人生のやり直しというのは普通にできるものでは無い。だが世界線の違う所ではそれが可能な世界がある。
これから始まる物語は死の螺旋に囚われた一人の少年の物語。
朝の日差しが薄らと扉の隙間から見え隠れする。
その日差しによって俺は目を覚ました。
ここは俺の部屋、だが部屋には物はほとんど無い。あるのは布団とテーブル位なものだ。
特に何も無いこの部屋だが不便という程でもない。必要最低限のものは全部揃ってる家だからな。俺の部屋だけこんな感じなのだ。
「ふぁ〜あ。とりあえず井戸の水を汲んで顔を洗おう」
俺は部屋を出て手ぬぐいを手に取り井戸の方へと向かった。
井戸に吊るしてある桶を投げて水をすくい滑車の反対側の縄を引っ張って水を汲み上げる。
別の大きめの桶に水を移し俺は顔を洗い始める。
「ふぅ、さっぱりしたな。後はこれを片して‥‥いっ!?」
俺が桶を片付けてる所に空から何やら硬いものが落ちてきて俺の頭に直撃した。
「ってーなぁ。鳥に石でもぶつけられたか?‥‥これか?」
俺が拾ったのは何やら絶対に押すなと書いてある小さな箱状の物だった。真ん中に突起がありなぜだか押したくなってしまう。しかしここには絶対に押すなと書いてあるためなんとか押したい気持ちを抑えてそれを家に持ち帰った。
「いったいなんなんだろうな、こんなもの見たことないから分からないし」
とりあえず俺はその箱状の物を棚に置き朝食を作りに台所へ向かう。
作るものは質素なものだがバランスよく作ったつもりだ。
自分で作った朝食を食べながらずっと拾った物のことを考えていた。
押すか押さないかただそれだけの事だがなぜがこの悩みが消えることはなかった。
朝食を終えて片付けをしてからもずっと俺はそれを手に持って悩んでいた。
「押したら何が起きるのか気になってしょうがない。でも押すなって事は危険なものって事も考えられる。でも押すなと言われると余計押したくなっちまう。あー!どうしたらいいんだよ」
そんなことをしているうちにあっという間に外は夕方になっていた。
「げっ、こいつのことを考え込んでてまさか一日を無駄にするとは‥‥こうなったら!押してやる!」
そして俺はその突起を押してしまった。
ふと目を覚ました俺は辺りを見回すと全く知らないところに倒れていた。
「なんだここ、うちの近くと景色は似ているがなんか違うな。にしてもあのボタンは転移魔法の発動ボタンだったのか?俺自身に特に変わった様子も無いし‥‥とりあえず誰かに会って話を聞いてみたい」
俺は道にそって歩みを進める。
この時彼の身に起きていることを知ることも教えてもらうことも出来ないのであった。
しばらく歩くと鳥居が見えてその奥に山への石段が見えた。
俺は石段をかけ登ることにした。
しかしそれが仇となったのか足を踏み外しなんとそのまま頭から落下して石段を転げ落ちた。
「あ‥‥こんな‥‥死に方‥‥あ‥‥ん‥‥ま‥‥‥‥」
俺はそのまま死んでしまった。
次に目を覚ましたのは最初に目を覚ました所と同じだった。
ただ違和感なのは俺は死んだのになぜ生きているのか、時間が戻ったのかあるいは転生したのか。分からないが再び同じことの繰り返しだった。また歩いて鳥居の所まで来た俺は今度は慎重に石段を登ることにした。
「うーんとりあえず足元に注意して登りきることにしよう。意外と石段も長くはないから直ぐに着くだろうし」
そうこう言ってるうちに石段を登り切った。
目の前には神社がある。綺麗にされた境内と社だ。しかし参拝客などは皆無であった。
俺は神社の前まで歩み寄りここで一回お参りをする事にした。
お参りを済ませるとなぜが頭の中でピコンと言う効果音が聞こえた。しかし特に変わってなかったので俺は気にしなかった。