしめるって事は、朽も百合に興味が、っはぁ!」
朽はいつの間にか飛び蹴りをしていた。
朽「それは無い」
角「で、ですよねぇ」
それは無いそうです。
三人の姿を紡は微笑ましく見ていた。